ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
588 / 687
11章

690.休息

しおりを挟む
「あれ?お湯熱くないですね」

てっきり熱いと思っていたが飛びこんでみるとちょうどいい温度だった。

「ふ~気持ちいい…昼からお風呂なんて贅沢な気分ですね~」

「ええ、そうですね」

立ちながお風呂に入る姿にセバスさんが笑うとサッと私の体を抱き上げて膝に乗せてくれる。

「ちょうどいい温度だったんですね。プルシアが熱いって言ったからどんな温度かと思ってました」

「ああ、それはそうです。ミヅキさんが入ると言ったので急いで水魔法で温度を下げましたから」

セバスさんが当たり前のように笑っている。

へ?…ならなんで温度上がったんだ…

セバスさんをちらっと見るがその顔は穏やかでニコニコと笑っていた。

シルバにもまた入るか聞いてみたが自分はいいと近くの陽の当たる場所でのんびりと寝そべっている。

その代わりコハクがお風呂にポチャンと飛び込んできた!

セバスさんのお膝に私が座ってその腕の中にコハクを抱きしめる。

ポカポカと空を見ながら贅沢な時間を過ごしていると…

ピクッ!

セバスさんがハッとして私とコハクを抱き上げて風呂から上がってしまった。

「えっ?」

呆気に取られているといつの間にかシルバやプルシアも警戒する様に森の中を睨みつけていた。

「ど、どうしたの?」

「ミヅキさん…静かに…」

セバスさんが耳元でそっと囁くのを聞いて無言でこくこくと頷いた。

何か周りに気配を感じたようだった。

じっとコハクを抱きしめて黙っていると…

ガサガサッ…

見つめる先の木々が揺れて人影が現れた!

「あー!やっぱりこの気配聖獣様達だった!」

「よかった~もうエルフの国に帰ろうかと思ってました~」

そこには喜び顔をほころばせるエルフの二人がシルバ達を見つけて嬉しそうに声をあげた!

見覚えのある姿と聞いた事のある声にじっと見つめると…

「あー!ハイドラさんにトリヤさん!」

そこにはエルフの国でお世話になったお兄さん達がいた!

「え?あー!ミヅキじゃないか!?そっか…聖獣様がいるんだミヅキもいるよな!」

「久しぶりだなぁ~会えて嬉しいよ!相変わらず可愛いな」

ニコニコと近づいて来ると…

【止まれ】

「止まってください」

シルバとセバスさんが二人を睨みつけ制止させる。

「え、なんでですか聖獣様!」

「それにお前は誰だ?」

二人が逆にセバスさんを睨みつけた。

「そんな裸でミヅキといるなんて…もしかして変態か!」

「ミヅキ!大丈夫なのか!?」

二人が心配そうに私に声をかけると

「だ、大丈夫だよ!セバスさんは変態なんかじゃないよ!私の親代わりの人だよ」

「「セバス…」」

二人はその名前に覚えがあるのかサーッと顔色を悪くする。

「あ、あなたがセバスさんだったのですね…」

「すみません、失礼しました!セバスさんのお噂はかねがね…エルフの国でも…」

「噂?セバスさんのどんな噂があるの?」

「「あっ…」」

二人はなんだか顔を逸らして黙り込んでしまった。

「人を変態とは…エルフと言うのは失礼な方々ですね…私達がお風呂を楽しんでいるところにそちらの方が覗きにきた変態だと思うのですがね…」

な、なんか私を抱いているセバスさんの雰囲気がどす黒い…これは後ろを振り返るのはやめておこう。

「す、すみません…あの~私達エルフの国に帰りますね…」

ハイドラさん達がそういうと来た道を戻ろうとする。

「あー!待って!二人がエルフの国から今度来るって言う人達なんでしょ?私達迎えに来たから一緒に町に行こう!ね!セバスさんそうしよ?」

セバスさんにお願いと手を合わせると、仕方ないと了承してくれた。

二人には後ろを向いてもらいセバスさんと体を乾かして着替えをする事にした。

シルバ達が何故かしっかりとガードしてくれたがこんな幼児体型見るとこないから大丈夫なんだけど…それよりもセバスさんをガードしてください!

チラチラ見える腹筋が気になって目が離せません。

どうにか誘惑に負けないように目をつぶって着替えを済ませる。

「どうでしょう、臭いは取れましたか?」

残念な事にしっかりと服を着たセバスさんが手を広げて先程の続きと言わんばかりに笑顔で待っている。

私は駆け寄ってセバスさんに抱きつくとその胸に顔を埋めた。

洗濯をした服は魔法で乾かしてふかふかでゴブリンの臭いは取れていた。

「はい!石鹸のいい匂いです」

「それはよかった」

セバスさんが満足そうに微笑むとシルバ達も自分の匂いを嗅いでくれと近づいてきた。

セバスさんに下ろしてもらいシルバとプルシアの匂いを顔を埋めてしっかりと嗅いだ!

【ん~!シルバの安心する匂いだ!】

【プルシアは匂いは無いから大丈夫だよ】

【よかった…じゃあミヅキは俺に乗ってくれ】

シルバが腰を下ろしてくれたのでそれにまたがる。

「お待たせしましたー!ハイドラさんにトリヤさん町に案内しますね!」

「ああ!頼む!人族の町は初めてだから緊張するな…」

「早速やらかしてしまったからな…セバスさん…あの、本当にすみません」

二人は顔色を伺うようにセバスさんに頭を下げた。

「いえ、私も少し気が立っていまして大人げない態度を…エルフ達との交流は町でも歓迎しております。ただ、しっかりと知識の勉強はしてきてくれてますよね?」

「それはもう!あの分厚い人族の手引書を隅々まで拝読しましたから!」

「分厚い手引書?」

なんの事だと首を傾げると

「エルフが人の国に行くにあたっての様々なルールや基礎知識が書かれた本だぞ」

「へー!そんなのあるんだ!」

ちょっと読んでみたいな!面白そう!

「あるんだ~ってそれを書いたのがセバスさんだろ?」

トリヤさんが何言ってんだと呆れている。

「え!?セバスさんが書いたの?」

「はい、どうもエルフ達と我々では少し感覚のズレがあるようでしたので。色々書き足してくうちに五センチ程の厚さになってしまいました」

「五センチ!!」

それって軽く辞書くらいあるんじゃ…読み切るのに一日中かかりそうだ。

「エルフの国で今その本が流行してるぞ!」

「流行!でも一冊しかないんでしょ?」

「読み終えた奴は確認の為にもう一度同じ内容を書き写すんだ!俺も一冊作って他の奴に渡したんだぜ」

すんごいアナログ…でもそれならしっかりと内容を覚えられそうだ!

「てことでその手引書の内容からテストを受けて受かればこうして人の国に来れるんだ」

「じゃあ二人は受かったんだね!」

まぁなと二人は得意気に笑った。

「ただ来たのはいいけどどうも人族の国に繋がってる場所が違ってたみたいで…道に迷ってしまった」

「それはおかしいですね、一応一番近い場所を書いて置いたのですが…」

セバスさんが顔をしかめると

「それなんで出来れば町の近くにもう一つエルフの国と繋ぐ道を作れたら…と考えているんですが…」

「そうですね、そこはギルマスに話して検討しましょう」

セバスさんの言葉にハイドラさん達が顔を見合わせてほっとしたように笑った。
しおりを挟む
感想 6,825

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!

白夢
ファンタジー
 何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。  そう言われて、異世界に転生することになった。  でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。  どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。  だからわたしは旅に出た。  これは一人の幼女と小さな幻獣の、  世界なんて救わないつもりの放浪記。 〜〜〜  ご訪問ありがとうございます。    可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。    ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。  お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします! 23/01/08 表紙画像を変更しました

「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。

亜綺羅もも
ファンタジー
旧題:「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。今更戻って来いと言われても旦那が許してくれません! いきなり異世界に召喚された江藤里奈(18)。 突然のことに戸惑っていたが、彼女と一緒に召喚された結城姫奈の顔を見て愕然とする。 里奈は姫奈にイジメられて引きこもりをしていたのだ。 そんな二人と同じく召喚された下柳勝也。 三人はメロディア国王から魔族王を倒してほしいと相談される。 だがその話し合いの最中、里奈のことをとことんまでバカにする姫奈。 とうとう周囲の人間も里奈のことをバカにし始め、極めつけには彼女のスキルが【マイホーム】という名前だったことで完全に見下されるのであった。 いたたまれなくなった里奈はその場を飛び出し、目的もなく町の外を歩く。 町の住人が近寄ってはいけないという崖があり、里奈はそこに行きついた時、不意に落下してしまう。 落下した先には邪龍ヴォイドドラゴンがおり、彼は里奈のことを助けてくれる。 そこからどうするか迷っていた里奈は、スキルである【マイホーム】を使用してみることにした。 すると【マイホーム】にはとんでもない能力が秘められていることが判明し、彼女の人生が大きく変化していくのであった。 ヴォイドドラゴンは里奈からイドというあだ名をつけられ彼女と一緒に生活をし、そして里奈の旦那となる。 姫奈は冒険に出るも、自身の力を過信しすぎて大ピンチに陥っていた。 そんなある日、現在の里奈の話を聞いた姫奈は、彼女のもとに押しかけるのであった…… これは里奈がイドとのんびり幸せに暮らしていく、そんな物語。 ※ざまぁまで時間かかります。 ファンタジー部門ランキング一位 HOTランキング 一位 総合ランキング一位 ありがとうございます!

《書籍化》転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました

ひより のどか
ファンタジー
《アルファポリス・レジーナブックスより書籍化されました》 ただいま女神様に『行ってらっしゃ~い』と、突き落とされ空を落下中の幼女(2歳)です。お腹には可愛いピンクと水色の双子の赤ちゃんドラゴン抱えてます。どうしようと思っていたら妖精さんたちに助けてあげるから契約しようと誘われました。転生初日に一気に妖精さんと赤ちゃんドラゴンと家族になりました。これからまだまだ仲間を増やしてスローライフするぞー!もふもふとも仲良くなるぞー! 初めて小説書いてます。完全な見切り発進です。基本ほのぼのを目指してます。生暖かい目で見て貰えらると嬉しいです。 ※主人公、赤ちゃん言葉強めです。通訳役が少ない初めの数話ですが、少しルビを振りました。 ※なろう様と、ツギクル様でも投稿始めました。よろしくお願い致します。 ※カクヨム様と、ノベルアップ様とでも、投稿始めました。よろしくお願いしますm(_ _)m

収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです 無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す! 無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。