5 / 687
銀の回想
しおりを挟む
本編とは多少関係ありますが飛ばして頂いても大丈夫です。
残酷は描写があります。不快な思いをされる方がいるかと思いますのでここから先は気をつけてお読みください。
コミカライズされたことで銀はどうなったのかとのコメントがありましたので本来なら一巻に載る予定だったお話です。
残された銀のその後のお話になります。
銀はいつも通り扉の前でご主人様の帰りを待っていた。
もうすぐするとご主人様の美月が帰ってきて階段をトントントンと上がりこの扉を開ける。
そうしてボクにただいまーって笑顔で抱きつくのだ!その瞬間がボクは一番好きだった。
美月はボクを凄く大事にしてくれる、どんなに疲れていても大好きな散歩に連れて行ってくれて、美味しいご飯をくれて、毛をブラシで撫でてくれる。
ボクは美月に貰ってばっかりだった。
ボクも何か返せればいいのに、そう思いながら今か今かと尻尾を振って扉の前で待っていた。
今日は遅いな……いつもより遅いご主人様の帰宅を待っていたが、なにか嫌な予感がする。
たまに何処かによって美味しいおやつと言う物を買ってきてくれることもあったが何か違う。
落ちつかずに部屋の中をウロウロしてしまう。
やっぱりなんか変だ!
そう思いうと、いつもならあまり吠えたりしないが力の限り吠えた!
ずっと吠えていると周りが騒がしくなる隣からドンドンと壁を叩かれるが構わず吠えた!
そうするとガチャと鍵が空いて、美月とよく挨拶をしているおばあちゃんが現れた。
何かあったらよろしくお願いしますといつも頼んでいたおばあちゃんだ、確か大家とか言っていた。
「美月ちゃんいる?」
鍵を開けて扉を開くと声を掛けてくる。
ボクはちょっと開いた扉に駆けだし間をすり抜け外に出た!
そして力の限り美月の匂いがする方へ走り出した。
美月! 美月! どこ!?
鼻に神経を集中させてご主人様の匂いをたどる。
いつもの散歩コースによく立ち寄るお店の方と駆け出した。
すると何やら騒がしい色んな光がチカチカしている。
そして嫌な血の匂いがすた…美月の血の匂い…前に包丁で少し手を切った時にも同じ匂いがした。
人だかりのなか人間足の間をすり抜けて血の匂いの方へと向かった…
でっかい鉄の塊が壁に激突している、その側にでっかい赤い水たまりができていて、白い同じ服を着た人が集まり何かしてる。
思わず近寄ると人間に捕まりそうになる!
サッと避けてそこにたどり着いた…そこには会いたかった美月が目を閉じて眠っていた。
体からは血が流れてる。
美月! 美月! 起きて起きて!
ぺろぺろと頬を舐めると血の味がした…
起きて、起きて!
今日は散歩はいらないから、起きて。
ご飯も明日でいいから…起きて!
いつもなら頬っぺを舐めれば起きてくれる美月が起きてくれない。
いつもの温かい頬が冷たい。
一生懸命ご主人様を起こそうとするが何故か起きてくれない。
そうすると人間に捕まってしまった。
その間にご主人様は大きな箱に乗せられ連れて行かれる。
待って! ボクも連れてって!
暴れると人の腕の中から抜け出しその動く速い箱を追った!
速くてなかなか追いつけないが匂いを辿って追いかける…美月が流した血の匂いが続いていた。
硬い地面に削られ爪が剥がれるが構わず走る。
さっきの箱が見えたと思うと道を曲がり行ってしまった。
ボクは急いだ見失わないようにもうクタクタたったが足を前に出して角を曲がると目の前に眩しい光が見えた…
ギィー!!
聞いた事がない音がしたと思うと、何も見えなくなった。
銀は真っ白な何も無い空間にいた。
美月を探さないと!
感触のない空を蹴る。
進んでいるのか分からないが足を動かし、前に駆ける。
すると優しく光る物が目の前に現れた。
威嚇をしようとするがあまりの優しい雰囲気に警戒をとくと、美月のように話しかけられた。
(何処か行きたいところはある?)
美月の所!ご主人様の美月に会いたい!
そう答えた!
(それはもう出来ないの)
悲しそうに言われる。
美月と一緒にいたい…また散歩に行きたい、笑顔で銀って呼んで撫でて欲しい。
もう一度答えた。
(あなたのご主人様はもういないのよ)
もう会えない?
(……)
何も答えてくれない。
(ただ、同じ魂をもつ人ならまた会えるわ)
(同じ魂?)
よく分からない。
(ご主人様の生まれ変わりのようなものよ)
そう説明されてもやっぱりよく分からない。
(私に出来るのはそれくらいなの)
悲しそうに言われた。
(ならそこでいい!美月は美月なんだよね)
(そうね、そのままになるように頼んでみる)
美月のままだと言ってくれた。
(他にはして欲しいことはある?)
(今度はご主人様を守れるように強くなりたい)
強くなりたいと思った。
もうあんな冷たく辛そうな顔はさせたくない。
(わかったわ、ただご主人様にいつ会えるかはわからないそれは自分で見つけなければいけないの)
うん!わかった!
コクっと頷く、絶対見つけてみせる!
絶対また美月に会うんだ!
そしたら今度はボクが美月を守って、ご飯だってあげるんだ!
そう頷くと優しい光がボクを包んだ。
銀はご主人様を思い光の中に溶けていった。
「ん……」
シルバはふっと目が覚めた…なんだか昔の夢を見ていた気がするが何も覚えていなかった。
【シルバ?どうしたの?】
ミヅキが心配そうに顔を覗き込み頭を撫でている。
やっぱり美月の手は落ち着くな…
【なんでもない…もっと撫でてくれ】
シルバは再び瞳を閉じると美月の温もりをしっかりと感じた。
残酷は描写があります。不快な思いをされる方がいるかと思いますのでここから先は気をつけてお読みください。
コミカライズされたことで銀はどうなったのかとのコメントがありましたので本来なら一巻に載る予定だったお話です。
残された銀のその後のお話になります。
銀はいつも通り扉の前でご主人様の帰りを待っていた。
もうすぐするとご主人様の美月が帰ってきて階段をトントントンと上がりこの扉を開ける。
そうしてボクにただいまーって笑顔で抱きつくのだ!その瞬間がボクは一番好きだった。
美月はボクを凄く大事にしてくれる、どんなに疲れていても大好きな散歩に連れて行ってくれて、美味しいご飯をくれて、毛をブラシで撫でてくれる。
ボクは美月に貰ってばっかりだった。
ボクも何か返せればいいのに、そう思いながら今か今かと尻尾を振って扉の前で待っていた。
今日は遅いな……いつもより遅いご主人様の帰宅を待っていたが、なにか嫌な予感がする。
たまに何処かによって美味しいおやつと言う物を買ってきてくれることもあったが何か違う。
落ちつかずに部屋の中をウロウロしてしまう。
やっぱりなんか変だ!
そう思いうと、いつもならあまり吠えたりしないが力の限り吠えた!
ずっと吠えていると周りが騒がしくなる隣からドンドンと壁を叩かれるが構わず吠えた!
そうするとガチャと鍵が空いて、美月とよく挨拶をしているおばあちゃんが現れた。
何かあったらよろしくお願いしますといつも頼んでいたおばあちゃんだ、確か大家とか言っていた。
「美月ちゃんいる?」
鍵を開けて扉を開くと声を掛けてくる。
ボクはちょっと開いた扉に駆けだし間をすり抜け外に出た!
そして力の限り美月の匂いがする方へ走り出した。
美月! 美月! どこ!?
鼻に神経を集中させてご主人様の匂いをたどる。
いつもの散歩コースによく立ち寄るお店の方と駆け出した。
すると何やら騒がしい色んな光がチカチカしている。
そして嫌な血の匂いがすた…美月の血の匂い…前に包丁で少し手を切った時にも同じ匂いがした。
人だかりのなか人間足の間をすり抜けて血の匂いの方へと向かった…
でっかい鉄の塊が壁に激突している、その側にでっかい赤い水たまりができていて、白い同じ服を着た人が集まり何かしてる。
思わず近寄ると人間に捕まりそうになる!
サッと避けてそこにたどり着いた…そこには会いたかった美月が目を閉じて眠っていた。
体からは血が流れてる。
美月! 美月! 起きて起きて!
ぺろぺろと頬を舐めると血の味がした…
起きて、起きて!
今日は散歩はいらないから、起きて。
ご飯も明日でいいから…起きて!
いつもなら頬っぺを舐めれば起きてくれる美月が起きてくれない。
いつもの温かい頬が冷たい。
一生懸命ご主人様を起こそうとするが何故か起きてくれない。
そうすると人間に捕まってしまった。
その間にご主人様は大きな箱に乗せられ連れて行かれる。
待って! ボクも連れてって!
暴れると人の腕の中から抜け出しその動く速い箱を追った!
速くてなかなか追いつけないが匂いを辿って追いかける…美月が流した血の匂いが続いていた。
硬い地面に削られ爪が剥がれるが構わず走る。
さっきの箱が見えたと思うと道を曲がり行ってしまった。
ボクは急いだ見失わないようにもうクタクタたったが足を前に出して角を曲がると目の前に眩しい光が見えた…
ギィー!!
聞いた事がない音がしたと思うと、何も見えなくなった。
銀は真っ白な何も無い空間にいた。
美月を探さないと!
感触のない空を蹴る。
進んでいるのか分からないが足を動かし、前に駆ける。
すると優しく光る物が目の前に現れた。
威嚇をしようとするがあまりの優しい雰囲気に警戒をとくと、美月のように話しかけられた。
(何処か行きたいところはある?)
美月の所!ご主人様の美月に会いたい!
そう答えた!
(それはもう出来ないの)
悲しそうに言われる。
美月と一緒にいたい…また散歩に行きたい、笑顔で銀って呼んで撫でて欲しい。
もう一度答えた。
(あなたのご主人様はもういないのよ)
もう会えない?
(……)
何も答えてくれない。
(ただ、同じ魂をもつ人ならまた会えるわ)
(同じ魂?)
よく分からない。
(ご主人様の生まれ変わりのようなものよ)
そう説明されてもやっぱりよく分からない。
(私に出来るのはそれくらいなの)
悲しそうに言われた。
(ならそこでいい!美月は美月なんだよね)
(そうね、そのままになるように頼んでみる)
美月のままだと言ってくれた。
(他にはして欲しいことはある?)
(今度はご主人様を守れるように強くなりたい)
強くなりたいと思った。
もうあんな冷たく辛そうな顔はさせたくない。
(わかったわ、ただご主人様にいつ会えるかはわからないそれは自分で見つけなければいけないの)
うん!わかった!
コクっと頷く、絶対見つけてみせる!
絶対また美月に会うんだ!
そしたら今度はボクが美月を守って、ご飯だってあげるんだ!
そう頷くと優しい光がボクを包んだ。
銀はご主人様を思い光の中に溶けていった。
「ん……」
シルバはふっと目が覚めた…なんだか昔の夢を見ていた気がするが何も覚えていなかった。
【シルバ?どうしたの?】
ミヅキが心配そうに顔を覗き込み頭を撫でている。
やっぱり美月の手は落ち着くな…
【なんでもない…もっと撫でてくれ】
シルバは再び瞳を閉じると美月の温もりをしっかりと感じた。
318
お気に入りに追加
23,231
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

ほっといて下さい(番外編)
三園 七詩
ファンタジー
「ほっといて下さい」のもうひとつのお話です。
本編とは関係ありません。時系列も適当で色々と矛盾がありますが、軽い気持ちで読んで頂けると嬉しいです。
✱【注意】話によってはネタバレになりますので【ほっといて下さい】をお読みになってからの方がいいかと思います。
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい
三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです
無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す!
無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。
レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。
【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。
そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。