ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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銀の回想

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本編とは多少関係ありますが飛ばして頂いても大丈夫です。

残酷は描写があります。不快な思いをされる方がいるかと思いますのでここから先は気をつけてお読みください。

コミカライズされたことで銀はどうなったのかとのコメントがありましたので本来なら一巻に載る予定だったお話です。

残された銀のその後のお話になります。







銀はいつも通り扉の前でご主人様の帰りを待っていた。

もうすぐするとご主人様の美月が帰ってきて階段をトントントンと上がりこの扉を開ける。

そうしてボクにただいまーって笑顔で抱きつくのだ!その瞬間がボクは一番好きだった。

美月はボクを凄く大事にしてくれる、どんなに疲れていても大好きな散歩に連れて行ってくれて、美味しいご飯をくれて、毛をブラシで撫でてくれる。

ボクは美月に貰ってばっかりだった。

ボクも何か返せればいいのに、そう思いながら今か今かと尻尾を振って扉の前で待っていた。



今日は遅いな……いつもより遅いご主人様の帰宅を待っていたが、なにか嫌な予感がする。

たまに何処かによって美味しいおやつと言う物を買ってきてくれることもあったが何か違う。
落ちつかずに部屋の中をウロウロしてしまう。

やっぱりなんか変だ!  

そう思いうと、いつもならあまり吠えたりしないが力の限り吠えた!

ずっと吠えていると周りが騒がしくなる隣からドンドンと壁を叩かれるが構わず吠えた!

そうするとガチャと鍵が空いて、美月とよく挨拶をしているおばあちゃんが現れた。

何かあったらよろしくお願いしますといつも頼んでいたおばあちゃんだ、確か大家とか言っていた。

「美月ちゃんいる?」

鍵を開けて扉を開くと声を掛けてくる。

ボクはちょっと開いた扉に駆けだし間をすり抜け外に出た!

そして力の限り美月の匂いがする方へ走り出した。

美月!  美月!  どこ!? 

鼻に神経を集中させてご主人様の匂いをたどる。

いつもの散歩コースによく立ち寄るお店の方と駆け出した。

すると何やら騒がしい色んな光がチカチカしている。

そして嫌な血の匂いがすた…美月の血の匂い…前に包丁で少し手を切った時にも同じ匂いがした。

人だかりのなか人間足の間をすり抜けて血の匂いの方へと向かった…

でっかい鉄の塊が壁に激突している、その側にでっかい赤い水たまりができていて、白い同じ服を着た人が集まり何かしてる。

思わず近寄ると人間に捕まりそうになる!

サッと避けてそこにたどり着いた…そこには会いたかった美月が目を閉じて眠っていた。

体からは血が流れてる。



美月! 美月!  起きて起きて!

ぺろぺろと頬を舐めると血の味がした…

起きて、起きて!

今日は散歩はいらないから、起きて。
ご飯も明日でいいから…起きて!

いつもなら頬っぺを舐めれば起きてくれる美月が起きてくれない。

いつもの温かい頬が冷たい。

一生懸命ご主人様を起こそうとするが何故か起きてくれない。

そうすると人間に捕まってしまった。

その間にご主人様は大きな箱に乗せられ連れて行かれる。

待って! ボクも連れてって!

暴れると人の腕の中から抜け出しその動く速い箱を追った!

速くてなかなか追いつけないが匂いを辿って追いかける…美月が流した血の匂いが続いていた。

硬い地面に削られ爪が剥がれるが構わず走る。

さっきの箱が見えたと思うと道を曲がり行ってしまった。

ボクは急いだ見失わないようにもうクタクタたったが足を前に出して角を曲がると目の前に眩しい光が見えた…


ギィー!!

聞いた事がない音がしたと思うと、何も見えなくなった。

銀は真っ白な何も無い空間にいた。

美月を探さないと!

感触のない空を蹴る。

進んでいるのか分からないが足を動かし、前に駆ける。

すると優しく光る物が目の前に現れた。

威嚇をしようとするがあまりの優しい雰囲気に警戒をとくと、美月のように話しかけられた。


(何処か行きたいところはある?)

美月の所!ご主人様の美月に会いたい!

そう答えた!

(それはもう出来ないの)

悲しそうに言われる。

美月と一緒にいたい…また散歩に行きたい、笑顔で銀って呼んで撫でて欲しい。

もう一度答えた。

(あなたのご主人様はもういないのよ)

もう会えない?

(……)

何も答えてくれない。

(ただ、同じ魂をもつ人ならまた会えるわ)

(同じ魂?)

よく分からない。

(ご主人様の生まれ変わりのようなものよ)

そう説明されてもやっぱりよく分からない。

(私に出来るのはそれくらいなの)

悲しそうに言われた。

(ならそこでいい!美月は美月なんだよね)

(そうね、そのままになるように頼んでみる)

美月のままだと言ってくれた。

(他にはして欲しいことはある?)

(今度はご主人様を守れるように強くなりたい)

強くなりたいと思った。
もうあんな冷たく辛そうな顔はさせたくない。

(わかったわ、ただご主人様にいつ会えるかはわからないそれは自分で見つけなければいけないの)

うん!わかった!

コクっと頷く、絶対見つけてみせる!
絶対また美月に会うんだ!

そしたら今度はボクが美月を守って、ご飯だってあげるんだ!

そう頷くと優しい光がボクを包んだ。

銀はご主人様を思い光の中に溶けていった。



「ん……」

シルバはふっと目が覚めた…なんだか昔の夢を見ていた気がするが何も覚えていなかった。

【シルバ?どうしたの?】

ミヅキが心配そうに顔を覗き込み頭を撫でている。

やっぱりの手は落ち着くな…

【なんでもない…もっと撫でてくれ】

シルバは再び瞳を閉じるとの温もりをしっかりと感じた。
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