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11章

667.ご褒美

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獣人達は上下関係を忘れて料理を貪った!

「美味しい~!」

「この味付けってどうやってるの?」

獣人のおばさんがプルコギが気になるようで聞いてきた。

「これはウエスト国のリングス商店で売ってるしょうゆとかお酒、みりん…それに色んな調味料使ってるんですよ」

「ウエスト国か…なら買いに行けないねぇ…」

残念そうに肩を落としている。

「なんでですか?これから獣人の国と仲良くなるんだからウエスト国に行けますよね?」

「そうだけど…私達に売ってくれるかい?」

おばさんが自信なさげに耳を伏せた、どうやら人族に物を売って貰えなかった事があるみたいで不安そうにしている。

すると…

「もちろんだ!」

話を聞いていたレオンハルト王子がブリートを片手に立ち上がった!

「ウエスト国は獣人達を歓迎する!安心して買い物に来るがいい!」

「レオンハルト王子…」

獣人達が急に立ち上がり大きな声を出したレオンハルト王子に驚いき見つめていたが…つい目が堂々と掲げるブリートにいってしまう。

「他にもウエスト国には美味い料理があるぞ!特におすすめはドラゴン亭だ!なんせこのミヅキの店だからな」

「そうなのかい!?」

獣人達が一斉にこちらを見つめる。

「私の店じゃありませんけど…少しお手伝いはさせてもらいました…従業員が獣人の格好してるんですよ!そうだ!本物の獣人さんが働いてくれると嬉しいなぁ~」

イチカ達と獣人が仲良く仕事する様子を想像してニヤニヤしていると…

「リングス商会はウエスト国で有名な店だ!そこは凄い商品を取り揃えてる!国で流行ってる物はそこに行けばなんでも揃うぞ」

「まさか…ここもミヅキが?」

獣人達が伺うようにチラッとこちらを見てきた。

ギクッ…獣人さんやっぱり勘が鋭いのかな…

なんて言おうか迷っていると…

「まさか!ここはミヅキも御用達なだけだよな!?確かにリングス商会のマルコとは仲がいいみたいだが…」

事情を知らないのかレオンハルト王子が不満そうに答えた…どうもマルコさんと仲がいい事が気に食わないようだ。

後ろでは気まずそうにユリウスさんとシリウスさんがレオンハルト王子から目を背けた。

あーやっぱり王子には言ってないんだな…

私は苦笑すると…

「そうですね、あの店なら獣人にも丁寧に接客してくれると思いますよ」

私はそう言って獣人さん達に笑いかけた。

「ミヅキがそう言うなら…行ってみるかな…」

「そうだね、聖獣を従えてアトラス様達も信頼しているミヅキの言うことなら信じられる」

「レオンハルト様も私達の為に動いてくださっていた…その二人が勧めるなら…」

獣人達は嬉しそうに頷きあった。

みんなで肉を食べながらウエスト国に行く話をしていると…

「やっとミヅキの料理が食べられたな」

レオンハルト王子が私に話しかけてきた。

「そうでしたっけ?」

私が首を傾げて考える。

王子の事は避けていたが王宮で料理は結構作った気がする…けど…そうだな確かに王子はどの現場にもいなかった。

「いっつも後からミヅキの料理を食べたって自慢されるけど…今回は俺が自慢する番だ!」

こんなみんなで食べてる料理に嬉しそうにするレオンハルト王子を見て少し不憫に思った…

「レ、レオンハルト様…」

私が声をかけると

「ミヅキ、様は要らん!今はまだ…友達だろ。それにご飯を食べてる時くらい…」

寂しそうな顔をしてこちらをチラチラと見ている…

「グッ…」

いや…ここで構ったら図に乗りそうな気が…

「ミヅキ…」

すると後ろからユリウスさんがそっと話しかけてきた。

「ユリウスさん?」

「レオンハルト王子はミヅキに褒められたくてここまで頑張って来たんだ…今回だけ少し褒めてやってくれないか?」

ユリウスさんがじっとキラキラと澄んだ瞳で懇願するように見つめてきた。

もーそんな顔をされたら断れない、でもレオンハルト王子達が頑張ってここまで獣人達との仲を深めてくれていたのも事実だしな…

私はコクっと小さく頷くと

「レオン…頑張ったね!特別になんか作ってあげるよ、何が食べたい?」

「えっ!いいのか!」

「うん、でもみんなには内緒だよ!特にギルバート陛下とかには!」

「父上に?まぁミヅキがそう言うならわかった」

レオンハルトが頷くと

「何がいいかなぁ…前にも食べた親子丼も美味しかったけど…やっぱり卵焼き!」

「卵焼き?」

「ああ!べんとうとやらでもらった卵焼きの味が忘れられん…」

味を思い出したのか頬を赤らめた。

レオンハルト王子にお弁当なんて作ったかな?

私は覚えがなくて首を傾げた。

「まぁいいや、卵焼きだね!今作ってくるから待っててね」

「ミヅキ、手伝うよ」

コジローさんが一緒に席を立とうとするので…

「大丈夫だよ、コジローさんずっと手伝ってくれてるからご飯食べてて!卵焼きは簡単だからぱっぱと作ってきちゃうよ」

「ミヅキ!愛情込めてくれよ!」

レオンハルトの叫びは無視して私は一人卵焼きを作りに向かった。

ギルドの厨房を借りようと職員に声をかける。

【ミヅキ、僕も行くよ!火を使うんでしょ?】

シンクが声をかけてくれたが

【大丈夫、すぐそこだし…それよりもみんな…シルバ達の様子を見てきてくれる?】

【シルバの?】

【うん…今シルバと念話を切ってるから…どうしてるのか気になって…ついでにベイカーさん達も反省してるか見てきて欲しいな】

【わかったよ、でもあんな食い意地がはった人達はもっときつい罰が必要だと思うけどなぁ…】

シンクがそういうとプルシアも同意する。

【そうだな、肉をあんなに独り占めして…あれは私も楽しみにしていたのに…】

【ご、ごめんなさい…ぼくがとめればよかった…】

一緒にいたコハクがしょんぼりとして答えると耳と尻尾が地面につきそうなほど下がっている。

【コハクがずっと元気無かったのは気にしてたから?】

コハクを抱き上げてうわうわの毛を撫でてやると苦笑した。

【あれはシルバ達が全体的に悪いんだからコハクが気にする必要ないんだよ】

【でも…ぼくシルバおじちゃんに食べさせたかったの…】

【コハクは優しいね!】

コハクの優しい気持ちにムカムカしていた気持ちが少しスっとした。

【だから…ミヅキ…あんまりおこらないで…】

コハクがじっと懇願するように上目遣いで見つめてくる。

【うん、反省したら許すから大丈夫だよ。私だってシルバの事大好きだもん】

【よかった】

なんて可愛くていい子なんだ…

コハクのほっとした顔に擦り寄らずにはいられなかった。




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