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11章

657.用意

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私達はギルドに帰ってくるとギルド内は落ち着きを取り戻していた。

ロバートさんは一度家に戻るとギルドの前で別れたが後でまた来るように言っておいた。

ロブさんは本部から連絡があったようで戻ってくるとすぐに自分の部屋に行ってしまった。

私達は一室を好きに使っていいと一部屋明け渡された。

「はぁ~ちょっと休憩…」

やっと落ち着けるとシルバの上でゴロンと横になる。

「確かに疲れたな…」

ベイカーさん達もさすがに疲れたのかソファーにドスンッと座り込んだ。

「ちょっとみんなで休もうよ~」

シルバもゴロンと横になると私はその上で目をつぶった。


しばらくみんなで休んでいると…

トントン!

部屋をノックする音に皆が動き出した。

一番扉の近くにいたコジローさんが扉を開けると

「休んでるところすまんな、ディムロスちょっといいか?」

ロブさんがディムロスじいちゃんを呼びに来た。

じいちゃんは頷いてロブさんと部屋を出ていってしまうと…

「うーん…さてと、そろそろご飯の用意しようかな…」

私は伸びをして動き出した。

レオンハルト様にシリウスさん達が来るし…ロブさんやロバートさん達とも食べたいしな…結構量が必要かな…

何にしようかと収納をあさる。

ダンジョンに潜ったさいに結構食材を使ってしまったようであまり残っていなかった。

「うーん…買い物か狩りに行かないとご飯無理かなぁ…」

ボソッとつぶやくと…

「「【何!?】」」

いつもの三人が反応する。

「それは大問題だな…」

「そうだな!よし、魔物を捕まえに行くか…」

【俺も行くか…】

三人が早速とギルドを出ていこうとする。

「あー…まぁいっか…みんな気をつけてね」

私が声をかけるが三人は心此処にあらずと言う感じでいそいそと部屋を出ていった。

「困った人達だな…」

コジローさんが笑いながらそばに寄ってきた。

「何か必要なら買い物に行ってこようか?」

コジローさんが優しく微笑んで聞いてくる。

「そうですね~獣人のお店も見たいしな…一緒に行きましょ!」

私はコジローさんの手を引っ張った!

【僕も行くよ】

【ぼくもー!】

シンクとコハクが私の周りをグルグルと回る。

「よし!じゃあみんなで行こうね、ちょっとじいちゃんに声掛けようか」

私は部屋を出るとギルマスの部屋を探した…途中でロブさんと一緒にいたハミルさんを見つけると…

「あっ!ハミルさん!じいちゃんいますか?」

場所がわからずに声をかけた。

「ん?ああ、ミヅキちゃんだよね?ギルマスは今ディムロスさんと話し中なんだよ、どうもこれからのギルドの事とギルマスの責任について話し合ってるみたいだ…」

心配そうにそう教えてくれた。

「ギルマスは責任を感じでいたから…このまま辞めてしまうかもしれない…」

ハミルさんがガックリと肩を落とすと…

「大丈夫ですよ!ギルドの決定なら仕方ないですけど…ロブさんが自分で辞める事はないですから」

私はニコッと笑って教えてあげた。

「え!そうなのかい?でも…なんで」

ハミルさんが訝しんでいると

「ギルマスの頭見たでしょ…」

ニヤニヤと笑って教える。

ハミルはキョロキョロと周りを見て誰もいないのを確認すると近づいてコソコソと耳元で話し出した。

「うん、びっくりしたよ…最初一体誰かわからなかった…」

「まぁ全てはいませんが、ダンジョンでちょっとね…いい薬が手に入ったんです」

「薬?」

「はい…その薬をロブさんに渡す条件でギルマスを自分から辞めないように約束させましたから…」

ふふふとほくそ笑むとハミルさんが驚いた顔でこちらを見つめていた。

「そ、そんな事が…」

「はい!だから自分から辞めそうになったらもう薬を取り上げるよって言ってみて下さいね」

「わかった!ミヅキちゃんありがとう!」

ハミルさんの表情が明るくなるのを確認して私はニコリと微笑んだ。

「じゃあじいちゃん達には街に買い物に行ってくるって伝えておいて下さい」

ハミルさんが了解と手を上げたので私達は獣人達の街へとくりだした。

コジローさん、シンク達と街に出て歩いていると…

「いらっしゃ~い!今日はおめでたい日だからサービスするよー!」

「こっちも今日は大盤振る舞いだよ!」

なんだか街が活気づいている。

コジローさんと歩いているが前に歩いた時の様な嫌な視線も感じなかった。

「なんか街が明るいね」

「そうだな、あの時はジロジロ見られたが…」

コジローさんも戸惑っている。

「まぁみんなが元気なのはいい事だねー」

とりあえず近くのお店を覗いて見る。

さすが獣人達の国なのか肉が大きな塊で沢山置いてあった。

「ミヅキ、肉があるぞ」

コジローさんが笑顔で指さすと

「おお!これは人族の方かな?今日は獣人と人族達の第一歩踏み出した記念日だ!しかもアトラス様の疑いも晴れたし…まぁ私は信じてなかったけどね!」

ニカッといい顔を向けられる。

私とコジローさんは顔を見合わせる。

そういう事はレオンハルト様とアトラス様達の交渉が上手くいったと言うことだ。

まぁあの雰囲気なら大丈夫だと思ったが…良かった!

それを獣人達も喜んでくれていることが嬉しかった。

「みなさんはアトラス様が好きなんですね」

「そりゃそうさ!アトラス様は獣人達の憧れだからね!アトラス様が決めた事なら私らは従うよ」

「獣人さん達は…人族苦手ですか?」

伺うように聞くと

「まぁ苦手だけどレオンハルト様の様な人もいるってわかったしね!人の中には獣人に友好的な人達がいることも知ってるよ。あんたの瞳は好きだね」

お店のおばちゃんが笑って頭を撫でてくれる。

「それよりもその事を許さない獣人達の方が厄介だったのさ」

「なるほど」

だからみんな嫌いな振りをしてたんだ。

「でもこれからは堂々と出来るよ!ほらどうだいおまけするよ!」

ビーグル犬の様な垂れ耳に細い尻尾のついたおばちゃんがニコッと笑ってたくさんの肉を見せて来た。




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