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11章

655.成長

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私が迷っていると…

「ミヅキ、ほら座れ!」

グズグズしているとレオンハルト様が手を掴んでグイッと引き寄せた。

「えっ!」

トスン…とレオンハルト様の隣の椅子に座らせると

トントン!

タイミングよくアトラス様達が部屋に入ってきた。

「皆さんお待たせしました」

ボロボロになっていた衣装を着替えて隣には綺麗なヴィーラ様後ろに可愛いアルフレッド様とバイオレッド様と勢揃いで現れた。

ちょうどレオンハルト様が座っていたソファーの前に来ると…

「改めてお礼を言わせてください。家族を…この国を救っていただき本当にありがとうございました」

四人で深々と頭を下げると後ろに控えていた獣人の兵士達までいっせいに頭を下げた…

すっご…統率取れてる…

乱れる様子のない動きに感心していると

「いや、俺は何もしていない…礼ならこちらの者達に…」

レオンハルト様が首を振ると、私やベイカーさん達をみた。

「だから今回の協定ももう一度よく話し合って見てくれ。獣人達が納得してこその協定条約だからな」

おお!レオンハルト様が成長してる!

私は驚いて目をまん丸に見開きレオンハルト様を見つめた。

「な、なんだ…よ」

そんな私の視線にレオンハルト様が気まずそうにこちらを伺っている。

「レオンハルト様…大人になったね…」

しみじみと答えるとレオンハルト様が顔をしかめた。

「なんだよそれ…なんでみんな同じ事言うんだよ」

レオンハルト様がムスッと口を尖らせて腕を組んでしまった、どうもご立腹なご様子。

そんな姿が少し可愛くて私はシルバ達を撫でるようにレオンハルト様の頭を撫でた。

「すごく素敵だと思うよ」

頑張ったんだろうなと思いニコニコと笑いかけると…

「ほぉ…そちらのお嬢さんはレオンハルト様の婚約者だったのかな?」

アトラス様が微笑みながらこちらの様子を見ていた。

はっ!つい…

周りを見るとみんなが複雑そうな顔で見ていた…

あーなんかあまりにも可哀想で慰めちゃった。

サッと手を戻すと

「違います!違います!私はただの冒険者です!ちょっと王子と面識があるだけですから!」

慌てて全否定をする!

「そうなのか?ならうちのアルフレッドなんかどうだい?年齢の割にしっかりしててうちのヴィーラに似た美男子だぞ」

アトラス様がアルフレッド様の背中をポンと叩いて前に出した。

アルフレッド様が私の前に出させると…

「お、お父様!す、すみません父が…」

しゅんと可愛い耳を伏せた。

「うぅ!」

あまりに可愛い仕草に私はダメージをうける。

椅子から崩れ落ち膝をついた。

何あれ!白くてふわふわの丸い耳がしゅんって!しゅんって垂れた!

もう一度チラッと見ると今度は心配そうに耳をピクピクさせながらこちらに手を差し出していた。

そしてその後ろにはピコピコと動く尻尾…

これは触っていいよって合図?合図なのか!

私の思考が混戦する!

はぁはぁと息を荒くして手が勝手にワキワキと動き出した。

「ミヅキ!」

その瞬間ベイカーさんに抱き上げられる。

「シリウス!頼む!発作を止めてくれ!」

「はい!ミヅキほら落ち着くんだ!」

ベイカーさんからシリウスさんにパスされるとシリウスさんが自分の尻尾をフリフリと私の前で振り出した。

「さ、触って…いいの…?」

チラッとシリウスさんを見ると嬉しそうに頷く。

その瞬間ガバッとシリウスさんの尻尾に頬ずりした。

はぁ~フカフカ…これだよこれ!求めてたのはこれ!

あー何よりのご褒美…

うっとりと尻尾を堪能していると

「耳も触るか?」

「いいの!?」

シリウスさんのサービスに思わず笑顔がこぼれる。

シリウスさんがそっと首を傾げて笑うと私を肩に乗せてくれた。すると目の前にピコピコと動くケモ耳、シリウスさんのサラサラな髪が顔に当たってくすぐったい。

私はシリウスさんの耳ごとぎゅっと頭に抱きついた。

はぁ~落ち着く…

私はシリウスの頭の上に顔を置いて目を瞑った。

「よし!ミヅキは大丈夫だな。シリウスしばらく相手してやってくれ」

「はい、喜んで…」

シリウスさんが嬉しそうに頷くと

「疲れたらいつでも変わるよ。ミヅキもいつでも変わるからいいなね」

ユリウスさんがいい笑顔でこちらをみた。

「えっ!ユリウスさんのも触っていいの?」

ガバッと起き上がると

「まだ大丈夫だから兄さんはレオンハルト様を、それともミヅキは兄さんの方がいいのかな…」

シリウスさんのピンとしていた耳が下がってしまった!

「ううん!シリウスさんも大好きだよ!でもユリウスさんも好きだし…うーどっちか選ぶなんて無理!」

しっかりとシリウスさんの尻尾と頭を掴んで頭を抱えた。

「おい、ユリウス!せっかく大人しくなってたんだからそのままにしとけ」

ベイカーさんが呆れて注意をしてきた。

「すみません、ついシリウスが羨ましくて…」

ユリウスさんがクスクスと笑って私のそばに来ると

「後でゆっくりと触らせてあげますから今は弟と大人しくしててください」

優しく頭を撫でられる。

「本当に?」

「ええ、もちろん」

ユリウスさんからしっかりと言質を取ると私はわかったと大人しく待っていることにした。

「えーっとあれは?」

私の病気の様子にアルフレッド様が固まっている。

「申し訳ございません、あの子はちょっと変わった子なので気にしないでください。それにただの冒険者…王子達の隣に居れる子ではありませんので…」

ベイカーさんがアトラス様達に頭を下げた。

変わった子って…まぁ否定出来ない。しかも大人しく居れないって確かに騒がしいけどさー大人しくしてなって言われたらそれくらいはできるに!

そうは思いがらも今は発言しない方がいいだろうと、決してシリウスさんのケモ耳と尻尾に夢中な訳じゃないが私は黙ってそれに集中した。
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