ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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番外編【ネタバレ注意】

書籍化お礼番外編『セバスさんとお仕事編』勝負

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「どうなってる!」

男は裏の事務所に戻ると控えていたディーラー達に怒鳴り声をあげた!

今日初めて来たと思われる子供とその執事の客が数字当てで連続で当てて、すごい金額を勝っているのだ。

最初見た時はいいカモが来たと思ったが…あの当たり方は尋常ではない!必ず何か裏があるはずだ!

「お前達!あの客はなにか絶対にイカサマをしているはずだ!わかり次第裏に連れ込め!金を全て返して貰う!」

声を荒らげると休んでいた男達が渋々と出ていく…なので見つけた者にはボーナスを出すと言うと急にやる気を見せた。

現金な奴らだ…

「なぁ俺がディーラー変わろうか?」

奥にいたディーがニヤニヤと笑って声をかけてきた。

「そうだな…代わってくれ。もうこれ以上あいつを勝たせるな」

「はいよ~その変わりにわかってるよなぁ?巻き上げた金の半分は貰うぜ」

「巫山戯るな!半分なんて駄目に決まってるだろ!二割だ!」

「はぁー?そんなんでやってられるかよ!ならやらないぜ。いいのか?このままだと店が潰れるぞ~」

ニヤニヤとムカつく顔でこちらを伺っている…あの腕がなければ殴って追い出しているところだ。

「わかった…三割だ!これ以上は駄目だ!」

「はいはい、ケチくさい奴だ…」

ボソッと呟くと店へと入って行った。

自分も少し落ち着こうと水をカブのみしてふーっと息を吐いて店へと戻る。

まぁあいつが出るなら大丈夫だろ…あいつは好きな数字にボールを入れることが出来る…コレでどうにかこれまでの負けを取り返せるだろう…

そう思うと少し落ち着いて来た。

店に戻るとちょうどディーがディーラーを代わっていた…担当していたディーラーがやばい顔色で戻ってくる、それを捕まえて裏へと引っ張って行った。

「お前何してるんだ!お前だってある程度数字をずらす事が出来るだろ!」

ドンと床に叩きつける!

「す、すみません…俺も何度も数字を外したんです…でも…なんでかわからないがボールが吸い込まれるようにあの子供の言うところに入っていくんです…」

恐ろしいそうに顔を真っ青にしている。

「何かしていたか!?」

「わからない…何もわからない…何かしてるようには見えなかった…」

男はガクガクと震えている…嘘を言っているようには見えなかった。

「お前の負けはかなりだぞ!このままだと奴隷落ちしてもらうからな!覚悟しろ!」

「そ、そんな…」

「いやならあの子供のイカサマを見つけてこい!」

「あれは本当にイカサマなんですか?」

「はっ?じゃ無きゃなんだって言うんだ!」

「……」

男は何も答えられない…

あれがもし偶然ならどんな強運の持ち主なんだ!そんなやつ居るはずない!

俺はもう一度絶対に暴いてやるとあの客のそばに向かった!

行くとちょうどディーが口の端を上げながらボールを投げ入れた。

それを見てほっと胸を撫で下ろす。

あの口が上がっていると言うことはディーの調子がよく勝っていると言うことだ。

そっと近づいてテーブルを見ると先程積まれた金が半分になっていた…

よし!

思わず叫びそうになるのをぐっとこられた。

でもまだ駄目だ、あの半分は負けの分…それを全部取り戻してこそ勝ちになる。

俺はその後の光景を想像して思わずニヤけると、そっとその口を隠した。




「ミヅキ様、大丈夫ですか?」

セバスさんはいきなり代わったディーラーから私の数字が外れだした事に驚いて声をかけた。

「うん!問題ない!次は好きな数字にかけるから!」

私はニコッと笑う、全然問題無し!モーマンタイ!

なんか急に球が変な風に動いた気がしたけどたまには外れないと変だもんね。

ちょうど良かった!

「セバスの好きな数字の「24」にする」

そう言って笑って24の上に今まで儲けたお金を全部かけた!

すると会場からどよめきがおきる。

セバスさんは私の選んだ数字を見て一瞬目を見開いたあと…嬉しそうな顔をしていた。

その顔は演技をしているセバスではなく…本当のセバスさんの喜ぶ顔だった。

私が選んだ数字はセバスさんの誕生日の数字にしたのだ!

特別な数字…大切な人との。

私にはこの数字が光って見えた!当たるところしか想像が出来ない!

「では投げます」

ディーラーが玉を投げ入れる。

すると玉は勢いよくホールの中をグルグルと回った。

そして「24」の隣の「38」に落ちそうになる…「ああ…」会場からはため息に似た声が漏れた。

しかし私の自信は揺るがない!セバスさんが信じてくれた私の強運!今使わないでどうする!

お願い!私はボールを見つめると…ボールは何かに弾かれるようにバウンドしてそのままストン…と「24」の穴へと落ちた。

『おおおぉ!』

ギャラリー達から歓声が上がった!いつもの間にか私達の周りにはたくさんの人が集まっていた。

「やった!」

私は後ろを向いてセバスさんの顔を笑顔で見上げた。

「ありがとうございます…」

セバスさんが嬉しそうに微笑むのを見ると当たったことよりも嬉しかった!

「この子凄いわ!次は?あなた何にかけるの!?」

隣に座るお化粧の少し濃い、香水の匂いのキツいおば様が私に話しかけた。

「そうですね~次は「9」かな?」

私はにっこり笑ってそう答えると…

「私も「9」にかける!」

「俺もだ!」

「私も乗ろうかな…」

テーブルにいた人達がみんな私と同じところにかけた。

そして……

「そ、そんな…「9」」

ディーラーの顔色が真っ青になった。

「やった!大勝ちだ!お嬢ちゃんありがとう」

「初めて勝ったぞ!コレで負けた分は帳消しだ!」

次々に勝った客にお金が支払われる。

「お嬢さんありがとう…これは心ばかりに」

一緒にかけた人達から名刺のようなものとコインを貰う。

「何か困ったら頼りなさい、これは貸しですから」

私はよくわからずに首を傾げてそれを受けるとセバスさんに見せた。

「ああ、これは公爵家の紋章ですね。何かミヅキ様がトラブルに巻き込まれたら力になると言うことです」

えー!ラッキー!じゃあたまにやらかしても大丈夫って事かな!

他の客達も結構な家柄の人らしくみんな私に自分を証明する物を置いていった。

私はそれをありがたくいただくと…いよいよ私にお金が支払われる番!

「申し訳ございません…金額が金額なので…裏の事務所でお渡ししてもよろしいですか?」

責任者のおじさんが最初に見た時よりもやつれながら声をかけてきた。

私はセバスさんを見ると、コクリと頷かれる。

「はい!問題無いですよ!」

そう答えるとセバスさんがひょいと椅子から下ろしてくれる。

責任者の後を着いて私達は裏と通されたのだった。
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