ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
144 / 687
番外編【ネタバレ注意】

書籍化お礼番外編『セバスさんとお仕事編』勝負

しおりを挟む
「どうなってる!」

男は裏の事務所に戻ると控えていたディーラー達に怒鳴り声をあげた!

今日初めて来たと思われる子供とその執事の客が数字当てで連続で当てて、すごい金額を勝っているのだ。

最初見た時はいいカモが来たと思ったが…あの当たり方は尋常ではない!必ず何か裏があるはずだ!

「お前達!あの客はなにか絶対にイカサマをしているはずだ!わかり次第裏に連れ込め!金を全て返して貰う!」

声を荒らげると休んでいた男達が渋々と出ていく…なので見つけた者にはボーナスを出すと言うと急にやる気を見せた。

現金な奴らだ…

「なぁ俺がディーラー変わろうか?」

奥にいたディーがニヤニヤと笑って声をかけてきた。

「そうだな…代わってくれ。もうこれ以上あいつを勝たせるな」

「はいよ~その変わりにわかってるよなぁ?巻き上げた金の半分は貰うぜ」

「巫山戯るな!半分なんて駄目に決まってるだろ!二割だ!」

「はぁー?そんなんでやってられるかよ!ならやらないぜ。いいのか?このままだと店が潰れるぞ~」

ニヤニヤとムカつく顔でこちらを伺っている…あの腕がなければ殴って追い出しているところだ。

「わかった…三割だ!これ以上は駄目だ!」

「はいはい、ケチくさい奴だ…」

ボソッと呟くと店へと入って行った。

自分も少し落ち着こうと水をカブのみしてふーっと息を吐いて店へと戻る。

まぁあいつが出るなら大丈夫だろ…あいつは好きな数字にボールを入れることが出来る…コレでどうにかこれまでの負けを取り返せるだろう…

そう思うと少し落ち着いて来た。

店に戻るとちょうどディーがディーラーを代わっていた…担当していたディーラーがやばい顔色で戻ってくる、それを捕まえて裏へと引っ張って行った。

「お前何してるんだ!お前だってある程度数字をずらす事が出来るだろ!」

ドンと床に叩きつける!

「す、すみません…俺も何度も数字を外したんです…でも…なんでかわからないがボールが吸い込まれるようにあの子供の言うところに入っていくんです…」

恐ろしいそうに顔を真っ青にしている。

「何かしていたか!?」

「わからない…何もわからない…何かしてるようには見えなかった…」

男はガクガクと震えている…嘘を言っているようには見えなかった。

「お前の負けはかなりだぞ!このままだと奴隷落ちしてもらうからな!覚悟しろ!」

「そ、そんな…」

「いやならあの子供のイカサマを見つけてこい!」

「あれは本当にイカサマなんですか?」

「はっ?じゃ無きゃなんだって言うんだ!」

「……」

男は何も答えられない…

あれがもし偶然ならどんな強運の持ち主なんだ!そんなやつ居るはずない!

俺はもう一度絶対に暴いてやるとあの客のそばに向かった!

行くとちょうどディーが口の端を上げながらボールを投げ入れた。

それを見てほっと胸を撫で下ろす。

あの口が上がっていると言うことはディーの調子がよく勝っていると言うことだ。

そっと近づいてテーブルを見ると先程積まれた金が半分になっていた…

よし!

思わず叫びそうになるのをぐっとこられた。

でもまだ駄目だ、あの半分は負けの分…それを全部取り戻してこそ勝ちになる。

俺はその後の光景を想像して思わずニヤけると、そっとその口を隠した。




「ミヅキ様、大丈夫ですか?」

セバスさんはいきなり代わったディーラーから私の数字が外れだした事に驚いて声をかけた。

「うん!問題ない!次は好きな数字にかけるから!」

私はニコッと笑う、全然問題無し!モーマンタイ!

なんか急に球が変な風に動いた気がしたけどたまには外れないと変だもんね。

ちょうど良かった!

「セバスの好きな数字の「24」にする」

そう言って笑って24の上に今まで儲けたお金を全部かけた!

すると会場からどよめきがおきる。

セバスさんは私の選んだ数字を見て一瞬目を見開いたあと…嬉しそうな顔をしていた。

その顔は演技をしているセバスではなく…本当のセバスさんの喜ぶ顔だった。

私が選んだ数字はセバスさんの誕生日の数字にしたのだ!

特別な数字…大切な人との。

私にはこの数字が光って見えた!当たるところしか想像が出来ない!

「では投げます」

ディーラーが玉を投げ入れる。

すると玉は勢いよくホールの中をグルグルと回った。

そして「24」の隣の「38」に落ちそうになる…「ああ…」会場からはため息に似た声が漏れた。

しかし私の自信は揺るがない!セバスさんが信じてくれた私の強運!今使わないでどうする!

お願い!私はボールを見つめると…ボールは何かに弾かれるようにバウンドしてそのままストン…と「24」の穴へと落ちた。

『おおおぉ!』

ギャラリー達から歓声が上がった!いつもの間にか私達の周りにはたくさんの人が集まっていた。

「やった!」

私は後ろを向いてセバスさんの顔を笑顔で見上げた。

「ありがとうございます…」

セバスさんが嬉しそうに微笑むのを見ると当たったことよりも嬉しかった!

「この子凄いわ!次は?あなた何にかけるの!?」

隣に座るお化粧の少し濃い、香水の匂いのキツいおば様が私に話しかけた。

「そうですね~次は「9」かな?」

私はにっこり笑ってそう答えると…

「私も「9」にかける!」

「俺もだ!」

「私も乗ろうかな…」

テーブルにいた人達がみんな私と同じところにかけた。

そして……

「そ、そんな…「9」」

ディーラーの顔色が真っ青になった。

「やった!大勝ちだ!お嬢ちゃんありがとう」

「初めて勝ったぞ!コレで負けた分は帳消しだ!」

次々に勝った客にお金が支払われる。

「お嬢さんありがとう…これは心ばかりに」

一緒にかけた人達から名刺のようなものとコインを貰う。

「何か困ったら頼りなさい、これは貸しですから」

私はよくわからずに首を傾げてそれを受けるとセバスさんに見せた。

「ああ、これは公爵家の紋章ですね。何かミヅキ様がトラブルに巻き込まれたら力になると言うことです」

えー!ラッキー!じゃあたまにやらかしても大丈夫って事かな!

他の客達も結構な家柄の人らしくみんな私に自分を証明する物を置いていった。

私はそれをありがたくいただくと…いよいよ私にお金が支払われる番!

「申し訳ございません…金額が金額なので…裏の事務所でお渡ししてもよろしいですか?」

責任者のおじさんが最初に見た時よりもやつれながら声をかけてきた。

私はセバスさんを見ると、コクリと頷かれる。

「はい!問題無いですよ!」

そう答えるとセバスさんがひょいと椅子から下ろしてくれる。

責任者の後を着いて私達は裏と通されたのだった。
しおりを挟む
感想 6,825

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。