ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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11章

651.王妃

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ミヅキ達は獣人達を一人一人介抱しながら山を崩していく。

回復魔法はやめた方がいいとアルフノーヴァさんに止められたので水魔法で出した水を飲ませた。

これだけでも気を失っていた人達が目を覚ましたので多少なりとも効果があるようだ。

「みんな、大丈夫か?」

バイオレッド様やアルフレッド様達も手伝って獣人達を軽く布など引いた上に寝かせていく…しかしベイカーさん達はそこにはいなかった。

「え…ベイカーさんいない…」

「お父様もいないぞ?」

気がついた獣人達に聞いてみた。

「大臣が逃げたのを…追って行くのが…見えました…」

そう言って城の裏手を指さすと、そのまま腕を掴んで聞いてきた。

「アルフレッド様…我々は…騙されていたのですか?」

獣人の兵士達は悲しそうな顔でアルフレッド様達を見つめた。

その答えを聞くのを辛そうにしている。

「ああ…そうだ」

バイオレッド様が頷く。

「僕達みんな操られていたんだよ」

「クソっ…アトラス様がその様な事をするわけないとわかっていたのに…」

「なぜ信じられなかったんだ…」

獣人達は怪我よりも辛そうに項垂れた。

「我々は兵士失格ですね…たった数名の者達にこのザマです…本当に不甲斐ない…」

「何を言う!そんな事ない!不甲斐ないのは私達だ…まんまと術にハマりお前達を傷つける事になった」

【傷つけたのシルバ達だけど…】

私が呟くと…

【確かに不甲斐ないな】

シルバが頷く、それをコラっ!と大人しくさせると…

「あ、あの…バイオレッド様…この子達は規定外なんです…ほら聖獣って知ってますか?」

「聖獣を知らない者などいないだろう、あれは獣人達が憧れる存在だ」

「アー…ソウナンダ…」

憧れの存在にボコボコにされたのはどうなんだろ…言わない方がいいかな…

私は迷っていると

「彼らがその聖獣ですよ」

アルフノーヴァさんがバラしてしまった。

【元な!】

シルバが付け足す。

「えっ!」

アルフレッド様とバイオレッド様が大人しくシュンとしてるシルバ達を見つめた…そして頭を垂れた。

「そうとは知らずにこの様な態度を…申し訳ございません…」

ブルブルと震える…

「あー…元!元なんです!今は違うんだよ」

「元…」

バイオレッド様が恐る恐る頭をあげるとシルバ達の顔を見つめた。

なので怖くない、可愛いですよとばかりにガシガシと撫でた。

それをシルバ達が嬉しそうに受け入れる。

「元聖獣が…従魔…」

意味が分からないと唖然とするが今はベイカーさん達が心配だ!

「まぁだからみんなが負けちゃったのもしょうがないよ、シルバ達にかかればウエスト国だって同じように被害にあうかもしれないし…だから…何が言いたいのかって言うと…気にしないでね」

無理やりまとめてみた…駄目かな?

伺うように見ると戸惑っているが今はそれどころではない。

「ミヅキさん、あちらから魔力を感じます…行きましょう!」

アルフノーヴァさんが声をかけたので私達は逃げるようにその場を離れた!

私はシルバに乗せて貰うと

【ベイカーさん達が居るところわかる?】

シルバに聞いてみた。

【あっちから気配がする、向かってみるぞ】

【お願い!】

向かって行くと所々で争った様な形跡がある。

壁や地面に斬撃の跡ができていた。

「こちらで争ったようですね」

「あの二人とアトラス様と戦って無事なんて凄く強い相手なんじゃ…」

私が心配になる。

「居たぞ!」

じいちゃんが指さすとベイカーさん達が戦っていた!

相手は…あの禿げた獣人だった!

「あの大臣?」

あんまり強そうに見えなかったのに…

驚いて大臣を見ると

「あーはははは!愉快、愉快!魔法とは素晴らしい!」

「くっそ!なんなんだあいつの魔法は!」

ベイカーさんが忌々しげ叫んだ!

「ベイカーさん!アランさん!大丈夫!?」

「おお!ミヅキ!大丈夫だったか?」

ベイカーさんが私に気がついてほっとした顔を見せる。

「うん!こっちは上手くいったよ!」

「よし!」

「ミヅキ!子供達は…」

アトラス様も気がついてこちらに向かって来た!

「アトラス様、アルフレッド様もバイオレッド様も無事ですよ!お二人共」

私はにっこりと笑って答えると

「よ、よかった…ありがとうミヅキ!」

アトラス様はほっとしたのか膝をついて顔を覆った。

「よかったですね…」

「ああ、感謝する!コレで気兼ねなくあいつを叩きのめす事が出来る!」

アトラス様はスッキリした顔で起き上がると剣を担いだ!

「お二人共ありがとう!もう手加減は無用だ!」

アトラス様がベイカーさんとアランさんに声をかけた。

「そうか」

アランさんがニヤリと笑うと禿げ大臣目掛けて剣を振り下ろした!

「おりゃー!」

「ははは!何度来ようと無駄だ!防壁で防いでやる!」

大臣が防壁を張ると…

バリンっ!

防壁が音を立てて砕け散った!

大臣は慌てて剣を避けるとが服がかすりハラリと布と髪の毛が宙を舞った。

「な、何故だ…?さっきまでこの身に届きもしなかったのに…」

「わからねぇのか?手加減してやってたんだよ!お前をついうっかり殺しでもしたらここの王子様と王女様がもしかしたら元に戻れない可能性もあったからな!」

「二人が無事な今はお前に手加減する理由はない!」

アランさんは禿げた頭目掛けて剣を振り下ろすと…

「ま、待て!ヴィーラ!助けろ!」

大臣が叫ぶとアルフレッド様に似た真っ白で綺麗な獣人がアランさんの剣を受け止めた。

「ヴィーラ!!」

アトラス様がその獣人を見て驚き声をかける。

「ヴィーラ様…」

ロブさんとロバートさんも彼女の事を知っているようだ。

「あの綺麗な獣人さんは知り合い?」

私はロバートさんに聞くと…

「あの方はこの国王妃様…アトラス様の奥様だ」

「王妃様!!でも剣持ってるよ」

「王妃様もアトラス様に負けず劣らずの剣豪なんだ…まさか王妃様まで洗脳しているとは…」

ヴィーラ様は綺麗な顔を歪ませて禿げ大臣を守る様にアランさんを睨みつけている。

「おい!これはどうすりゃいいんだ!敵か?味方か?」

アランさんが手を出せずにいると…

「シャー!!」

ヴィーラ様がアランさん目掛けて腹に一発蹴りをお見舞いする。

「グホッ!」

アランさんはそのまま後ろに吹き飛ばされた。

「へ?」

その威力に愕然とする…だってヴィーラ様は細くてアランさんよりどうみたって軽そうだ…だがその蹴りはあの華奢な体からは想像も出来なかった。

「しかも…馬鹿力なんだよ…」

ロブさんがヒヤッと汗を流してヴィーラ様を見つめた。
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