ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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11章

644.置いといて

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私は戻った魔力でみんなの怪我を治そうとした。

完全に治そうとするとやはりかなりの魔力を使ってしまうのでベイカーさんやシルバから止められてしまったが…

でも私のせいもあったから治させて欲しいとお願いしてどうにか帰るだけの体力を回復させてもらう。

体力が戻ると

「とりあえず帰ろう…」

「帰って寝たいぜ…」

ベイカーさん達が腰をあげた。もう家に帰って休みたいと言い出すアランさんにロブさんが声をかけた!

「まだ獣人の国の問題が解決しとらんだろ!」

「お前…その声やっぱりロブか?」

アトラス王がロブさんの頭を見つめた。

「おおよ!どうだこれ?」

ロブさんは得意げに髪をかきあげた。

「まだその頭は死んじゃいなかったのか?」

興味深そうにロブさんの頭を観察していると

「あそこのミヅキのおかげだ」

ロブさんが私を指さした…

「あの子は…俺達獣人を騙した奴の仲間なんじゃ…」

不安そうに私を見つめている。

そりゃそうだろ…アナテマがやった事をみて私を見たらそうなるよね…

なんて声をかけていいのかわからずに私はシルバの後ろに隠れた。

「馬鹿野郎!」

するとロブさんはゴッチン!!と凄い音でアトラス王の頭を殴ったのだ!その様子に私は目を見開いた。

「よく聞け!さっきの奴とこの子は似てるが関係ない!それは俺が保証する。お前をここまで助けに来れたのもお前のその欠損した腕や足を治してくれたのもみんなあの子のおかげなんだぞ!!」

ロブさんの言葉にアトラス王はもう一度私を見た…

「グルル…」

私の不安な気持ちが伝わったのかシルバが不満気にアトラス王に唸り声をあげた。

「いくら獣人の王様だろうとなぁ、ミヅキになにかするつもりなら容赦しないぞ…」

ベイカーさんとアランさん、コジローさんも当然のようにシルバ達の隣に並んでアトラス王に向き合った。

「み、みんな…私は大丈夫だよ…」

みんなを止めようと声をかけるがベイカーさんが手で制止してくる。

「おうおう!ロブよどうなっとる!うちの可愛いミヅキをこんなにも不安そうな顔にさせやがって!もうその薬はいらないって事だな!」

ディムロスじいちゃんが私を抱き上げると肩に乗せた。

「アトラス王よ!私はずっとこの人達とここに来ました!この人達が言ってることに嘘偽りありません!それでもこの人達に敵意を向けるのであれば…悲しいですが私はこちらにつかせていただきます」

ロバートさんまでこっちに来るとアトラス王を睨みつけた。

「ま、まて!そんな事何も言ってないだろ…少し状況がわからなすぎて混乱している…さっきの黒い子供…アナテマと言ったな、あの者とそこのミヅキとやらは一切関わりがないのか?」

「それは…」

私が言い淀むと

「そんなに誰にもわからん!こっちには覚えがないが向こうにはあるようだったからな、だがあいつは敵だ!それだけは分かる」

ベイカーさんが堂々と答えると

「わからんて…」

コジローさんがブレないベイカーさんの応えに苦笑した。

「で?どうするんだ?」

ロブさんが笑いながらアトラス王に返答を求めた。

「命の恩人に何かするつもりはない…ミヅキとやら、助かりました。感謝する」

アトラス王は頭を深く私に向けて下ろした。

「い、いいですから!私もよく分からないことだらけですけど…もしかしたら私のせいでもあるかもしれないし…何言ってるんだろ…すみません」

私はしゅんとしてアトラス王に謝った。

「アトラス、その話はあとでもいいだろ!この子の事は俺が保証するから!それよりも上が大変な事になっとるんだ」

ロブさんが急かすとみんなで地上にもどりなが話をする事になった。

          ◆

「何!アルフレッドが次の王となっているだと?」

アトラス王は走りながらあまりの驚きに大声を出した。

「そうだ、しかも国はバイオレッド様にウエスト国の王子と婚約させようとしているんだ」

「ウエスト国の王子?」

私は話を聞きながら首を傾げた。

ウエスト国に王子って…一人しかいないよね?

思わずベイカーさんを見ると笑っている。

「そりゃいいな!」

ベイカーさんはその意見に賛成のようだ…まぁ私も別にいいかな?

でも確かに獣人のお嫁さん…あれ?凄く素敵なんじゃない!

「悪くない話なんじゃ…」

「みんながミヅキみたいに獣人に友好的ならな、でも一人ウエスト国に嫁ぐとなると大変だ」

「嫁ぐぐらいならいいがどうやらそのままウエスト国に獣人達を移すつもりだと聞いたぞ…」

「それって移住?」

「移住なんだか侵略なんだか知らんがな…どうも一部の反発組織を煽って何かしようとしてるんじゃないのかと…」

「アルフレッドは何をしているんだ、あの子は幼いが自分の意見をちゃんと持っている子だぞ!あの子はこの度のウエスト国との協定の話にも積極的に賛成をしていたのに…」

「まだ幼い…周りの大人達にそそのかされた可能性もある」

「早く止めなければ!」

アトラスがスピードをあげると

「でも、今アトラス様って王様じゃないんでしょ?王宮に入っても大丈夫なの?」

捕まってここに入れられたって聞いたような…

「そ、そうか…」

アトラス様が急ブレーキをかけて止まった!

「お、おい!」

すぐ後ろを走っていたベイカーさん達がそのままアトラス様にぶつかるがビクともしないで顎に手を当て佇んでいた。

「私が王宮に入る訳には行かないのか…行けばむやみな争いを生むことになるな」

兵士達と戦いたくないと悩んでいると…

「この際だ、訓練の一環として兵士達の実力を試して見るって名目で突入するのはどうだ?」

ロブさんがいたずらっ子のように笑った。

「えーそれ大丈夫?みんな疲れてるんじゃ…」

私が心配すると

「さっきので暴れ足りねぇな…」

「確かに、やられっぱなしでむしゃくしゃしてんだ!」

【俺も参加していいのか!】

【それは楽しそうだ、私も参加したいなぁ】

ベイカーさんやアランさん、シルバ達までやる気満々だ…

「シルバ達もやりたいって…」

私がおずおずと手を上げて声をかけると

「全責任は私が持つ!皆さんもうすこしお力をお借りしてもいいか?」

アトラス王は私達を見つめて頭を下げた。
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