上 下
541 / 687
11章

642.登場

しおりを挟む
「す、すげぇ…」

ロバートさんがエリクサーの効果に驚いていると…

「う、うう…」

アトラスが目を覚ました…

「ここ…は…ハッ!」

アトラスは飛び起きると覗き込んでいたロブさんの頭とぶつかる!

ゴンッ!

「「痛っ!」」

二人で頭を押さえると…

「え…手が…足が!!私は失ったはずでは…」

自分の無くしたはずの腕と足をさする。

「詳しい事はあとじゃ!とりあえずはあいつをどうにかしないと!!」

ロブさんが先程の三つ頭の化け物を見ると…

ドッシン!!

何かが落ちる音が響いた…みんなが振り返るとそこには三つ頭の上で立ち尽くす従魔達がいた…

【まぁまぁだったな】

【相手が悪かったね~】

【シルバに一撃をくらわしたからどの程度までやるのかと思ったが…拍子抜けだな】

【ちょ、ちょっとこわかったけどがんばった!】

【出番がありまけんでした】

シルバ達がのんびりと魔物の上で談笑している。

「あ、あれ?」

ロブさんが唖然としている。

「あー…なんか終わったみたいだ」

手を出す様子もなく見守っていたベイカーさんとアランさんが剣を仕舞う。

「え?じゃあこれでダンジョンクリア?」

なんか呆気ない終わりだったなぁ
でもみんな無事でよかった…

私はシルバ達に笑顔を向ける…すると三つ頭の魔物が灰になって崩れていった。

【シルバ!みんな!】

シルバはコハクを咥えてサッと飛び降りる!

シルクは羽ばたきプルシアはレムを足で掴むと同じように飛び立った!

シルバ達はそのまま私の元に来ると…

【なんだ?崩れたぞ…】

普通ではない魔物の消滅の仕方に疑問に思っていた。

【みんな平気?】

私はシルバ達を一人ずつ撫でて怪我が無いか確認する。

【よかった…】

私が胸をなで下ろすと…シルバの耳がぴーんと立った。

「みんな大丈夫か?」

ベイカーさんが駆け寄って来ると…その途中で足を止めた。

私は振り返りベイカーさんを見ると驚いた表情である一点を見つめている。

ベイカーさんの視線の先を追うと…

「あーあ…僕のおもちゃが壊れちゃった」

魔物がいた場所に子供が立っていた。

「ミヅキ…?」

え?

その子をよく見ると…髪型と色が少し違うが私にそっくりだった!

「似てる…よね?」

シルバ達を見ると同じように驚いた顔をしている。

【造形は似てる…魔力も…だがミヅキでは無い!】

シルバはウーッ!と牙を剥き出した!

【シルバ…あの子…目が赤いよ…】

シンクがシルバに呟くと、わかってるとばかりにシルバが吠える。

「ミヅキ…お前の姉妹か?」

アランさんが顔を引き攣らせて声を出す…しかしその手は剣を握りしめていた。

「ありゃなんだ…ミヅキの姿をしとるが全くの別物だぞ…」

じいちゃんがいつの間にか後ろにいて私の肩を掴むと後ろに隠した。

「あれ?やっとご対面なのにもう隠すの?」

男の子かも女の子かもわからないその子はクスクスと笑っている。

「お前は…誰だ…」

ベイカーさんが剣を構えてその子を睨みつけた。

「僕は僕だよ。その子のまぁ兄かな?」

「お兄…ちゃん?」

そんな記憶はない…でもなんでか全身が震える…あの子を怖がってる?

私は手を見ると小刻みに震えていた。

「にしてここまで来るとはなぁ…しかもあの怪物も倒しちゃうし…思ったよりやるね」

「どういう事だ…このダンジョンになにかしたのはお前か!」

「ウーン…このダンジョンって言うか…この国でおきてる騒ぎはぜーんぶ僕のせいかな?ごめんね!」

全く悪びれる様子もなく謝っている。

「何が目的だ…」

アトラス王が声をかけた。

「目的…それは内緒!でも目的は果たせたからとりあえず僕は帰るよ…またね!」

「待て!このままはいそうですかって帰すと思っているのか…」

ベイカーさんが睨みつけると、アランさんとコジローさんじいちゃんが動きやすいように離れた。

「うん!帰るつもり…それに僕に構ってていいの?早くその獣人を国に戻さないと大変な事になるよ…あと少しでまた戦争とか起きちゃうかもね~」

「なんだと!」

アトラス王が顔を強ばらせた。

「こんな事言って気をそらせても無駄だ…」

ベイカーさんは一瞬で距離を詰めると男の子に剣を振り下ろした!

嘘っ!

私は思わず目を閉じた…ベイカーさんが子供に剣を向けるなんて…

そう思っていると…

「あははは!どうしたの?僕一歩も動いてないんですけど!」

男の子声に私はそっと目を開く…するとそこには子供の頭スレスレで剣を止めているベイカーさんがいた。

その顔は苦痛に歪んでいる。

「くっそ…なんでそんなミヅキに似てるんだ…」

「ベイカーさん…そんな怖い顔しないで…」

男の子が私の真似をした…

するとベイカーさんが一瞬気が緩む…すると…

「隙あり!」

男の子から黒い影が伸びてベイカーさんを殴りつけた。

ドスッ!

重い音がなるとベイカーさんは壁に叩きつけられていた。

「馬鹿野郎!いくらミヅキに似てるっていっても違うやつだ!あいつを野放しにする訳にはいかないぞ!」

アランさんがベイカーさんに怒鳴りつけると今度は自分が飛び出した!

「ジジイ!フォローしろ!」

「言われなくともやるわ!」

ディムロスじいちゃんがいつの間にか男の子の後ろに近づいていた!

そのまま羽交い締めにしようとすると

「じいちゃん…怖い…」

目を潤ませてじいちゃんを見つめると…ニヤリと笑った。

「なんてね…」

男の子は二人が接触する直前にスルッと地面に落ちた様に見えた。

「消えた?」

じいちゃんとアランさんがお互い見つめ合って唖然としていると…

「はい!ドーン!」

魔物が灰となったところからまたあの黒い影が飛び出して二人の体を吹き飛ばした。

「なんなの…あなた誰なの!?なんでこんなことするの!」

私は震える声で男の子に声をあげた!
しおりを挟む
感想 6,824

あなたにおすすめの小説

役立たず王子のおいしい経営術~幸せレシピでもふもふ国家再建します!!~

延野 正行
ファンタジー
第七王子ルヴィンは王族で唯一7つのギフトを授かりながら、謙虚に過ごしていた。 ある時、国王の代わりに受けた呪いによって【料理】のギフトしか使えなくなる。 人心は離れ、国王からも見限られたルヴィンの前に現れたのは、獣人国の女王だった。 「君は今日から女王陛下《ボク》の料理番だ」 温かく迎えられるルヴィンだったが、獣人国は軍事力こそ最強でも、周辺国からは馬鹿にされるほど未開の国だった。 しかし【料理】のギフトを極めたルヴィンは、能力を使い『農業のレシピ』『牧畜のレシピ』『おもてなしのレシピ』を生み出し、獣人国を一流の国へと導いていく。 「僕には見えます。この国が大陸一の国になっていくレシピが!」 これは獣人国のちいさな料理番が、地元食材を使った料理をふるい、もふもふ女王を支え、大国へと成長させていく物語である。 旧タイトル 「役立たずと言われた王子、最強のもふもふ国家を再建する~ハズレスキル【料理】のレシピは実は万能でした~」

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。