ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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11章

614.ダンジョン入口

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ロブさんは獣人の中央にある城を後ろから回り込むように森を進んで行く、山の裏側に着くと…

「ここだ…」

山の裾に地下へと続く洞窟があった…

「凄い…雰囲気あるね」

ミヅキがそっと中を覗き込むが真っ暗で先が見えない。

「入ってすぐの所に平地がある、そこはまだ入口だから何も仕掛けはない。とりあえずそこで作戦会議だ」

ロブさんに続いてみんなで降りて行く。

【ミヅキは俺の上に乗ってろ】

シルバが伏せてくれるのでミヅキはシルバの上にまたがった。

シルバが軽快に軽々と降りると…

「明かりをつけるぞ」

ベイカーさんが魔法で明かりを作ってくれた。

光が当たるとダンジョンの入口が照らされる…

「おお!大きな扉…」

目の前に大きな石の扉がそびえ立つ。

「これは問題ないぞ、ただの石の扉だ」

ロブさんの言葉に近づいて押してみるがビクともしない…

「えー?これ本当に開くの?」

ふん!と顔を真っ赤にしながら押してみるがうんともすんとも言わない。

「ハァハァ…無理…」

ミヅキがペタっと座り込むと

「そんなに重いのか?」

アランさんが近づいて片手で押すと…

ギーギィー…

扉が動いた。

「えっ…嘘…」

ミヅキが信じられないとアランさんを凝視すると

「ミヅキ…お前やばくない?」

アランさんが可哀想な子を見る目でミヅキを見つめた。

「違うよ!私は普通!おかしいのはアランさんだよ」

ミヅキが言うと

「どれ?」

ロバートさんも押してみるがアランさんと同じように動く…コジローさんベイカーさんも続くが全く同じ結果だった…

「何さ…私は子供だもん…私が普通なんだ…」

ミヅキがいじけると

【ミヅキ、元気出せ。ミヅキが普通に決まってるだろ】

シルバが慰めるようにミヅキの前にきて慰めた。

【でもさ…シルバならやっぱり軽々だよね…】

【そ、それは…】

シルバはチラッと扉を見つめる。

【ちょっと押してみて…】

ミヅキが頼むのでシルバがちょっと押してみると…

ギィー!

普通の扉を開けるように開く…

【だよね…】

ミヅキははぁ…とため息をついた。

「ミヅキは力はそんなにないからな、その分魔力が高いんだ」

ディムロスじいちゃんがひょいとミヅキを抱き上げて慰める。

「そうだ、ここなんざちょっと力があれば誰でも通れる。それよりもこの先にある扉が難解なんじゃ」

ロブさんが顔を顰めた。

「うん、じゃあエリクサー作って見るよ!」

ミヅキは自分にしか出来ない事だと気合いを入れると…

「それだがな…わしらはそれを作るのを見ない方がいいと思ってる」

「えっ…じゃあ一人で作るの?」

「シルバ達は問題ないからな、ミヅキとシルバ達はここに残ってエリクサーを作ってくれ、その間にわしらはダンジョンをある程度進めておく」

「わ、わかった…」

ミヅキがこくっと頷くと

「だが…ミヅキを一人にして大丈夫か?」

ベイカーさんが心配すると

「一人じゃないよシルバ達がいるもん」

ミヅキは大丈夫だと笑って見せた。


ベイカーさん達は入っていた入り口を大きな岩で塞ぐ。

「こうしておけば変な輩は入らんだろ、まぁ入ってもシルバ達がいるから大丈夫だとは思うが」

【ああ、問題ないな】

【そうだね~】

シルバ達が頷くと

「じゃあミヅキ、俺達は安全にお前が進めるようにダンジョンの中を探索してくる。残ってやりたいがエリクサーの作り方がどんなものでも俺達は見ない方がいいからな、俺達がいないからって無理はするなよ」

ベイカーさんが頭を撫でて心配そうに眉を下げた。

「わかってるよ、ベイカーさん達も気をつけてね」

「あのメンバー見てみろよ、可哀想なのは誰だと思う?」

「あはは!確かに、魔物達が可哀想だね」

敵に回したくない人達ばかりだ!

「じゃあな、シルバよろしくな」

ベイカーさんはミヅキに手を振るとシルバの方を見た。

シルバは当たり前だと鼻を鳴らして頷いた。

ベイカーさん達が扉を開けてダンジョンの中へと入って行くと…

【よし!じゃあ早速作ろうか!レム作り方教えてくれる?】

【はい、まずは前に作った魔力の結晶を作ります、そしてそれを浄化した水で溶かします】

【浄化した水?】

【ミヅキの水魔法で出した水で大丈夫です】

【へぇーラッキー!】

ミヅキは水をちょろっと手のひらに出すと

【だからミヅキの出す水は美味いのか】

シルバがぺろぺろとそれを飲んだ。

【よし!じゃあまずは結晶を作るんだね!】

ミヅキがレムに聞くとコクッと頷く。

ミヅキは難なく魔力を結晶化する。

【はい!出来たよ】

【素晴らしいです、ではそれをミヅキの出した水に入れて下さい】

ミヅキは容器を取り出すと水を入れて結晶を落とす。

【それを火魔法でゆっくりと温めて溶かして下さい】

ミヅキは実験で試験管を揺らすように小さい火で容器を温めた。

【おお!溶ける溶ける!】

【ミヅキ!溶かすのが早すぎます!もう少しゆっくりです】

レムが注意するが既に遅く結晶は溶けてしまっていた。

【あ…溶けちゃった…】

駄目かも…何となくそう思いながら鑑定をしてみる。

鑑定!

《エリクサー(失敗作)》
ありとあらゆる怪我を治す。しかし寿命は伸びない。

【あーやっぱり駄目だった…】

ミヅキがガクッと肩を落とした。

【よし!次はゆっくりと溶かすぞ!】

ミヅキはもう一度結晶を作ると今度はゆっくりと溶かす…火の調節に気をつけながら…そっと…そっと…

【で、出来た!】

今度は先程より倍の時間をかけて溶かした。

鑑定!

《エリクサー(失敗作)》
欠損部分を回復する。寿命が五年伸びる。

【あー!また駄目だった】

ミヅキはその後もエリクサーを作る。

四つ目を作ったところで魔力が少なくなりクラっときた…

【ミヅキ!】

シルバが支えるとシンクがミヅキに急いで魔力を分けた!

【シンク…ありがとう~もう大丈夫だよ】

ミヅキの顔色が戻ると

【一日に四つ作るのは禁止だ!】

シルバが怒ると

【はーい…でもシンクが魔力分けてくれるよ?】

【ミヅキ…】

【駄目だ】

【無理しちゃダメだって言われたでしょ!】

シルバとプルシア、シンクにまで注意される。

【わかった…じゃあ魔力が完全に回復するまでは大人しくするね】

ごめんねとみんなの体を撫でてご機嫌取りをする。

【でもエリクサーってやっぱり作るの難しいなぁ…なんかいい方法ないのかな?】

ミヅキがレムを見ると

【雄一郎様も一度も成功出来ませんでしたから…何かもしかしたらかけているものがあるのかも知れません】

【欠けているもの…なんだろ】

ミヅキはとりあえず魔力を回復するべく考えながらシルバに寄りかかって目を閉じた。
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