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11章

612.誓約書

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「だが!俺と一緒にやるんだぞ!一人ではやらせん!」

ベイカーが言うと…

【ミヅキ、これって僕達じゃ出来ないの?】

シンクが話を聞いていて問いかけた。

【シンクが?うーん…どうだろ?ちょっと聞いてみるね】

「ロブさんこれってシンク達従魔でも大丈夫なんですか?」

「従魔が?誓約聖書を?」

「はい」

「いや駄目だろ…魔力を流し込む時に内容を確認しなきゃならん従魔にそれがわかるとは思えん」

「シンクなら大丈夫です、ちゃんと意思疎通出来るし頭いい子ですから」

ミヅキがシンクを自慢するように胸をはると

「ま、まじか?」

ロブさんはディムロスに確認した。

「ああ、そういやすごい魔力持ちがまだいたな…」

ディムロスが付いてきていたシンクを見た。

「確かにシンクの方が適任かもしれないな…」

ベイカーも頷くと

「じゃあ俺とミヅキとシンクでやろう、その方が負担も少なくてすむからな」

「了解!シンクもお願いね!」

【任せて!】

ベイカーとミヅキは誓約聖書に手を置くとシンクはその紙の上に脚を乗せる。

「いいか、魔力を流し込むと字が浮かび上がる、問題なければそのまま魔力を流して字が全て浮かべは成功だ」

「はい」

【わかった】

ミヅキとシンクが頷いた。

「良しやるぞ」

ベイカーさんの合図にミヅキは魔力を流し込むと…

キラキラと字が浮かび上がる!

凄い!

ミヅキは誓約書の内容を確認する…

『エリクサーに関しての秘密を漏らせば死が訪れる』

うー…やだな…

ミヅキは内容に顔を顰めた。

別に死ななくてもいいんじゃないのかなぁ…例えば罰ゲームとか…くすぐりの刑とか面白いかも…

そんなことを思っていると…目の前の文字が書き換えられる。

『エリクサーの秘密を漏らせばくすぐりの刑』

「「え?」」

【あれー?】

文字はそのまま全て浮かび上がりベイカー、ロブ、ディムロス、ロバートの胸に模様を刻んだ。

「ま、まて…なんか最後おかしかったぞ…」

ベイカーは自分の胸に付いた模様を見ると

「どうした?問題なく模様が刻まれたぞ。成功のはずだが?」

ロブが聞いてくる。

どうやらロブさん達には文字の内容が確認出来なかったようだ。

「な、なんでもない…これで誓約完了だ…みんな秘密を漏らすなよ…」

ベイカーは顔を背けながら言うと

「ああ、これで秘密を漏らせばこの模様が俺達の命を取るわけだ。だが漏らさなければなんて事は無いからな!」

ロブさんが笑うと

(漏らしてもくすぐりの刑だけだが…まぁわからなければ大丈夫だろう…まさか内容を変えるとは…)

ベイカーはじろっとミヅキを見ると…

ブンブン!

知らない!とばかりにミヅキが首を振っている。

「はぁ…」

(どうせ、こんな内容やだなぁ…とか、くすぐりの刑とかでいいのに…とか考えてたんだろうな…一番魔力が高いから上書きされたのかもしれん…)

ベイカーも魔力を使ってしまったのでもう一度は無理だった…そうなるとミヅキが一人でやるかシンクとやる事になる…そうなると内容もまた同じ結果になるだろう…

そう思いこの事は自分の胸に留めて置くことにした。

「よし!誓約をしたところで話の続きだ。ミヅキはが作れるんだな!」

「うん!」

ミヅキは頷くと

「あっでもレムに聞かないと無理かな」

外にいるレムを呼んで見るが、反応がない…

「あれ?レムから反応が無いよ?」

ミヅキがそういうと…

ドゴンッ!ドゴンッ!

扉に何かがぶつかる音がする…

「えっ、な、何?」

「ミヅキ!」

ベイカーさんはすぐにミヅキを抱き上げて扉から離れて警戒すると…他のもの達も壁際による。

「今ここは魔石の結界で守られている…普通の攻撃なら防ぐはずだ」

ロブさんが説明するが…破壊音はどんどんと大きくなり扉に亀裂が走った!

「おい、壊れそうなんだが?」

ディムロスが聞くと

「そんな馬鹿な…このギルドで一番大きな魔石だぞ!ドラゴンだって跳ね返すぞ!」

「ドラゴンを跳ね返す…ならそれ以上だと?」

ベイカーが心当たりに顔を曇らせた

「えっ…まさか…」

ミヅキは急いでシルバを呼んだ!

【シルバ!】

反応がない…

「ベイカーさんシルバの反応が無いよ」

「やっぱり…あいつミヅキと交信が出来なくなってここまで来たんだ!」

「シルバか!ベイカー魔石を急いで外せ!」

ディムロスが叫ぶ前にベイカーさんは動いていた!

壁に付けられた魔石を外すと…

ドガンッ!

扉が粉砕した…

【ミヅキ!】

破壊された扉の前にはシルバやプルシア…コハク達全員にコジローさんとアランさんもいる。

「大丈夫か!?」

「ミヅキ!無事か!?」

コジローさんが声をかけると…

「はい…全然大丈夫ですよぉ」

ミヅキは端の方から手を振った。

【ミヅキ!急に声が聞こえなくなったからびっくりした!】

シルバは駆け寄るとミヅキが無事か確認する。

その様子をプルシア達も見ていると

【大丈夫そうだな】

シルバがほっと息を吐いた。

【全然平気だよ、この部屋で秘密の会議してたの。内容が漏れないように魔石で結界を張ってたんだって、だからシルバ達の声も聞こえなくなっちゃったんだね】

【そうか…びっくりした、また攫われたのかと思ったぞ!】

シルバはもう離れたくないようでピッタリとミヅキに寄り添っていた。

【心配かけてごめんね、大丈夫だよ】

ミヅキは安心させるようにシルバ達を撫でた。

【それで何の話をしてたんだ?】

「ああ!そうだ!レム私がエリクサー作りたいんだけど!」

「「エリクサー!!」」

話を聞いていたアランとコジローが声をあげる!

「馬鹿…」

ベイカーが頭を抱える…

「やはりミヅキに名前を書かせなくて良かったわい…」

ディムロスじいちゃんがため息をついた。
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