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11章

611.ダンジョンの秘密

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「それが…アトラスはどうやら城の地下にあるダンジョンの奥に囚われているらしい…」

「「「ダンジョン!!」」」

ミヅキとじいちゃんとベイカーさんが同時に叫んだ!

じいちゃんとベイカーさんが何故か一緒に声を出したミヅキをみる。

「ミヅキ、ダンジョン知ってるのか?」

「連れて行ったことは…ないよな?」

二人が不思議そうに聞くと

「な、なんかどっかで聞いた事がある…様な…あれでしょ?魔物とか出てきてクリアしていくゲームみたいなの…」

「そんなゲームなんて生易しいもんじゃない…」

ロブさんが眉を寄せた。

「す、すみません…」

ミヅキはしゅんと謝ると

ゴンッ!

ディムロスじいちゃんがロブさんを殴った!

「この子は子供だぞ!そんな事で怒るな!」

ロブさんは薄くなった頭を押さえると…

「これ以上禿げたら…どうしてくれる」

見ると頭が赤くなっている。

「ロブさん…ごめんね…」

ミヅキはすまなそうに赤く晴れた頭を撫でた。

軽く回復魔法をかけてやると…

「いい子だなぁ…ディムロスが可愛がるのもわかる」

目じりを下げて頭を触ると…

「あれ?」

不思議そうに頭を撫でる…

ギクッ…回復魔法やりすぎた?

そう思っていると…

「なんか…毛が生えてる…」

驚いた顔で頭をずっと触っている!

「何言ってる…変わらずにハゲとるぞ」

ディムロスじいちゃんが呆れると

「ほら見ろ!ここ!うぶ毛見たいのが増えとる!」

じいちゃんがじっと覗き込む…私も一緒に見てみるが…うん、わかんないね!

「気のせいだ、それよりもダンジョンの話だ!」

「本当に生えてるのに…」

まだ納得いかないのかブツブツ文句を言っていると…

「ほら、それよりどうしたんだ」

じいちゃんが先を促すと

「ああ、だから俺はアトラスから本当の話を聞きたくてそのダンジョンに向かったんだが…それが厄介でな…」

「お前ならダンジョンぐらい一人で大丈夫なんじゃないのか?」

じいちゃんが眉を顰める。

「俺もそう思っていたが…誰かがダンジョンに手を加えたんだか…すげぇ難易度が上がってたんだ…俺も途中までは何とか行けたがどうしても通れない部屋があってな…」

「どんな部屋なんだ…」

じいちゃんが真剣に聞くと…

「ある薬をそこに置かないと開かないんだ…」

「どんな薬だ!」

「エリクサーだ…そんなものこの世にもう存在しない…だから俺はどうにか他の方法はないかと色々と試していて…こっちの事は副ギルに任せて俺はアトラスの救出の方に集中していたんだ」

「エリクサー…また厄介な物を」

みんなが顔を顰めていると…

「私、作れるよ」

ミヅキが手を上げて答えた。

「そうだな…今は誰もそんなもの作れない…あれは国宝級…いやそれ以上だ……えっ?」

ロブは顔をあげてミヅキを見ると

「今なんていった?」

「私、エリクサー作れます」

「ミ、ミヅキ…本当なのか?」

ディムロスじいちゃん驚いてベイカーを見ると…慌てて首を振る。

「いや…俺も知らなかった、ミヅキ本当なのか?」

「あれ?…あっ!これアルフノーヴァさんとエヴァさんに秘密にするように言われてた!」

「当たり前だ…今までバレなかったのが不思議なくらいだ…」

ベイカーはため息をつくと

「セバス…は当然知っているな…あいつわしにも黙っているとは」

ディムロスじいちゃんが怒っていると

「本当に、本当に作れるのか?」

ロブさんが真剣な顔でミヅキに確認する。

ミヅキはチラッとじいちゃんとベイカーさんを見ると

「ここまで言って作れないなんて言われても信じんだろ…その代わりここでの会話は他言無用だぞ!」

「わかってる!エリクサーがどんなものくらい…それをもし作れる子がいるならそれがどんなに希少かも…」

ロブさんは頷くと

「ちょっとまってろ…」

そう言って席を離れた。

少しして戻ってくると何か紙を持ってきた…扉を厳重にロックすると魔石を壁にセットした。

「これでここの会話は誰にも聞こえなくなる、魔法を使っても無理だ」

ロブさんが不思議そうにしているミヅキに教えてくれた。

そして持ってきた紙を広げると…

「こりゃ…誓約聖書」

「誓約聖書?」

見ると紙には何か魔法陣のような模様が書いてある。

「これに誓って他言はせん!」

「じいちゃんなにこれ?」

ミヅキが聞くと

「誓約書…よりも精度の高い誓の書だ。ここに書かれた約束事を破ると…命を落とす」

「何それ!」

「この魔法陣が心臓に巻き付くんだ…そして約束を破った場合心臓を握り潰す」

「嫌だよこんなの…」

ミヅキが恐ろしそうに紙から離れると

「こりゃ奴隷に使うもんだろ…」

「それだけの価値のある話だ!わしは構わん、話す気は無いからな」

「んー…確かにそうだな俺も言う気は無いからな問題ないぞ」

ベイカーも頷くと

「お前さんは…どうする…」

巻き込まれたロバートさんにみんなが集中した。

「お、俺は…」

「駄目!」

ミヅキはみんなから見られているロバートさんの前に立って手を広げる。

「ロバートさんは関係ないからいいの!ロバートさん付き合わせてごめんね…もう帰っていいよ!この事は…なるべく秘密にしてくれると嬉しいな」

「ミ、ミヅキ…」

「ロブさんほらここ開けてあげて!」

ミヅキがロバートさんを帰そうとすると

ロバートさんはそれを避けて机に向かっていくと…ペンを持って誓約聖書に名前を書いた。

「俺も構わん!その代わりアトラス様を助けてくれ!」

「ロバートさん…」

ミヅキが悲しそうな顔をする。

「別にミヅキの為にやる訳じゃない。これは獣人の問題でもあるんだからな!」

「よく言った!じゃあわしも…」

その場にいたじいちゃんとロブさんベイカーさんが続けて名前を書くと…

「じゃあ私も…」

ミヅキがペンを取ろうとすると…

「「駄目だ…」」

ベイカーさんとじいちゃんがそれを奪い取った。

「なんで!みんな書いてるのに!私だって自分の事だし書くよ!」

「お前はそんな必要は無い!それに今だって忘れて話しただろうが!」

「い、いや…今はつい油断して…」

ミヅキが顔を逸らす。

「ついで死んでたまるか!お前はいいの!」

ベイカーはペンを握り潰すと

「さっさとやってくれ!」

ベイカーさんがロブさんを促す。

「後はこれに魔力を流し込めば完了だ…がここに魔力の高い奴はいるか?この誓約聖書はかなり魔力を使う…」

「はーい!私が一番高いと思います」

ミヅキが手をあげた。

「いや、俺がやろう」

ベイカーさんが紙を奪うと…

「お前さんの魔力はどの程度だ?これは二、三人で魔力を流し込むもんなんだが」

「そうなのか?うちではセバスが一人でやってたなぁ」

ディムロスじいちゃんがつぶやくと

「まぁあの人ならそうだろ…俺は今は4000程はある」

「4000か…同じぐらい魔力があるのは…ロバートはどうだ?」

「俺は獣人だぞ、魔力なんてそんなにない」

「だよな…俺も魔法は苦手なんだ…ディムロスもだよな」

じいちゃんが頷くと

「じゃあ結局私でいいんじゃない?」

ミヅキはベイカーさんを見上げた。

ベイカーさんは渋い顔をして悩むが…

「それしかないか…」

仕方なく了承した。
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