ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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11章

597.フリスビー

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「これ…俺もキャッチしてみたいです」

コジローはうずうずしながらフリスビーを見つめた。

「えっ…コジローさんが取るの?まさか変化して?」

「あっ…いや別に、ただ鍛錬にもなりそうだと…」

コジローさんが気まずそうにサッと顔を逸らした。

「別に人同士でやってもいいと思うよ」

ミヅキはサッとフリスビーをもう一つ作るとコジローさんとベイカーさんに渡す。

【シルバは私ともう少しあっちでやろうか?あんまり遠くには投げられないけどいい?】

【もちろんだ!】

ミヅキとシルバは仲良さそうに二人から少し離れた。

フリスビーを貰ったコジローはベイカーと向き合うと

「じゃあコジロー行くぞ、本当に犬にならなくていいのか?」

ベイカーが確認すると

「だ、大丈夫です」

コジローが動揺する…

「まぁ俺はどっちでもいいけどよ」

ベイカーは気にせずに一投目を放った。

回転しながら一直線にコジロー目掛けて飛んでいくと

パシッ!

コジローが難なく掴む。

「やっぱりこれ楽しいですね!」

コジローが今度はベイカーに返すと

「ムサシ兄さんとか好きそうだ」

「じゃあ今度は少し強めに行くぞ!ちゃんと取れよ…取れなかったらそうだなぁなんか罰ゲームな!」

「えっ!?」

慌てるコジローにベイカーはニヤッと笑って渾身の一撃を放った!

先程の倍以上の速さで飛ぶフリスビーはグングンと高度をあげていく!

「ちょっと!高すぎますよ!」

コジローが慌てて後ろへと走ると

「シルバなら余裕だぞー」

ベイカーさんから煽るような言葉が飛んできた。

「くそっ!」

コジローは木を足場に高く飛ぶとフリスビーに手が当たる!

やった!届いた…

しかし手が触れた瞬間回転のかかったフリスビーはコジローの手を弾いた。

「ああ!」

フリスビーを落とすと

「よっしゃぁー」

ベイカーさんの喜びの声が遠くから聞こえてきた…

【なんか向こう盛り上がってるね】

ミヅキとシルバは近くで軽く投げ合いを始める。

【でも楽しい?シルバにはもっとハードな方がいいよね】

【そんな事ない、ミヅキとできるならどんな事でも楽しいぞ】

シルバは本当に楽しそうにしている。

そんな様子にミヅキは今日の朝ごはんはシルバに特別にたくさんあげようと思っていた。


朝の運動を終えて戻って来ると

【おかえり~】

もう起きていたシンク達が出迎えてくれる。

「あっ…ミヅキおはよう」

「おはよう!」

ジュウト達獣人も起きて何か集まり作業をしていた。

「おはよう~何してるの?」

ミヅキが覗き込むと

「教えて貰ったハンバーグ作ってた…今日は俺達が朝ごはん作るよ」

「えっ!」

見ると自分達で狩りをして肉を捌き教えた通りに肉を混ぜていた。

「すごい!…けど朝からハンバーグか…」

ミヅキが苦笑すると

「そりゃいいな!肉は足りるか?足りないならまだあるぞ」

ベイカーさんが収納から肉を取り出すと

「あっ助かる!お代わりしたいやつもいるだろうから…貰ってもいいか?」

ジュウトが伺うように聞くと

「もちろんだ、その代わり俺にもくれよ」

ベイカーさんは笑って肉をドンッと置くと包丁で叩きミンチにする。

【あーあ…もう連続でハンバーグだなぁ…】

ミヅキがため息をつくと

【最高だな!ミヅキとたくさん遊んでハンバーグの朝飯、毎日こうだったらいいのに】

シルバは獣人達が捏ねるハンバーグを美味そうに見ていた。

【まぁみんな嬉しそうだからいいか…でも今度は違う肉料理教えよ】

ミヅキはシンクを呼ぶと焼き場の準備を始めた。


「フゥ…ご馳走様でした…」

「ごちそうさま!」

元気に挨拶をする獣人達は夜もこのご飯にするかと話し合っている…朝ごはん食べたばかりでもう夜ご飯の話?

ミヅキは夜は絶対に自分が作ろうと心に決めた。

ケンタウロス達にもまたハンバーグでいいか聞くと喜んで頷くので獣人達お手製のハンバーグをあげた。

ケンタウロスが食べ終えて少し休んでから出発する事になった。

調子の上がったケンタウロス達が軽快に馬車を引く。

「獣人の国ってまだまだつかないのかな?」

ミヅキがベイカーさんに聞いてみると

「いや、この調子なら今日ぐらいには着くんじゃないか?」

「本当に!楽しみだなぁ~」

ミヅキが喜んでいると

「お前達この馬車ごと入るのか?」

ジュウトが声をかけてきた。

「やっぱりこれは不味いかな?」

「不味かねぇけど注目は浴びるよな…」

「そういえば獣人の国も城門とかあるの?やっぱり入るのになんか通行書とか必要なのかな?」

「そんなのない、出入りも自由だ」

「へぇ…でも変な人とか入っちゃうね…だからみんなも誘拐されちゃったんでしょ?」

「そうだけど…それは弱い俺達が悪いんだ。獣人達は自分の身は自分で守る。弱い奴らは群れになって集まるからな」

「ジュウトも群れがあるの?」

「ああ、ルークも同じ群れの仲間だ。他の奴らも知った顔の群れなんだ」

「じゃあみんなで捕まちゃったんだ」

「ちょうど大人達が出払ってるところを狙われたんだよ」

「もう少し国を強化とかしないの?取り締まる人とか…」

獣人の国が心配になる、一体どんな法律になっているんだが…

「そんなのはない、一応ギルドは人が作ったけど…」

「もしかして…人と獣人で金額違うとか無いよね?」

「何言ってるんだ!そんなの当たり前だろ」

「ふーん…なるほどね」

ミヅキがニコッと笑うと

【ミ、ミヅキ?】

シルバの尻尾がしゅんと下がって様子を伺う。

【お、怒ってるのか?】

【別にシルバに怒ってないよ…それにそのギルド作った人の話も聞いてみないとだしね】

【そ、そうだな…】

シルバはそっと不機嫌そうなミヅキから離れた…

ご機嫌だったミヅキが少し不機嫌になりしばらくすると前に何かが見えてきた。

【主よ!何か大きな森が見えてきたぞ。ここはそのまま抜けるのか、それとも回り込みますか?】

ケンタウロス達の言葉にシルバが前を確認すると…

【ミヅキ、見てみろ】

ミヅキが好きそうな光景にシルバが声をかける。

【なぁに?】

いつものミヅキの返しにシルバはほっとすると

【ほら】

ミヅキのそばに行き前をしめす、そこには見上げるほどありそうな大きな山がそびえ立ち周りには森が見えた。

【わぁ!大きな山!この森抜けないと獣人の国がないのかな?】

ミヅキはジュウトを呼ぶと

「あっ!獣人の国だ!」

獣人達が山を指さして騒ぎ出した。

「えっ!あれが獣人の国?」

「ああ、あの山の中に洞窟があって岩盤をくり抜いて城になってるんだ」

「へぇ!かっこいいね!じゃあ王様とかはそこにいるんだね」

「まぁな」

ジュウトが頷く。

ふーん…ならあそこに登らなければ知り合いに会うとかはないかな

ミヅキはニヤッと笑うと

「よし!早速国に入ろう!」

「オー!マカセロ!」

ケンタウロス達はミヅキの掛け声にスピードをあげた!

ケンタウロス達のおかげで森の麓まで来ると

「うーん、ここからは馬車は無理そうだね」

ミヅキ達の大きな馬車は森の中を通過出来そうになかった。

「ここからは歩くか」

ベイカーさんが馬車から飛び降りると来いと手をあげる。

ミヅキはベイカーさんの腕目掛けて飛び降りた。

「ジュウト達もいいかな?」

「もちろんだ、ここかは俺達が案内するよ」

ジュウト達は嬉しそうに森の中にかけて行った。

「ケンタウロスさん達もありがとう~ここまでで大丈夫だよ」

ミヅキが馬車を置くとそれを収納に片付けた。

「ココデマツ…」

「えっ?いやいや!もう前の生活に戻っていいんだよ!シルバからも言ってあげてよ」

【ミヅキがこう言っている。お前ら散れ!】

シルバがケンタウロス達にシッシッと前足を振ると

【そんな言い方は無いでしょ!】

ミヅキがシルバにこらっ!と怒ると

「シュガソウイウナラ…」

ケンタウロス達はトボトボと背を見せて歩き出した。

「ああ…みんな…」

ミヅキが寂しそうな背中に思わず手を伸ばしと

「ミヅキ、諦めるんだ。さすがにケンタウロスまで連れてけないだろ」

ベイカーが伸ばしたミヅキの手をそっと下ろした。

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