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11章

594.プルシアのご褒美

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シンクとの空の散歩を楽しみながら進んでいると日が落ちて来た…

【そろそろ下に降りようか?シンクありがとうね。また乗せてね】

【うん、いつでも言って】

シンクは嬉しそうに馬車へとゆっくりと降り立った。

日も落ちたので今日はここら辺で休む事にする。

いつも通りご飯を用意して後はお風呂と寝るだけとなると…

【ミヅキ、じゃあ今度は私のお願いを聞いてもらえるか?】

プルシアが私の前にちょこんと座った。

【プルシアはお風呂だったね!じゃあ一緒に入ろ!】

用意した風呂に向かおうとすると…

【それなんだが…いい場所を見つけて…そこでミヅキと入りたいんだが…】

【へー!いいよ!何処に作ったの?】

【作った訳じゃ無い、自然に出来たものなんだ】

それって…天然温泉ってことかな?

【行きたーい!】

ミヅキが目を輝かせる。

【じゃあシルバ達やベイカーさんにちょっと行ってくるって伝えて来るね!】

【ああ、別にシルバ達なら一緒でもいいぞ】

【本当に?わかった!聞いてくる】

ミヅキは急いでシルバに伝えると…

【風呂か…】

お風呂が苦手なシルバは顔を顰めた…

【僕行きたーい!】

【ぼくもー】

プルプル!

【私はどちらでも…】

シンク達は行く気満々になると

【待てお前達、今回はプルシアのお願いなんだ、ここは二人にさせてやれ】

シルバが気を使う。

【お前達だって二人でのお願いに他の者が来たら嫌だろ?】

シンクはちょっと考えてコクっと頷くと

【そうだね、僕は昼間すっごい楽しい時間過ごしたから…今回はパスするよ】

【わかった…がまん…】

コハクもコクリと頷くとムーとレムも納得するように身を引いた。

ベイカーさん達にも事情を話すと…

「プルシアとか…まぁ危険はないんだよな?」

「プルシアなら大丈夫だよ」

私が自信満々に頷くと

「まぁプルシアなら大丈夫か、シルバと違って頭にあまり血が上らないもんな」

ベイカーさんが笑うと…

【へぇ…ベイカーは俺の事そんな風に思っていたのか…】

ベイカーさんの後ろにシルバが音もなく近づいていく。

「あっ…」

怒っている様子のシルバに目がいくと…

「やばっ!」

ベイカーさんがすぐに気がついて剣を出した!

ガキンッ!

間一髪剣でシルバの牙を受け止める。

お互い押し合い睨み合うと…

【久しぶりに手合わせしてやろうか?】

シルバが唸る。

「なんだよ!本当の事を言っただけだろ!現に今も熱くなってるだろうが!」

ベイカーさんがシルバを押し返すと

「なんか手合わせしようか…って言ってるよ」

ミヅキがシルバの言葉を伝えると

「ふーん…まぁいいぞ、その代わりこっちはコジローもだ!」

ベイカーさんがコジローさんを呼びだす。

「あっ、コジローさんいるなら通訳大丈夫だね。じゃあ私プルシアとお風呂行ってくるねー」

ミヅキはベイカーさんとシルバのいつものじゃれあいをコジローさんに任せてジュウトの元に向かった。

「……って事で私は少しここを離れるけどすぐに戻るから、あとシルバとベイカーさんとコジローさんが手合わせするらしいからあんまり近づかないようにね」

注意をするとじゃあねとプルシアの元に向かった。

「手合わせ…」

ジュウトは手合わせと聞いて何やら考え込んだ。

そんなジュウトに気が付かずミヅキはプルシアの元に向かう…

【プルシア!おまたせ!】

一人待っていたプルシアの背中に飛びついた。

【おや?ミヅキ一人か?】

プルシアはシルバ達がてっきりついてくると思っていた。

【みんな今回は遠慮するって、だから二人で楽しもう!】

【そうか…中々ない事だからな、じゃあ行くか】

【うん!】

ミヅキに待っていろと少し離れると元の大きさに戻る。

【少し遠いから飛行形態で行くからな】

【はーい!よろしくお願いします】

ミヅキはプルシアによいしょと登ろうとするが…大きくて登れない…

いつもならシルバやベイカーさんが乗せてくれるが…

【プルシア…登れない…】

ミヅキがどうしようかと悩んでいると

【じゃあここに…】

プルシアが口を軽く開いて寄ってきた。

【えっ…あっ!口で乗せてくれるって事?】

プルシアの目がニコリと細まると、ミヅキは迷うことなくプルシアの口に飛び込んだ!

【凄い!プルシアに食べられちゃった見たい!】

ミヅキはプルシアのピカピカの牙をソロッと触る。

プルシアはそっと自分の背中に口を乗せると

【ミヅキ、降りてくれ…】

なかなか降りてくれないミヅキに声をかけた。

【プルシアの口の中面白い!ねぇプルシアちょっと閉じてみて!】

そのまま口を閉じて欲しいと頼むと

【えっ…】

プルシアが固まる。

【駄目?】

ミヅキの顔は見えないが…きっと可愛い顔して懇願するように目を煌めかせているのだろう…

プルシアはぐっと口を動かしたいのを堪える。

【駄目…ではないがそんなところでは落ち着かないだろ?】

【そんな事ないよ!プルシアの牙ツルツルでかっこいいね!あっ飛んでる間に磨いてあげようか?】

【い、いやいや大丈夫だ!やはり落ち着かないから上に乗ってくれるか?】

【はーい、わかりました!でもその前にお願い!ちょっとだけ閉じて】

プルシアはミヅキのお願いにミヅキを潰さない様にそっと口を閉じる。

【大丈夫か?苦しくないか?】

【大丈夫ー!真っ暗でプルシアの舌がふわふわしてる~】

ミヅキはプルシアの複雑な感情に気付かずに口の中を楽しんでいた。

ミヅキが舌の上で動く度になんとも言えない感情がわく…このまま閉じ込めてしまいたいような…でも決して傷つけたくない。

プルシアは口を開くと…

【ミヅキ…ほらそろそろ行こう。帰りが遅くなったらみんなが心配するからな】

【あっそうだね!】

ミヅキはぴょんと口から飛び出してプルシアの背中に乗ると鱗に捕まる。

【いつでもいいよ!】

ミヅキの合図にプルシアはほっとすると温泉を目指し飛び立った。

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