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11章

閑話【アランさんのお留守番】

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ミヅキがベイカー達と王都の行ってしまい、一人暇になったアランに一緒に依頼に行かないかと言うお誘いが多数寄せられていた…

セバスから呼び出されてギルドに向かうと

「なんかよーか?」

アランが気だるげにギルマスの部屋へと入ると

「おっほん…すみませんが部屋に入る時はノックをお願い致しますね」

セバスがにっこり笑って席を立つと、先客がいたらしく前の席に女性が座っていた。

「では、よろしくお願い致します」

女性はセバスに頭を下げて挨拶するとスっと席を立ってアランの横を通り過ぎる。

そっと会釈して行く女性にアランもペコっと頭を下げた。

女性が居なくなると…

「あなたの部屋ではないのですから入る時は注意してくださいよ」

セバスが資料を片付けながらアランに注意すると

「悪い悪い、呼び出しだったから人がいると思わなくて」

アランは女性が座っていた椅子にどかっと座ると

「それで?何の用で呼びだし?」

「実は暇そうなあなたと一緒に依頼に行きたいと言うギルドパーティの方たちがいまして…どうですか?ミヅキさん達もいませんし行ってみますか?」

「ふーん…まぁ暇だしいいけどどんな奴らだ?」

「えーっと…これはヤダルさんのパーティですね…あとこれはアシュビルさんのパーティにダンさんと…まぁ他諸々です…ほとんどがB級ですよ」

「まぁ俺もB級だしな。ってか聞いた感じみんな野郎ばっかりな気がするんだが…」

「まぁそうですね、あなたは相変わらず男性冒険者に人気のようですね」

「嬉しくねぇな…」

アランがやる気が無くなると…

「しかしほとんどのパーティが魔物肉の調達ですよ、最近近くの町で肉のお祭りがあるそうなのでそれに向けて魔物肉の依頼が多数入っているんですよ…」

「なに!?それは魅力的な祭りだな…よし、一番美味い肉をとる予定の奴らのところに行く!」

「現金ですね…えっと…それだと、マルスさんのパーティでしょうか。ちょっと高めのランクの魔物に挑戦して見たいようですね」

「へぇーそれで何の肉だ?」

「肉って…魔物ですよ、ニーズヘッグですね…あれって食べられるんですかね?」

セバスが姿を想像して顔をしかめる。

「確か蛇見たいな奴だよな…死体あさりが好きなんだっけ?」

「そうですね…あの魔物の周りは腐臭の匂いがします…肉は…どうでしょうかね?」

「まぁそれは食ってみて確かめるわ、じゃあそのマルスって奴を紹介してくれ」

「わかりました」

セバスは書類の束から一枚紙を取り出した。

アランは書類の内容を確認すると…

「Bランクのパーティね…リーダーがマルスで五人チームの女一人か…」

「ええ、どうしますか?」

セバスが含みある言い方をすると

「いいけど…どうなっても文句ねぇよな?」

「はい、向こうからの申し出ですからね」

セバスがにっこりと笑った。


アランは早速マルスをセバスに紹介してもらう。

「よろしく、アランだ」

マルスに手を差し出すと…

「マルスです…アラン…さんの噂はかねがね…でもうちのパーティに入るなら俺の命令をきいて貰うことになりますけど…」

「ああわかってる。それに従うぜ」

「…じゃあ明日早速行くから、朝に門に集合でいいか?」

いきなり年下と思われるマルスは言葉を崩した…アランは気にする様子もなく頷くと

「他のメンバーも紹介してくれよ」

「それは明日する、じゃあもういいよな」

マルスはそれだけ言うと何処かに行ってしまった。

その様子を見ていたセバスは…

「どうしますか?今からでも違うパーティにしてもいいですよ」

アランに声をかけると

「あ?別に今のでいいぞ。じゃあ明日朝早そうだからな…今日は早く寝るかな」

アランの様子にセバスは笑って別れた。

次の日アランはあくびをしながら門で待っていると町から男四人が女一人を取り囲み、門に向かって歩いてきた。

先頭にはマルスがいる、アランは手を挙げて近づくと

「よう、今日はよろしくな」

パーティメンバーに声をかけた。

「アランさんですね!おはようございます!私アランさんとパーティ組みたくて、嬉しいです!」

女の冒険者はマルスの後ろから顔を出して嬉しそうにアランに近づいて来た。

「よろしく…で?俺マルスしか名前知らないんだが?」

「私はC級のリリンです。リーダーは知っての通りマルスさんで右からアンドレアさん、ハリーさん、エイダンさんです。私以外はみんなB級なんですよ」

「へー、じゃあ一緒だな。よろしく」

アランが手を差し出すが誰も手を出そうとしない…その手をリリンが掴むと

「よろしくお願いします!」

そのままアランの腕を引っ張って腕を組んだ。

「おい、リリン」

アンドレアがリリンの肩を掴むと

「あんたもリリンから離れろよ、このパーティでは色恋は禁止だからな!」

エイダンがアランを睨みながら注意すると

「俺はなんにも手を出してないぜ?」

アランが両手を上げるとリリンの腕が離れた。

「えー?アランさんすっごくたくましいですね…憧れちゃうな!お話聞かせて下さい!」

リリンは他のメンバーの視線も気にせずにアランの隣を歩いた。
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