ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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10章

522.エルフ

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【ミヅキ、お待たせ!】

シルバ達は魔物を片ずけるとミヅキ達の元に戻ってきた。

【お疲れ様!大丈夫?他の魔物は帰ったの?】

【ああ、向かってこない奴らはどっかに行ったみたいだな。賢い選択だ】

【あースッキリした!ミヅキ見てた僕の攻撃!】

シンクが肩に乗ってくると

【うん、みんな凄かったね】

【食べられそうな奴は避けといたからベイカー達に捌くように頼んでくれ】

シルバの言葉を伝えると

「はは、ちゃっかりしてらぁ」

「じゃあさっさと済ませて帰るか、にしてもなんだったんだろうな」

みんなで下に降りると魔物を捌く。

「一応帰ったらギルドに報告しておいた方がよさそうだな」

私達は頷くと魔物達の処理を急いだ。

持って帰れる素材と肉に分けて収納にしまい、それ以外の所はシンクが綺麗に灰にしてムーが残りカスを回収する。

草原が元に戻ると

「よし!じゃあ帰ろう」

またシルバに乗って今度こと町を目指した。

町の門に近づくと…

「あれ?なんか馬車が停めてあるよ」

門の外にズラッと馬車が並んでいる…

「まさかまた王子?」

私が顔を顰めると

「いや、あれはウエスト国の馬車じゃない。見た事ない紋章が付いてるな」

アランさんが首を傾げる。

「えー部隊長が知らない国なんてあるの?」

「うーん…あんまり詳しくねぇけど…やっぱり見た事ねぇな」

アランさんがもう一度考えるがやはり見覚えが無いという。

「じゃあどこの国のかなぁ…」

「この町に来るって事は…ミヅキ目当てか?」

「わ、私?」

「でも、ミヅキの事は他所の国にはバレて無いはずだろ?」

「一応ミヅキはシルバから降りてアランさんに抱っこしてもらえ、シルバ達は俺達の従魔のふりしてろよ」

【しょうがない…】

シルバ達が頷く。

私達は町に入ると…

「あっ!ベイカーさん達おかえりなさい!」

門番が声をかけてくる。

「これはどうしたんだ?」

ベイカーが馬車を指さして聞くと…

「それが…」

門番は顔を曇らせた…



私達は急いでギルドに向かうと…

ギルドの周りには人集りが出来ている!

「お前らどけ!」

ベイカーさんが怒鳴ると…

「あっ!?」

冒険者達が威嚇しながら振り返り…ベイカー達の姿を見て顔色を変えるとサッと道を開ける。

「おい!ベイカーさん達が帰って来たぞ!」

冒険者の声に私達は前へと通されると…

「セバスさん…」

人集りの真ん中にはセバスさんとギルマスのディムロスじいちゃんが困った顔で立っていた…

私の声にセバスさん達が気が付き顔を向けると…

「おい!貴様!話を聞いてるのか!」

セバスさん達に怒鳴り声をあげてる人がいた…

そんな命知らずは誰だと顔を見ると…

「本当に…エルフだ…」

そこにはエルフの集団が町を訪れていた…



門番からはエルフ達が突然やってきてセバスさんを出せと乗り込んで来たと聞いていた。

「セバスさん、ディムロスじいちゃん」

近づこうとすると…

「そこの下民!誰が動いていいと言った!」

エルフの一人が近づこうとしたアランさんを睨みつける。

「申し訳ございませんがどうかこのまま帰っていただけませんか?」

セバスさんが極力丁寧に声をかけると…

「お前がアルフノーヴァ様の呪いを解けば大人しく帰ろう…」

「アルフノーヴァさんが呪い?あの人達何言ってんの?」

私が思わす口走ると…

「貴様…アルフノーヴァを知っているのか?」

ジロリと睨みつけられる。

「この子は関係ありません…アルフノーヴァさんは確かに私の師匠ですが呪いなどかけた覚えはございませんよ」

セバスさんが自分の方へと意識を持ってこさせると…ベイカーに目配せをする。

「アランさん…ミヅキをこっちへ…」

ベイカーはミヅキを受け取るとサッと人混みに紛れた。

「ベイカーさん…」

私は不安げにベイカーさんを見つめると

「大丈夫、セバスさんとアランさんならどうにかするさ、お前は巻き込まれないように大人しくしておけ」

私はコクンと頷いた。

なるべくエルフ達から離れてセバスさん達が見えるところに移動すると…

「俺もアルフノーヴァさんとは面識がある。彼は呪いなど受けているようには見えなかったが?」

アランさんがセバスさんと並ぶと

「なんだ?この小汚い男は…こんなのがアルフノーヴァと知り合いだと…」

エルフはアランを上から下まで眺めて顔を顰める。

すると…

「うるさい…話が進まないじゃないか!さっさとその男を連れて王都に向かうぞ!」

「オリビア様…」

後ろから声をかけてきた幼い少女のエルフに他のエルフ達がひざまづいた。

エルフ達の間を堂々と歩いてきた少女のエルフを

「子供?」

アランがマジマジと見つめると

「そこの汚い男!オリビア様をそんな気持ち悪い目で見るな!」

アランがエルフの男に注意されると…

「ああ?」

アランがこめかみをピクピクさせながら睨みける。

「アラン…」

セバスさんがアランさんに手をかけて制止させる。

「お前、あんな事言われて黙ってるやつがいるかよ!」

アランがセバスの手を振り払おうとすると

「あれは多分エルフの国の王女様だ…昔、師匠に聞いた事がある。師匠はエルフの国の生き方に疑問を感じて人間の国に来たと」

「じゃああれはエルフの国から来たヤツらだってことか?」

「多分な…エルフの国とは揉めるべきではない」

「クッ…ならどうするんだ?あいつらの言いなりになるのか?」

アランがセバスを見つめると

「おい!何をコソコソと話している。おい早くあいつを捕まえるぞ、用意しろ」

オリビアが声をかけると

「「「ハッ!」」」

エルフ達が立ち上がりセバスのほうに向かう。

「セ、セバス!」

アランがセバスの前に庇うように立とうとすると…

「申し訳ございませんが仕事がありますので王都には行けません」

セバスさんがアランさんごと防壁を張ると…

「ほう…なかなかの魔力だな」

エルフ達は笑うとセバスさんの防壁に手をかける…が

「な、なに…」

防壁を破れずにいる。

「どけ!」

オリビア様が出てくると…

ーバリンッ!

音を立てて防壁が破れた。

「ふん、まぁまぁだな…」

オリビア様がフンッと鼻にかけて笑うと

「さすがオリビア様です」

エルフ達がおお!と手を叩く。

「なんだこいつらは…」

アランがやんややんやと盛り上がるエルフ達を唖然と見つめる。

「しかしやはりあの少女エルフは魔力が高いですね…」

「お前よりか?」

「…もしかしたら」

セバスが顔を顰める。

「どうするんだ…このままこいつらに大人しく連れていかれる気か!」

「そんなつもりは毛頭ありません」

セバスはアランに笑いかけた。


「どうしよ…ベイカーさんセバスさん連れてかれちゃうよ」

私はハラハラしながらベイカーさんの服をギュッと掴む。

「なんだってエルフが今頃になってアルフノーヴァさんを…」

「アルフノーヴァさん…連れてくる?」

私はベイカーさんを見つめると

「それが一番早いかもな」

「プルシアなら二日…いや一日あれば帰って来れるよね」

【問題ない】

プルシアが頷くと

「俺はセバスさん達にその事を伝える。どうにか連れていかれるのを引き延ばそう」

「私はアルフノーヴァさんを連れてくる!」

「一人で…大丈夫か?」

「シルバ達がいるもん!」

「一応、デボットとレアルも連れて行け」

「うん!」

私はシルバ達と急いでベイカーさんの家に向かった!
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