ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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10章

514.勝負!

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「てことで…敵討ちしたいそうだから危険がないところで見せてやろうと思って…」

アランは兄弟を担いだままデッドサルコスクスがいる川辺の近くにやってきた…

「そっか…じゃあ私といれば安全だよね?」

私は事情を聞いてベイカーさんを見ると

「うーん…本当は村にいてくれるのが一番いいんだけどなぁ~」

ベイカーさんが渋い顔をすると…

「まぁまぁベイカー、俺達にもあんな気持ちわかるだろ?仇をうちたくても敵わない歯がゆさが!」

「うっ!まぁな…じゃあミヅキ、ちゃんとこいつらの面倒を見とけよ、ついでにお前もちゃんと防壁張って大人しくしてるんだぞ」

「はーい!」

私が元気に手をあげると

「よろしくね!私はミヅキ。あなた達のお名前は?」

「ぼ、僕はユウです…」

弟の方が恥ずかしそうに挨拶をする。

うんうん、初々しいくて可愛いねぇ~撫でたくなっちゃう!

私がニコニコとユウくんを見ると

「よろしくねユウくん!」

頭に手を持っていくのをグッと堪えて手を差し出す。

ユウくんはそっと手を掴んで握手してくれた。

兄の方を見ると…

「なんでこいつに守られなきゃいけないんだ!守るなら俺達男の方だろ!」

兄が悔しそうに私を見つめると…

「それにどう見ても俺の方が年上だぞ!こいつユウと同じ年くらいだろ!」

こいつと言って私を指さすと…

「おい!ジン、ミヅキはお前より小さいのにちゃんと冒険者なんだぞ!そんな態度なら今から村に送ってやろうか?」

アランが兄に注意すると

「ジンくんかよろしくね~こう見えても私、君より強いからね~」

私は余裕で笑ってジンくんの手を勝手に取るとブンブンと握手する。

「くっそ、そんなわけないだろ。こんな小さい女の子に俺が負けるわけない!」

ジンはバッ!と手を振り払うと、シルバがピクッと耳を立てる。

少し不機嫌そうなみんなに苦笑すると

【大丈夫だから、怒らないでね】

シルバ達に声をかけると仕方なさそうに座り直す。

しかしいつでも手を出してもいいようにしっかりと後ろに引っ付いている。

そんなシルバ達は置いておいて…

「へぇ…じゃあ勝負する?」

私はジンくんににっこりと笑いかけた。

「しょ、勝負だと…どうするんだよ…」

ジンが伺うように聞くと

「そうだなぁ…腕相撲とかかな?」

「腕ずもうってなんだよ…」

ジンがわからずにとりあえず腕をさすっていると

「あれ?知らない…そうだなぁ。ベイカーさんとアランさんちょっといい?」

私は二人を呼ぶと土魔法で台を作る。

「な、なんだ!急に土が…」

ジンとユウはミヅキの土魔法に驚いているが無視して先を進める。

「二人で向かい合って立って利き腕を出して肘を着いて手を掴んで、それで合図と同時に腕を倒すの相手の手の甲を台につけた方が勝ちだよ」

「面白そうだ…」

アランさんがニヤッと笑うと

「勝負だアランさん!」

ベイカーさんがアランさんを睨む…

「ちょっと…何二人とも本気になってるの?これは私とジンくんがやるんだから二人は下がってくれる?」

ギュッと腕に力を入れている二人に退くように言うが…

「一回見本を見せてやるよ、どっちが強いのかってな!」

「そうだな、白黒はっきりさせようぜ!」

全く離れる気のない二人に呆れると

「もう、一回だけだからね…じゃあ合図したら開始してね」

「「おう!」」

二人が睨み合うと…

「あっ手が届かない…」

高い台に手が届かないので台を作ってそれに乗り二人の手の上に手を重ねると

「じゃあジンくんもよく見ててね。次は私達がコレで勝負だよ」

「わ、わかった!」

ジンとユウもワクワクしながら二人を見ている。

「じゃあ…レディ…ゴウ!」

合図と共に手を離すと…

「うおりゃ!」

「ふんっ!」

二人は一斉に力を込めると…ピクリとも動かずに腕がピクピクと停止している…しかしそれに反して顔は真っ赤に染まっていた…

「グッ…うっ!」

「くっ…そ!」

少しだけアランさんが押し始めると…

「おじさん頑張れ!」

ジン達から応援がくる!

「お…じ…さんじゃあ…ねぇ!!」

アランさんがそのままベイカーさんの腕を押し切った!

「はぁ…はぁ…」

「くっそ…」

「ちょっと…これから討伐なのにそんなに全力出してどうするの?」

私はあきれて二人を見ると

「すっげぇ!おじさん強いな!こう、なかなか動かない感じがハラハラした!」

「ふふん!まぁな、まだまだベイカーより強いって事だな!」

アランが汗を拭きながら笑ってベイカーを見ると

「くっそ…あと少し我慢出来れば…アランさん!もう一回勝負しようぜ!」

バンッとテーブルを叩くと…

「ちょっと!次は私達だし一回で終わり!ジンくんが納得したら討伐でしょ!」

ベイカーさんを退かすと

「アランさん!討伐が終わったらもうひと勝負な!?」

「いつでもかかってきなさい」

アランさんが挑発する。

「はい、あの人達はほっといてジンくんやろう。台が高いからちょっと低くするね」

私は台を私達の身長に合わせて低くすると…

「さっきから土が動くのってなんなの?怖いんだけど…」

ジンがじっと私を見てくる。

「これ?これは土魔法だよ。私テイマーで魔法も使えるの、だから冒険者やってるんだよ」

いいからと台に手を置くとちょいちょいとジンくんを手招きする。

ジンくんが渋々手を掴むと

「ベイカーさんさっき見たく合図して」

「ああ」

アランさんと腕ずもうの話をまだ続けているベイカーさんを呼ぶと

「じゃあ手が離れたら合図な。坊主もいいか?」

「こい!」

ジンが気合いを入れる。

「えっと…レディーゴー!」

ベイカーさんが私の真似をして手を離す、その瞬間ジンが力を込めると…

「ふんが!」

私は一気に押される!

やばい…やはり力では勝てない!

慌てて強化魔法を使うと力を増幅させる。

インチキじゃないからね!魔法も私の一部だから!

急に力が強くなった私にジンは慌てると…

「な、何しやがった!」

顔を真っ赤にして抵抗している。

「ふふん!魔法で力を強くしたの~どうだ!」

「そんなのずるいぞ!」

「なんとでも言え!素で勝てるわけないだろ!」

私は一気に勝負を終わらせると

「やったぁ~」

両手をあげる!

「いや…今のは無いわ」

「そうだなぁ…坊主が可哀想だわ」

「えっ…」

ベイカーさんとアランさんがないないと首を振っている。

「力の勝負に魔法を使うのはないよなぁ~」

「ああ、ああいう勝負は己の肉体を使ってこそだろ?」

これだから筋肉が好きな人は…

「もう、ジンくんを納得させる為なんだし私は魔法を使ってなんぼなんだから~」

「一回魔法無しでやってみろよ」

アランさんが真っ向勝負しろと言うと

「いいけど…さっきので勝負はついたからね!」

「わかった」

ジンくんが嬉しそうに頷く、そんな素直な様子は可愛い男の子だった。

私はまた台に手を置くと、今度はアランさんが合図をする。

「じゃあインチキなしだぞ。レディ…ゴー!」

インチキじゃないし!

渾身の力を込めてジンくんを見ると…

「えっ…それで本気?」

なんだか驚いて軽く引いている。

「ふん!」

「あー!」

ジンくんに一気に力を入れられてあっという間に負けてしまった…

「よっわ…てか魔法ってすげぇなぁ」

自分の手をみて私を見つめると

「あの…」

ずっと黙ってみていたユウくんが声をかけてきた。

「どうした、ユウ?」

ジンが聞くと

「僕も…やってみたい」

ソワソワと台を見つめている。

「そうだね、ユウくんだけやってないのは可哀想だもんね。誰とやりたいの?お兄ちゃん?」

私が聞くと

「ん…」

私に向かって指をさす。

「え?私?」

こくんとユウくんが頷く。

いや…さすがにユウくんには素でも勝っちゃうんじゃ…でも手を抜くのも可哀想だしなぁ

「うーん…まぁいいよ。でもやるからには本気でやるからからね!」

「うん!」

ユウくんは嬉しそうに返事をした。

そしてユウくんと私の勝負は…

「はい、ユウくんの勝ち!」

ベイカーさんがユウくんの手を上にあげる…

まさか普通に負けるとは…

私はガックリと膝を着く。

「ミヅキは魔法に頼りすぎじゃないか?もう少し基礎体力を鍛えた方がいいみたいだな」

アランさんが笑っている…くっそ…魔法ならアランさんにでも勝てると思うのに!

悔しそうにアランさんを睨みつけた。
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