上 下
399 / 687
10章

511.緊急会議

しおりを挟む
チーム名を変更して数日後…ミヅキは家にアランさんを呼び出すと…ベイカーさんシルバ達を並ばせて会議を開いた。

「なんだ一体?」

突然呼び出されてアランはテーブルに並ぶ菓子に手を伸ばしミヅキを見ると、ミヅキは神妙な面持ちで前を見つめている。

「おい!ミヅキどうしたんだよ」

おかしな様子のミヅキにベイカーが声をかけると…

「今日集まって貰ったのは他でもありません…チーム名の事です」

「あー新しくするとか言ってたな決まったのか?」

ベイカーが聞くと

「食いしん坊万歳でいいと思うけどなぁ~」

アランさんは自分のが気に入っていた模様…

「実は…色を混ぜるって意味でマーブリングってつけたんだけど…」

「へー…あっ!シルバ達の色の名前からか?」

【ん?俺達?】

シルバ達が関係ないと思っていたのか寝ていたところピクッと反応する。

「そうなんだけど…」

「いいんじゃないか?」

「あぁ俺もいいと思うぞ」

二人とも頷いてくれるが…

「ごめん…これには続きがあるの…」

ミヅキはサッと顔を逸らすと

「チーム名は〝暴食のマーブリング〟に決まりました!」

「「暴食?」」

「なんかくっついてるぞ」

「なんでそんなの付けたんだ?」

ベイカーさんが眉を顰めると

「これには深ーいわけがあって…」

ミヅキはベネットさん達が泣きそうな顔で謝りながらチーム名が間違って登録されてしまったことを謝られた経緯を話す。

「まぁ…そりゃタイミングが悪かったな…」

ベイカーさんが苦笑すると

「食いしん坊要素が残ってていいんじゃないのか?」

アランさんは気にした様子もなくむしろ好印象のようだ。

「ベネット達は本当はなんてつけようとしてたんだ?」

ギクッ…

ミヅキの肩が跳ねると…

「……のマーブリング…」

「はっ?声が小さくて聞こえねぇぞ」

「エンジェルミヅキとマーブリング!」

顔を赤くして答えると…案の定二人に爆笑される。

【エンジェルだって!ミヅキにピッタリだね】

【そっちでもよかったな】

シルバ達は真顔で頷いている。

冗談じゃない!それなら食いしん坊万歳の方がましだ…ベネットさん達には悪いが間違った方で良かったとさえ思ってしまった。

「ベネットさん達がどうにか解散してもう一度組んで欲しいって頼んで来たけど丁重にお断りしました!よって私達は暴食のマーブリングとなります!」

「お前が嫌なだけだろ?」

ベイカーさんが笑いながら答えると

「だって!ギルドで呼ばれるんだよ!エンジェルミヅキって!耐えられない!」

想像して頭を抱える。

ベネットさん達も巫山戯ているわけでなく本気で考えてくれただけ文句も言いづらい…

「暴食揃いのいい名前なんじゃないか?」

「そうだな、その名に恥じぬ様に国中の食材を食いつくそうぜ」

おい!そんな事したら物語が変わっちゃうだろうが!

「確かに美味しく食材があったら積極的に採取するけど…食べ尽くす気はないからね…程々にのんびり頑張ろう」

【おー!】

コハクだけが真剣に返事を返してくれる。

【コハクは可愛いね~いい子だからこれをあげよう】

私はコハクの為においなりさんを取り出すと

【おいなりさん!】

コハクが喜んで食べている!

「あっ!コハク何貰ったんだ!」

アランさんが食いつくと

「コハクはいい子だったから特別なの!」

私はプイっと横を向く!

「俺だっていい子に話を聞いてたぜ」

「馬鹿にしたくせに!」

いー!っと歯を見せて威嚇すると

「まぁまぁ、じゃあ改めて暴食のマーブリングとして頑張ろう」

チームリーダーのベイカーさんが私の頭をポンと撫でて落ち着かせる。

「うん…こんな感じで決まったけどごめんね」

「別にいいぞ、チーム名よりも中身が大事だろ?」

「そうだね…そういえば私達ってパーティランクは何になるの?それによって受けられる依頼も変わるんだよね?」

「俺がAでアランさんがBだろ、ミヅキがCだから…Bランクだな」

「Bか…ごめんね私が足を引っ張ってる?」

本来ならベイカーさん達ならはもっと上のランクの依頼を受けれるはずなのに…

「それは大丈夫だ、依頼内容をみて平気そうなら上のランクも受けられるからな」

「あ、そうなの?」

「実質みんなA級冒険者並なんだから…頑張ればSランクの依頼も大丈夫そうだな」

「えー!Sランクは無理でしょ~例えばどんな依頼なの?」

「過去には…ドラゴン討伐とか…希少なアイテム入手とか…王族の警護とか…かな…」

あれ…なんだろ…全部身に覚えがあるぞ。

ミヅキは笑顔で固まる…

「なっ?大丈夫そうだろ?」

ベイカーさんが含みある言い方で笑いかけると

「ど、どうかなぁ~」

あはは…なんかこう聞いて私がやった事がなんで不味いのか再確認した気分だ…

「これからはアランさんもいるし少しくらい高いランクを受けても大丈夫だろ」

「じゃあ新生〝暴食のマーブリング〟としての初仕事にいこう!」

ベイカーさんから了承も貰えたし私は声を上げるとアランさんがちょっと待ったと物申す!

「昨日の依頼が初仕事だろ?」

「あれは私達知らなかったし、食いしん坊万歳の時だったもん、初仕事があんなに蟲なんて絶対にやだ!今から書き換えに行くんだよ!」

「そ、それもそうだな…」

ミヅキの真剣な顔にさすがのアランも口答えをするのは賢明ではないと判断して口を噤んだ。

デボットさん達にまた依頼に行く旨とパーティ名を伝えると…

「ぶっは!ぼ、暴食!ピッタリだな!」

デボットさんが盛大に笑うと…

「デ、デボットさん…し、失礼ですよ…しかし…確かに…ピ、ピッタリだ…グフッ!」

レアルさん…失礼さが隠せてませんが?

ミヅキは二人を睨むと

「いいの!エンジェルよりましなんだから!」

「悪い、悪い、でもそっちでもいいと思うぞ」

一通り笑ったデボットさんが頬を膨らましているミヅキの頭をポンと撫でて謝ると

「もうこうなったら名前の通りに暴食を繰り返してやる!いこう!ベイカーさん!アランさん!シルバ達も狩り尽くしちゃおう!」

【いいのか!】

【やったぁ~!じゃあ手加減しなくていいんだね】

【それは嬉しいな】

シルバ達が狩り尽くすと言う言葉にやる気をみせる…

ま、まぁ…大丈夫だよね?なんたって私達は暴食なんだし少しくらい多めにとって食べたって文句は無いだろう!

そんな甘い考えのまま依頼に向かったミヅキだった…


ギルドに付くと冒険者達からお祝いの言葉を投げられる!

「ミヅキちゃんパーティ結成おめでとう」

「頑張ってね!」

「パーティに飽きたらいつでもこっちに移っていいからな!」

意外とパーティ名の事を言われない…なんでだろうと思っていると

「ミヅキはやたら気にするけどなぁ、別にそのくらいのパーティ名なんざたくさんあるぞ。エンジェルやらフェアリー漆黒、紅蓮…そんなのばっかりだしな…」

「あー…確かに」

私は納得する…よく考えたらパーティ名なんて厨二病みたいなものか…このくらい普通の事なのかもしれない。

そう思うと少し気が楽になる!

「じゃあ暴食に合った依頼を探そうよ」

ミヅキ達は依頼書を眺めると…

「おっ!これどうだ?新作料理の試食求むだって!」

アランさんが興味深いと依頼書を手に取ると

「それ、ランクDだよ。私達が受けちゃダメでしょ」

「そうか…あっ…」

アランさんは何かに気がついて紙を無言で元に戻す。

「何?何が書いてあったの?」

ミヅキが覗き込むと

「やめとけ!いいもんじゃないから!」

アランさんが止めるが無理やり見ると…

「なになに…ちなみに料理は蟲料理…大量にデスローカストの脚を入手…ってこれってもしかしてこの前の…」

ミヅキの顔がみるみると青くなる!

そういやあのままだったなぁ…

アランとベイカーは集めた蟲の脚の事を思い出した…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました

ひより のどか
ファンタジー
ただいま女神様に『行ってらっしゃ~い』と、突き落とされ空を落下中の幼女(2歳)です。お腹には可愛いピンクと水色の双子の赤ちゃんドラゴン抱えてます。どうしようと思っていたら妖精さんたちに助けてあげるから契約しようと誘われました。転生初日に一気に妖精さんと赤ちゃんドラゴンと家族になりました。これからまだまだ仲間を増やしてスローライフするぞー!もふもふとも仲良くなるぞー! 初めて小説書いてます。完全な見切り発進です。基本ほのぼのを目指してます。生暖かい目で見て貰えらると嬉しいです。 ※主人公、赤ちゃん言葉強めです。通訳役が少ない初めの数話ですが、少しルビを振りました。 ※なろう様と、ツギクル様でも投稿始めました。よろしくお願い致します。 ※カクヨム様と、ノベルアップ様とでも、投稿始めました。よろしくお願いしますm(_ _)m

女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました

初昔 茶ノ介
ファンタジー
昔から低身長、童顔、お料理上手、家がお菓子屋さん、etc.と女子力満載の高校2年の冬樹 幸(ふゆき ゆき)は男子なのに周りからのヒロインのような扱いに日々悩んでいた。 ある日、学校の帰りに道に悩んでいるおばあさんを助けると、そのおばあさんはただのおばあさんではなく女神様だった。 冗談半分で言ったことを叶えると言い出し、目が覚めた先は見覚えのない森の中で…。 のんびり書いていきたいと思います。 よければ感想等お願いします。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

継母の心得 〜 番外編 〜

トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。 【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。