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10章

507.ネックレスの効果

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今度はシンクが私の膝に乗って走り出すと

「お、重い~!」

後ろからアランさんの叫び声が聞こえる。

【クックック…】

するとシンクが可笑しそうに体を震わせていた…

【あー!シンクやっぱり何かやったの?】

私がシンクの顔を覗き込むと

【ふふ…ミヅキアランの首元見てよ】

そう言われて走るアランさんの首を見ると…

【あっ!あれ私とオイトのお揃いのネックレス!】

【ミヅキがムツカにもあげたいって言ってたから作っといたんだよ】

【そうなんだ!ありがとう~】

シンクとシルバを撫でると

【でもなんでそれをアランさんが?】

ピタッと手を止める。

【ほら、あれってミヅキ以外がつけると重くなるじゃん】

【あっ!そっか!だからか…】

納得すると…

【でもなんでそんな事したの?】

やる意味がわからん。

【だってアラン最近鍛錬をサボり気味なんでしょ?だから協力してあげたんだよ!アランの為だよ】

シンクが可愛い顔でそう言うと

【そっかぁ~シンクは優しいね!ならそのままにしておこうね】

絶対わざとだ…

絶対わざとですね…

???

シルバとプルシアは何も答えずに言葉を飲み込むと、コハクはよくわからずに首を傾げていた…


「も、もう無理…」

アランはどうにかベイカー達について行っていだが途中で倒れ込む…

「なんか…どんどん…重くなる…」

地面に寝転んではぁはぁと息を吐くとドンッ!

倒れ込んだ拍子に宙にジャンプしたムーがアランのお腹に着地する!

「うげっ!」

二人の衝撃をモロに腹に受けていると…

【もう限界かぁ~】

シンクが仕方なさそうにアランのところに飛んで行きネックレスを回収すると…

「なんだ!?シンク今何しやがった!急に体が軽くなったぞ!」

ガバッと立ち上がると

【なんだ~まだ元気じゃんか!】

ヒラヒラと避けながら私の元に戻ってくる。

シンクが私にネックレスを渡すと

「なんだそりゃ?」

アランさんがネックレスを覗き込む。

「これ、オイトにあげたネックレスと同じ物だよ」

「あー…あのこいつらが作った特製のやつか?なんでそれを俺がつけてんだよ!」

「これ付けると私以外の人はすっごく重く感じるんだよ」

「なんだその呪われた装飾品は!」

恐ろしげにネックレスを見つめる。

「でもこれ付けて運動すれば鍛錬になるんじゃないの?」

「あー確かに負荷が凄いよなそれ…」

身に覚えのあるベイカーが頷いていると

「しかしよくこれ付けてついてきてたなアランさん…」

「ねー!凄いよね」

ベイカーがネックレスを受け取るがやはり重い…

「俺もつけてみるかな?」

ベイカーさんがおもむろにネックレスを首から下げると

「うわっ!まじできついな…」

足を一歩踏み出すとズンと沈む。

「よし、ちょっと貸してくれ」

ベイカーさんはネックレスをつけたまま走り出した…

「うそ…ベイカーさんて…Mっ気あるよね…」

若干引き気味の私は少しスピードの落ちたベイカーさんの後を後ろからシルバ達と追いかけた…

アランさんはと言うと

「軽い!体が軽いぞー!」

物凄い勢いでベイカーさんを追い抜いて走り抜けて行くとある程度行ったところで戻ってくる!

「これマジでいいかも…ミヅキ!もう一つ作ってくれないか?」

アランさんがネックレスを欲しいと言う…

「でも…アランさんつけてもなんの価値もないよ?守ってもくれないし…重いだけだよ?」

「それがいいんじゃないか!短時間で倍の鍛錬が出来るぞ」

そういう使い方なんだ…

【シルバ達どう?あげてもいいの?】

私が作ったものじゃないからシルバ達に聞くと

【俺は構わんぞ、その代わりにしっかりと毛ずくろいしてもらうがな!】

【あっ!ぼくもー!】

シルバとコハクは毛ずくろいが条件らしい。

【なら私は鱗を磨いてもらおうかな】

プルシアも問題ないようだ。

【ムーとレムは?】

【私は魔力が貰えればいいですよ。ムーは…何か食べ物が欲しいみたいですね】

【わかった!】

私はシルバ達の要求を伝えると

「わかった、約束だ。これを作ってくれ」

「あっ!なら俺も欲しいなぁ!」

【シンクは?】

最後にシンクに聞いてみると…

【そうだなぁ~じゃあこれシルバ達の毛を編み込むのが大変だからそこだけ手伝ってもらおうかな】

【あっそうか出来るのがコハクとシンクだけだもんね】

私がその事を伝えると二人は二つ返事で了承した。

ベイカーさんもある程度きてネックレスを取ると…

「軽い!こりゃいいな!」

凄まじい速さで走っている。

「二人とも~喜ぶのはいいけど早く討伐に行こうよーシルバ達が待ってるよ」

「悪い悪い!じゃあ少し急いで行くか。もうあと少しみたいだからな」

ベイカーさんが走り出すと

【おっ、本当にさっきより早くなってるな】

シルバがスピードをあげてベイカーの後をついて行く。

私は後ろを見るとコハクが一生懸命ついてきていた!

【コハク頑張れ~】

コハクにエールを送りながらあっという間に目的の場所にたどりついた。

私達は草原を見下ろせる高台につくとシルバから降りて下を覗き込む…

草原と言われたところを見るが何やら地面がモゾモゾと動いているように見える…

「なにあれ?なんか地面が動いてない?」

んー?目を凝らしてよく見ていると

「何言ってんだ。あれ全部魔物だぞ、この時期になると大量発生する蟲の魔物だ」

ベイカーさんがあそこをよく見ろと指を指す。

私がその方向を見ると一匹イヤにでかいバッタの様な蟲が卵を産んでいた…

「ひっ!」

私は全身に鳥肌が立つ!

バッタの大きさはシルバほどあり…それが重なり合って地面を埋め尽くすほどいたのだ…

「いやぁ~!」

私は声をあげて後ずさりすると

「どうした?」

ベイカーさん達が私の反応に呆れている。

「あんなのミヅキだって倒せるぞ?一匹ならDランクの魔物だからな。ただ数がなぁ…しかも繁殖スピードが尋常じゃないんだ」

「無理無理無理!私は今回パス!」

私は顔の前で手でバッテンを作って拒否すると

「ミヅキ…お前蟲が駄目なのか?」

アランさんがニヤニヤと笑う。

「無理!ヤダ!絶対下に降りない!」

ただでさえ虫が嫌いなのに…魔物の蟲なんて絶対に嫌だ!

なんか…緑色の血とか出てきそうだし…

先程から鳥肌が治まらない。

「私は今回の報酬いらないからみんな…頑張って!」

「ふーん…じゃあ俺がミヅキの代わりに行こうか?」

アランさんが言うと

「お願いします!」

私は頭を下げた!

「ふふん…一つ貸しだからな」

アランさんは笑うと剣を取り出した。

「じゃあ行くか?」

「おう!シルバ達は大丈夫か?」

ベイカーさんがシルバ達を見ると

【問題ない!ミヅキがこんなに嫌がるならすぐに根絶やしにしてやる!】

グルル!と唸りながら地面を蹴っている。

【僕もその緑色の血が出ないように全部焼き尽くしてあげるからね】

【シルバ~シンク~頑張って!】

【じゃあ私も今回は咆哮の方で殺るかな】

【どうしよう…ちがでるのミヅキいや?】

コハクが困っていると

【大丈夫だよ、見ないから!】

私は笑顔で答える!

あんな蟲が大量に倒される様子なんて見たらトラウマになる!絶対見るもんか!

【じゃあムーも行くな?レムはミヅキといてくれるか?】

シルバが聞くと

【はい。ミヅキを守っています】

レムが私のそばにくると

【じゃあレムと私はあっちで何か食べられそうな物でも見つけてようか?】

気持ち悪い蟲からすぐに離れたかった私は頑張って!とみんなに言うとレムとそそくさとその場を離れた!
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