ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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9章

500.贈り物

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ムツカの案内で一軒のお家に来ると…

「ここだ!」

ルンバさんが勢いよくトビラを開けてみんなに声をかける!

勢いがよすぎて扉が取れかけているが今は誰も気にしない!

プラプラとくっ付いている邪魔な扉をベイカーさんが引き剥がすと部屋の中へとリリアンさんを運ぶ。

すると中から年季の入ったおばあさんが出てきた…

「あー!わしの家の扉が!」

おばばは、壊れた自分の家の扉を見ると

「そんなの後でもっといい物に直してやる!それよりも妻を見てくれ!」

ルンバさんはおばばを抱き上げてリリアンさんの前に置くと

「この馬鹿たれ!わしを物みたいに置くな!」

ゴツンとルンバさんの頭を叩くと

「どれどれ…」

「よろしくお願いします…今はそんなに痛くないんですけど…」

今は顔色の良いリリアンさんの具合を見ようとして…ピタッと手を止める…

「ど、どうしたんだ!?」

「なにか不味かったのか?」

「もしかしてもう産まれちゃった?」

運んできたみんなが心配そうにリリアンさんを囲んでいると…

おばばは持っていた杖で冒険者達の頭を叩いていく!

ゴンッゴンッゴンッゴンッゴンッ!

「いってぇ~!」

みんなが頭を抱えると

「さっさと出ていけ!ここからはわしとルンバと…そうだな…この娘二人に手伝ってもらう!他の奴らは邪魔だ!出てけ!」

「は、はい!」

「失礼します!」

また杖を構えたおばばに驚いて冒険者達はすぐに家を出ていった!

「えー!俺もかよ!」

ベイカーさんがただ一人残っていると

「お前…他人の家の妻の全てを見る気か?ルンバが許すんなら構わんが…」

おばばがルンバを見ると…

「ベイカー…出ていけ」

恐ろしい顔で睨んでいる!

「わ、わかったよ!」

ベイカーが家を出ようとすると

「あーついでにその扉直しておいてくれ!そこのちっこいのそこにある仕切り板を扉から見えないように立てといてくれ」

ミヅキとムツカにおばばが頼むと

「「はい!」」

私とムツカでよいしょよいしょと仕切り板を運ぶ!

「お、俺はどうすれば…」

一人ウロウロと大きな体でリリアンさんの周りを行ったり来たりしていると

「お前はここにじっと座っていろ!お前がそんなんでどうする!大変なのは頑張っているリリアンと赤ちゃんだぞ!背中をさすって少しでも楽にさせてやってるんだ!」

おばばが怒鳴ると

「は、はい!」

ルンバさんはリリアンさんの枕元の椅子に座ってリリアンさんの背中を撫でる。

「ふぅ~なんか少し楽になりました…」

汗を流しながらリリアンさんが笑うと

「そこの!お湯を沸かして来い!もう一人は汗を拭いてやるんだ」

「はい!おばばコレでいい?」

私は魔法でお湯を出すと

「魔法か?ふーん…お前使えるねぇ…名前は?」

「ミヅキです!魔法なら得意です!なんでも言ってください!」

「お前がミヅキか…確かに聞いてた通りの子だね」

おばばはニヤッと笑いと

「清潔な布があっちの部屋にあるから取ってきな!」

「はい!」

「ムツカは母ちゃんの汗をしっかりと拭き取ってやるんだよ」

「う、うん…」

不安そうなムツカにおばばは

「お前は姉ちゃんになるんだろ?そんな顔してどうする!赤ちゃんも頑張ってるんだしっかり応援してやんな!」

「は、はい!リリアンさん…赤ちゃん頑張れ!」

ムツカは泣きそうになるのをぐっと堪えてリリアンさんのおでこを優しく拭うと

「ありがとう…ムツカ…うっ…」

さっきまで楽そうだったリリアンさんの顔がまた痛みで歪む…

「しっかりしろ!」

ルンバはリリアンさんの手をギュッと握りしめるとゴシゴシと背中を撫でる!

「ふーふーふー」

リリアンさんの荒い呼吸が聞こえて来ると

「さぁここから長いよ!みんなしっかりとついてきな!」

おばばがパンッ!と手を叩いた!


ベイカーはおばばの家の扉を直すと何処かに行く気分でもなくおばばの家の前をウロウロとする…

すると何かの気配に振り返るとシルバ達が泥だらけで帰ってきた。

「お前ら…汚いな…」

「ガウッ!」

うるさいとでも言うようにシルバが吠えると

「ミヅキだが今この家の中にいるんだ、リリアンさんが産気づいてな…手伝ってる」

ベイカーの説明にコハクがくるんと人型になると

「ミヅキとはなし…できないの…」

さみしそうに顔を曇らせると

「あー今中は慌ただしいから意識がそっちにいかないんだろ、産まれるまでは出てこないと思うぞ」

ベイカーが苦笑すると

「ガウッ…」

シルバが不満そうにしている。

「お前らも大人しくしておけ、今邪魔しに行ったらミヅキだって凄く怒ると思うぞ…こういう時は男は大人しく待ってるもんだ」

そう言うとシルバ達を見つめて

「時間もかかりそうだ…お前ら少し身体を綺麗にしてこいよ。そんななりでミヅキが出てきた時に抱きつけないだろ?」

シルバ達は自分の身体を確認すると

「じゃぼくたちきれいにしてくるよ」

少しさみしそうにシルバ達は町から出ていった。

シルバ達は町の外に出ると川辺を目指した

【ミヅキに会えないなんて…丸一日会えないとか耐えられない】

ドサッと地面に伏せると

【仕方ないだろ、ミヅキの楽しみにしてた子が産まれるんだろ?さすがに邪魔したら一日じゃなくて一週間くらい避けられるかもしれないぞ】

プルシアが自分の身体を綺麗に擦りながら話しかける。

【あんなに遠くに行くんじゃなかった…】

【シルバのせいじゃん、どんどん追いかけて遠くに行ったの~】

シンクも近くの水場で軽く水浴びをするとパタパタと水気を飛ばす。

【シルバおじちゃんもあらう?】

コハクがシルバをよいしょよいしょと引っ張りながら川の方へと連れていくと

【ほら面倒だ…ムー、レム!シルバを川に放り投げろ】

プルシアがやれとムー達に言うと

いいのかな…と戸惑いながらポンッとシルバに体当たりして川へと落とす!

「ギャン!!」

ぼぉーっと伏せっていたシルバは川に落ちて驚いて川から飛び出ると…

ブルブルブルと水気を豪快に飛ばす!

風魔法で毛を乾かすと

【会えなくてもやはり近くで感じていたいな…やっぱり町に戻ろう】

シルバがシンク達を見ると

【うん、僕もその方がいいな】

【そうだな、安全な場所とはいえ近くにいたいな】

【さんせー】

ピョンピョン!

【ムーもその方がいいみたいです!もちろん私も…】

従魔達の意見が一致すると…

【でもさーせっかくなら何かミヅキの為にお土産でも取っていかない?】

【土産?肉があるだろ?】

大量に仕留めた魔物の肉の事を言うと

【そうじゃなくて産まれてくるって子に何かしてあげればミヅキも喜ぶんじゃないの?】

【例えば?】

【えっ…し、知らないけど…花とか?祝福出来るもの…かな?】

シンクが自信なさげにプルシアを見ると

【レムは何か知らないか?お前はミヅキ寄りの知識があるんだろ?】

【そうですね…ちょっと調べてみます…】

そう言うとレムの動作が止まる…何かを調べるようにじっとしていると…

【…んー…どうやら産まれてくる子にやはりお祝いを渡す事があるみたいです…子供の服やおむつ…ってなんでしょう?】

【知らん】

【その子の為になる物ならいいのか?でもそんなもの思いつかんぞ】

【ならミヅキにあげたいと思う物でいいんじゃない?お揃いであげたら喜びそう!】

【いいとおもう!ミヅキおそろいすきだ!】

【なら…こんなのはどうでしょう…】

プルシアは何か思いた様子でシルバ達に提案してみた…
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