ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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9章

474.ホウレンソウ!

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「だから止めたんだ」

ルンバが呆れると…

「すまんなぁみんな、今日はこれで店を閉める。料金は要らんから食べたら帰ってもらえるか?」

申し訳なさそうに客達に声をかける。

「なんか大変そうだな。俺は飯がタダになるなら問題ないぞ」

みんな笑って席を立ってくれた。

「すまないな、今度サービスするから」

ルンバが謝ると

「おじさん達ごめんね…また来てね!」

ムツカが手を振ってお見送りする。

「また来るよ!ムツカちゃんまたな」

「バイバイ!」

ムツカに笑顔を向けて帰って行った。

そのまま扉にクローズの看板を下げて扉を閉める。

「お客さんがいなくなったからシルバ達も中に入ってくれ」

ルンバがふたりを招き入れると

「久しぶりだなぁ…何か食うか?」

シルバ達に声をかける。

【食う!】

「くう!」

「じゃあハンバーグだな。こいつらに食わせてる間にお前とムツカは行く準備しててくれ」

「わかったわ、まさかポルクスが結婚ねぇ~ムツカちゃん服を用意するから手伝ってくれる?」

「うん!」

リリアンとムツカが奥にいくとルンバが余った材料でハンバーグを作り始める。

「う、うーん…」

すると気を失っていたネイトが目を覚ました。

「あ、あれ?俺は…」

キョロキョロと周りを見るとヨダレを垂らしそうな顔でルンバを見つめるシルバが目に入った!

「ぎゃー!ル、ルンバさん!食われますよ!」

ネイトが逃げようとすると

「大丈夫だ、こいつらは従魔なんだよ」

ルンバさんが説明すると

「な、なんだ…そうなんですか?でも誰の?この子のですか?」

コハクを見ると

「この子も従魔だよ」

「えっ!」

「さっき狐になっただろ?あれが本当の姿だ」

「へ、へぇ凄いですね、そんなに従魔を連れてるなんて…どんな方なんですかご主人は」

「ミヅキだよ」

「ミヅキっていつもみんなが話してるミヅキちゃん?確か…料理が上手って言ってましたけど…」

「そうだよ」

コハクが頷く。

「ぼくらのごしゅじんさま」

にっこりと笑う。

「それでネイト今日はもう店閉めたから明日も店を休むからお前も休みでいいからな」

「あっ…わかりました…でもルンバさん達ははどうするんですか?」

「俺達はポルクスが結婚するらしいんでお祝いに行ってく」

「あっ俺の前に料理作ってた人ですね!俺まだ会ったこと無いんで会ってみたいなぁ~王都で店持ってるんですよね!憧れるなぁ~」

ネイトがいいなぁと羨ましがっていると

「ならお前も来るか?」

「いいんですか!」

「多分大丈夫だろ。料理作れる人は多い方がいいからな…」

ルンバがボソッと言う。

「いやぁ楽しみだなぁ~」

よく聞いてなかったネイトは準備してきますと急いで店を出ていった。


「はい出来たぞ!」

ルンバがハンバーグをさんにんの前に置くと

【【【いただきます】】】

大きめのハンバーグにかぶりつく。

【うん、まぁまぁだな。ミヅキのには負ける】

【でもミヅキの味に似ているな】

「うまいよ!」

ガツガツと食べていると

「お待たせ~あなたの服も用意しておいたわよ」

荷物を持ってリリアンとムツカが出てきた。

「おい!重いものは持つなって言っただろ」

ルンバがリリアンから荷物を受け取ると

「ありがとう。あれ?ネイトは?」

さっきまで寝ていたところにいないネイトを探す。

「ポルクスに会ってみたいって言うから来るか聞いたら行きたいとよ。どうせ料理を沢山作るだろうから役にたつだろ」

ルンバが言うと

「まぁそうね!ちょうどいい料理の勉強になるんじゃない?」

リリアンも笑って賛成する。

「じゃあネイトが戻って来たら行こう」

ハンバーグを食べてご機嫌のさんにんは頷いた。

ネイトは急いで自宅に戻ると荷物を慌ててまとめて家から飛び出した。

するとゾロゾロと歩く冒険者達に行きあった。

「あれ?何かあったの?そんなに集まって」

ネイトが顔見知りの冒険者に声をかけると

「いや…知った子が帰ってきたと思ったんだけど、どうやら勘違いだったみたいで…」

ガッカリとしながら話している。

「ふーん…まぁいいや、今日からしばらくドラゴン亭休みになるから馴染みの奴らに言っといてよ!」

「えっそうなのか?じゃあ飯どこで食うかな…」

「なんで休みなんだ?」

冒険者が聞くと

「結婚式があるんだ!」

「えっ?ただ、誰の?」

「前にドラゴン亭にいたポルクスさんらしい、相手は知らないけど…あっ!じゃあ俺急ぐから!」

ネイトが手を挙げて走り去ると

「はぁ…ドラゴン亭でハンバーグを食べようと思ってたのになぁ…じゃあホットドッグにするかなぁ…ミヅキちゃんもいないしハンバーグも食べれないし散々だなぁ…」

「しかしポルクスが結婚かよ…アイツ確か今王都だったよな」

「王都でかわい子ちゃんでも見つけたんだな…羨ましいよ」

はぁ…とため息をつく。

「こっちは変な情報に踊らされるし…」

ジロッと男をみんなで見つめる。

「悪かったよ…でも確かに見たんだけどなぁ…」

門番をしていた男が首を傾げる。

「誰もいなかったじゃねぇか。町でも見た人いないし」

「俺が叫んだから引き返したのかなぁ」

「もしミヅキちゃんなら絶対ギルドに来るだろうし…まぁ勘違いだったんだよ!下手に報告する前でよかったよ」

「そうだな…」

納得行かない様子の男はおかしいなぁとずっと首を傾げていた。


「お待たせしました!」

ネイトが急いで戻って来ると、準備を終えたみんなが待っていた。

「よし、じゃあ行くか!店の食材は全部入れたな?」

「うん!大丈夫」

ムツカが頷く。

「えっ…食材持っていくんですか?」

ネイトが聞くと

「ここに置いといても勿体ないからなどうせ向こうで必要になるだろうし」

「食材が必要?」

「まぁ気にするなさぁ行くか」

ネイトを無視して裏から外に出ると

「じゃあむこうにかごあるから」

コハクがあっちだと指をさす。

「一回町の外に出るみたいね」

【俺達は先に出てる、コハク案内してくるんだぞ】

シルバとプルシアはそういうと何処かに行ってしまった。

「あれ?あのふたりは?」

リリアンが聞くと

「さきいくって、ぼくあんないする」

「じゃあ一緒に行こ」

ムツカはコハクの手を掴むと二人で手を繋ぎながら歩き出した。

ルンバとリリアンはそんなに二人の後ろを笑いながらついて行く。

門に着くと

「あれ?ルンバさん達お出かけですか?」

門番に立っていた男が声をかける。

「ちょっと出かけて来るからしばらくドラゴン亭はおやすみするからね」

リリアンが代わりに答えると

「そうなんですか?あれ?ムツカちゃんと…その子は?」

コハクに気がついて声をかける。

「まぁ知り合いの子だ。身元は俺が保証するから」

ルンバさんが言うと

「ムツカの友達なの!」

ムツカが嬉しそうにコハクを見ると

「ともだち!」

コハクがニコッと笑う。

「そうなんだ、ムツカちゃんよかったね。まぁルンバさんがいるから大丈夫だと思いますが気をつけて」

門番が道を開けると…

「じゃあ行ってきますね」

「行ってきます!」

リリアンとムツカが手を振ると

門番も笑顔で手を振り返した。

「あの子…聞いてた外見に似てるけど…ルンバさん達といるなら違うよな…従魔も連れてないし」

門番はムツカちゃんと仲良さそうに手を繋いで歩いてる金髪の男の子を見つめた。

しばらく歩いていると…コハクがピクッと反応する。

「こっち!」

急に道を変えて歩いて行くと…シルバと元の大きさに戻ったプルシアが森の中で待っていた。

目の前に置いてあった籠にコハクが乗り込むと

「これにのって」

中から乗れと手招きする。

「うわぁー!すごい!これもミヅキ様が?」

ムツカが躊躇うことなく乗り込むと

「コレで行くの?大丈夫?」

リリアンが恐る恐る乗り込む。

ルンバがリリアンに続いて入ろうとすると…

「待って!」

ネイトがルンバさんを引き止める!

なんだとばかりに振り返ると…そこには真っ青な顔のネイトがいた…

「どうしたんだ?」

ルンバが聞きと

「あ、あれは?」

ルンバさんに隠れながらプルシアをちらっとみている。

「あれ?プルシアのことか?さっき店にいただろ」

「えっ!あの小さいかったドラゴンなんですか!」

「あれが元の姿らしい」

「どんだけ姿がみんな変わるんですか…まさか!あの黒い従魔も?」

「いや、シルバは多分あの姿だけだと思うぞ」

「そ、そうですか…」

何となくほっとするとルンバさんにピッタリとくっついて一緒に籠に乗り込む。

【乗ったな?じゃあ行くぞ】

プルシアがコハクに声をかけると

【いいよー】

「しゅっぱつー!」

プルシアがコハクの掛け声と共に飛び立った。

「と、飛んでる…」

ネイトがヘタっと座り込んでしまった。

「わぁー!高い!高い!」

ムツカは外を見ながらぴょんぴょん跳ねていると…

「ム、ムツカちゃん…お願い…じっとして…」

ネイトが力なくムツカに手を差し伸べて頼むと

「ネイトさん?どうしたの?」

ムツカが心配そうにネイトの顔を見る。

「いや…ちょっと高いところ苦手で…」

ネイトが苦笑いをすると

「じゃあムツカが手を繋いであげる!これで怖くないでしょ?」

にっこりと笑ってネイトの手をギュッと強く握る。

ムツカの温もりにネイトは少し笑う余裕ができた。
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