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8章

463.でっかい花火

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シルバはコハクとディアナを乗せると建物の上に登りあっという間に人を撒く…

【よし…いいだろ】

郊外まで来ると高い木に登りディアナとコハクを降ろした。

「は、早い…」

【か、かおが…】

二人の髪は後ろ向きに飛び跳ねていた…

どこにも人の目が無いのを確認してコハクは幻影と変化を解いた…

ミヅキはいつもの姿に戻ると

「うーん!解放的!やっぱり落ち着く~」

グーンと伸びをする。

「みんなは上手く逃げられたかなぁ?」

【大丈夫だろ、仮に捕まったとしても別に問題はない】

【シルバは厳しいなぁ~】

ミヅキが苦笑するとコハクがよろよろとミヅキに近づく

【はぁ…ミヅキ…ぼくちょっとつかれちゃった】

コハクがコテンとミヅキに寄りかかった。

【コハク!大丈夫?ごめんね…無理ばっかりさせちゃって…】

ミヅキはコハクを抱き上げるといい子いい子とふわふわの毛を撫でた。

気持ちよさそうにしているコハクに回復魔法をかける。

【今日はゆっくり休んでね、後で揚げを使ったご飯あげるからね】

【あぶらあげ!?】

コハクがピクンと反応する。

【うん、あぶらあげ!】

やった!やった!とコハクはミヅキの腕の中でモゾモゾと悶えていた。

【ミヅキー】

木の上で休んでいるとシンクの声がしてきた。

【シンク?】

ミヅキは木の間から顔を出すとシンクとプルシアが飛びながらこちらに向かっていた。

【ミヅキおかえり~】

シンク達はミヅキ達が休んでいる木の枝に止まる。

【どうしたの?ふたりともお留守番は?】

【空にミヅキの魔法が上がったから気になって】

(あー、花火の事かな?)

【ごめんね驚いちゃったかな?あれは攻撃とかじゃないから大丈夫だよ。見て楽しむものだから】

【そうなの?だから綺麗だったんだね】

【あれは火魔法だからシンクとやれば大きくて綺麗なのが出来そうだなぁ!】

ミヅキの言葉にシンクがやってみたいと言い出した。

【いいよ~】

ミヅキは軽く答えるとシンクに花火のやり方を教える。

【じゃあ私が上げた火の玉に周りにシンクの玉を載せてみて】

【わかった!】

ミヅキはあんまり目立たないように小さめの火の玉をあげると…

【シンク!今だよ!】

シンクに合図をするとシンクがでっかい魔力を載せてきた…

【えっ…シンク?ちょっと…魔力が高くない?】

でっかい火の玉にさすがのミヅキも顔が引き攣る。

空高く火の玉が上がると…

【解放~】

シンクが楽しそうに言うと…

【ちょ!待ってシンク!】

それを解放したら偉いことになる!

ミヅキが止めようとするが事すでに遅し…空に巨大な花火が上がった…

それを見たベイカー達は

「あいつは何をしてるんだ…」

呆れて走って逃げていた足も止まる。

「お前もう少しちゃんと教育しておけよ。あれじゃ逃がした意味ないじゃないか」

先程までベイカー達を追っていた人達が花火に向かって方向転換をする。

デボットを追っていた人達も同様に花火に向かった!

アルフノーヴァさん達を追っていた人達も足を止めると…

「あれはディアナ様が見せた魔法?て事はこの人は偽物なのか?」

追っかけて来る人達が迷っているとアルフノーヴァはミヅキと同じように花火を上げた。

「あちらより小規模ですが目くらましにはなるでしょう…」

アルフノーヴァが花火を連発しながらギルバートと逃げる。

「あっ!やはりあの人がディアナ様だ!」

花火に向かって走って行くと前を走るマントに身を隠した人に声をかける。

「すみません!ディアナ様!お話だけでも聞いて下さい!」

「ずるいぞ!ディアナ様!是非私と…ディアナ様の為ならなんでも致します!」

隠すこともやめてディアナディアナと声をかけてくる。

「おお、おお。あいつらとうとう堂々と声をかけてくるようになったぞ!」

ギルバートはおかしそうに楽しんでいる。

「これだけ引き連れれば大丈夫そうですかね?」

ミヅキが放ったと思われる花火からだいぶ遠ざかると足を止めた。

追いかけて来た人達が周りを取り囲む…ギルバートはアルフノーヴァを庇うように立っていると

「いつもと立場が逆ですね」

「そうだな」

アルフノーヴァとギルバートが笑っていると

「お願いです!一言ディアナ様とお話を!」

「私もお願いします!どうしてもディアナ様に聞いて欲しい話が!」

「そういうのはリングス商会を通してくれないか?直接こられても迷惑だ」

ギルバートが男達に言うと

「あいつらはディアナ様を騙しているんです!こんな時だけしか外に出れないで…監禁以外の何ものでもない!」

「そうだ!」

「よろしければ是非ともうちの商会に来てみませんか?今よりも高待遇をお約束します!」

「なんだ?お前ら全員商会の人間か?」

ギルバートが周りを見ると

「そんな事はどうでもいいです!ディアナ様もう一度お顔を…」

ジリジリと近づいてくる男達にギルバートは呆れると

「確かにこんな奴らばかりだと逃げたくもなるわなぁ…」

はぁ…とため息をつく。

「ベイカーさん達が一生懸命隠そうとする意味も分かりますね」

アルフノーヴァがボソッとつぶやくと…

「男の声!?」

マントの奥から聞こえる声に男達の足が止まる。

アルフノーヴァがサッとフードを脱ぐと…

「くそ!騙された…」

男達は一斉に先程の花火の方に向かって走り出した!

「今更行っても遅いと思うけどな…」

ギルバートが笑うとアルフノーヴァをみる。

「あいつらの顔は覚えたか?」

「ええ、もちろんです」

こくっと頷くとギルバートは満足そうに里へと向かいだした。
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