ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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8章

442.アラン

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「アランさん…さっきあの男の刑罰について聞きに来ましたよね?」

「な、なんの事だ?」

アランが顔を逸らすと

「あっ…なんかセシルが呼んでる気がする…」

アランがふらっとセシルの元に行こうとするのをベイカーがガッチリと肩を掴んで止める。

「セシルさんなら向こうでみんなと楽しくラーメン食べてるよ…それよりもアランさんに聞きたいんだけど?まさかあの話ミヅキにしてないよな?」

「べ、ベイカーくんちょっと肩が痛いよ…それにほら、せっかくのミヅキの飯が冷めちゃうよ」

ベイカーは飯を収納にしまう。

「ほら、これで大丈夫だアランさんもそれしまえばいいだろ」

ベイカーがアランが大事そうに持つ焼き飯をチラッと見ると

「アラン隊長…私が預かっておいてあげるよ!二人はゆっくり話があるみたいだから…ごゆっくり~」

ミヅキがアラン隊長から焼き飯を奪うとくるっと後ろを向く。

「待て、ミヅキ…お前にも話があるからな…」

ギクッ!

ミヅキは足を一瞬止めると…ばっ!と走り出す!

「ミヅキ!待て!」

「ミヅキ!狡いぞ!」

アランは逃げ出したミヅキに便乗して油断したベイカーから逃れるとミヅキと反対方向に逃げる!

「シルバ!アランを捕まえろ!」

【なんでお前の言うことなんか…】

シルバが嫌だと欠伸をしていると…

「捕まえてくれたらさっきミヅキから貰った飯をやるぞ!」

【なに!それなら話は別だ!】

シルバはアランを追いかけた!

ベイカーはあっさりとミヅキを捕まえると…

「なんで逃げた?やましい事があるんだな?」

ベイカーはミヅキをしっかりと抱きしめて顔を覗き込むと…

「アランさんから聞いたのか?村長の処罰を…」

「う、うん…」

「はぁ…」

ベイカーがため息をつくと

「ミヅキがそんな事知る必要ないだろ…だから黙ってたのに…」

「だって…秘密にされると気になるよ!」

「そりゃそうかも知れないが…どうするんだよ…」

「何が?別にいいと思うよ私が罰を執行する訳じゃないし」

ミヅキがケロッと答えると

「おま…まぁ女と男の解釈は違うのかな…実際やったのは受付嬢だしな…」

「えっ!お姉さん達が切ったの!」

「知らなかったのか?」

うんとミヅキが頷くと

「しまった…流石のアランさんもそこまでは話して無かったのか」

ベイカーが顔を顰めると

「そっか…お姉さん達凄いね…なんか怒らせたら怖そうだもんね!セバスさんみたい」

「それだよ…お前セバスさんになんて言うんだよ。ミヅキに去勢なんて話したなんて知れたら…」

「わ、私も怒られる!」

「まぁそうなるな…」

「べ、ベイカーさん…ここは手を組みましょう」

ミヅキが手を差し出す…

「ベイカーさんも私に口を滑らせたし…あとはアラン隊長の口を封じれば大丈夫です!みんな知らなかった…これで平和です」

ミヅキが真剣な顔でベイカーを見つめると…

「確かに…このままだと俺にもとばっちりがきそうだな…しょうがないさっきの飯をシルバの分と大盛りで手を打とう!」

「交渉成立だね!」

ミヅキとベイカーはガッチリと手を組んだ!


「くっそ!まだ追いかけてくる…」

アランはその頃シルバから逃れようと全速力で走っていた…

城壁を飛び越えて王都を飛び出してもなおシルバは追いかけてきている。

【ハッハッハっ!まだ逃げる気か?諦めてたらどうだ!】

シルバがどんどん間合いを詰めると…

「やばい!追いつかれる!」

アランはサッと身を翻して横に逸れる!

【チッ…】

アランを前脚で捉えようとしていたシルバは肩透かしをくらう。

「ま、待て!シルバ!話し合おう!」

アランが両手でシルバを制止させるとシルバがジリジリとにじり撚っていた脚を止める。

「ベイカーから何かで頼まれたんだろ?俺はその倍を出すぞ!」

ピクッ!

シルバの耳が反応する…

【いや…待てよ、ミヅキの飯をこいつが頼んで作ってくれるとは限らんな…】

シルバが再び歩き出すと

「ほら!今流行ってる王都ドッグ知ってるか?あれを百本やろう!」

【あーあれか…あれならミヅキの飯の方がいいな】

シルバはニヤッと口角を上げるとアランに襲いかかった…


ミヅキとベイカーはアランとシルバが戻って来るのを待っていると…シルバがアランの首根っこを噛みながら戻ってきた…

ダランと腕を垂らしているアランに思わずミヅキが駆け寄る!

「アラン隊長!」

【シルバ!何したの!】

ミヅキに怒鳴られてシルバは慌てて口を開く!

【ミ、ミヅキ!】

シルバが口を開くとアランが頭からゴン!と地面に落ちた…

「アランさん…」

さすがにベイカーも心配すると…

「う、うん…」

頭を打った衝撃でアランが目覚めた。

「アラン隊長…大丈夫?」

「えっ…俺は…」

アラン隊長が頭を抱えると…

「ここは何処だ…?俺は何を…」

アランは目の前にいたミヅキとベイカーを見つめると

「君たちは…いったい…誰だ?」

「「えっーーーー!!!」」

ミヅキとベイカーは驚きのあまり叫び声をあげた!


とりあえずアラン隊長をみんなの元に連れていくと、部隊兵のみんながアラン隊長を取り囲む。

「アラン隊長!俺の事も分かりませんか?」

「アラン隊長!俺に金を貸したことも忘れちゃったんですか!困ります!」

「アラン隊長この前賭けた負けの分も忘れたんですか!」

兵士達がアラン隊長に詰め寄ると

「アラン隊長…」

セシルさんが心配そうに声をかける…

「そんな事されても困ります、アラン隊長にもらわないといけない書類のサインもたくさんあるんですからね!」

「えっ…」

アランはみんなの迫力に怯えた顔を見せると

「ほら!行きますよ!そのうちに思い出すでしょ!」

セシルさん達はアラン隊長を引きずって連れて帰っていった…。

「アラン隊長大丈夫かな?」

【シルバ何したの?】

【何って…捕まえようとしたら抵抗してくるからついちょっと小突いたら…】

シルバがゴニョゴニョと語尾を濁らせる。

【たら?】

ミヅキがジロっとシルバを見ると

【いやぁ避けた拍子にいい所に当たっちまってな、まぁアランなら大丈夫だろうと思って…】

【もう!シルバは強いんだから手加減しなきゃ!】

【いや、手加減してたら逃げられそうだったからな!】

「なんかシルバが小突いた所が悪かったのかな?アラン隊長…あのままでいいのかなぁ…」

ミヅキが不安そうにしていると

「うーん…みんなの方が付き合いも長いし扱いもわかってるだろ…何かあればまた来るだろそれよりも…」

ベイカーはミヅキをチラッと見る。

「約束の物よろしくな」

【そうだ!ベイカー俺との約束も忘れるなよ!】

シルバがベイカーに吠える!

「あっ!アラン隊長の焼き飯…渡すの忘れてた…」

「ならついでに俺が貰っておくよ」

ベイカーが焼き飯を貰おうとすると

「駄目だよ!これはアラン隊長の分!アラン隊長に明日渡して来るよ」

ミヅキはそう言うとベイカーとシルバの分の焼き飯を作ってあげた…。

美味しそうに食べる二人を見ながら…

(アラン隊長も前に作ってあげたご飯でも食べさせたら戻るかなぁ…)

ミヅキはラーメンの残りも収納にしまっておいた…。



アラン隊長が記憶を無くしてとりあえず連れて帰ったセシルはアランを部屋まで案内すると…

「ここがアラン隊長の部屋です。とりあえず今日はもう休んで下さい。明日また迎えにあがりますから」

「え、えっと…」

アランが申し訳なさそうにセシルを見ると

「何か?」

「君の…名前は…」

「はぁ?」

セシルがマジか…とアランを見つめる。

「私はセシルですよ、あなたはアラン隊長!この王都の第五部隊の部隊長です…って本当に忘れてるんですか?」

いつものお巫山戯かと思っていたセシルが聞くと

「す、すまん」

アラン隊長が謝る…その様子に…

「ま、まぁ一日寝れば治るかも知れませんし…明日八時には迎えに来ますから…」

「ああ…わかった。よろしく頼む」

アランはお礼を言うと

「では…おやすみ」

挨拶をして部屋に入っていった…

セシルはその様子に口を開けたまましばらく唖然としていた…。

「な、なんだあの礼儀正しいアラン隊長は…」

セシルはぶるっと背筋に寒気が走ると…

「まぁ明日には戻ってるだろ…」

そそくさと部屋に戻っていった…
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