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8章

430.依頼

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リュカ達がオークを片付けていると…

「カイ!リク!どうだ、大丈夫か!?」

リュカが二人に声をかけると

「こっちは片づいたよ」

「こっちも問題ない」

二人が地面に突っ伏しているオークを足蹴にして立っていると

ボッ!!

ミヅキ達がいた方から何かが燃え上がる音が聞こえた…三人は嫌な予感に顔を見合わせると…

「「「ミヅキ!」」」

三人が急いでミヅキ達の元に向かうと…そこには真っ黒焦げになっている地面があった…。

「これは?」

「なんのあと?」

ミヅキ達のなんともない様子にホッとして、離れた場所にある不自然な焦げ目に目がいく…

【脂がのってたからよく燃えた】

シンクがしれっと答えると

「もしかして…オークがこっちにきたの?」

カイが聞くと

「一体…ね、リュカ達から見えないように移動してきたみたい。シンクとプルシアが…」

ミヅキが苦笑して答える。

「ご、ごめん!僕ら目の前の奴らに夢中になりすぎました!」

リュカがシンク達に謝ると

「やっぱり…僕らだけじゃ駄目だね…」

リクもガックリと項垂れる。

【まぁ仕方ないだろう、こいつらには経験が足らなすぎる】

ミヅキがプルシアの言葉を伝える。

「経験か…それならどんどん依頼を受けるしかないなぁ…」

「でも…リバーシとか田んぼの仕事もあるからね」

カイが言うと

「そっちは人も増えるだろうからリュカ達は辞めてもいいんだよ、みんなが冒険者になりたいなら好きなように目指せばいいよ」

ミヅキが笑って言うと

「でも…」

三人は顔を複雑な気持ちで見合わせる…

「あっちの仕事も嫌いな訳じゃないからな…」

「うん、まだミヅキにお礼もし足りないし…」

「そんな事気にしてたの?言ったよね、好きな事見つけたら好きに生きていいって…別に好きな道に進んだからって私達の関係が切れるわけじゃないんだよ」

「そうだな…」

「帰ったら考えて見るよ、でも今は依頼に集中しようぜ!」

リクが元気を出すように二人に言うと

「そうしよう、ここにオークが来てるって事はまだ違う所にもいるかも…」

リュカ達は急いで村に戻って行った。

村に戻ると…

「だ、誰か!」

「オークよ!助けてー」

村の中に数体のオークが入り込んでいた…

「やっぱり…みんなオークを仕留めるぞ!」

リュカがオークに向かって走り出すとカイ達もそれに続く!

村に入ったオークを難なく討ち取った三人に村の人達が集まってきた。

「君達…本当に冒険者なんだな」

最初に出会った村人が驚いた顔をしてリュカ達に近づいてきた。

「おう、おじさん大丈夫か?村の人も無事かな?怪我人がいるなら回復薬があるから」

リュカが声をかけると

「いや、君達が直ぐに駆けつけてくれたから大丈夫みたいだ。本当にありがとう」

「助かったよ…君達小さいのに凄いのね!」

村の人が次々に出てきてリュカ達を称えていると…

「おい!冒険者どういう事だ!村にオークが入ってきたぞ!」

村長が大声で怒鳴りながら家から飛び出してきた!

「村長、彼はオークをちゃんと倒してくれましたよ」

村の人が村長を宥めると

「こいつらはさっき皆が襲われないように見回りをすると言ったんだ!それがこのザマだぞ!これは契約違反なんじゃないのか?」

村長がリュカ達を睨みつけると

「契約違反って…」

カイとリクが呆れる。

「これはギルドに報告したらまずいんじゃないのか?」

村長がリュカ達にニヤッと笑いかけると

「それってどういう意味ですか?」

リュカが睨み返す。

「いや…とりあえずオークの殲滅を早くしてくれ、このままでは村の人に被害が出てしまうかも知れないからな!君達のせいで!」

村長が村人に聞こえるように大声で言うと

「やな感じ」

リクがボソッと呟く…カイとリュカがリクを窘めると

「わかりました、僕らは村の入口に立ってますからオークが侵入しないように…」

リュカがそう言うとみんな連れて外に向かおうとする。

「あぁ…よかったらそこの料理番の女の子は預かっていようか?戦う時には邪魔だろう?」

村長がミヅキを見ると

「結構です」

リクがキッパリと断ると

「善意で言ってやってるんだ!大人の言う事を聞いておけ!」

村長はミヅキに近づいて連れていこうとすると…

「キシャー!」

「ギャー!」

「グルゥ…」

シンク達がミヅキに触れようとする村長に吼える。

「な、なんだこの獣は!」

村長がビビって手を引っ込めると

「私の従魔達です。この子達も居ますから私は大丈夫です。こう見えてもちゃんと戦える冒険者ですから」

ミヅキはシンク達を宥めるように愛おしそうにみんなを撫でるとシンク達が落ち着く。

「ふ、ふん…せっかく好意で言ってやったのに…」

村長は不機嫌そうに言葉を吐くとさっさと家に戻ってしまった…

「なんかすまないね…」

元気になったタミンが村を代表して謝ると

「大丈夫です」

ミヅキが笑って答えた。

「村長もオークが現れてから気がたっていて…君達の先程の戦いぶりをみて安心したよ、でも無理はしないでくれよ」

「そうね、なんならおばさんの家に逃げて来てもいいからね」

村の人が心配そうにリュカ達に言うと

「ありがとうございます、仲間が戻ってきたらオークの集落を殲滅に行くと思うので皆さんはしばらく家で待機してて下さい」

カイが言うと村の人達は頷いて各々の家へと戻って行った。

カイ達は村の入口に向かうと…

「なんなのあのエロ親父!絶対ミヅキ目当てじゃん!」

リクがたまらず文句を言う!

「まぁまぁ、わかんないよ。本当に善意かも知れないし…」

ミヅキが宥めると

「そんな訳ないじゃん!見た?あの村長の目付き!」

「そうだね、だからシンク達だって怒ってたんでしょ?」

カイが聞くと

【あいつ燃やす】

【あいつ吹き飛ばす】

【あいつくしざし】

シンクとプルシア、コハクまで物騒な事を言い出す。

【こ、こら!それはオークにして!】

ミヅキが慌てて止めると

「ほら、その慌てよう。シンク達だって僕らと同じ気持ちだろ?」

リュカがミヅキを見ると

「もっと物騒だよ…」

ミヅキが聞こえないように呟く…

「いい、ミヅキ!絶対この村で一人になっちゃ駄目だからね!」

「そうだぞ!特にあのエロ親父のそばには行くなよ!」

「ベイカーさん達まだからなぁ…早くこの依頼終わらせて帰りたいよ!」

リュカ達はハラハラしながらベイカー達の帰りを待っていた…


その後もベイカー達は帰ってこないがオークが数体が村に現れていた…

「また来たよ…」

リュカがオークを見つけると

「何体目?」

「うーん…もう三十近くきてない?」

カイが倒したオークの数を数える。

「最初依頼を見た時はもっと簡単な仕事だと思ったのになぁ~」

リクがため息をつくと

「オークの数は嘘だし、村長は最低だし…散々だよ」

「初依頼がこんな事になるなんて…」

リクとカイががっかりしていると

「俺達も二人だけの依頼は散々だったよ」

リュカが笑う。

「きっといつか笑い話になると思うから頑張ろ!」

ミヅキが二人を応援すると…

「まぁ…ミヅキのその姿見れただけでもよかったかな…」

「そうだね、こうやって一緒にいられるしね、悪い事だけじゃないかも」

二人は頷き合っていると…

「おーい!」

コウの声が聞こえてみんなが見ると、コウとテオが手を振りながらこちらに向かってきた!
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