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8章

413.家族

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「すまなかったな…君らの事を疑っていたわけではないんだが…ああいう場合はなかなか証明が難しくてな…」

副ギルがリュカ達にすまなそうに声をかけてきた。

「君らへの報酬は半分とは言ったが普通に払おうとしていたんだ…ああ言っておけば向こうも納得すると思ったがどうやら目的が違ったようだな」

そう言ってリュカ達の剣を見ると

「あいつらもいつもあんな馬鹿な事をするわけじゃないんだ…ちょうどランク上げが停滞していて…苛立っていたらしく…最近評判が悪くなっていてな…しかし犯した罪はしっかりと償わせるからな」

副ギルがそう言うと

「僕らも油断していたし、いい勉強になりました」

「そうだな…ミ…あいつに会ってからぬるま湯に浸かってるみたいな感じだもんな!ちゃんと身を引き締めないと!」

「…君達本当に13才?年齢偽ってない?」

お姉さんがリュカ達の態度に疑いの目を向ける。

「僕ら正真正銘13才の子供です!」

「今どきの子はしっかりしててすごいわね…」

お姉さんが苦笑すると…

「はい、これが今回の報酬よ。副ギルとも話して迷惑料として少し多めにしておいたわ、これに懲りずにまた依頼を受けに来てね」

「ありがとうございます!」

「もちろんです!これからもよろしくお願いします」

リュカとテオは笑顔で報酬を受け取った。


ギルドの仕事を終えた帰り道…

「それにしてもムーのおかげで助かったよ!」

リュカが頭に乗っているムーに声をかける。

「よくゴブリン取ってきてくれたね!」

テオもムーを褒めると

[あの人達が何か企んでいる感じでしたので地面に埋めた所でムーに回収させました]

レムがしれっと会話に加わった。

「「レム!?」」

リュカとテオがいきなり現れたレムに驚き声をあげる。

「レムもいたのか!」

「なるほど…でもそのおかげで助かったよ、レムもムーもありがとうね」

リュカとテオがお礼を言うと

「あとミヅキにも感謝だな…」

「そうだね、絶対にミヅキの指示だろうからね、帰ったらお礼を言わないとね」

「よし!じゃあこの報酬で何かお礼になるもの買おうぜ!」

「それいいね!ミヅキへのプレゼントだね」

「ムー達にもお礼したいから欲しいものがあったら言えよ!」

「そうだね!遠慮なく言ってよ。僕らこう見えても結構お金持ってるからね!」

リュカとテオが袋を見せて笑う。

[ムーは底なしにご飯を食べますが問題ないですか?ミヅキと同じ程のお金でしょうか?]

レムが聞くと…

「ミヅキと同じ…ではきっとないよね」

「そうだな、でもミヅキってどのくらい稼いでるんだろ?食以外の欲がないからお金使ってるところ想像出来ねえな?」

「そうだね…でもリバーシの工場の従業員とか僕らのお給料とかも最初ミヅキのお金で払ってるって言ってたからなぁ…」

どのくらいだろうな…と二人で話していると…

[約白金貨100枚程ですね]

レムがあっさりと答える。

「「100枚!!」」

あまりの額に二人とも言葉を失う…

[リュカとテオも同じくらいですか?]

レムが聞くと…

「「ない!ない!ない!」」

二人は頭が取れんばかりに首を振る!

「はぁ…ミヅキすっげえな…なのにまだ働くのかよ…」

「あれは…働いてるって言うのかな?」

テオが苦笑すると…

「この話は聞かなかったことにしよう」

「そうだね、それがいいよ。レムもミヅキの秘密をあんまり話さないようにね」

テオが注意すると…

[承知してます。ミヅキが気を許している人にしか話しませんので問題ありません]

「「えっ…」」

「それって…」

レムの言葉の意味をテオが聞くと

[ミヅキが家族という人達には隠し事無用だと言っておりました…ですから二人に話しても問題ありません]

「そっか…」

「へへ…なんか嬉しいな!」

二人は擽ったい思いで頬を染める。

「よし…ミヅキのプレゼントちょっと豪華にしてやろう!」

リュカがギュッとお金の袋を握りしめると

「僕も…」

テオも嬉しそうにお金を抱える。

「ミヅキには足元も及ばないけど…ムーとレムにも奮発するよ!」

「そうだな!二人とも遠慮しないで選べよ!」

リュカとテオはムーとレムをだき抱えると市場へと駆け出して行った!



先に里に戻っていたミヅキはマルコさん達と合流して教師達の模擬授業の準備を行っていた。

「じゃあ生徒は私とリュカ、テオ、イチカ、サラにライラ、ミト、ラバ、ディア、ニカ、リクにカイとコウ…くらいかな~みんな来ちゃうと仕事もあるし…あと、ギースさん達も受ける?」

「なんで俺達が子供に混ざって受けるんだよ!違和感しかないだろ!」

ギースが怒鳴ると…

「えーだって一緒に勉強出来るよ?」

「そうだが…いや!騙されんぞ!」

「ちっ…」

ミヅキが舌打ちをする。

「こいつぅー!」

ギースがミヅキに拳を向けると…

「まぁまぁ、でも大人向けの教室があってもいいですね、やはりミヅキさんに教壇にたっていただき商人としてのノウハウを…」

マルコさんがギースを止めながらそんなことを言い出すと

「それいいな、ミヅキの料理教室とかいいんじゃないか?」

テリーが口を挟む。

「それもいいですね!いやぁミヅキさんは色んな事を教えられますねぇ~」

「えーやだ。めんどくさい…商人としてならマルコさんが適任だし、料理教室ならテリーさんだって出来るでしょ!」

ミヅキが言うと、マルコさんとギースが考えながら…

「確かにミヅキを教壇に立たせるのはやはり危ないな…」

「そうですね…また何かやらかしそうでハラハラしてしまいそうです…」

二人の言葉に話を聞いてたみんなが納得する。

「うっ…否定しきれないのが悲しい…」

ミヅキが悔しそうにすると…

「まぁ冗談はさておき、では彼らと授業を体験して頂き教師の力量と人間力を判断してくださいね」

「はーい」

軽く返事を返すミヅキにマルコ達は苦笑していた…。


子供達を集めて事情を説明すると…

「なるほど!子供達相手だと油断している教師を見つけて叩き落とせばいいんですね」

イチカが頷くと…

「う、うん?ちょっと違うかな?感じが良さそうな先生を探すって言って欲しいな」

ミヅキが訂正すると

「分かったけど…リュカとテオが帰ってきてないよ?」

みんなが周りをキョロキョロとみる。

「二人は今冒険者の仕事に行ってるんだよ、ちょっと遅いけど…レム達が連絡もないし上手くいってると思うから着き次第合流してもらおう」

「「「えっ!冒険者!」」」

リクとカイとコウが驚いて声を上げ詰め寄る!

「なんで?あいつら冒険者になったの?」

「ずるい!俺もなりたかった!」

「僕もです!リュカ達だけなんて…酷い!ミヅキの救出にも行けなかったし…」

リク達があからさまに沈んでしまう。

「ご、ごめん、みんな冒険者になりたかったんだ…じゃあこれが終わったら登録に行こうよ!リュカ達にもついてきてもらってみんなでパーティ組めばいいじゃん」

ミヅキが慰めるようにいうと

「本当だな!」

「やった!」

「やべぇ楽しみだなぁ~俺討伐に行ってみたい!」

三人がワイワイと冒険者の事で騒ぎ出す。

「男の子ってやっぱり冒険者になりたいんだ…」

ミヅキが苦笑していると

「そりゃあ周りにいる冒険者達を見ていれば憧れる気持ちもわかりますよ」

マルコさんが答える。

「あー!ベイカーさんとかコジローさんカッコイイもんね!」

ミヅキが頷くと

「それにミヅキさんもですよ」

「私?」

「ええ、ミヅキさんだって立派な冒険者ですよね?」

「そうだけど…戦ってるのはシルバ達だからなぁ…」

複雑な気持ちになるが

「その強い従魔を従えてるのは紛れもなく冒険者のミヅキさんではありませんか?」

「そうだぞ、軽んじられていたテイマーがジワジワ人気になってるのはミヅキの貢献が大きいと思うぞ」

ギースも同意する。

「そっか…シルバ達みたいな強くて可愛い従魔と仲良くなりたいのは当然だよね!そういう冒険者が増えてくれるのは嬉しいな」

「なら、僕もミヅキみたいな冒険者になりたい!」

ラバ達がミヅキに声をかけると

「えー…ラバ達には早くない?危ないよ」

「ミヅキだって変わらないじゃん!やりたいー!」

ラバやミト、ディアがやりたいとただを捏ねる。

「まずは順番ね、最初はお兄ちゃん達のリク達から!ラバ達もリク達くらいになったら冒険者登録に一緒に行こうよ」

ラバ達がぷぅーと頬を膨らませると

「クックック…」

ギース達が笑いだした。

「お前らわがままはそのくらいにしておけまずはリュカ達がこなしてる課題を出来るようになってからだぞ」

「はーい…」

ラバ達が渋々納得すると

「助かったよ、ギースさん」

ミヅキがフーっとため息をつきながらニヤニヤと笑う。

「なんだ?いきなり笑いだして?」

ギースが聞くと

「だって…ラバ達は自然にわがまま言えるようになってるし…ギースさんはもうお父さんみたいだし…ふふ…」

口を抑えると

「最近あいつらのわがままがすぎるんだよ!仕方ないだろ!誰かが注意してやらないといけないんだから!」

「別に責めてないよ。嬉しいなって思っただけ!」

ミヅキは楽しそうに冒険者の事を話して笑い合っているみんなを見つめていた。
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