上 下
275 / 687
8章

387.闇ギルド

しおりを挟む
「お、おい…俺達が闘うのって…あの男なのか?」

冒険者の一人が商人に確認すると

「いや、必要なら全員仕留めてもらう…問題無いよな?」

確認すると…

「他の奴らはどうにかなるが…あの男は不味い…俺達では敵わないかもしれん…」

「はぁ?今更何を言ってるんだ!お前達に前金でいくら払ってると思ってるんだ!」

「金なら…返す」

冒険者が苦虫を噛み潰したよう顔で答えると…

「お前…元A級だって言ったよな?どういうつもりだ?」

「A級とは言っていない…あと少しでA級になれるって所で問題が…だが実力はほぼA級だ!」

「なら問題ないだろ?こいつらにA級の冒険者が雇える金が払えるとは思えん。しかもB級以上の実力者を他にも数名雇ってるんだぞ!ちゃんとそれなりの働きをしろ!」

「くっそ…」

そこまで言われて冒険者達は引くに引けなくなった…

ジリッと前に出ると…

「あれ?殺気を飛ばしてやったのに…実力差はわかったと思ったのになぁ…」

ベイカーがブツブツと文句を言うと…

「ベイカーさん、ここは俺達が行きますから」

コジローがベイカーを止めて前に出ると…

「私も行くわ!コジロー様をお守りします!」

ユキさんがコジローの横にピッタリとつくと…

「俺じゃなくて里を守ってくれ」

コジローが苦笑すると…

「そうだな、ここで俺が手を出して収めてもこれからもこういう輩が来るだろうからな…それならここでお前らの実力を見せておく方がいいかもな」

ベイカーが剣に触れていた手を離すとミヅキのそばに下がって行った…

その様子に冒険者達が顔を緩めた…

「あいつが出るわけじゃなさそうだな…」

「この隙にできるだけ戦力を削ろう…」

冒険者達が目で合図すると…頷きあった。

「べ、ベイカーさん…」

ミヅキがコジロー達を見ると…

「心配するなどう見てもアイツらよりコジロー達の方が強いから」

ベイカーが安心させるように言うと…

「それはわかってる、だってあの人達の事鑑定してみたらみんなC級以下の冒険者だったもん」

「へっ?」

「いや…闇ギルドってどんなものか気になって…そしたら元何級って表示されてた」

「なんだそりゃ…それでよくもA級だがB級だかって言えたもんだな…」

ベイカーが呆れると

「だからコジローさん達の心配はしてないよ…でもあの人達ってピースの国の人だよね?」

「まぁ…そうだな…」

「じゃあ闇ギルドとかってピース達に影響が?」

「うーん…奴らの場所を見つけるのは難し、ああいうやつらは特定の場所を作らないからな…」

「そっか…あそこの一人がその闇ギルドの人みたいだけど…やっぱり捕まえても無駄なのかな?」

ミヅキがガクックリと肩を落とすと…

「なんだって?今なんて言ったんだ?」

ベイカーが耳を疑った…

「えっ?やっぱり捕まえても無駄なのかな?って…」

「その前だ!」

「闇ギルドの人がいる?」

「それだ!どいつだ!」

ベイカーが真剣な顔をするので…

「えっと…あの後ろの方にいる右から三番目の人、頭にフード被ってる」

ベイカーが目で追うと…

「あいつか…」

ベイカーはコジローのそばに行くと何やらコソコソと話している…。

話が終わるとミヅキの元に戻って来て…

「ミヅキ、ちょっとコハクを貸してくれ」

「コハク?私はいいけど聞いてみるね」

【コハクいいかな?】

【ぼく?いいよ~人になったほうがいいの?】

「ベイカーさんコハクがいいって人型がいいの?」

「ああ、人型で頼む」

【りょうかい!】

コハクがくるんと回って人型になると…それを見ていた人達がザワついた…

特に闇ギルドの男の目がギラついた。

「コハク…いいか、あの男が必ずお前を襲ってくる…だから油断した隙を見せて木魔法で捕獲出来るか?」

「かんたん!あいつぼくのことジロジロみてきもちわるい!」

「ちょっと!ベイカーさんコハクを囮にしてない?」

ミヅキが怒ると

【コハクはそんなに弱くない、大丈夫だ】

シルバが言うと、コハクが嬉しそうに

「ぼくできるよ、ミヅキみてて!」

コハクが嬉しそうに笑った!

コハク自身がそう言うならとしょうがなしに頷くと…

「ベイカーさん、コハクが危なそうだったら守ってあげてね…」

「当たり前だ…ほかの奴らが危なくなっても俺が見逃すわけないだろ」

「うん、信じてるよ」

ミヅキが頷くと…

「てことでミヅキは大人しくシルバの上にいろ、ここが一番安全だからな!」

ベイカーがミヅキを持ち上げるとシルバに乗せた。

【まあな!】

シルバが嬉しそうに尻尾を振るとミヅキの肩にシンクが止まる。

【僕もいるから大丈夫だよ~】

【なら私は後ろに居ようかな】

プルシアがミヅキの後ろのシルバの上にちょこんと座る。

【ムーとレムもおいで!】

ミヅキが影から見ていたムーに声をかけるとぴょんとミヅキの胸に飛び込んできた!

レムも戸惑っていたのでベイカーさんに抱っこしてもらい膝に乗せる。

ヒポも何処にいようかと迷いながら行ったり来たりしていると…

【ヒポはシルバの隣にいれば?】

ミヅキがくすくす笑って提案すると、落ち着いた場所を見つけたようにシルバの右手に立った。

「完璧な布陣だな!これなら俺でも攻略は出来ない」

ベイカーが納得する様にうなずいた。

「よし、コハク行くか!俺達は悪者退治と行こうぜ」

「いこうぜ!」

コハクが頷くとベイカーと行ってしまった。

「コハクがベイカーさんの言葉遣いを真似るなんて…後で直さないと…」

ミヅキはハラハラとしながらムーをギュッと抱きしめた。


「いいか、コハク。俺はここから動かないからお前は少し右にズレて警戒するように立ってるんだ。ほかの奴らは里のみんなが片ずける。でもあいつだけはきっとお前を横か後ろから狙って来るはずだ」

こくこくとコハクが頷くと…

「少しやられた振りをして森に逃げ込んで木魔法で拘束するんだ。その時に口と手を必ず動かないようにするんだぞ、死なれでもしたら面倒だからな」

「わかった!」

ベイカーはコハクの肩を掴むと

「いいか、無理はするなよ。危険だと思ったら相手を殺しても構わない」

「ころしたらだめなんだろ?」

コハクが首を傾げると

「確かに生きて捕まえたいがコハクを危険に晒してまで捕まえる必要は無い…だがお前なら捕まえられると確信してるから頼んだんだ」

コハクの頬が赤くなると

「うん!ぼくできるよ」

コハクはなんか褒められた気がして気分が高揚した!

【あれ…ベイカーさん何かコハクに言ったね、コハクの尻尾が膨らんでる】

【え?…あっ本当だ】

シンクも気がつくと

【なんか喜んでるね】

【喜んでいるのか?】

シルバが聞くと…

【うん、コハクは喜ぶと尻尾がぶわっ!って膨らむの】

【へーそうなんだ?】

シンクが何気に言うと

【シンクだって喜ぶと倍に膨れるよ?】

ミヅキがシンクを撫でながら笑って言うと

【えっ?僕が?】

【うん、気が付かなかった?】

【知らない…】

シンクが恥ずかしそうにミヅキの髪に顔を隠す。

【あはは!シンク丸わかりだな!】

シルバが笑うと

【シルバは尻尾がブンブンって凄い勢いで揺れる】

【シルバ…シンクの事は言えないな】

プルシアがクックックと顔を背けて笑っている。

【ミヅキ!プルシアはどうなんだ!】

【プルシア?プルシアは鱗が光る】

【へ?】

プルシアが自分の身体を確認すると…

【プルシアの鱗の具合がツヤツヤでいい状態になるんだよね~】

【ふん!お前だって全身でバレてるじゃ無いか!】

【ムーもプルプルと嬉しそうに揺れるし…最近少し元気無いのが気になるけど…大丈夫?】

ミヅキがムーを見つめると…

プルプル…

ムーは大丈夫…と言うように揺れていた。

【ヒポもシンクと似てるよね羽根が立つし頭を撫でられるのが好きなんだよね】

ヒポが撫でてと頭を突き出した。

ミヅキがワシワシと撫でると満足そうに喉を鳴らす。

【レムはどんな反応するのか楽しみだなぁ~】

ミヅキはレムの硬い身体を優しく撫でた…

【ん~レムもひんやりしてて暑い日には気持ちよさそうだね!】

[ひんやり…温かくも出来ます]

そう言うとレムの体がじんわりと温かくなった…

【レム…湯たんぽみたい…】

ミヅキはギュッとレムを抱きしめた。










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお
ファンタジー
夢半ばに死んでしまった少女が異世界に転生して、様々な困難を乗り越えて行く物語。 *小説を読もう!にも掲載中

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました

ひより のどか
ファンタジー
ただいま女神様に『行ってらっしゃ~い』と、突き落とされ空を落下中の幼女(2歳)です。お腹には可愛いピンクと水色の双子の赤ちゃんドラゴン抱えてます。どうしようと思っていたら妖精さんたちに助けてあげるから契約しようと誘われました。転生初日に一気に妖精さんと赤ちゃんドラゴンと家族になりました。これからまだまだ仲間を増やしてスローライフするぞー!もふもふとも仲良くなるぞー! 初めて小説書いてます。完全な見切り発進です。基本ほのぼのを目指してます。生暖かい目で見て貰えらると嬉しいです。 ※主人公、赤ちゃん言葉強めです。通訳役が少ない初めの数話ですが、少しルビを振りました。 ※なろう様と、ツギクル様でも投稿始めました。よろしくお願い致します。 ※カクヨム様と、ノベルアップ様とでも、投稿始めました。よろしくお願いしますm(_ _)m

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

ほっといて下さい(番外編)

三園 七詩
ファンタジー
「ほっといて下さい」のもうひとつのお話です。 本編とは関係ありません。時系列も適当で色々と矛盾がありますが、軽い気持ちで読んで頂けると嬉しいです。 ✱【注意】話によってはネタバレになりますので【ほっといて下さい】をお読みになってからの方がいいかと思います。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。