ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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7章

364.告白

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いももちを焼きひっくり返して皿に並べる、何度も繰り返しているとようやく慣れて一人で焼けるようになった…

「ピースは器用だね、上手いもんだ」

エヴァさんが感心したように安心して見ていると

「それにしてもミヅキはどこに行ったんだ?全然返ってこないな」

キョロキョロと周りを見る、ピースも一緒に確認するが今は近くにエヴァさんしか居なかった…するとピースは決心したように

「エ、エヴァさん…お話が…」

勇気を出してエヴァに向き合うと

「なんだい?」

エヴァがピースに合わせて屈んでくれる…その仕草にピースは年の差を感じて少し恥ずかしくなってしまった…しかしエヴァの優しい雰囲気に押されて目を見つめると…

「この度はサウス国が…エヴァさんにひどい仕打ちをして…本当にすみませんでした」

ピースが頭を下げた。

「そしてありがとうございます…僕の病気を治してくれて…」

いきなりのピースの謝罪に驚くが

「あ、ああ…まぁ私もサウス国の者だ国の為に働くのはしょうがない事さ…ただ今回は事を急ぎ過ぎたね…ってピースに言ってもしょうがないがね、後は大人達に任せておけばいいよピースからの謝罪はしっかりと受け取ったよ」

エヴァさんが笑って答えると

「そ、それで…エヴァさんさえ良ければ…このままサウス国にいてくれませか?僕がちゃんとエヴァさんの居場所を作るから…」

思いもよらない言葉にエヴァがさらに驚いてピースを見ると、恥ずかしそうに目を逸らされた…

エヴァはその仕草に…

「えっ?…ピースは今いくつだい?」

エヴァが歳を聞くと

「僕は今年で13になります!」

歳は関係ないとばかりに答えると

「ピース…君は私をいくつだと思ってるんだい?」

エヴァが困ったように聞くと

「えっ…エヴァさん?綺麗だし…20歳くらいですか?」

「はは、ありがとう…私はね、エルフなんだよ。エルフは長命な種族なんだ、こう見えてももう280年くらい生きてるかな?」

「2、280…」

ピースは驚くが

「か、関係ありません!エヴァさんが何歳だって!」

ピースが怯むことなく答えると

「そうか…なら私も真剣に答えようね…ピースの気持ちは嬉しいよ…こんな私を好いてくれてありがとう…だが私にはもう好きな人がいるんだ、だから君の気持ちには答えられない…」

エヴァさんがハッキリと答えると

「そ、それって…」

ピースが屋敷を見ると

「ああ…あの中にはいないよ、今は遠いところに行ってるんだ…」

寂しそうに笑うと

「僕なら…エヴァさんにそんな顔させないよ!ずっとそばにいる!」

ピースの真剣な顔に思わず顔がほこんだ

「いい子だね…いや、いい男かな?あの人に聞かせてやりたいよ」

そう言って笑うエヴァの顔にはピースではなく違う人を映している様だった…

「そんなにいい人なんだ…」

ピースが肩を落とすと

「私には唯一無二の存在かな?」

エヴァさんの顔が微かに赤く染まると…

「その人の変わりにはなれないけど…僕はここでエヴァさんにふさわしい男になってみせます!…自分に自信がついたら…また会いに行ってもいいですか?」

ピースがエヴァの顔を伺うように見ると

「何度来ても答えは同じだよ?」

困ったようにしていると

「それでも…振り向いてくれるまで頑張ります!」

「そうか…じゃあまずは今の国の問題を解決することからかな」

そう言って笑うと

「じゃあピースにはお礼にこれをあげるよ、後は自分達の力でどうにかしてみな」

そう言って王都熱の薬を数本渡す。

「これは…」

「早く仕舞いな…私らが帰ったらクラークさんに渡せばわかるだろ」

「いいんですか?」

「彼らは強引だったが…決して悪い人じゃなかったよ、もう会うことは無いだろうからね餞別だと言っといてくれ」

「何から何まで…ありがとうございます…」

「ここからはお前達次第だ」

ピースはコクンと頷くと

「きっと会いに行きますからね!このお礼もしないと!」

ピースは大事そうに薬をしまった…。

しばらくするとミヅキがシルバに乗って戻ってきた…手には何処で拾ってきたのか草を大量に持っている。

「ミヅキ!どこに行ってたんだ?心配しただろ?」

エヴァさんが手を腰にあてて少し怒って言うと

「ごめんなさい、シルバとちょっとお散歩に…そしたらこれを見つけて!」

ミヅキが草を興奮した様子で見せると…

「なんだ?どこにでもありそうな雑草だが?」

エヴァが言うと

「そうだね、サウス国ならどこにでも生えてる草だよ…」

ピースが答える。

「どこにでも!?…じゃあ食べ放題だね!」

ミヅキが驚いて喜んでいると

「「えっ…」」

今度は二人がミヅキを見て驚いた

「それ…食べるの?味もない草だよ?」

ピースが怪訝な顔をすると

「勿体ない!美味しいのに…信じらんないよ…」

ミヅキが愕然とピース達を見ると

「待ってて!すっごく簡単作れるから」

ミヅキはフライパンに洗った草を切って炒めると卵を流し入れるとしお、コショウをパラパラっと振ると…

「はい!出来上がり!ニラ玉です!」

「えっ終わり?」

「そうだよ、他にも色々と出来るよ!小麦粉と薄く焼いたり、鍋に入れたり、おひたしでも美味しいし…」

ミヅキがニラ料理法を話していると…

「おー…なんか美味そうな匂いがするなぁ…飯か?」

ベイカー達が眠そうな目を擦り屋敷からでてきた…

「みんなおはよう!ご飯用意出来てるよ、じゃあ料理運んじゃおうか?」

「そうだね、ミヅキ後でそのニラを使った料理も教えてくれる?」

「うん、いいよ」

ミヅキはピースに笑いかけると

「ところで…ピースどうだった?ちゃんと二人きりにしたよ」

ミヅキがコソッと聞くと

「うん…ありがとう!ちゃんと言えたし目標も出来た!僕は諦めないよ」

「そっか…まぁ頑張れ…とだけ言っとく…」

ミヅキが複雑な顔をすると

「ミヅキは知ってるの?エヴァさんの相手の人…」

ピースが聞くと

「エヴァさん話したんだ!?」

「うん…好きな人がいるから僕の気持ちには答えられないって…子供として扱わないでくれて…嬉しかったよ」

「そっか…エヴァさんの相手ね…私も知ってる人だから…ごめんどっちの味方にもなれないな…それに決めるのはエヴァさんだしね」

「そうだね…まぁ負けないけどね!これからもっと大きくなっていい男になるって約束したからね」

「うん、ピースならなれるよ」

ミヅキは優しくピースに笑いかけた。
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