上 下
247 / 687
7章

359.間違い探し

しおりを挟む
「あっ!ミヅキ様が二人いる!」

騒ぎにみんなが集まって来ると…

「どちらかが本物らしいですよ」

セバスが説明すると

「えっ!?」

「あら!どっちが本物かしら?」

「全然わかんねぇな!」

部隊兵のみんなは違いがわからないようだった…

「イチカは、わかる?」

ミヅキがコハクとイチカの方を見ると

「わかります!やはりかもし出される雰囲気が違いますからね!こちらのミヅキ様が本物です!」

そう言うとミヅキの手をギュッとつかむ。

「正解!なんか…わかる人の方がおかしい気がするな…」

ミヅキが苦笑すると

「そりゃそうだろ、普通の人から見たら違いが分からんぞ」

ギルバートがミヅキ達を見ると

「私はわからんな…ディムロスお前はわかるか?」

ギルバートがディムロスを見ると…

「分かるに決まっとるだろが!」

「こっちだよな~」

そう言ってコハクの頭を撫でると…

「じいちゃん…違うよ…」

ミヅキがディムロスをじっと見つめる…

「ありゃ?酒を飲みすぎたみたいだ!シラフなら絶対わかるからな!」

コハクにそう話しかけると…

「これだから酔っ払いは…ミヅキさん気にすることありませんよ、確かにそっくりですからね…それよりもどうしてこうなったのかお聞きしたいのですがね…」

セバスがニッコリと笑いかけると…

「あ、あれ?セバスさん…なんかお顔が怖いよ…」

「そうですか?そんな事無いと教えてあげますのであちらでじっくりと説明をお願いしますね」

ヒョイっとミヅキを抱き上げると

「コ、コハクです!変化へんげができるようになりました!」

怒られる前に直ぐに話すと

「コハクさん?もしかして進化…出来たんですか」

セバスが驚くと

「えっと…天狐?になって…変化へんげと幻覚を覚えてました。あと喋れるようにもなってます!」

「天狐!」

ギルバートが声をあげると

「そりゃまた…珍しいのがいたもんだ…」

ディムロスも酔いが冷めたように唖然としている…

「天狐ってあんまりいないの?」

「いないどころか…ここ数十年見かけた奴なんていないな」

「天狐と言えば、聖獣に近しい存在ですよ…しかし変化をする事で身代わりなどに使われる事から乱獲され絶滅したと聞きましたが」

セバスがコハクをマジマジと見ると…クルンと回って最初の姿に戻ると…

「ぼく、ミヅキのやくにたつ!」

小さい子供の姿で腰に手を当て仁王立ちする。

「まだ上手く変化へんげも出来ないようですね…耳と尻尾が隠せていませんね」

セバスが苦笑すると

「ミヅキの姿は完璧だったのにな」

ベイカーがコハクの頭をグリグリと撫でると…

「試しに俺に変化へんげしてみろよ」

ベイカーが自分を指さすと

「ベイカー?」

コハクが首を傾げる…

「コハク出来る?」

ミヅキがワクワクしてコハクを見つめていると

「やってみる!」

コハクは立ち上がり、ベイカーをじっと見ると…

クルン!

ベイカーの姿に変化へんげした!

「えっと…それが俺か?」

ベイカーが目を見開き変化へんげしたコハクを見下ろす…

確かに顔は似てはいるが…微妙に違う…何より身長が足りてなかった…

「俺はそんなに足が短く無いぞ!」

ベイカーが叫ぶと

「あはは!似てる!似てるぞー!」

アランが変化の姿に地面に倒れ笑い転げていると…

ズドンッ!

アランの顔スレスレに剣が突き刺さる…

「あっぶねぇな!」

アランがびっくりして飛び起きると

「いやぁ…悪い、手が滑った…」

ベイカーが悪びれる様子もなく謝るとアランに剣を向ける。

「や、やめろ!お前目がすわってるぞ!」

まぁ落ち着けとアランが宥めると…

「ミヅキには完璧に変わったのに他の人は…あんまり上手くないな」

デボットが短足ベイカーに近づくと

「コハク、次はデボットに変化へんげしてみろよ」

ベイカーがアランに斬りかかりながらコハクに言うとこくんと頷きクルンと回る。

「おお!ベイカーさんよりは…似てるかな?」

またまた微妙な変化へんげ

【まだまだ使いこなすには経験と修業が必要みたいだな】

シルバが言うと

【なんで私の変化は上手かったのかな?】

【そこはコハクがミヅキの事をそれだけ理解しているからだろう…コハクの認識度もあっての変化なんじゃないのか】

【じゃあ…コハクにはベイカーさん達がああ見えてるんだ…】

先程の変化を思い出して思わず吹き出すと

「ミヅキ…お前まで…」

ベイカーが笑われた事にショックを受けて落ち込むと

「べ、ベイカーさんごめん!ほ、ほらおいなりさんあげるから」

ミヅキが残りのおいなりさんを指さすと…

「おお!そうだ!コハクのお気に入りのおいなりさんだっけか、食べてみないとな」

ベイカーがおいなりさんに近づいて行くと…

「おっ!俺も食うぞ!」

服がボロボロにあったアラン隊長が後ろからついて行くとみんなもそれに続いた。

「これがおいなりさんか…なんか地味だな…」

そう言いながらも一口で食べると…

「甘じょっぱい!この揚げから噛むと汁が出るなぁ!コハクが気に入るのもわかる」

ヒョイヒョイと掴むとどんどん口に運んでいく…アラン隊長も同じ様な速度で食べていると…あっという間に山盛りに盛られていたおいなりさんが減っていった…

コハクはその様子をハラハラ見ていると

【コハクも食べていいんだよ】

ミヅキが苦笑すると慌ててベイカーとアランを退かしておいなりさんを頬張っていた…。

「しかし…コハクさんの変化…色々と使えそうですね…」

セバスさんがコハクを見ながらニヤッと笑っていた。


ご飯の時間が終わり…片付けはみんながしてくれているとミヅキはシルバのお腹に寄りかかって休憩していた…そこにピースが来ると…

「ミヅキ…隣り座ってもいい?」

ピースがミヅキの隣を指さす

「もちろん、シルバ尻尾退けてあげてくれる?」

ミヅキが言うと、ミヅキを守るように巻きついていた尻尾が仕方なさそうに退いた…

「ありがとうございます」

ピースが苦笑してシルバにお礼を言うと、フンと鼻息で返事が帰ってきた。

ピースがミヅキの横に座って片付ける様子をミヅキと眺めていると…

「僕も片付け手伝おうとしたけど…断れちゃった」

「さすがに王子様に片付けはさせられないよ」

「でも…ギルバート王はやってるよ?」

「あー…ピースはお客様だからね、それともやってみたかった?」

ミヅキが聞くと

「ちょっとね…」

ピースが寂しそうに笑う

「それにしてもミヅキ…凄いね、従魔達も凄いけど料理もとっても美味しかったよ!どれも食べた事ない味だった…あれはウエスト国の味なの?」

「うーん…そうだねウエスト国に行けばどれも手に入るようになると思うよ!ほらマルコさんが売り出すから」

「ああ!あの商人さんだね…そっか…サウス国もこのままウエスト国と付き合って行けるといいけど…難しそうだな…」

「あっ…そっか…話し合いはこれからだもんね」

「ミヅキがどれだけみんなに大切にされてるのか今日でよくわかったよ…彼らにしてみれば今回の事はきっと許し難い事なんだろうね…」

「うん…私もこんなにみんなが大切に思ってくれてるって確認出来た…」

「だから…ミヅキと会うのは今回が最後になるかもね…」

ピースが残念そうに言うと

「えっ…?」

「多分、ウエスト国は今後サウス国に一切の接触を禁止するんじゃないのかな…一方的にサウス国の過失だし…それくらいの事は言えるでしょ」

「そ、そうなの…?それはなんだか寂しいなぁ…」

ミヅキも残念そうに肩を落とすと…

「僕もこれからサウス国の為に頑張らないと…ミヅキのおかげで病気も治ったし…またウエスト国の信頼を取り戻せるように尽力するよ!」

ピースがニコッと笑うと

「うん!頑張ってね!そうだ!そんなピースにコレ!プレゼント」

ミヅキが収納から大きな袋を取り出すとピースに渡す。

「何これ?」

「まだ開けないでね!私達が帰ったら中身を見てね…約束だよ」

ミヅキが小指をピースに立てると…

「なに?それ?」

ピースが小指を見る…

「約束するおまじないだよ、ピースも小指出して」

おずおずと出すピースの小指を重ねると…

「指切りげんまん嘘ついたら針千本、飲ーます!指切った!」

「な、何それ…怖いんだけど…」

ピースが怯えると

「私との約束を違えたら…針千本飲ませにいくからね~」

ふふふ…と不気味に笑うと

「わ、わかったよ…」

ピースが小指を見てゴクッと頷いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお
ファンタジー
夢半ばに死んでしまった少女が異世界に転生して、様々な困難を乗り越えて行く物語。 *小説を読もう!にも掲載中

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

ほっといて下さい(番外編)

三園 七詩
ファンタジー
「ほっといて下さい」のもうひとつのお話です。 本編とは関係ありません。時系列も適当で色々と矛盾がありますが、軽い気持ちで読んで頂けると嬉しいです。 ✱【注意】話によってはネタバレになりますので【ほっといて下さい】をお読みになってからの方がいいかと思います。

継母の心得 〜 番外編 〜

トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。 【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。