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7章

322.仮契約

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シルバ達が王都から離れた広い高原で暴れ回っていた…。

【鳳炎!】

シンクがプルシアに巨大な火柱をけしかけると、プルシアが火柱に向かい咆哮を放つ!

「グギャー!」

【風の咆哮!】

火柱はさらに勢いをまし最初の太さの倍になるとシルバに襲いかかる。

【疾風刃】

シルバが火柱を切り裂きながらそのまま火柱へと突っ込んで行く!

【おりゃあああ!】

そのまま風を纏い火柱を相殺すると

【超風弾!】

シンクに向かいどデカい風弾を放った。

【炎刃】

シンクが真っ二つに引き裂いた…そのまま後ろの山を消し飛ばすと…

【おい!気をつけろ周りが無くなるぞ】

プルシアが注意する

【いや悪い、つい思いっきり撃てるのが嬉しくて】

【シルバばっかり狡いよ!僕ももっとやりたい!】

シンクがバタついていると

【これからサウス国とやらに行けば暴れられるんだろ?】

【いや…一応穏便にすませたいみたいだな】

シルバの問にプルシアが答えると

【人の国がどうなろうと構わん、ミヅキが帰ってくればな】

【そうだね…ミヅキ…何してるんだろ】

シンクが心配そうに空をみる。

【ミヅキからの返答は来たか?】

シルバがプルシアを見ると

【いや…ずっと呼びかけているが…夢の中になら入れるが…ミヅキとの波長が合わない…きっとまだ体調が戻って無いんだろう】

【国にさえ入ればミヅキとも会話ができるだろう…早くミヅキの温もりが欲しい…】

シルバが珍しく項垂れると

【僕も…ミヅキに撫でて欲しい】

シンクもしゅんと小さくなってしまった。

【そうだな】

プルシアも頷く

(ミヅキ…大丈夫なのか?早くお前の顔がみたいよ)

シルバ達はこれから向かうサウス国の方角を見つめた…。




ハッ…

ミヅキはパチっと目を覚ますと…見慣れない部屋で寝ていた…。

「あれ?ここどこだ?」

窓のない部屋に小さなあかりが一つ微かに付いているだけの質素な部屋だった。

【シルバ…シンク…?】

いつも起きるとすぐ側にいるはずのシルバ達の温もりが無い…

少し不安になっていると…

【キャン!】

コハクがミヅキに飛びついてきた!

【コハク!】

コハクの頭にはムーも乗っていた!

【ムー!あれ?みんなは?】

ミヅキが呼びかけるが返事がない…

「あれ…どうしたんだろ?てか、ここどこだ?私…何してたっけ…?」

寝る前の事を思い出そうとするが…

「全然覚えてない…」

ミヅキが一気に不安になるとコハクがミヅキに近づいて頬を舐める。

【コハク…なんでみんないないの?私…何してたんだっけ…】

不安そうにコハクを抱きしめると…

「クウ~ン」

コハクが寂しそうに鳴く…

「ベイカーさん…セバスさん…」

立ち上がり扉に近づいて見ようとすると…足に力が入らずバランスを崩してベッドに倒れ込む…

(あれ…力が入らない…それになんか熱い…)

ミヅキがコハクを触ると

【コハク、ムー…なんか熱いくない?】

ミヅキがコハク達を見ると、ムーがミヅキの頭にピョンと乗っかった。

「気持ちいい…あっ…そっか私熱出したんだっけ?」

ミヅキはベッドに横になると…

「風邪引いたから、隔離されてるのかな?寝てればベイカーさん達が来る…かな…」

ミヅキは眠くなってくると…再び瞳を閉じ眠ってしまった。

ミヅキの寝息が聞こえると…

カツ…カツ…と部屋に近づく足音が聞こえる

コハクはミヅキを庇うように警戒していると…扉の周りに木魔法で防壁を作る。

扉が開かなくなるように木で固めると

ガタガタッ!

「あれ?開かない…起きたのか?おい聞こえるか?俺たちはお前達に危害を加える気は無い!だから開けてくれ」

コハクは男の声を無視していると

「まだ体調も治ってないだろ?なんか食べないと持たないぞ!食べ物を持ってきたんだ」

確かに外から匂いがするがコハクは警戒を緩めない。

返答がないと男は諦めたように扉から離れて行った…

コハクはホッとすると…ミヅキを見る。

騒ぎに起きた様子は無く眠っていた…コハクはミヅキの横にぴったりとくっ付くと丸まって瞳を閉じた…



シルバ達は運動の後に王宮の庭に戻ると、ベイカーとセバスとアランとコジローが待っていた…。

自分達を待っていた様なので近づくと

「お前達に相談なんだが…俺達と(仮)で契約しないか?」

ベイカーの言葉にシルバ達が顔を見合わせる。

「ミヅキさんが海の国でリバイアサンと仮契約をしましたよね?あれを私達とも出来ないのかと…ミヅキさんがいない今意志の疎通が取れないのは致命的なミスになるかも知れませんから…」

【シルバさんは俺と意思疎通出来ますが…シンクさん達は無理ですし…どうでしょう?】

コジローがシルバに聞くと…

【どう思う…俺はミヅキ以外とは嫌だが…】

シルバが難色を示すと

【(仮)…ですからね…】

【僕はいいよ!ミヅキに会えたら切ればいいんだもんね、それで誰と組めばいいの?】

三人を見ると…

【…誰と組めばいいんだ】

シルバが嫌そうにコジローに聞くと

【有難うございます!こちらとしては皆さんが希望する人でいいですが…相性的にシルバさんはベイカーさん、シンクさんはアランさん、プルシアさんはセバスさんがいいかと…】

シルバはベイカーを見ると…

「ん?なんだ?」

【ベイカーか…まぁいいだろう】

シルバはベイカーに近づくと肩に手を乗せる。

【いいか!(仮)だからな!】

【おう…シルバはミヅキ以外と契約してくれないと思ったが…よろしくな】

ベイカーがシルバを撫でようとすると…

パシッ!手を払い除ける。

【気安く触るな】

【うわ…お前ミヅキといる時とキャラが違いすぎないか…】

【うるさい!後にも先にも俺の主人はミヅキだけだ、ベイカーとは仕方なしの同盟だ】

【そうだな…俺達の思いは一緒、ミヅキ奪還までの同盟だな】

ベイカーが笑うと

【まぁしばらくはよろしく頼むぞ相棒】

【しょうがない、お前に何かあればミヅキも悲しむからな世話してやる】

シルバがフンと嫌そうにそっぽをむいた。



「シンク、よろしく頼むぞ」

アランが止まりやすいように腕を出すと…シンクはそれを無視して頭に止まる。

「おい…」

アランが空ぶった手を下ろすと

【アランの指示には従わないよ…僕の主人はミヅキだけ、(仮)で助けてあげるだけだからね】

ツンツン!とアランの頭を突くと

「痛てぇよ!可愛い声してるのにひねくれてそうだな…ミヅキはどうやって手懐けてんだ…」

ボソッと呟くと

ガシッ!

【聞こえてるよ!】

【わ、悪かった、だから頭から降りてくれよ…】

【アランの頭おっきくて捕まりやすいから僕はここでいい】

【部下がいる時は肩に乗ってくれよ…】

アランが弱々しくお願いした…。



【私はお前か…】

プルシアの前にセバスが行くと

「プルシアさん、よろしくお願いします。(仮)とはいえドラゴンと契約出来ること光栄に思います」

セバスがプルシアに頭を下げると

【ミヅキの親代わりの人だ…一時だが契約する事を認めよう】

プルシアが答えると

【よろしくお願い致します】

セバスがにっこりと笑った。
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