上 下
208 / 687
7章

320.覚悟

しおりを挟む
里に着くと…

「どういう事ですか!」

ギースがベイカーに食いつく!

「言葉の通りだ…ミヅキが攫われたので奪還しにサウス国に向かう。表向きは良好関係だが…事と次第によっては戦いになる。それなりの覚悟がある者だけ着いてきてくれ」

「何言ってんだ、あんた…」

ギース達が信じられないと愕然とする。

「「「「「そんなの行くに決まってるでしょうが!」」」」」

ギース達が叫ぶと…

「俺も行く!」

リュカがベイカーの前に立つ。

「お子様は待ってな」

ベイカーがリュカの頭に手を乗せようとすると…リュカが素早く避けてベイカーの後ろに回る。

神木の剣をベイカーの背中に突き立てると

「俺だって戦える、これまでずっと鍛えてきたんだ…」

「そうか…だがな…」

ベイカーが一瞬でリュカの剣を奪ってお返しとばかりに目の前に剣を突き立てると

「子供だからって、戦争になったら誰も手加減なんてしてくれねぇんだぞ」

リュカは剣を掴むと

「それでも行く!」

「もちろん僕も行きます…」

テオが氷魔法でベイカーの立ってる地面を凍らせると、ベイカーが剣を離して後ろに飛び退いた。

すかさずイチカから鞭の攻撃が来るとベイカーが鞭を手で掴かんだ。

「遊炎!」

イチカの鞭が燃えだしベイカーに向かっていった。

ベイカーは燃えてる鞭を掴んだまま…

「やるなら殺す気でこい」

イチカの鞭を引っ張ると

「キャ!」

イチカが引っ張られ鞭を奪われる。

イチカは体制を立て直すと

「火弾!」

テオも反対側から

「氷刃!」

右と左から火と氷の攻撃が来ると…

「おりゃー!」

リュカが剣で後ろからベイカーを狙う

「まぁ…こんなもんか…」

ベイカーが剣を抜き一振りすると、三人が風圧で吹き飛ばされる。

吹き飛ばされた三人をギース達が受け止めると…

「そんなんじゃ足でまといなんだよ」

「クソッ…」

リュカが地面を拳で叩きつけると

「なんでもやります…だから…」

テオが悔しそうにベイカーをみつめる。

「連れてって…ここで行かなきゃいつミヅキ様に恩を返せばいいの?」

イチカがギースから離れるとフラフラと鞭を拾いに行く

「まだやれます!」

鞭を構えると…

「イチカ…」

「お願いします…連れて行って下さい…もう待ってるだけは嫌です…」

イチカが目に涙を溜めた…

「あーあ…ベイカーさんがイチカを泣かした…これはミヅキが知ったら怒るだろうなぁ…」

「ギース…」

ベイカーがギースを睨むと

「連れてってくれよ、俺達ミヅキの為に強くなったのにこんな時に何も出来ないなんて…足でまといになったら捨ててくれていいよ、道具として使ってくれてもいい…俺達は本当はあの時に死んでたはずなんだからな…ミヅキには上手く誤魔化してくれればいいから」

「お願いします…ベイカーさん。私もギースさんと同じです…もし命を落としたら…ミヅキ様には好きな人と駆け落ちしたとでも言ってください」

「イチカ!?」

ポルクスが驚きイチカに駆け寄ると

「ごめんね…ポルクスさんでも私どうしてもミヅキ様に報いたい…」

ポルクスの手をギュッと握ると優しく離した…

「ポルクスさんの事も好きだけど…今はミヅキ様の事しか考えられないの…ごめんなさい…こんな女で、ポルクスさんにはもっと相応しい子が現れますよ」

イチカが寂しそうに笑って謝ると…ポルクスが背を向ける。

イチカは何も言えずポルクスの背中を見つめると…

「ベイカーさん…イチカをイチカ達を連れてってやってくれ…彼女らの覚悟を無下にしないでやってくれ」

「ポルクス…お前…」

ポルクスはイチカに向き合うと

「大丈夫、ベイカーさんはあんな事言ってるけどきっと連れてってくれるさ…だから絶対ミヅキと帰って来いよ…俺は…待ってるからな」

ポルクスが明るく笑うと…

「ポルクスさん…」

イチカはポルクスに駆け寄り抱きつくと…

「大好き…」

ポルクスの唇に触れるだけのキスをした。

「連れて行かないわけに行きませんね…」

セバスがベイカーに近づくきて声をかける

「まぁ…思ってたより使えそうだな…チームワークも良さそうだし」

「なら意地悪しないで連れていくと言えば良かったじゃないですか?」

セバスがベイカーを見ると

「本音を言えば…連れていきたくない。あいつらやっとまともに暮らしてるのに…戦いになんて巻き込みたくねぇよ…」

「そうですが…あの子達が望んで自分を鍛えていたのですよミヅキさんの力になりたいと…彼らはもう自分達で選ぶ事ができるです。そして選んだ…ミヅキさんと行く道を…」

「そうだな」

「兵士を連れて行けないのですから、あの戦力は助かります、魔法も使えるようですしね…これからもっと頑張ってもらいましょう」

セバスが笑うと…

「うわぁ…あいつらまだ鍛える気かよ…」

「子供はいいですね…まだまだ伸び代がありますから、これからが楽しみです」

セバスが微笑んだ…

ベイカーはギース達やリュカ、テオ、イチカを連れていくことを伝えると

「いいか…お前らを連れていくことに絶対守って貰いたいことがある…」

「ああ!なんでも言ってくれ!」

「はい!絶対守ります!」

ギース達が頷くと…

「じゃあ…絶対死ぬな」

「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」

みんながポカンとベイカーを見るが…冗談を言っている顔ではなかった。

「死ぬことは許さん!そんな事になってみろ…ミヅキが帰って来た時にどんなに傷つくか…」

「それは…」

「……」

「お前らなら分かるだろ?ミヅキがどういうやつか…だからこの約束を守れないなら連れていかない」

「そんな!」

「明日の朝またここに来る…それまでに覚悟が決まれば来い。死なない覚悟がある奴だけだ」

ベイカーはそれだけ言うと…

「無理はすんなよ、お前らが行けなくても俺達が必ずミヅキを連れ戻すからな」

ベイカーとセバスはそのまま王宮へと戻って行く

ギース達はベイカーの約束の意味を考えていた…。

ベイカーとセバスが歩いていると…後ろから不穏な空気を感じる…

ベイカーとセバスが視線を合わせると同時に左右に別れ走り出した!

後ろの人物は一瞬だけ迷うと…セバスを追いかけた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

前世で家族に恵まれなかった俺、今世では優しい家族に囲まれる 俺だけが使える氷魔法で異世界無双

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
家族や恋人もいなく、孤独に過ごしていた俺は、ある日自宅で倒れ、気がつくと異世界転生をしていた。 神からの定番の啓示などもなく、戸惑いながらも優しい家族の元で過ごせたのは良かったが……。 どうやら、食料事情がよくないらしい。 俺自身が美味しいものを食べたいし、大事な家族のために何とかしないと! そう思ったアレスは、あの手この手を使って行動を開始するのだった。 これは孤独だった者が家族のために奮闘したり、時に冒険に出たり、飯テロしたり、もふもふしたりと……ある意味で好き勝手に生きる物語。 しかし、それが意味するところは……。

フェンリルに育てられた転生幼女は『創作魔法』で異世界を満喫したい!

荒井竜馬
ファンタジー
旧題:フェンリルに育てられた転生幼女。その幼女はフェンリル譲りの魔力と力を片手に、『創作魔法』で料理をして異世界を満喫する。  赤ちゃんの頃にフェンリルに拾われたアン。ある日、彼女は冒険者のエルドと出会って自分が人間であることを知る。  アンは自分のことを本気でフェンリルだと思い込んでいたらしく、自分がフェンリルではなかったことに強い衝撃を受けて前世の記憶を思い出した。そして、自分が異世界からの転生者であることに気づく。  その記憶を思い出したと同時に、昔はなかったはずの転生特典のようなスキルを手に入れたアンは人間として生きていくために、エルドと共に人里に降りることを決める。  そして、そこには育ての父であるフェンリルのシキも同伴することになり、アンは育ての父であるフェンリルのシキと従魔契約をすることになる。  街に下りたアンは、そこで異世界の食事がシンプル過ぎることに着眼して、『創作魔法』を使って故郷の調味料を使った料理を作ることに。  しかし、その調味料は魔法を使って作ったこともあり、アンの作った調味料を使った料理は特別な効果をもたらす料理になってしまう。  魔法の調味料を使った料理で一儲け、温かい特別な料理で人助け。  フェンリルに育てられた転生幼女が、気ままに異世界を満喫するそんなお話。  ※ツギクルなどにも掲載しております。

転生幼女はお願いしたい~100万年に1人と言われた力で自由気ままな異世界ライフ~

土偶の友
ファンタジー
 サクヤは目が覚めると森の中にいた。  しかも隣にはもふもふで真っ白な小さい虎。  虎……? と思ってなでていると、懐かれて一緒に行動をすることに。  歩いていると、新しいもふもふのフェンリルが現れ、フェンリルも助けることになった。  それからは困っている人を助けたり、もふもふしたりのんびりと生きる。 9/28~10/6 までHOTランキング1位! 5/22に2巻が発売します! それに伴い、24章まで取り下げになるので、よろしく願いします。

転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。

黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる

転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~

明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

料理がしたいので、騎士団の任命を受けます!

ハルノ
ファンタジー
過労死した主人公が、異世界に飛ばされてしまいました 。ここは天国か、地獄か。メイド長・ジェミニが丁寧にもてなしてくれたけれども、どうも味覚に違いがあるようです。異世界に飛ばされたとわかり、屋敷の主、領主の元でこの世界のマナーを学びます。 令嬢はお菓子作りを趣味とすると知り、キッチンを借りた女性。元々好きだった料理のスキルを活用して、ジェミニも領主も、料理のおいしさに目覚めました。 そのスキルを生かしたいと、いろいろなことがあってから騎士団の料理係に就職。 ひとり暮らしではなかなか作ることのなかった料理も、大人数の料理を作ることと、満足そうに食べる青年たちの姿に生きがいを感じる日々を送る話。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」を使用しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。