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6章

309.噂話

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「どういう事ですか?何か心当たりが?」

ジュウトがセバスを見ると…

「これは…ミヅキさんにも関係がある事なので…」

言葉を濁すと…

「私は!いえ、我々にとってあなた方やミヅキさんは命の恩人です!決して裏切るような事をするつもりはありません!」

ジュウトが真剣な眼差しをセバスに向けるが…

「ええ…あなたやジョルダン王、今回関わった人達なら信用出来ますが…何処から秘密が漏れるかはわかりませんから…」

「そ、そうですね…現に信じてた仲間に我らも裏切られた所ですからね…」

ジュウトが肩を落とすと…

「でも…あなたと王にだけは話しておきましょうね、後で…」

セバスが安心させるように笑った…。

部屋を出ると…

「どうだった?」

外で待っていた大臣達が聞くと

「自害致しました…」

「「「何っ!」」」

皆がザワつくと

「どういう事だ?ジュウト!」

ジョルダンがジュウトを見る。

「ずっと口を閉ざしていましたが…拷問に耐えられなくなり…話出そうとすると急に態度が変わり…そのまま壁に自分を押し付け…自らの力で潰れて死にました…」

「な、なんだその死に方は…」

大臣達の顔色が悪くなると…

「中の壁にその跡が残っています…止めようにも痣に侵されていて止めようがありませんでした…」

「縄で縛っていたはずだろ?」

「縄で縛られている自分の腕を引きちぎりました」

「もう…人では無くなっていたのだな…それで?何か聞けたのか?」

ジュウトがセバスを見るとコクンと頷く。

「どうやらノース国が関わっているようです…しかしそこまでしか…」

「ノース国か…」

「私たちの国でも北の様子が変わったように報告を受けていますよ」

「ノース国か…あちらは確か冬国だったな…」

「海の民もあの海は苦手であまり近づかないはず…ブラハはどこで知り合ったんだ…」

「·····」

ジュウトは下を向いた…。

「この後の事を少しジョルダン王とお話がしたいのですが…」

セバスが声をかけると

「そうですね…では私の部屋へ…ジュウトお前も来い」

「はい!」

「他の者はこの部屋の片付けを…黒い痣にならないように注意しろ!」

「我らも話を…」

大臣達が付いて来ようとすると…

「いや…お前達は広場に戻り民達の様子と損害の確認をして対策をしていてくれ!」

「わかりました」

ジョルダンはセバス達と部屋へと向かった…

「なぁ…俺いる?」

ベイカーがセバスにコソッと聞くと…

「これから話すのはミヅキさんの事ですよ!ジョルダン王もそれがわかったから大臣達を下がらせたのに…親がわりのあなたがいなくてどうすんですか?」

「わ、わかったよ…」

ベイカーは大人しく後を付いて行った…。

「どうぞ…」

部屋に行くと扉を開け中へと案内される。

「ちょっと待っていてくれ…」

ジョルダンがさらに奥の部屋に行くと、エリアルを連れて戻ってきた…

「まだ妻の調子が戻ってなくて休ませていたんだ…」

「すみませんお見苦しいところを…少し休ませてもらって良くなりました…あれ?ミヅキさんとアクアは?」

二人が居ないのに気がつくと…

「あの二人は疲れたようで海の木で寝ていますよ」

「そう…なら私は二人を見ていますね…失礼致します」

そう言うとエリアルは頭を下げて部屋を出ていった…

「エリアルに任せておけばアクア達がここに近づく事は無いだろう…それで?話とは?」

ジョルダンが椅子に腰掛け皆にも座るよう手を差し出すと

「失礼致します」

セバス達が座る、ジュウトはジョルダンの斜め後ろにたつと

「ブラハはどうしてああなってしまったのでしょう?」

「王…ブラハ大臣は亡くなった奥様を蘇らせようと考えていたようです…そしてそれをできると思い込みノース国の奴らに唆されたようです…」

「死者を蘇らせるなど…出来るはずも無いのに…ブラハにそれがわからないとも思えんが…」

「それほど大事な相手だったのでしょう…」

「そうだな…大事な人ほど判断力が鈍るもんだ…」

「どうやら直接死んだものを生き返らせる所を見て信じてしまったようですね…」

「なに!本当にそのような事が可能なのか?」

「私達の国でも少し前に似たような事件がありました…魔石の力を使って人を作ろうとしていました…」

胸糞悪そうに顔を顰めると、デボットをみる。

「あれは最悪だった…しかし…長くは持たないようだし…元は生きた人を使っていた…子供を攫い手足をくっ付けて魔石の力でどうにか動いていたようだった…」

デボットが説明すると…

「酷い…」

ジョルダンもジュウトも顔を顰める…

「その他にも黒い魔石が最近よく目撃されていました…ある者は身体に無理やり埋め込まれ暴れ回ったり…どうやら魔力が上がるようですね…しかしこう人に伝染するのは初めて見ました」

「そうだな…前とはまた違う魔石なのか?」

ベイカーが聞くと…

「もしくは…どんどん進化していってるか…でしょうか…」

「そして…その魔石が見つかる時に目撃される人物が…どうやらミヅキさんに酷似しているようなのです…」

「ど、どういうことですか?ミヅキさんとは一体?」

ジョルダンの質問にミヅキの事情を話すと…

「彼女にそんな事が…」

「あなた方だからここまで話しました…くれぐれも秘密にお願いしますよ」

セバスがニッコリと笑うと

「も、もちろんです!ミヅキさんがいなければ…私はおろか妻も…この国全てがブラハの手に落ちていた…この助かった命に誓っても他には漏らしません…」

「私も同じ思いです…」

ジュウトが頭を下げる。

「それに…セバスさん達にももちろん感謝しております。今は命令で私がまた王になりましたが…前王はあなただと思っておりますから…」

そう言ってセバスを見つめている。

「そこは忘れて下さっていいんですけどね」

困ったように笑った。

「しかし…ブラハの言った人がミヅキさんに似ているんだとしたら…片割れを探していると言っていませんでしたか?」

ジュウトが心配そうにベイカー達を見る

「そうですね…あの魔石の力を浄化できるのがミヅキさんしかいないのも何か関係があるのかもしれませんが…当の本人は記憶もなく…」

「無理に思い出させたくない!」

ベイカーがハッキリと言うとセバスも頷く。

「どうにか…ミヅキさんを巻き込まないように…解決出来ることが…理想ですが…きっと難しいでしょうね…」

四人が一斉にため息をつく…

「いつだって…面倒事を連れてくるのはミヅキだしな…」

「なんたって、トラブルメーカーですしね…」

「連れてこなくて絶対自分から飛び込むぞ!あいつは!」

「ですから…我々は精一杯の支援を…」

四人が頷きあうと

「我々も力及びませんが助けられる事があれば何時でもお呼びつけ下さい!海の民達皆で駆けつけます!」

ジョルダンの顔には言葉だけではなく強い気持ちを感じた。

「ありがとうございます、その時はよろしくお願いしますね」

セバス達は頼もしい仲間を得て微笑んだ。


「ハックシュン!」

ミヅキが盛大なくしゃみで目を覚ますと…

【ミヅキ、どうした?寒いのか?】

シルバがミヅキを毛皮で包むと…

【シルバ!もふもふ~温かい~!大丈夫、寒くないよ!誰かが噂してるのかな?】

ミヅキが鼻を擦ると

「ミヅキさん擦ったら赤くなりますよ、拭いてあげますからこちらに…」

いつの間にかエリアルさんがミヅキとアクアの隣にいた…

ミヅキはおずおずとエリアルさんに近づくと…

「はい…こっちを向いて…」

綺麗ないい匂いのする布で優しく鼻を拭いてくれる。

「ありがとう…ございます…」

ミヅキが恥ずかしそうにお礼を言うと…

「こちらこそありがとう…アクアのお友達になってくれて、こんなに嬉しそうなこの子を見るのは久しぶりだわ」

優しく微笑むとアクアの短い髪を撫でる。

アクアは気持ちよさそうにまだ眠っていた…

「それに…あなたの力でみんなを助けて貰ったわ、でもいいの?アクアの力のようになってしまったけど…」

「大丈夫です!本当にアクアからも力を貰いましたから!それより…エリアルさんこそ大丈夫ですか?まだ体調悪そうですよ?」

ミヅキが心配そうに覗き込むと

「ふふ優しい子、ありがとう…もう大丈夫よ少し休めたから…体力が戻って無いだけですからね」

ミヅキの頭をフワッと優しく撫でてくれると…

「あっ!なら身体に優しい物でも作りますよ!ちょっとまってて下さい!」

ミヅキはピョン!と立ち上がると走り去ってしまった…。
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