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6章

305.屋台飯

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ミヅキはでっかい鍋にお湯を入れて蒸し器を用意すると生麺を敷き詰める。

「重っ…」

蒸し器の蓋が重すぎた…

「ミヅキ~まだなのか?」

ちょうどいい所にベイカーさんが来た!

「ベイカーさん!この蓋乗せて、麺を蒸すから」

「これか?」

ベイカーさんが軽々と乗せてくれる。

「ありがとう!後は鉄板用意してベイカーさんに焼いて貰うからね!よろしく」

ミヅキがザクザクと野菜と肉を切っていくとイカ焼きの隣に大きめの鉄板を用意する。

「油を引いて、肉を焼いて、野菜~」

ベイカーさんにヘラを用意すると…

「はい!ベイカーさんコレで炒めてね!」

ベイカーは言われるがまま野菜と肉を炒めると…

「ここにさっきの下足も入れて…デボットさん!レアルさんイカもそろそろ焼いて下さい!」

デボット達が隣でイカを焼いていると…醤油の焦げる香ばしい匂いが漂ってくる。

「ミヅキ!野菜がしんなりしてきたぞ」

「あっ!じゃ麺を入れるね!ちょっと待ってて!」

ミヅキが急いで麺を取りにいくと…

「あっ…蓋…」

ミヅキが重い蓋に阻まれる…すると後ろから腕が伸びてきた…

「これを取ればいいのかな?」

ジョルダン王が微笑みながら蓋を持ち上げる…

「あっ!王様ありがとうございます!」

ミヅキがペコっと頭を下げると…

「いや…お礼を言うのはこちらの方だ…先程はみなの手前言えなかったが…あなたのおかげだ…本当にありがとうございました」

ジョルダンが深々と頭を下げる…

「なんのお礼?これはみんなの勝利でしょ?」

ミヅキがとぼけると…

「…ああ…そうだね」

ジョルダン王が眉毛を下げて笑った。

「それより王様!手伝って欲しいんですけど、この麺急いでベイカーさんに届けないと!」

ミヅキがホカホカに蒸された麺を見せると

「わ、わかった!手伝おう、リップル!」

後ろに控えてたリップルを呼ぶと

「はい!父上!」

リップルが飛んできた…

「これを急いでベイカーさんの所に運ぶぞ!手伝え!」

「は、はい!」

リップルは熱々の蒸し器を掴むと

「熱っ!」

手を離す

「あはは!熱いから気をつけてね布を使って下さい」

ミヅキが二人に厚手の布を渡すと…

「ほら!こっち!」

ミヅキが誘導する!

「これは!どんな意味が?やっぱり海の国の為なのか?」

リップルが聞くと…

「そうだね!超重要!速さが命だからね、伸びたりしたら大変!」

「そ、そうか!なら急いで手伝おう!」

ベイカーの元に行き鉄板に麺を入れると…

「ベイカーさん!炒めて!」

ミヅキが上からソースをかける!

(うーん!ソースのいい匂い!)

お皿を用意すると次々に焼きそばを盛り付けていると…匂いに釣られて海の民達が集まって来た!

「まずは…王様からかな?」

ミヅキがジョルダンとリップルに焼きそばを渡すと

「どうぞ!さっさと食べて手伝いにまわって下さいね!」

ミヅキはセバスの元に走って行ってしまう…

焼きそばを受け取った二人は…

「食べていいのか?」

戸惑っていると…

「おい!早く食べて変わってくれよ!こっちはずっと腹減ってんだよ!」

ベイカーさんが終わらない鉄板地獄にハマっていた…。

ジョルダン達は急いで食べると…

「ち、父上!」

リップルが口の周りをギトギトにしてジョルダンをみる!

「う、美味い!」

デボットがイカ焼きを持ってくると…

「はい!焼けましたよ熱いうちにどうぞ。ベイカーさん代わりますよ、イカ焼き食べて下さい!」

デボットが見かねてベイカーと代わる。

「デボット…お前…良い奴だな…」

ベイカーはイカを受け取ると大口でかぶりつく!

無言でイカを平らげると自分で焼いた焼きそばを大盛り盛り付けた!

ちょん!

何かが足に当たるが気にせず食べていると

ドン!

衝撃が走った!足元を見ると…

「スライム野郎?」

ムーがくれとばかりにぴょんぴょん跳ねている…

「お前らもまだお預けか…」

後ろではシルバ達が控えていた…シンクがベイカーの頭に乗ってつつくと…

「いたた!何だよ?」

シンクが示す先に…

「あー…アイツらもか…」

海熊達が匂いにヨダレを垂らしていた…。



「セバスさん!エヴァさん!」

休んでいた二人に焼きそばを持っていくと…

「セバスさん…大丈夫?」

ミヅキが心配そうに聞くと

「ええ、だいぶ休みましたからね、問題無いですよ」

セバスがにっこりと笑った。

ミヅキはホッとすると

「あっちは大丈夫だからまだ休んでて下さいね!」

ミヅキは二人に手を振るとまた戻って行った…。

「ふふ…可愛いもんだな」

エヴァがミヅキの後ろ姿に笑っていると…

「それで?先程の続きですが…その錬金術を使っていたという方は?」

「もう随分と昔に死んだよ…しかしあれはなかなか使いこなせるもんじゃ無かったみたいだね…使う度に卒倒していたよ…」

懐かしそうに笑うと

「やはり魔力を大量に消費するのですね…」

エヴァが頷く。

「その方以外に使える方を知っていますか?」

「いいや…見た事ないね」

「そうですか…」

「まぁ…あの子なら変な事には使わないんじゃ無いかい?」

エヴァが笑うと

「私も…そう思います…最初の使い道が…調味料ですからね…」

セバスがため息をついて焼きそばを食べる…

「しかし…きんより素晴らしいのかも知れませんね…」

「は?」

セバスの言葉に疑問を持ちながら焼きそばを食べる

「確かに…ミヅキには金よりも価値があるんだろうね」

焼きそばの味に思わず顔も綻ぶと

「本で見た話だと…人を作ろうとした人もいると…」

セバスが伺うように聞くと、エヴァは悲しそうに

「金やら人なんて創り出すのにどれほどの魔力を使うのか…魔力だけで済めばいいけどね…」

首を振る。

「雄一郎も錬金術を多用はしていなかったし…あいつらは皆同じだね、食べ物関連でしか使って無かったような気がするよ…」

「あいつら?」

「ああ…なんでも無いよ。とりあえずミヅキも大丈夫だと私は思うよ」

よいしょっとエヴァが立ち上がると

「それは私も思っていますよ、ただ他の人にバレる事を懸念してるんですよ…」

「まぁそこは保護者達が頑張りな!」

エヴァさんがドンッとセバスさんの背中を押すと…

「さて!焼きそばのお代わりをもらってこようかね!」

エヴァはセバスに手を上げるとミヅキ達の元へと向かった…。


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