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6章

295.迷子

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【うーん…ここ何処だろ…】

海の国を飛びながら移動しているシンクは完全に迷っていた…

【いつもなら…燃えながら一直線だからなぁ…】

木の根を避けながらとりあえず進んでいると…

「アクア様!お待ち下さい!」

「ジュウト、執拗い!」

アクアがジュウトに追いかけられている所だった…

「止まって話を聞いて下さい!」

「あーあーあー!聞ーこーえーなーいー!」

アクアが耳に手を当てながらぴょんぴょんと木の根を移動していると…

「なんで二足であんなに早いんだ!」

なかなか追いつけない事に焦っている。

【あーやっぱりミヅキと友達になったアクア…だっけ?】

シンクがアクアの頭の上を飛ぶと…

「「なんでここに!」」

アクアとジュウトが一緒に叫ぶ!

「シンクちゃん…だよね?どうしてここに?ミヅキ!ミヅキもいるの?」

キョロキョロと周りを見ると…

「やっと捕まえた!」

シンクに気を取られてる隙にジュウト隊長がアクアを掴む。

「ジュウト!離して!」

アクアが抵抗すると…

【あれ?仲間じゃなかったのかな?ミヅキなら…アクアの味方だよね…】

シンクが羽ばたくと…

【風魔法なら大丈夫だよね…】

シンクが軽くジュウトに向かって風刃を放つと…

「なっ!」

ジュウトが剣を抜き風の刃を受け止める。

「うわっ!」

ジュウトは受け止めきれずに後ろによろけ…刃が掠めて腕から血が流れた。

「ジュウト!」

【あれ?強すぎた?】

アクアが慌ててジュウトに駆け寄る。

「大丈夫です…掠めただけですから…」

アクアは服をちぎるとジュウトの腕に巻き付ける…が慣れていないのか傷口が丸見えだった…

「ごめん…上手く出来なくて…」

アクアが悲しそうな顔をすると…

「ありがとうございます。不思議と痛みが引きましたよ」

ジュウトが笑顔を見せた。

【あれ~?何…やっぱり仲良しだったの?もうしょうがないなぁ…】

シンクがジュウトの腕に近づくと回復魔法をかけた…

「す、凄い…き、傷が消えた…」

綺麗に消えた傷口にシンクを見つめると…

【コレでミヅキにはバレないかな…そうだ!ミヅキ!ミヅキの所に行かないと!ねえ!アクアならあの場所分かるよね!】

シンクが羽ばたきながら案内してと訴えていると…

「なんか…慌ててる?どうしたんだろ?」

「そ、そうだ!アクア様もお戻り下さい!陸上の方達は城に案内しております!」

「えっ…なんでそんなことに…」

「リップル様の指示て地下に行ったところ陸上の人達を捕らえました…」

「やっぱり…兄さんか…捕らえたって拘束したって事?」

アクアがジュウトを睨むと

「し、しかし今は客人としてお迎えしています!なので一度お戻り下さい!あのセバスと言う方を連れて来たのはアクア様なのでしょう?」

ジュウトが説明すると…

「セバスさん?セバスさんだけ?」

「いえ…後はその従者らしき二人とエルフの女性と小さい男の子そしてあの魔獣達です…」

「あれ?ミヅキは?小さい女の子!あとベイカーさんは?」

「えっ?」

「えっ?」

二人が顔を見合わせると…

「まだ…陸上の方がいるのですか?」

「あちゃあ~言っちゃった…」

アクアが頭を抱える。

【あーあー僕、知らない】

シンクははぁ…とため息をついた。


シンクとアクアとジュウトは海の中を急いで泳ぎミヅキ達の元に向かう。

「では…アクア様は本当はそのミヅキと言う子に助けを求めたのですね…」

「うん…でもそれは秘密にするのが条件なの…だからジュウト…」

「はぁ…わかりました…とりあえず今は黙っていますが…場合によれば話さなければいけませんよ!」

「う、うん…でもお父さんにも頼んでみるからお願い!今は黙ってて!」

「わかりました…とりあえず行きましょう、そのミヅキとベイカーとネーレを連れてリップル様の元に急がないと…」

「そ、そうだね…」

(ジュウト…ごめん…兄さんの所には行かないよ…)

アクアは心の中でジュウトに謝ると…ミヅキの元へと急いだ…



【セバスやミヅキはまだか…】

シルバがうんざりすると…

【まだ来ませんねぇ…】

プルシアが周りを見ながら答える。

【じゃあ、アレ…どうする?】

シルバが目の前にいる化け物に顔を向ける。

そこには黒い毛に覆われた巨大な獣がいた…。

【ありゃ…熊か?】

【さぁ?熊って海にいるんですか?】

プルシアが聞くと…

「グウォー!」

シルバの倍くらいある熊が襲いかかってきた!

【うお!結構素早いなぁ!】

シルバ達がスっと避けると…

「グゥゥゥ…」

力を溜め込み巨大な水球を放った!

【魔法?こいつ魔獣か?】

【そのようですね…しかもあの黒い魔石に侵されているようですね…】

【面倒だな…素早いし…魔法も使う、アイツはこちらからは攻撃してもいいよな?】

【少しは大丈夫でしょう…我々がやられたら意味無いですし…】

シルバは頷くと…風魔法で斬撃を放つ、しかし…

「グッギャウー!」

熊は避ける事無く攻撃に突っ込みシルバに向かってきた…

【あいつ…避ける気ないな…】

【もう…痛みを感じないのかも知れません…】

シルバ達が憐れみの表情で熊を見る…

【そこそこ強いのになぜあんな人に捕まったんだ…】

【どうやらあれのせいでは…?】

見ると大きな柵の中に熊によく似た小さい水色の熊が捕まっていた…

【子を使われたのか…】

【やっぱり…ここの奴は屑だなぁ…もう殺っちまうか?】

シルバが牙を見せ唸り声をあげる。

その時、

「フェンリル!海の民の誘導は終わったよ!」

別行動を取っていたエヴァ達が木を登って知らせにきた!その姿を見たブラハは…

「なんだと…あの女…何故?」

ブラハがエヴァを睨みつけると…

「おお、おお、睨んでる…クックッざまぁないね」

エヴァが楽しそうに笑っていると…

【どうやらあちらの仕事は終わった様ですね…】

プルシアが見つめる方にセバス達が現れた。

「おっ!ちょうどいいタイミングだね」

エヴァがセバスに声をかけると…

「そちらも無事の様で何よりです」

「ああ、シルバ達が兵士を引き付けてくれたし…大臣達もよく動いてくれたからね」

「彼らは?」

「あのでっかいホエールって乗り物で移動してるよ」

セバスが頷くと

「なら暴れても被害は少なくすみますね」

セバスはブラハを見つけると…

「ふふふ…あなたに叩かれた事…忘れていませんからね…」

セバスはニッコリと微笑んだ…。
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