ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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6章

286.拘束

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ミヅキ達が海に潜って行くと…

「「「はぁ…」」」

セバス、デボット、レアルとため息をつく…

「アクアさんは来る気配はないし…きな臭い何者かに追われる人…嫌な予感しかしませんね…」

セバスさんが腕を組んでいると

「ミヅキを行かせて大丈夫だったんでしょうか…」

デボットが心配そうにセバスに聞くと

「ベイカーさんがついてますから…あの人なら死んでも守るでしょう、それに黒い痣を浄化出来るのもミヅキさんだけです、二人と少人数の方が隠れやすいし大丈夫でしょう」

「そうですか…」

デボットもレアルもセバスの言葉に安心していると…

「グルゥゥゥ…」

ミヅキが潜って行った海を見つめて、伏せていたシルバが立ち上がり唸り声をあげる…

「アクアか?」

デボットがシルバが見つめる先を見ると…

「いえ、アクアさんならシルバさんが唸るなんて事は無いでしょう…」

セバスがデボットとレアル、エヴァ、ククノを後ろに引かせると…

「シンクさんとコハクさん、デボットさんとレアルさんのそばにお願いします。ククノ様とエヴァさんは大丈夫ですか?」

「ああ、問題無いよ」

「すみません、シルバさんは私の元へお願いしますよ」

「グルゥ…」

気に入らなそうに吠えると

「そんな顔をしないで下さい、揉めてミヅキさんに悲しい顔をさせたくないでしょう?」

ミヅキの名前を出されてシルバも大人しくセバスの隣に座ると…

ザバッ!

海から勢いよく武装した人魚達が飛び出して来た!
陸に上がるとアクア同様二足歩行に切り替えていく。

「お前達!こんな所で何をしている!」

槍を向けられ取り囲まれると…

【やっちまえば早いのに…】

「グルゥゥ…」

シルバが威嚇するように牙を向ける。

「な、なんだあの化け物は…」

海の兵士達がシルバを見て驚愕していると…

「シルバさん…」

セバスが手で制止すると、しょうがないと渋々座る…

「私達は…ある人に連れられてここまで来ました…ここで待つように言われているのですが…」

「ある人?誰だそれは!」

(うーん…アクアさんの名前は出さない方が良さそうですねぇ…)

ちらっとエヴァを見ると同じ事を考えているようで静かに頷いていた…

「名前は知りませんが…人魚の方です。海の国が大変だから助けて欲しいと…」

セバスさんが刺激しないように落ち着いて話すが…

「嘘をつけ!海の民が陸上の者に助けを求める事などあるものか!」

槍先をセバスに近づけて来た…

セバスは顔色一つ変えることなく

「我々は頼まれただけですからねぇ…駄目なら大人しく帰りますが…」

「そうですかと帰すわけ無いだろう!」

「まぁ…そうでしょうね…それで?私達を捕まえるのでしょう?」

ニッコリと笑いかける

「うっ!」

槍先を向けた兵士がたじろぐと…

「いい加減にしろ!我らは言われた通りにコイツらをリップル様の元に連れて行くだけだ…話はリップル様がする!」

「はっ!すみませんでした!」

注意された兵士は槍は構えたまま後ろへ下がると…兵士を注意した男が前に出る。

「そういう事ですので大人しく付いてきて下さいますか?」

「抵抗したら?」

「おいおい…」

エヴァさんが苦笑すると

「隊長!」

セバスの言葉や周りの者の態度に兵士が警戒する。

「…その時は力ずくで連れて行かせていただきます」

隊長と呼ばれた男は腰の剣を触りながら兵士達を動かないよに制止させ、じっとセバスを見つめた…。

「…わかりました。とりあえず指示に従います…今はね…」

セバスの言葉に隊長は…

「…ではこちらに…ここまではどうやって来られたのですか?」

「我らは海では息が出来ないのでね…魔法で空気の膜を作って泳いで来ました」

「ふん…ろくに海で動けない癖に…」

兵士の一人がボソッと呟くと…

「黙っていろ!」

隊長が凄まじい剣幕で兵士を窘めた…。

「失礼しました…では移動しますので用意をお願いします」

兵士達に挟まれセバス達がついて行くと…一番後ろを行く隊長に…

「ジュウト隊長…陸上の奴らなど引きずってでも連れて行けばいいじゃないですか!」

兵士が不満そうに小声で話しかける。

「…そんな事になったら…死ぬのは私達だ…」

「何を冗談を…」

兵士が笑いながら隊長を見ると…凄まじい汗が流れ、右手の震えを左手で抑えていた…。

「た、隊長…」

「お前達はわからんのか…あの…話していた男、只者ではないぞ…」

ゴクリ…

「た、確かに…あんな化け物みたいな獣を従えていましたね…」

「しかし…強いからといってこの海の中でどうにかできるとは思わんが…」

「しかし…誰があいつらを連れて来たのでしょう…」

「…さぁな…リップル様が聞き出したらしいが…」

「全く…この大変な時に…」

兵士がため息をつくと

「言うな、我々は言われた命を黙ってこなせばよい!考えるのは王達と大臣達だ…」

「はっ!」

兵士は隊長に敬礼をすると…陸上の者たちの後を追った。

「…あの男…〝今は…〟大人しくすると言ったな…あの者が暴れでもしたら…本当に海の中でも俺に止められるだろうか…」

ジュウトは剣を握りしめあの男を見つめる…

ふと視線に気がついたセバスは後ろを向くと…

ペコっと頭を下げる…

あの余裕、何時でも逃げられるとでも言うかのようだった…

「誰か知らんが…厄介な者を引き入れたものだ…」

ジュウトは細心の注意を払いながらセバス達を屋敷に連れて行く事になった…。



【…て事で今大人しく連行されている…どう思う?暴れてもいいか?】

【シルバ!セバスさんの言う通りだよ!暴れたりなんてしたら駄目だよ!私達アクアに頼まれて海の国を助けに来たんだよ!】

【まっ俺はどうでもいいが…】

【何言ってんの!これを気に仲良くなれたら海の幸貰い放題かもしれないんだよ!】

【えっ…】

【きっと…海の国でしか取れない食材とかが絶対にあるよ…どうするのもうマグロが食べられなくなったら…】

【なに…それはもうあのすしってやつが食えないってことか?】

【そうだよ!】

【…いや…騙されないぞ…そんな事しなくても構わず取りに来ればいいんだ】

【…でもケンカしちゃったら…やっぱり寂しいよそれより仲良くみんなで食べた方が美味しいと思うなぁ】

ミヅキの寂しいそうな声がシルバに届く…

【うっ…】

【あー!シルバ!ミヅキを泣かせたー!】

【いや!泣かせてなんかない、大丈夫だミヅキちゃんと大人しくしてるからな!セバスの言う通りにしてるから!】

【本当?】

まだ伺うように聞かれると

【本当だ!でも…】

【でも?】

【ミヅキが傷つく事や危険な時は容赦しないからな】

【それは僕も同じだよ】

【キャン!】

みんながシルバに同意する

【うん!私も無理はしない!だからシルバ達も今は大人しくしててね】

【ああ…】

【それで…何処に向かってるの?】

【まだわからんなぁ…今は海の中を移動中だ】

【じゃ何処か目印になりそうな物があったらまた言ってね!】

【わかった…ミヅキ…気をつけろよ】

【うん!みんなもね!】

シルバ達と念話を終えると…

「ベイカーさん…」

ミヅキがシルバから聞いた事をベイカーとネーレに伝える。

ミヅキからの説明を聞いて…

「おいおい…俺たち騙されたんじゃないのか?」

ベイカーがミヅキを見ると

「どういう事?」

ミヅキが意味がわからずに首を傾げる

「アクアにだよ…おかしくないか?この場所がすぐにバレたって事だろ?アクアが教えたんじゃないのか?」

「ベイカーさん!アクアはそんな事しないよ!」

ミヅキがベイカーに怒ると

「アクアのあの顔や涙は絶対嘘なんかじゃ無かったよ!それに捕まえるならアクアと別れた時にでもよかった筈だよ!」

ミヅキが叫ぶと…

「…アクア様は騙してはいません…」

後ろからの声にベイカーがミヅキを抱き上げ距離をとる。

「…そんなに警戒しなくても…今の私ではあなたには敵いませんよ…」

青白い顔で人魚の男が起き上がる。

「大丈夫ですか?」

ミヅキがベイカーさんから飛びおりると人魚の男に近づこうとする…

「待て!」

ベイカーがひょいと首根っこを掴むと

「なんでお前はそう警戒無しに近づこうとするんだ!」

「だって…あんな青白い顔してるし…あんな状態でなんかできるとは思えないよ」

ミヅキが人魚を見ると…確かに今にも倒れそうだった…。

「シンクがいないからちゃんと回復できてないからね…」

「しなくていい…こいつらはセバスさん達を捕まえたんだぞ!」

「それはそれ!これはこれ!」

「はぁ…」

「って事でベイカーさん離して!あの人にもう一度回復魔法かけるから!」

「何言っても無駄なのか?」

「それはベイカーさんが知ってるんじゃない?」

ミヅキが勝ち誇った顔をすると…

「わかった…だが俺が抱いてるからそこからにしろ!」

「はーい!」

ベイカーが近づくと…

「おい…この子がお前の状態を心配している…回復魔法をかけたいそうだ…近づくが何もするなよ」

ベイカーがなんの感情も込めずに言うと

「なぜそんな事をする…必要ない…お前らは陸上の者だろう…それに俺はもう駄目だ…触らないでくれ」

男がギッっと睨むと

「ほら!いらないとよ!しょうがねぇよ、無理やりするもんじゃねぇし」

ベイカーが嬉しそうにミヅキに言うが、ミヅキは答えず…

「なんでもう駄目なの?」

男に話しかける…

男はミヅキをちらっと見ると…

「私はもう黒い痣に侵された…だからもういいんだ…あんたもその子を近づけるな!これは遊びじゃない!本当に死ぬんだぞ!」

男は怒鳴ると…クラっときたようでバランスを崩し手を付いた…

ミヅキはグイッと体を動かすとベイカーの手から離れる。

「あっ!」

離れた隙に男に近づくと男の頬を思いっきりパーン!と挟んだ…。
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