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「いただきます…」

さっきのやつが褒めてたのはあの子の事だったんだな…確か、リリアナって言ってたな…

いつもの赤い飯に期待した分テンションが少し下がる…。

甘いって言ってたが…勘違いだったのか…

まずはフレンチトーストと言ってたパンを一口食べると…

「えっ…甘い…」

なんだ?赤いから辛いとばかり思ってたが…全然違う!

「うまっ!」

周りを見ると自分と同じような反応で無言で食べている奴らがほとんどだった…。

あっといつ間にパンを平らげてしまうと…

「今度は赤いスープだ…これは…いつもと同じようだが…匂いが辛くないなぁ…」

恐る恐る一口飲むと…ゴクゴクゴクと熱さも忘れて一気に飲み干す…。

「足らない…」

もっと飲みたい…今までお代わりなどした事がなかったが…思わず席を立って列に並び直そうとすると…

「おい!お前もう食べただろ!今日はお代わりは禁止なんだよ!」

並ぶ直前で肩を掴まれる。

「なんでだよ!もっと食いたくないのかよ」

「食いてぇよ!だけどそんな事したら他の奴らの分がなくなっちまうだろ、次は夜まで我慢するんだよ」


「夜まで…我慢…」

そんなに待てねぇ!

「おい!なんでお代わりがないんだよ!」

思わず厨房に怒鳴り声をあげると…

「いつもと同じ量を作ってんだよ!文句あるなら聞くぜ!」

ガルムが包丁を取り出すと、くるっと手の中で回す。

「はぁ…料理部風情がいきがってんじゃねぇぞ!」

反抗された事にカチンときて、掴みかかろうとすると…

「ガルムさん!包丁を人に向けたら駄目ですよ!」

リリアナが喧嘩しようとするガルムを止めようとすると…

「だってこいつがお代わりしたいって我儘言うんだぜ!」

「すみません…もっと作れば良かったんですけど…よかったら私の分食べますか?」

リリアナが自分の分を持ってこようとすると…

「えっ!いいのか?」

お代わり出来ると聞いて喜んでいると…

中から、赤い手が伸びてきて腕を掴まれる…。

「おい…これはこの子の分なんだよ…お前がこれをたべたこの子は何を食うんだ?」

「あ、赤鬼の旦那…」

シュカの後ろにはガルムとシシオとルーダがリリアナを庇うように立っていた…。

三人が睨みつけていると…

「あっ…もう何だか腹がいっぱいになったみたいだ…」

掴まれていた腕が緩むと…サッと手を引く…。

「わかればいいんだよ…」

「本当にいいんですか?」

リリアナがシュカを見ると…滅多に笑わない赤鬼が優しく笑い…

「お前はちっこいんだからちゃんと食わないといけない。俺は兄貴の変わりにお前の面倒をみるって決めたんだ」

そう言って大きい手でリリアナの頭を優しく撫でた…。
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