3 / 4
展開
しおりを挟む
その日から私達はお昼は中庭で渡辺くんも含めてお昼をすることが恒例になった。
次の日優子ちゃんは渡辺くんの為に菓子パンを多めに持ってきてくれた。
渡辺くんも少しおかずを多めに持ってきて私達のお弁当交換は定番となる。
「本当に渡辺くんのお弁当美味しいね!」
「私は、卵焼きが好きだわ。今度お母さんにレシピ聞いておいてくれる?」
「あっ、私も聞きたい!」
美紀の提案に私も慌てて賛同する。
「じゃあ真夜が聞いて私たちに教えるってことでどう?」
「お、俺はなんでも」
「別にみんなで聞けばいいじゃん」
「そこは……ねぇ?」
3人は含み笑いをする。
クーっ!
3人のからかう顔に歯がゆくなる。
「あっ渡辺くん次の授業用意あるよー」
すると通りかかった女生徒が渡辺くんに声をかけた。
「あっそうだった。ありがとう」
渡辺くんは早めに食事を終えると先に席を立った。
「じゃあお先に」
「はーい、用意頑張ってね」
「じゃあネ」
「うん、真夜帰りね」
渡辺くんは私に声をかけると教室へと早足に向かった。
その途中も他の生徒に話しかけられたり、渡辺くんは今や普通の生徒のように声をかけられることが増えていた。
私としてもそれが目的だっから誤解も溶けて嬉しいのだが……なんとなく胸がモヤモヤする。
「しかし渡辺くんって全然普通だね」
「本当に、顔が怖いくらいで他の男子より大人しいくらい」
みんなもすぐに渡辺くんの良さをわかってくれて打ち解けていた。
「でしょ!」
私は自分の、事のように嬉しくなる。
「はいはい、でもさー真夜はそれでいいの?」
美紀の言葉になんのことだと首を傾げる。
「だって……渡辺くんとは勘違いでこうなったわけでしょ?」
「あっ……」
そうだった。
なんとなく今の関係が心地よくて忘れていたが本当なら付き合いを解消するのが目的だったのだ。
「渡辺くんならちゃんと説明すればわかってくれるんじゃない?」
優子の言葉に想像してみる。
確かに渡辺くんなら笑ってわかってくれそうだ……でも……
なんとなくまだそれをしたくなかった。
「そう……だよね」
私は食べかけのお弁当を置いてしまう、なんとなく食欲がわかなかった。
「まぁ決めるのは真夜だよ」
千夏の言葉にコクっと頷いた。
次の日私は先生に昼休み前に呼ばれてしまったのでみんなに先に中庭にいっててもらった。
「しかしさー、真夜どうすんだろね?」
美紀は真夜の態度がもどかしくて2人に問いかけた。
「ありゃどう見ても両思いでしょ、でも最初の勘違いがあるから踏ん切りがつかないんじゃない?」
「そうだよねー、全く真夜はなんで間違えてラブレターを隣の下駄箱に入れるかな?」
「「本当に!」」
「それって……どういう事?」
「「「え!?」」」
美紀達渡辺くんの声にガバッと後ろを振り返った。
そこには悲しそうな顔の渡辺くんがいた。
「ち、違うの!その下駄箱を間違いたのは本当だけど真夜は……」
「隣って言ってたよね……あぁ聖也か」
渡辺くんは納得した顔をする。
「ねぇ待って!言い訳させて!」
美紀が立ち上がるとそこにタイミング悪く真夜が来てしまった……
「真夜……」
美紀達は申し訳なくて真夜の顔を見つめる。
「真夜、ちょっと来てくれる?」
「え?う、うん」
すると渡辺くんは真夜を連れて2人で何処かにいってしまった。
2人の背中を3人は後悔しながら見送ってしまった。
「えっと……どうしたの?」
私は突然渡辺くんに連れられてあの体育館裏に来ていた。
渡辺くんは私の腕を掴んで歩くがなかなか話をしてくれない。
変な雰囲気に私も戸惑うばかりだった。
すると渡辺くんは手を離してこちらを向く、その顔はなんか悲しそうに笑っていた。
「いいよ、別れよ」
「え?と、突然なに?」
別れるって何が私達?
最近は何となく仲良くなって来ていたのに
急にどうしたのかとわけを聞こうとすると……
「あの告白……間違えだったんだってね」
「あっ……」
「ふっ、その顔は本当みたいだね」
「違っ!そうじゃなくて……ごめんなさい」
確かにあれは間違えだけれど……今の気持ちは……
「真夜、聖也のことが好きなんだよね?俺、協力出来るよ」
「え……」
渡辺くんの提案に頭が真っ白になった。
「確かに聖也なら好きになるのもわかる。真夜となら……お似合いだよ、俺も応援する」
「私と高橋くんが付き合っても……いいの?」
私がそう聞くと渡辺くんはコクっと頷いた。
「そっか……わかった。じゃあ話はそれだけだね」
「うん……」
「私、ご飯まだだからみんなのところに行くね!」
私は渡辺くんの顔を見れずにすぐに振り返ると走り出した。
走っていると頬に冷たい水が当たる。
私は涙を拭くとみんなの元に向かった。
「真夜……」
みんなのところに着くと3人とも心配そうな顔で駆け寄ってきた。
「私……別れて来たよ!」
私は心配させまいと明るく答えた。
「ご、ごめん……」
美紀が泣きそうな顔で謝る。
「なんで?だって最初からこうする目的だったじゃない」
「真夜……今からいって誤解解いてくるよ!」
優子ちゃんが走るのを私は腕を掴んで止めた。
「ううん、渡辺くんにその気はないんだよ」
「なんで!?」
「私ね、聖也くん紹介するって言われた……聖也くんとならお似合いだって……」
そこまで言ってて涙がまた溢れてくる。
「わ、私……」
渡辺くんのこと好きになってた……
私の本当の気持ちに気がついたが……既に遅かった。
次の日優子ちゃんは渡辺くんの為に菓子パンを多めに持ってきてくれた。
渡辺くんも少しおかずを多めに持ってきて私達のお弁当交換は定番となる。
「本当に渡辺くんのお弁当美味しいね!」
「私は、卵焼きが好きだわ。今度お母さんにレシピ聞いておいてくれる?」
「あっ、私も聞きたい!」
美紀の提案に私も慌てて賛同する。
「じゃあ真夜が聞いて私たちに教えるってことでどう?」
「お、俺はなんでも」
「別にみんなで聞けばいいじゃん」
「そこは……ねぇ?」
3人は含み笑いをする。
クーっ!
3人のからかう顔に歯がゆくなる。
「あっ渡辺くん次の授業用意あるよー」
すると通りかかった女生徒が渡辺くんに声をかけた。
「あっそうだった。ありがとう」
渡辺くんは早めに食事を終えると先に席を立った。
「じゃあお先に」
「はーい、用意頑張ってね」
「じゃあネ」
「うん、真夜帰りね」
渡辺くんは私に声をかけると教室へと早足に向かった。
その途中も他の生徒に話しかけられたり、渡辺くんは今や普通の生徒のように声をかけられることが増えていた。
私としてもそれが目的だっから誤解も溶けて嬉しいのだが……なんとなく胸がモヤモヤする。
「しかし渡辺くんって全然普通だね」
「本当に、顔が怖いくらいで他の男子より大人しいくらい」
みんなもすぐに渡辺くんの良さをわかってくれて打ち解けていた。
「でしょ!」
私は自分の、事のように嬉しくなる。
「はいはい、でもさー真夜はそれでいいの?」
美紀の言葉になんのことだと首を傾げる。
「だって……渡辺くんとは勘違いでこうなったわけでしょ?」
「あっ……」
そうだった。
なんとなく今の関係が心地よくて忘れていたが本当なら付き合いを解消するのが目的だったのだ。
「渡辺くんならちゃんと説明すればわかってくれるんじゃない?」
優子の言葉に想像してみる。
確かに渡辺くんなら笑ってわかってくれそうだ……でも……
なんとなくまだそれをしたくなかった。
「そう……だよね」
私は食べかけのお弁当を置いてしまう、なんとなく食欲がわかなかった。
「まぁ決めるのは真夜だよ」
千夏の言葉にコクっと頷いた。
次の日私は先生に昼休み前に呼ばれてしまったのでみんなに先に中庭にいっててもらった。
「しかしさー、真夜どうすんだろね?」
美紀は真夜の態度がもどかしくて2人に問いかけた。
「ありゃどう見ても両思いでしょ、でも最初の勘違いがあるから踏ん切りがつかないんじゃない?」
「そうだよねー、全く真夜はなんで間違えてラブレターを隣の下駄箱に入れるかな?」
「「本当に!」」
「それって……どういう事?」
「「「え!?」」」
美紀達渡辺くんの声にガバッと後ろを振り返った。
そこには悲しそうな顔の渡辺くんがいた。
「ち、違うの!その下駄箱を間違いたのは本当だけど真夜は……」
「隣って言ってたよね……あぁ聖也か」
渡辺くんは納得した顔をする。
「ねぇ待って!言い訳させて!」
美紀が立ち上がるとそこにタイミング悪く真夜が来てしまった……
「真夜……」
美紀達は申し訳なくて真夜の顔を見つめる。
「真夜、ちょっと来てくれる?」
「え?う、うん」
すると渡辺くんは真夜を連れて2人で何処かにいってしまった。
2人の背中を3人は後悔しながら見送ってしまった。
「えっと……どうしたの?」
私は突然渡辺くんに連れられてあの体育館裏に来ていた。
渡辺くんは私の腕を掴んで歩くがなかなか話をしてくれない。
変な雰囲気に私も戸惑うばかりだった。
すると渡辺くんは手を離してこちらを向く、その顔はなんか悲しそうに笑っていた。
「いいよ、別れよ」
「え?と、突然なに?」
別れるって何が私達?
最近は何となく仲良くなって来ていたのに
急にどうしたのかとわけを聞こうとすると……
「あの告白……間違えだったんだってね」
「あっ……」
「ふっ、その顔は本当みたいだね」
「違っ!そうじゃなくて……ごめんなさい」
確かにあれは間違えだけれど……今の気持ちは……
「真夜、聖也のことが好きなんだよね?俺、協力出来るよ」
「え……」
渡辺くんの提案に頭が真っ白になった。
「確かに聖也なら好きになるのもわかる。真夜となら……お似合いだよ、俺も応援する」
「私と高橋くんが付き合っても……いいの?」
私がそう聞くと渡辺くんはコクっと頷いた。
「そっか……わかった。じゃあ話はそれだけだね」
「うん……」
「私、ご飯まだだからみんなのところに行くね!」
私は渡辺くんの顔を見れずにすぐに振り返ると走り出した。
走っていると頬に冷たい水が当たる。
私は涙を拭くとみんなの元に向かった。
「真夜……」
みんなのところに着くと3人とも心配そうな顔で駆け寄ってきた。
「私……別れて来たよ!」
私は心配させまいと明るく答えた。
「ご、ごめん……」
美紀が泣きそうな顔で謝る。
「なんで?だって最初からこうする目的だったじゃない」
「真夜……今からいって誤解解いてくるよ!」
優子ちゃんが走るのを私は腕を掴んで止めた。
「ううん、渡辺くんにその気はないんだよ」
「なんで!?」
「私ね、聖也くん紹介するって言われた……聖也くんとならお似合いだって……」
そこまで言ってて涙がまた溢れてくる。
「わ、私……」
渡辺くんのこと好きになってた……
私の本当の気持ちに気がついたが……既に遅かった。
12
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説

好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。

見えるものしか見ないから
mios
恋愛
公爵家で行われた茶会で、一人のご令嬢が倒れた。彼女は、主催者の公爵家の一人娘から婚約者を奪った令嬢として有名だった。一つわかっていることは、彼女の死因。
第二王子ミカエルは、彼女の無念を晴そうとするが……

【コミカライズ】今夜中に婚約破棄してもらわナイト
待鳥園子
恋愛
気がつけば私、悪役令嬢に転生してしまったらしい。
不幸なことに記憶を取り戻したのが、なんと断罪不可避の婚約破棄される予定の、その日の朝だった!
けど、後日談に書かれていた悪役令嬢の末路は珍しくぬるい。都会好きで派手好きな彼女はヒロインをいじめた罰として、都会を離れて静かな田舎で暮らすことになるだけ。
前世から筋金入りの陰キャな私は、華やかな社交界なんか興味ないし、のんびり田舎暮らしも悪くない。罰でもなく、単なるご褒美。文句など一言も言わずに、潔く婚約破棄されましょう。
……えっ! ヒロインも探しているし、私の婚約者会場に不在なんだけど……私と婚約破棄する予定の王子様、どこに行ったのか、誰か知りませんか?!
♡コミカライズされることになりました。詳細は追って発表いたします。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

転生先は推しの婚約者のご令嬢でした
真咲
恋愛
馬に蹴られた私エイミー・シュタットフェルトは前世の記憶を取り戻し、大好きな乙女ゲームの最推し第二王子のリチャード様の婚約者に転生したことに気が付いた。
ライバルキャラではあるけれど悪役令嬢ではない。
ざまぁもないし、行きつく先は円満な婚約解消。
推しが尊い。だからこそ幸せになってほしい。
ヒロインと恋をして幸せになるならその時は身を引く覚悟はできている。
けれども婚約解消のその時までは、推しの隣にいる事をどうか許してほしいのです。
※「小説家になろう」にも掲載中です

王太子の愚行
よーこ
恋愛
学園に入学してきたばかりの男爵令嬢がいる。
彼女は何人もの高位貴族子息たちを誑かし、手玉にとっているという。
婚約者を男爵令嬢に奪われた伯爵令嬢から相談を受けた公爵令嬢アリアンヌは、このまま放ってはおけないと自分の婚約者である王太子に男爵令嬢のことを相談することにした。
さて、男爵令嬢をどうするか。
王太子の判断は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる