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告白
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ドキドキドキ!!
心臓の音が飛び出してきそうなほど緊張しながら私はラブレターを握りしめた。
先程から下駄箱に入れようと奮闘するが勇気がわかない。
人の居ない早朝に来たのにこのままでは生徒が登校してきてしまう。
一目見た時から好きだった聖也くん、学年一カッコよくてもてている。自分には不釣り合いだと思うがワンチャン……と友達にも背中を押されて勢いのまま告白の手紙を書いてきたのだ。
早く入れなきゃと下駄箱に手をかけようとすると玄関口からザワザワと人の声が聞こえてきた。
人が来てしまった、慌てた私は急いで下駄箱を開けて手紙をねじ込む。
そして勢いよく閉めると教室に向かって走り出した。
「はぁはぁ……」
誰もいない教室に入り息を整える。
机に座ると少し落ち着いて頭を抱えた。
出してしまった……
早まったんじゃないかと後悔する。
でももう取りに行く勇気もない……なるようになれ!
私はその日1日ソワソワとして落ち着かなかった。
長いようで短い授業が終わりあっという間に放課後となる。
私は手紙に話があるから放課後体育館裏に来て欲しいと書いていた。
覚悟を決めて昼ごはんも食べずに体育館へと向かう。
表は校庭で遊ぶ人達でにぎあっているが裏は人も来ない告白スポットになっていた。
ここに呼び出したということは告白……と相場が決まっている。
私は1人落ち着かずに彼が来るのを待った。
10分ほど待つとこちらに向かってくる足音が聞こえてきた。
来た!
私は髪を整える制服に汚れなどないか確認する。
バッチリだと彼が角を曲がって現れるのを待った。
「よう……」
「え?」
するとそこには学年一の問題児の渡辺蓮弥が現れた。
なんで……
これから聖也くんがきて告白するのに彼がいたらできないし、誤解されるかもしれない。
「わ、渡辺くん……」
何か用があるのか聞こうとすると渡辺くんは私が書いた手紙を出した。
「え!?」
なんで彼が持ってるの!?
私は頭の中で色々と想像する。
もしかして聖也くんがみんなに見せて笑いものに?それとも下駄箱から落ちて拾ってくれた?
答えが分からずにいると渡辺くんから話出した。
「これが俺に下駄箱に入ってたって事は……そーいう事でいいんだよな?」
私に近づきながら大きな体で見下ろしてくる。
「あっ……その……えっと……」
間違えで入れてしまった!なんてとてもじゃないが言える雰囲気じゃない。
彼の怖い顔に声に詰まる。
「俺、こういうの初めてなんだ……でもまぁよろしく……えっと真夜でいいか?」
「は、はい!」
いきなり渡辺くんに名前を呼ばれて思わず返事をしてしまった。
「真夜……よろしく」
渡辺くんは少し頬を染めて微笑んだ。
あっ……笑うとかっこいい……
私は最悪の展開に呑気にそんな事を考えていた。
その後少し話をして私は教室へと戻ってきた。
「真夜!どうだった!」
友達は私が教室に帰ってくるなり机に座らせて周りを取り囲む。
「美紀、真夜の様子で察してやれよ」
「そうだよー真夜ちゃんもっといい人いるよ」
「優子、千夏……あーん!」
私は友達の顔を見てどうしようと叫んだ。
「はぁー!?違うやつに告白した?真夜なにやってんの」
「しかも相手がこの学年の問題児の渡辺蓮弥ってか?」
「んー、真夜ちゃんどんまい!」
3人は私の行動に呆れている。
「どうしよう!怖くて間違えましたっていえなくて……」
「うーんそれは正解かもよ、だってこの前の傷見たでしょ?あれ他の学校と喧嘩したって噂だよ」
「そうそう、新学期も数日登校してこなかったのは停学だったって言ってたし」
渡辺くんの噂に私は顔が青くなる。
「このまま少し付き合って振ってもらうか断るのがいいんじゃない?」
「それしかないよね……はぁ」
改めて自分のドジぶりに呆れる。
憂鬱な授業を終えると今日は早く帰ろうと支度をしていたら、友達が困った顔でそばにきた。
「真夜……渡辺くんが呼んでる」
「え?」
友達達の言う方に視線を向けると教室のドアの近くで渡辺くんが待っていた。
すると教室中の視線が私と渡辺くんに集まった。
嘘でしょ!
私はカバンを掴むと急いで教室を出て渡辺くんの腕を掴んだ。
「こっち!」
そして人気の居ない階段の方へと誘導する。
キョロキョロと周りに人がいないのを確認して渡辺くんに向き合った。
「な、なんで教室に!」
「いや、一緒に帰ろうと思って……ダメだった?」
渡辺くんにジロっと睨まれて自分の行動に慌てて手を離した。
「いや、そんなすぐに……」
「俺、彼女とか初めてで……こういう時一緒に帰るもんかと思って……ごめん」
渡辺くんは大きな体を少し小さくして謝った。
「渡辺くんが謝った」
「は?」
「あっ!ごめんなさい……だって渡辺くん悪くないし……」
それにそんな事で謝る人だとは思ってもみなかった。
「そりゃ人に迷惑かけたら謝るさ、それに……俺友達少なくてさ、こんな時どうしたらいいかわかんなくて……」
渡辺くんは気まずそうに頭をかいた。
なんか……思っていた印象と違う。
話して見ると渡辺くんは決して怖くなくて普通の男の子用に見えた。
そう思うと私の方も落ち着いてくる。
「えっと、私もいきなり来たから恥ずかしくて……なるべく学校では付き合ってるの内緒でもいいかな?」
「わかった」
渡辺くんはいいよとすぐに了承してくれる。
良かった、コレで聖也くんに変な誤解をされないですむ……と私はこの時は思っていた。
しかし学生の噂話の広がるスピードを舐めていた。
私達は次の日、付き合っていると言う噂があっという間に学校中に広がっていた。
「よ!渡辺真夜さん!」
「お似合いだねー」
私は歩く度に男子にからかわれる事になった。
廊下を歩けばニヤニヤと視線を向けられ嫌になる。
「もう!いい加減に……」
我慢の限界に思わず大声で叫びそうになると……「いい加減にしろよ」渡辺くんの低い声が廊下に響いた。
ジロっとからかっていた男子達をひと睨みするとサーっとみんな関わりたくないとその場を去っていく。
「真夜、ちょっと」
すると渡辺くんは私の手を取りまた階段へと向かった。
「渡辺くん、痛い」
腕をずっと引かれて腕が痛くなり声をかける。
「ご、ごめん!」
渡辺くんはすぐに手を離すと私の顔をみて悲しそうに謝った。
「本当にごめん……教室に行っただけでこんなことになるなんて」
渡辺くんもこの騒ぎには驚いたようだ、私の様子をこっそりと見に行くとあの様子に我慢が出来なくなったらしい。
「いいよ、もうみんな知ってるし……堂々としてよっか?」
私はもうどうでもいいやと諦めたように言った。
2人で教室に戻るとチラチラとこちらに視線を向けてくるが先程のようにからかう声は無かった。
「よう蓮弥!」
すると渡辺くんに声がかかる。
珍しいと視線を向けるとそこには聖也くんの姿があった。
「あっ聖也、移動か?」
「ああ、そっちは……なるほどね」
聖也くんは私と渡辺くんをみて納得したように微笑んだ。
その後渡辺くんと聖也くんは少し話をして別れる。
「わ、渡辺くん、聖也……高橋くんと仲良いの?」
「聖也?ああ幼なじみだよ、この学校で唯一話しかけてくれる友人だな」
「そうなんだ……」
一番知られたくない人に知られてしまった、しかも間違えた相手は友人。
もうダメだ……何も考えたくないと私は渡辺くんを無視して教室に戻った。
その日の授業はほとんど死んでいた。
私の態度に最初は先生も怒っていたが次第に心配になったようで午後は優しかった。
授業も終える頃私は決定した失恋に青い空を眺めて悟りを開いていた。
もうどう転んでも聖也くんと付き合えるわけない……もーなんでもいい。これ以上悪くなることなんてない!
それなら楽しんでやる!
不本意な相手とはいえ初めての彼氏だ、色々試して今後の練習と思おう。
そう決めると少しスッキリする。
するとちょうどよく渡辺くんが迎えにきた。
「えっと……」
名前を呼ぼうかと迷っている、その姿に問題児の威厳は何処だとクスッと笑った。
「私、帰るね!」
友達に先に帰ると挨拶すると渡辺くんの元に向かった。
「あっ……真夜」
「一緒に帰ろ」
私達は一緒に学校を出た、しばらく会話もなく無言で歩いている。
いたたまれなくて私から話出した。
「渡辺くんは帰り電車?」
「ああ」
「じゃあ一緒だね」
「ああ」
ちーん……会話終了。
なんだよ!私だって頑張って話したんだからそっちも会話広げてよ!
そう思っているとぐーっと渡辺くんの方から音がした。
なんの音だと思っていると恥ずかしそうにお腹に手を置いている。
なるほど、お腹がなったのか。
「ちょっとどっか寄ろうか?」
「いいの?」
「お腹すいてるんでしょ、バーガーでいい?」
ちょうど駅前にあるバーガー店が目に入りそちらに向かった。
「えっとバーガー2つにチーズバーガー1つ、ナゲットとコーラLにアップルパイ。真夜は何にする?」
「ポ、ポテトだけでいい」
「じゃああとポテト追加で」
本当にそんなに食べれるのかと心配したが渡辺くんはあっという間に全てをお腹に詰め込んだ。
「すごい食べるね」
「そう?このくらい男なら普通だよ」
そんな事ないと思うが……
渡辺くんの視線は私の半分残ったポテトに向いている。
「良かったら食べる?」
私がポテトを向けるといいのか?と驚いていた。
「うん、もう決定お腹いっぱいだから」
「絶対食べないんだな、だからそんなに細いんだな」
「そ、そんな事ないよ!私は友達の中でも普通だし、美紀ちゃんとかは美人で痩せてるし、優子ちゃんもかわいいし、千夏ちゃんは頭がいいし……」
自分で言ってて嫌になる。
何も無い自分が恥ずかしかった。
「そんな事ないよ、真夜は優しいしそれに……」
そこまで言って渡辺くんは言葉を濁した。
「私が何?」
なんとなく続きが知りたくてじっと顔を見つめる。
渡辺くんは気まずそうに視線を逸らした。
ふっと窓辺に視線を向ける渡辺くんを近くでまじまじと見つめる。
今まで怖くてよく見なかったが渡辺くんは背も高くて少し目つきが悪いが整った顔をしていた。
「そんなに見るな」
渡辺くんは私の視線に耐えきれなくなったのか顔を大きな手で隠す。
「なっ!」
今の何?
怖い顔の彼が恥ずかしがる姿に胸がキュンと苦しくなった。
いやいや!違う!
私は自分の気持ちを否定して残りのポテトを急いで書き込んだ。
心臓の音が飛び出してきそうなほど緊張しながら私はラブレターを握りしめた。
先程から下駄箱に入れようと奮闘するが勇気がわかない。
人の居ない早朝に来たのにこのままでは生徒が登校してきてしまう。
一目見た時から好きだった聖也くん、学年一カッコよくてもてている。自分には不釣り合いだと思うがワンチャン……と友達にも背中を押されて勢いのまま告白の手紙を書いてきたのだ。
早く入れなきゃと下駄箱に手をかけようとすると玄関口からザワザワと人の声が聞こえてきた。
人が来てしまった、慌てた私は急いで下駄箱を開けて手紙をねじ込む。
そして勢いよく閉めると教室に向かって走り出した。
「はぁはぁ……」
誰もいない教室に入り息を整える。
机に座ると少し落ち着いて頭を抱えた。
出してしまった……
早まったんじゃないかと後悔する。
でももう取りに行く勇気もない……なるようになれ!
私はその日1日ソワソワとして落ち着かなかった。
長いようで短い授業が終わりあっという間に放課後となる。
私は手紙に話があるから放課後体育館裏に来て欲しいと書いていた。
覚悟を決めて昼ごはんも食べずに体育館へと向かう。
表は校庭で遊ぶ人達でにぎあっているが裏は人も来ない告白スポットになっていた。
ここに呼び出したということは告白……と相場が決まっている。
私は1人落ち着かずに彼が来るのを待った。
10分ほど待つとこちらに向かってくる足音が聞こえてきた。
来た!
私は髪を整える制服に汚れなどないか確認する。
バッチリだと彼が角を曲がって現れるのを待った。
「よう……」
「え?」
するとそこには学年一の問題児の渡辺蓮弥が現れた。
なんで……
これから聖也くんがきて告白するのに彼がいたらできないし、誤解されるかもしれない。
「わ、渡辺くん……」
何か用があるのか聞こうとすると渡辺くんは私が書いた手紙を出した。
「え!?」
なんで彼が持ってるの!?
私は頭の中で色々と想像する。
もしかして聖也くんがみんなに見せて笑いものに?それとも下駄箱から落ちて拾ってくれた?
答えが分からずにいると渡辺くんから話出した。
「これが俺に下駄箱に入ってたって事は……そーいう事でいいんだよな?」
私に近づきながら大きな体で見下ろしてくる。
「あっ……その……えっと……」
間違えで入れてしまった!なんてとてもじゃないが言える雰囲気じゃない。
彼の怖い顔に声に詰まる。
「俺、こういうの初めてなんだ……でもまぁよろしく……えっと真夜でいいか?」
「は、はい!」
いきなり渡辺くんに名前を呼ばれて思わず返事をしてしまった。
「真夜……よろしく」
渡辺くんは少し頬を染めて微笑んだ。
あっ……笑うとかっこいい……
私は最悪の展開に呑気にそんな事を考えていた。
その後少し話をして私は教室へと戻ってきた。
「真夜!どうだった!」
友達は私が教室に帰ってくるなり机に座らせて周りを取り囲む。
「美紀、真夜の様子で察してやれよ」
「そうだよー真夜ちゃんもっといい人いるよ」
「優子、千夏……あーん!」
私は友達の顔を見てどうしようと叫んだ。
「はぁー!?違うやつに告白した?真夜なにやってんの」
「しかも相手がこの学年の問題児の渡辺蓮弥ってか?」
「んー、真夜ちゃんどんまい!」
3人は私の行動に呆れている。
「どうしよう!怖くて間違えましたっていえなくて……」
「うーんそれは正解かもよ、だってこの前の傷見たでしょ?あれ他の学校と喧嘩したって噂だよ」
「そうそう、新学期も数日登校してこなかったのは停学だったって言ってたし」
渡辺くんの噂に私は顔が青くなる。
「このまま少し付き合って振ってもらうか断るのがいいんじゃない?」
「それしかないよね……はぁ」
改めて自分のドジぶりに呆れる。
憂鬱な授業を終えると今日は早く帰ろうと支度をしていたら、友達が困った顔でそばにきた。
「真夜……渡辺くんが呼んでる」
「え?」
友達達の言う方に視線を向けると教室のドアの近くで渡辺くんが待っていた。
すると教室中の視線が私と渡辺くんに集まった。
嘘でしょ!
私はカバンを掴むと急いで教室を出て渡辺くんの腕を掴んだ。
「こっち!」
そして人気の居ない階段の方へと誘導する。
キョロキョロと周りに人がいないのを確認して渡辺くんに向き合った。
「な、なんで教室に!」
「いや、一緒に帰ろうと思って……ダメだった?」
渡辺くんにジロっと睨まれて自分の行動に慌てて手を離した。
「いや、そんなすぐに……」
「俺、彼女とか初めてで……こういう時一緒に帰るもんかと思って……ごめん」
渡辺くんは大きな体を少し小さくして謝った。
「渡辺くんが謝った」
「は?」
「あっ!ごめんなさい……だって渡辺くん悪くないし……」
それにそんな事で謝る人だとは思ってもみなかった。
「そりゃ人に迷惑かけたら謝るさ、それに……俺友達少なくてさ、こんな時どうしたらいいかわかんなくて……」
渡辺くんは気まずそうに頭をかいた。
なんか……思っていた印象と違う。
話して見ると渡辺くんは決して怖くなくて普通の男の子用に見えた。
そう思うと私の方も落ち着いてくる。
「えっと、私もいきなり来たから恥ずかしくて……なるべく学校では付き合ってるの内緒でもいいかな?」
「わかった」
渡辺くんはいいよとすぐに了承してくれる。
良かった、コレで聖也くんに変な誤解をされないですむ……と私はこの時は思っていた。
しかし学生の噂話の広がるスピードを舐めていた。
私達は次の日、付き合っていると言う噂があっという間に学校中に広がっていた。
「よ!渡辺真夜さん!」
「お似合いだねー」
私は歩く度に男子にからかわれる事になった。
廊下を歩けばニヤニヤと視線を向けられ嫌になる。
「もう!いい加減に……」
我慢の限界に思わず大声で叫びそうになると……「いい加減にしろよ」渡辺くんの低い声が廊下に響いた。
ジロっとからかっていた男子達をひと睨みするとサーっとみんな関わりたくないとその場を去っていく。
「真夜、ちょっと」
すると渡辺くんは私の手を取りまた階段へと向かった。
「渡辺くん、痛い」
腕をずっと引かれて腕が痛くなり声をかける。
「ご、ごめん!」
渡辺くんはすぐに手を離すと私の顔をみて悲しそうに謝った。
「本当にごめん……教室に行っただけでこんなことになるなんて」
渡辺くんもこの騒ぎには驚いたようだ、私の様子をこっそりと見に行くとあの様子に我慢が出来なくなったらしい。
「いいよ、もうみんな知ってるし……堂々としてよっか?」
私はもうどうでもいいやと諦めたように言った。
2人で教室に戻るとチラチラとこちらに視線を向けてくるが先程のようにからかう声は無かった。
「よう蓮弥!」
すると渡辺くんに声がかかる。
珍しいと視線を向けるとそこには聖也くんの姿があった。
「あっ聖也、移動か?」
「ああ、そっちは……なるほどね」
聖也くんは私と渡辺くんをみて納得したように微笑んだ。
その後渡辺くんと聖也くんは少し話をして別れる。
「わ、渡辺くん、聖也……高橋くんと仲良いの?」
「聖也?ああ幼なじみだよ、この学校で唯一話しかけてくれる友人だな」
「そうなんだ……」
一番知られたくない人に知られてしまった、しかも間違えた相手は友人。
もうダメだ……何も考えたくないと私は渡辺くんを無視して教室に戻った。
その日の授業はほとんど死んでいた。
私の態度に最初は先生も怒っていたが次第に心配になったようで午後は優しかった。
授業も終える頃私は決定した失恋に青い空を眺めて悟りを開いていた。
もうどう転んでも聖也くんと付き合えるわけない……もーなんでもいい。これ以上悪くなることなんてない!
それなら楽しんでやる!
不本意な相手とはいえ初めての彼氏だ、色々試して今後の練習と思おう。
そう決めると少しスッキリする。
するとちょうどよく渡辺くんが迎えにきた。
「えっと……」
名前を呼ぼうかと迷っている、その姿に問題児の威厳は何処だとクスッと笑った。
「私、帰るね!」
友達に先に帰ると挨拶すると渡辺くんの元に向かった。
「あっ……真夜」
「一緒に帰ろ」
私達は一緒に学校を出た、しばらく会話もなく無言で歩いている。
いたたまれなくて私から話出した。
「渡辺くんは帰り電車?」
「ああ」
「じゃあ一緒だね」
「ああ」
ちーん……会話終了。
なんだよ!私だって頑張って話したんだからそっちも会話広げてよ!
そう思っているとぐーっと渡辺くんの方から音がした。
なんの音だと思っていると恥ずかしそうにお腹に手を置いている。
なるほど、お腹がなったのか。
「ちょっとどっか寄ろうか?」
「いいの?」
「お腹すいてるんでしょ、バーガーでいい?」
ちょうど駅前にあるバーガー店が目に入りそちらに向かった。
「えっとバーガー2つにチーズバーガー1つ、ナゲットとコーラLにアップルパイ。真夜は何にする?」
「ポ、ポテトだけでいい」
「じゃああとポテト追加で」
本当にそんなに食べれるのかと心配したが渡辺くんはあっという間に全てをお腹に詰め込んだ。
「すごい食べるね」
「そう?このくらい男なら普通だよ」
そんな事ないと思うが……
渡辺くんの視線は私の半分残ったポテトに向いている。
「良かったら食べる?」
私がポテトを向けるといいのか?と驚いていた。
「うん、もう決定お腹いっぱいだから」
「絶対食べないんだな、だからそんなに細いんだな」
「そ、そんな事ないよ!私は友達の中でも普通だし、美紀ちゃんとかは美人で痩せてるし、優子ちゃんもかわいいし、千夏ちゃんは頭がいいし……」
自分で言ってて嫌になる。
何も無い自分が恥ずかしかった。
「そんな事ないよ、真夜は優しいしそれに……」
そこまで言って渡辺くんは言葉を濁した。
「私が何?」
なんとなく続きが知りたくてじっと顔を見つめる。
渡辺くんは気まずそうに視線を逸らした。
ふっと窓辺に視線を向ける渡辺くんを近くでまじまじと見つめる。
今まで怖くてよく見なかったが渡辺くんは背も高くて少し目つきが悪いが整った顔をしていた。
「そんなに見るな」
渡辺くんは私の視線に耐えきれなくなったのか顔を大きな手で隠す。
「なっ!」
今の何?
怖い顔の彼が恥ずかしがる姿に胸がキュンと苦しくなった。
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私は自分の気持ちを否定して残りのポテトを急いで書き込んだ。
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