助けたキツネが恩返しにきました。もふもふはいるだけで幸せです。

三園 七詩

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「ジャック!貴様化け物を町に引き入れたんだな!」

ダミアンは唖然としていた俺に矛先を向けた。

「みんな聞いくれ!この化け物達はジャックが連れてきたんだ。倒した者には報酬を渡す!」

「「「えっ?」」」

逃げようとしていた従者達が金に引き戻された。

「待ってくれ!この人達は化け物なんかじゃない俺を助けてくれただけなんだ」

俺はココ達の前に立つと手を広げて庇った。

ココは色めき立つ従者達に怯えていた。
従者達は一番弱そうなココに狙いを定めていたのだ。

「はぁ…久しく来みれば人も変わったのだな。おい、そこのグレースはいないのか?」

主様がダミアンに向かって声をかけた。

「グレースだと?なぜ貴様がおじい様の名前を知っている」


「おじい様だと?あのチビのグレースがじじいになったのか?」

主様が少し驚いた。

「チビだと!おじい様を愚弄するな、おじい様はこのオリバー家を領主にした素晴らしい人だ。俺もその跡を継ぐんだよ」

「お前はグレースの孫か…嘆かわしい。こんな事なら力を貸さなければ良かった」

主様がため息をつくと騒ぎを駆けつけてきた人達が集まってきた。

「退いてくれ!私の屋敷で何があった!」

「領主様!」

「ち、父上」

ダミアンは父親の登場に眉をしかめた。

「ダミアン!この騒ぎは何事だ!あっ!や、屋敷が…」

領主様はダミアンを見るなり怒鳴りつけ、崩壊仕掛けた屋敷をみて唖然としている。

「こ、これはこいつらが!」

ダミアンは俺達を指さした。

「君は…ジャック君だったかな?一体なんの騒ぎなんだ」

領主様はジャックを見たあと周りの主様達に目を向けてギョッとしていた。

「そ、そちらの方は?」

主様をみて手を差し出してきた。

「グレースに似ているな、私はこの森の主。以前この屋敷の男に力を貸した者だ」

「主…様!まさかロロナ様?」

「その名で呼ばれるのは久しぶりだな」

「ロロナ様?」

俺はそう呼ばれた主様を見るとココが服を引っ張った。

「主様の名前だよ」

そっと耳打ちして教えてくれる。

「主様って一体何者なんだ?」

「主様は主様だよ?」

ココは聞いている質問の意味が分からないようで首を傾げた。

「ロロナ様は昔森の子を助けたグレースという若者の願いを叶えた事があるのよ」

ルナールさんが説明してくれた。

「それがダミアンのおじい様?」

「みたいね、あんなにいい子だったのに孫は最悪ね」

ダミアンの素行に呆れている。

呑気に話を聞いていると主様と領主様で話が進んでいた。

「グレースを呼んできてくれ、力の借りを返して貰う」

「お、お待ち下さい。父は昨年亡くなりました、しかし主様の話は聞いております。今は私が引き継いでいるのです」

「そうか、なら返してもらおうか?」

主様が領主様に向かって手を差し出した。

「父上!そんな怪しい奴の言うことなど聞くことありません!捕まえてしまえば大丈夫です!誰か!捕まろ!」

ダミアンが従者に命令する。

「いい加減にしろ!ダミアンの言うことを聞いた者は今後一切屋敷で雇わん!」

領主様の怒涛に一同静まり返った。
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