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5.目撃

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「ご馳走様でした」

「ご馳走様、美味しかったよ」

私達は食事を終えて私はゴミを片ずける。

なんか少し気まずい雰囲気に何か話さないと、と顔をあげるとアイザックさんの後ろにある顔を見つけて固まってしまった。

「ん?どうした」

アイザックさんはそんな私の様子に声をかけると、私の視線の先を振り向いた。

「ダメ!」

私はアイザックさんの背中を掴んで顔を隠した…

「な!ど、ど…」

同様するアイザックさんに背中に引っ付いたまま小さい声で話しかける。

「ロータスがいる…」

その言葉にアイザックさんはそっと私の体を隠してくれた。

「どこ?」

小さい声で言われてアイザックさんの体の影からそっと顔を出して確認する。

「あの…青い屋根のお店にいる、背の高い紺色の髪の人…」

「あれか…」

アイザックさんからなるほどと聞こえて私はまた顔を引っ込めた。

「彼は今何してますか!」

「なんか買い物してるみたいだな…」

「ロータスが買物?一人で?」

「うーん、一人みたいだな」

なんだろ?ロータスはあんまりこういうところが好きじゃないと思っていた。

「あっ…」

するとアイザックさんから何か気がついた様な声がする。

私はまた顔を出した。

「あっ!駄目だ!」

アイザックさんに止められる前に私は見てしまった…ロータスが綺麗な女性と笑いあっている姿を…

「アイラ、向こうに行こう。歩けるか?」

アイザックさんに支えられてどうにか歩くと私達はその場を離れた。

「大丈夫か?」

「え?あっ…うん…だいじょうぶ…」

私の答えにアイザックさんは困ったようにガシガシと髪をかいた。

「行くぞ!」

すると私の手を引いてドンドンと歩くとまたあの路地裏に帰ってきた。

アイザックさんはどっかから椅子を持ってきてくれて私を座らせてくれる。

「さっきのがロータスなんだな?」

私はこくっと頷いた。

ロータスだった…でも私の知らないロータスだった。

彼は見た事ない笑顔で彼女を待っていた…私には見せたことない頬を赤らめた顔。

あれは恋する顔だった…

「ロータス…本当にあの人が好きなんだね…」

私は思わずボソッと声を漏らした。

ロータスなら…あの優しいロータスならまた私を好きになてくれかもと思っていたがそうじゃなかった。

ロータスは元から私の事を好きじゃなかったんだ、それがあの顔をみてわかってしまった。

「あはは…私バカみたい…まだロータスが自分を好きなんじゃないかと思ってた…」

泣く事も忘れて喋った。
少しでも止めたら泣き喚いてしまいそうだった。

「ロータスったらあんな顔できたのね、私の前では兄の顔をしてたんだ…本当に……」

私はバカだ…

そう言ったら涙が溢れ出てしまう…そう思っていると目の前が真っ暗になる。

「そんな顔するな…」

すぐそばでアイザックさんの声がした…自分が抱きしめられているのだとその時わかった。

「泣くなら俺の胸で泣け、一人で泣くな」

「だ、大丈夫…」

「大丈夫なわけあるか!そんな今にも泣きそうな顔で…」

優しいアイザックさんの声に鼻の先がツーンと痛くなる。

「うっ…うっ…」

私はアイザックさんの服にしがみついた。

「泣け!泣いてスッキリしろ!」

アイザックさんの声に私はわー!っと声を出して泣き出した。
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