2 / 9
2.友人
しおりを挟む
私は話し出すと止まらなくなる。
ロータスとの出会いに、彼との思い出…そして先程のやり取り。
話し出すと一気に喋ってしまう。
途中何度もロータスの事を思い出しては涙して詰まってもアイザックは静かに話を聞いてくれていた。
「私…やっぱりまだ彼が好き…」
話してみて自分の気持ちを再確認する。
すると話を聞き終えたアイザックが口を開いた。
「なんだそれ!ロータスって奴は最低だな!」
「え?」
アイザックは話を聞くなり怒り出した。
「アイラも何そんな遠慮してるんだよ!君が婚約破棄を認めなけりゃそんなの無効だろ?」
ポロ…
私は思わずまた涙が溢れる。
「あっ!ご、ごめん。泣かせるつもりはなかったんだけど」
アイザックは慌ててハンカチを取り出した。
「ありがとう…」
私はそれを受けとって涙を拭いた。
「あのね、ロータスは本当にいい人なの。私の事怒ったことも無いし…」
「でも泣かせてるじゃん」
アイザックの言葉にハッとする。
「もう少しわがままになってもいいんじゃない?今からでも彼の心を取り戻せるかもよ」
「そ、そうかな?」
「そうだ!よかったら俺がアドバイスしてやろうか?」
「アドバイス?」
「男の気持ちは男がよくわかるもんさ!」
アイザックはパチッとウインクして自信満々に笑っている。
「彼の気持ち…取り戻せる…かな?」
私は自信が無くてそっと彼を見上げた。
「ああ、この百戦錬磨のアイザック様に任せておけ!」
アイザックはドンッ!とたくましい胸を叩いた。
私はロータスの事を思ってもう少し頑張って見ようと決意する。
「アイザックさん!よろしくお願いします!」
ペコッと頭を下げて彼にお願いする。
「よろしくな、アイラ!」
「はい!」
私達は改めて手を握りあった。
私はアイザックさんとまた明日会う約束をして屋敷へと帰ることにした。
すると屋敷では母とロータスのお母様が待っていた。
「「アイラ!(ちゃん)」」
二人は私を見るなり涙を流して駆け寄ってくる。
「アイラ、大丈夫!?今リリアから話は聞いたわ、ロータスくんに婚約破棄されたって…」
お母さんは心配そうに私を抱きしめた。
「アイラちゃん…本当にバカ息子がごめんなさい。家に戻ったら考え直すように話すから何も心配しないでね!」
ロータスのお母様は申し訳ないと何度も頭を下げる。
「やめて下さい、スミスさん。私なら大丈夫ですから」
私は二人に笑って見せた。
あのまま帰っていたら二人の前で取り乱して泣いていたかもしれない…でもアイザックさんに話を聞いてもらって希望がもてた今は落ち着いて話ができた。
「アイラ…てっきり泣いてるかと思った」
「アイラちゃん、本当に平気?」
「はい。でも私まだロータスの事が好きで…もう少し彼を諦めないでいてもいいですか?」
ロータスのお母様にそう言うともちろん!と抱きしめてくれる。
「アイラちゃんは私に持っても娘みたいなものよ!本当にロータスったらこんなにいい子を振るなんて何を考えてるのかしら!」
私以上に怒ってくれるお母様に笑みがこぼれた。
「でもよかった…アイラちゃんが笑ってくれてて」
そして本当に安心するように息を吐いた。
「私もさっき話を聞いたばかりでね、ロータスったら怒ったら家を飛び出しちゃって…帰ってきたら考え直すように話をしてみるから待っててね」
スミスさんはそう言って何度も私達に謝って帰って行った。
「よかったわ、きっとロータスくんの気の迷いよ。明日になれば元通りになってるわ」
お母さんにそう言われて私は笑って頷くと屋敷へと入った…しかしその夜帰ってきた父から正式に婚約破棄の事を伝えられることになるとはこの時は思ってもみなかった。
ロータスとの出会いに、彼との思い出…そして先程のやり取り。
話し出すと一気に喋ってしまう。
途中何度もロータスの事を思い出しては涙して詰まってもアイザックは静かに話を聞いてくれていた。
「私…やっぱりまだ彼が好き…」
話してみて自分の気持ちを再確認する。
すると話を聞き終えたアイザックが口を開いた。
「なんだそれ!ロータスって奴は最低だな!」
「え?」
アイザックは話を聞くなり怒り出した。
「アイラも何そんな遠慮してるんだよ!君が婚約破棄を認めなけりゃそんなの無効だろ?」
ポロ…
私は思わずまた涙が溢れる。
「あっ!ご、ごめん。泣かせるつもりはなかったんだけど」
アイザックは慌ててハンカチを取り出した。
「ありがとう…」
私はそれを受けとって涙を拭いた。
「あのね、ロータスは本当にいい人なの。私の事怒ったことも無いし…」
「でも泣かせてるじゃん」
アイザックの言葉にハッとする。
「もう少しわがままになってもいいんじゃない?今からでも彼の心を取り戻せるかもよ」
「そ、そうかな?」
「そうだ!よかったら俺がアドバイスしてやろうか?」
「アドバイス?」
「男の気持ちは男がよくわかるもんさ!」
アイザックはパチッとウインクして自信満々に笑っている。
「彼の気持ち…取り戻せる…かな?」
私は自信が無くてそっと彼を見上げた。
「ああ、この百戦錬磨のアイザック様に任せておけ!」
アイザックはドンッ!とたくましい胸を叩いた。
私はロータスの事を思ってもう少し頑張って見ようと決意する。
「アイザックさん!よろしくお願いします!」
ペコッと頭を下げて彼にお願いする。
「よろしくな、アイラ!」
「はい!」
私達は改めて手を握りあった。
私はアイザックさんとまた明日会う約束をして屋敷へと帰ることにした。
すると屋敷では母とロータスのお母様が待っていた。
「「アイラ!(ちゃん)」」
二人は私を見るなり涙を流して駆け寄ってくる。
「アイラ、大丈夫!?今リリアから話は聞いたわ、ロータスくんに婚約破棄されたって…」
お母さんは心配そうに私を抱きしめた。
「アイラちゃん…本当にバカ息子がごめんなさい。家に戻ったら考え直すように話すから何も心配しないでね!」
ロータスのお母様は申し訳ないと何度も頭を下げる。
「やめて下さい、スミスさん。私なら大丈夫ですから」
私は二人に笑って見せた。
あのまま帰っていたら二人の前で取り乱して泣いていたかもしれない…でもアイザックさんに話を聞いてもらって希望がもてた今は落ち着いて話ができた。
「アイラ…てっきり泣いてるかと思った」
「アイラちゃん、本当に平気?」
「はい。でも私まだロータスの事が好きで…もう少し彼を諦めないでいてもいいですか?」
ロータスのお母様にそう言うともちろん!と抱きしめてくれる。
「アイラちゃんは私に持っても娘みたいなものよ!本当にロータスったらこんなにいい子を振るなんて何を考えてるのかしら!」
私以上に怒ってくれるお母様に笑みがこぼれた。
「でもよかった…アイラちゃんが笑ってくれてて」
そして本当に安心するように息を吐いた。
「私もさっき話を聞いたばかりでね、ロータスったら怒ったら家を飛び出しちゃって…帰ってきたら考え直すように話をしてみるから待っててね」
スミスさんはそう言って何度も私達に謝って帰って行った。
「よかったわ、きっとロータスくんの気の迷いよ。明日になれば元通りになってるわ」
お母さんにそう言われて私は笑って頷くと屋敷へと入った…しかしその夜帰ってきた父から正式に婚約破棄の事を伝えられることになるとはこの時は思ってもみなかった。
0
お気に入りに追加
128
あなたにおすすめの小説
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
我慢してきた令嬢は、はっちゃける事にしたようです。
和威
恋愛
侯爵令嬢ミリア(15)はギルベルト伯爵(24)と結婚しました。ただ、この伯爵……別館に愛人囲ってて私に構ってる暇は無いそうです。本館で好きに過ごして良いらしいので、はっちゃけようかな?って感じの話です。1話1500~2000字程です。お気に入り登録5000人突破です!有り難うございまーす!2度見しました(笑)
愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
もうすぐ、お別れの時間です
夕立悠理
恋愛
──期限つきの恋だった。そんなの、わかってた、はずだったのに。
親友の代わりに、王太子の婚約者となった、レオーネ。けれど、親友の病は治り、婚約は解消される。その翌日、なぜか目覚めると、王太子が親友を見初めるパーティーの日まで、時間が巻き戻っていた。けれど、そのパーティーで、親友ではなくレオーネが見初められ──。王太子のことを信じたいけれど、信じられない。そんな想いにゆれるレオーネにずっと幼なじみだと思っていたアルロが告白し──!?
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
断罪されそうになった侯爵令嬢が頭のおかしい友人のおかげで冤罪だと証明されるに至るまでの話。
あの時削ぎ落とした欲
恋愛
流されるままに生きていた侯爵令嬢エリスは、元平民の自由奔放な少女と出会うことで心を取り戻していく。
ショートショート『断罪されそうになった侯爵令嬢、頭のおかしい友人のおかげで冤罪だと証明されるが二重の意味で周囲から同情される。』の前日譚です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる