2 / 14
2.
しおりを挟む
メニューを見ると一通りのドリンク類に少しの軽食があった。
サンドイッチ、トーストにカレーにナポリタン。
想像するとお腹が鳴りそうになる。
そういえばお昼も食べてなかった。
しかし仕事を辞めた手前贅沢も出来ない……
どうしようかと悩んでいるとカウンターにいた店主がお水を持ってきてくれた。
「ご注文決まりましたら声をかけて下さい」
「は、はい」
店主さんの顔をみて挨拶するとその顔をみて固まってしまった。
店主さんは優しそうな線の細い感じで髪は猫っ毛なのか細くサラサラで後ろでひとつに縛っていた。
歳は私より上そうだが若くも見える。
そして左の薬指に指輪が光っていた。
「何か?」
じっと見つめ過ぎてしまい声をかけられる。
まさか見とれていたなどいえずに急いで注文をした。
「え、えっとコーヒーとサンドイッチをお願いします」
「はい、サンドイッチは中身は何にしますか?」
見るとメニューにサンドイッチは卵かハムを選べるようだ。
「卵で……」
「しばらくお待ち下さい」
店主さんはニコッと笑って注文表を手に取りサラッと書いた。
店主さんがはけると少し落ち着いて店内を眺める。
品のいい雰囲気にうるさくなりすぎない音楽が流れて本当に素敵だった。
お店の中はお客さんが数名いるがみんなこの空間を楽しんでいるのかお客さんまで店内の一部のように馴染んでいた。
私はそんな素敵な空間で求人誌を手に取り眺める。
しかしどうもピンとくる仕事が見つからない。
こうなったら選り好みしてる場合じゃないかな……とも思うがなんとなく選ぶ気になれずに本を閉じた。
今のアパートに住み続けるのは無理かもしれない。
家賃を考えると前の会社ぐらいもらってやっとだった。
それでもオートロックの付いた安めの物件だったがそれよりも安くなると今度は防犯が不安になる。
今度は携帯片手に物件を見たりして唸っているといい香りが店内に広がった。
店主さんが私のコーヒーを入れていた。
そして程なくコーヒーとサンドイッチが運ばれてくる。
「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ」
「ありがとうございます」
お礼を言ってサンドイッチに釘付けになる。
サンドイッチは薄めの食パンに焦げ目がついてパンと同じ厚さの卵が挟まっていた。
「いただきます!」
手を拭いて早速かじりつく。
「ん~、おいしい……」
そしてすかさずにコーヒーを一口。
これも美味しい!
最高の組み合わせにあっという間にどちらも空になってしまった。
「おかわりどうですか?」
すると店主さんがニコニコと笑ってコーヒーを勧めてきた。
「でも……」
二杯も飲んだら料金が……
財布の中身が気になった。
「お客さん美味しそうに食べてくれたからサービスです。初めての方にはよくやってるサービスなんですよ」
そう言ってさわやかに笑って貰えば断るのも悪い。
何よりおかわりしたかったのでお礼をいい快く貰うことにした。
「ありがとうございます。本当に美味しいですね」
今度はゆっくりと一口飲んで声をかけた。
「ありがとうございます。あれ?」
店主さんは私のテーブルに置かれた雑誌をみて声を出した。
「あっ……その……」
求人誌をサッと隠す。
「すみません、お客様のプライベートな事を……でも素敵なスーツ姿なのでお仕事中かと思いました」
「実は……」
私は誰かに聞いて欲しかった事もあり優しそうな店主さんに仕事を辞めた事を話してしまった。
サンドイッチ、トーストにカレーにナポリタン。
想像するとお腹が鳴りそうになる。
そういえばお昼も食べてなかった。
しかし仕事を辞めた手前贅沢も出来ない……
どうしようかと悩んでいるとカウンターにいた店主がお水を持ってきてくれた。
「ご注文決まりましたら声をかけて下さい」
「は、はい」
店主さんの顔をみて挨拶するとその顔をみて固まってしまった。
店主さんは優しそうな線の細い感じで髪は猫っ毛なのか細くサラサラで後ろでひとつに縛っていた。
歳は私より上そうだが若くも見える。
そして左の薬指に指輪が光っていた。
「何か?」
じっと見つめ過ぎてしまい声をかけられる。
まさか見とれていたなどいえずに急いで注文をした。
「え、えっとコーヒーとサンドイッチをお願いします」
「はい、サンドイッチは中身は何にしますか?」
見るとメニューにサンドイッチは卵かハムを選べるようだ。
「卵で……」
「しばらくお待ち下さい」
店主さんはニコッと笑って注文表を手に取りサラッと書いた。
店主さんがはけると少し落ち着いて店内を眺める。
品のいい雰囲気にうるさくなりすぎない音楽が流れて本当に素敵だった。
お店の中はお客さんが数名いるがみんなこの空間を楽しんでいるのかお客さんまで店内の一部のように馴染んでいた。
私はそんな素敵な空間で求人誌を手に取り眺める。
しかしどうもピンとくる仕事が見つからない。
こうなったら選り好みしてる場合じゃないかな……とも思うがなんとなく選ぶ気になれずに本を閉じた。
今のアパートに住み続けるのは無理かもしれない。
家賃を考えると前の会社ぐらいもらってやっとだった。
それでもオートロックの付いた安めの物件だったがそれよりも安くなると今度は防犯が不安になる。
今度は携帯片手に物件を見たりして唸っているといい香りが店内に広がった。
店主さんが私のコーヒーを入れていた。
そして程なくコーヒーとサンドイッチが運ばれてくる。
「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ」
「ありがとうございます」
お礼を言ってサンドイッチに釘付けになる。
サンドイッチは薄めの食パンに焦げ目がついてパンと同じ厚さの卵が挟まっていた。
「いただきます!」
手を拭いて早速かじりつく。
「ん~、おいしい……」
そしてすかさずにコーヒーを一口。
これも美味しい!
最高の組み合わせにあっという間にどちらも空になってしまった。
「おかわりどうですか?」
すると店主さんがニコニコと笑ってコーヒーを勧めてきた。
「でも……」
二杯も飲んだら料金が……
財布の中身が気になった。
「お客さん美味しそうに食べてくれたからサービスです。初めての方にはよくやってるサービスなんですよ」
そう言ってさわやかに笑って貰えば断るのも悪い。
何よりおかわりしたかったのでお礼をいい快く貰うことにした。
「ありがとうございます。本当に美味しいですね」
今度はゆっくりと一口飲んで声をかけた。
「ありがとうございます。あれ?」
店主さんは私のテーブルに置かれた雑誌をみて声を出した。
「あっ……その……」
求人誌をサッと隠す。
「すみません、お客様のプライベートな事を……でも素敵なスーツ姿なのでお仕事中かと思いました」
「実は……」
私は誰かに聞いて欲しかった事もあり優しそうな店主さんに仕事を辞めた事を話してしまった。
1
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。
鏑木 うりこ
恋愛
クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!
茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。
ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?
(´・ω・`)普通……。
でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。
私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ
榎夜
恋愛
私の婚約も勉強も、常に邪魔をしてくるおバカさんたちにはもうウンザリですの!
私は私で好き勝手やらせてもらうので、そちらもどうぞ自滅してくださいませ。
駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜
あーもんど
恋愛
『私は恋に生きるから、探さないでそっとしておいてほしい』
という置き手紙を残して、駆け落ちした姉のクラリス。
それにより、主人公のレイチェルは姉の婚約者────“悪辣公爵”と呼ばれるヘレスと結婚することに。
そうして、始まった新婚生活はやはり前途多難で……。
まず、夫が会いに来ない。
次に、使用人が仕事をしてくれない。
なので、レイチェル自ら家事などをしないといけず……とても大変。
でも────自由気ままに一人で過ごせる生活は、案外悪くなく……?
そんな時、夫が現れて使用人達の職務放棄を知る。
すると、まさかの大激怒!?
あっという間に使用人達を懲らしめ、それからはレイチェルとの時間も持つように。
────もっと残忍で冷酷な方かと思ったけど、結構優しいわね。
と夫を見直すようになった頃、姉が帰ってきて……?
善意の押し付けとでも言うべきか、「あんな男とは、離婚しなさい!」と迫ってきた。
────いやいや!こっちは幸せに暮らしているので、放っておいてください!
◆小説家になろう様でも、公開中◆
年下の婚約者から年上の婚約者に変わりました
チカフジ ユキ
恋愛
ヴィクトリアには年下の婚約者がいる。すでにお互い成人しているのにも関わらず、結婚する気配もなくずるずると曖昧な関係が引き延ばされていた。
そんなある日、婚約者と出かける約束をしていたヴィクトリアは、待ち合わせの場所に向かう。しかし、相手は来ておらず、当日に約束を反故されてしまった。
そんなヴィクトリアを見ていたのは、ひとりの男性。
彼もまた、婚約者に約束を当日に反故されていたのだ。
ヴィクトリアはなんとなく親近感がわき、彼とともにカフェでお茶をすることになった。
それがまさかの事態になるとは思いもよらずに。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
旦那様、離縁の申し出承りますわ
ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」
大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。
領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。
旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。
その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。
離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに!
*女性軽視の言葉が一部あります(すみません)
アマレッタの第二の人生
ごろごろみかん。
恋愛
『僕らは、恋をするんだ。お互いに』
彼がそう言ったから。
アマレッタは彼に恋をした。厳しい王太子妃教育にも耐え、誰もが認める妃になろうと励んだ。
だけどある日、婚約者に呼び出されて言われた言葉は、彼女の想像を裏切るものだった。
「きみは第二妃となって、エミリアを支えてやって欲しい」
その瞬間、アマレッタは思い出した。
この世界が、恋愛小説の世界であること。
そこで彼女は、悪役として処刑されてしまうこと──。
アマレッタの恋心を、彼は利用しようと言うのだ。誰からの理解も得られず、深い裏切りを受けた彼女は、国を出ることにした。
一方、彼女が去った後。国は、緩やかに破滅の道を辿ることになる。
夜這いから始まる初恋
羊
恋愛
薬を盛られて結婚を迫られたロイドは、その場から逃げた。
お酒に酔ったマチルダがそこにやってきて、お互いに素面ではない状態で寝てしまった翌日、恋に落ちたことに気付いたのだった。
だけど、ロイドは女性の顔を覚えていないし、名前も知らない。
マチルダはロイドの華やかな浮名を知っているせいで、とても本気で相手にはされないと思う。
必死で探すロイドと、どう出たらいいか悩むマチルダ。
お互いの親友が、仲を取り持とうと頑張りますが...
粋な男達と、可愛い女達の、なぜかスマートに運ばない恋の物語です。
毒気の無い気持ちよく読める短編連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる