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11.その後…告白
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シルビアがミーナに連れられて部屋へと入るとアルバートは部屋を出ていく。
そしてそのまま職員室へと向かうとそこでは先程の騒ぎにシルビアの教室の生徒達が集められて事情を聞いていた。
「アルバート様!この度は妹君の事で申し訳ありませんでした」
すると学園長がアルバートに気が付き青い顔で駆け寄って来た。
アルバートは冷やかな眼差しで学園長を見下ろす。
「謝ると言うことはシルビアが今まで受けていた仕打ちを知っていた…と言うことかな?」
「そ、それは…」
学園長が青い顔をさらに青くした。
「アルバート様!」
すると教室の生徒達がアルバートの周りに駆け寄ってくる。
「申し訳ありません!私はシルビアさんの味方をしたかったのですがセーラ様が怖くて何も言えなかったのです」
「私もです!」
「俺も!」
みんな口々にセーラが悪いと言い出した。
「あなた達…あなた達だって笑っていたでしょ!みんな同罪よ!」
「うるさい!あんたが悪いんでしょ!シルビア様に謝りなさいよ!」
セーラが他の生徒に責め立てられ、悔しそうに唇を噛んだ。
「あなた達覚えてなさいよ…」
キッ!と生徒達を睨みつけた。
「はぁ…」
アルバートはそんな醜いやり取りをする生徒達をみてため息をつく。
シルビアがこんな馬鹿共と今まで一緒にいた事が許せなかった。
「学園長」
「は、はい!」
「今日父から改めて話が行くと思うますが、私とシルビアはこの学園を退学致します。ですので寄付の話は白紙に、それと今後一切私達シスレー家はこの学園との交流を断ちます」
「そ、そんな!待ってください!この者達は全て退学されます!ですのでどうか考え直してください」
「は!?私達全員を退学ですって!そんな事出来るわけないでしょ!うちからの寄付だって無くなるのよ!」
「うるさい!元はと言えばお前がわがままでシルビア様を虐げるからだろ。お前の家程度の寄付はアルバート様から提示された寄付の足元にも及ばないんだ!」
「え?」
学園長はハッとして口を押さえるがこと既に遅し…生徒達は唖然と学園長を見つめていた。
「やはりあなたもシルビアの事を知っていながら見て見ぬふりをしていたんだな…」
アルバートは人でも殺しそうな顔で学園長を睨みつけるともう用は無いとくるっと背を向けて歩き出した。
「あ、アルバート様…」
呼び止める声を無視してアルバートはシルビアをこんな場所からすぐに連れ去りたかった。
部屋へと戻る途中にグレイがちょうど戻ってきた。
「旦那様からすぐに屋敷に戻って来るようにと言伝を預かっております」
その言葉にわかっと頷き寮を引き払う準備を始める。
荷物はグレイとミーナ、それに屋敷から応援にきた従者達に任せてアルバートはシルビアの部屋へと向かった。
トントン
部屋をノックすると返事が聞こえる。
アルバートは声をかけて部屋へと入った。
「シルビア、大丈夫かな?」
シルビアの様子が心配で様子をみながら近づく。
先程あまりにも我慢出来ずにシルビアの前で怒りを爆発させてしまった。
自分の事を怖がって無いといいが…
「アルバート様、助けて頂いてありがとうございます」
そんな不安な自分にシルビアは逆に申し訳なさそうに謝ってきた。
「なぜシルビアが謝るんだ」
「私のせいでアルバート様に不快な思いをさせてしまったと思って…私がもっと強くいられればよかったのですが」
「それは違う、悪いのはあいつらだ。シルビアは何も悪くない、しかも手まで出してきて…」
許せないと少し赤みの落ち着いた頬を撫でた。
「でも私も負けじとやり返したんですよ」
シルビアはいたずらっ子のように笑った。
「それはよくやったな」
笑顔につられて自分まで口角が緩む。
「ですからあまり怒らないでくださいね」
「それは無理だな、今までの事も聞いた。シルビアこんな学園は出よう。シルビアの学力なら屋敷で私と一緒に家庭教師に習った方がいい」
「ですが…」
「それが嫌なら私が教えよう。そうだ、それがいい」
なんでこんな素晴らしい考えを思いつかなかったのか…
「迷惑になりますから大丈夫です!」
「シルビアの事で迷惑な事なんてない、それに父も君の義母も心配している」
シルビアは悩んでいたがどうにか頷いてくれた。
「その代わりここの人達を責めるのはやめてくださいね」
「わかった、ここの奴らには何もしないよ。今後一切手は出さないと約束する」
一切ね…
アルバートはにっこりと笑った。
アルバートの言葉にようやくシルビアは安堵した。
早速シルビアを連れて屋敷に戻る。
シルビアと歩いていると遠巻きに謝ろうと様子をうかがっている者がいたので睨みつけて近寄らせないように威嚇した。
何事もなく馬車までくれるとあとはグレイ達に任せて一足早く屋敷へと戻る。
屋敷に戻ると話を聞いていた父と義母はシルビアを抱きしめて迎えた。
そして私と同じ考えだったようで目を潤ませて心配だから屋敷にいてくれと懇願されて仕方なさそうに頷いていた。
学園の事を父に話すと激昂する。
そしてアルバートが学園に入る為の寄付と今まで学園に通う学生の為と融資していたお金を止めた。
そして今後一切学園に通っていた者達とは関わらないと宣言した。
学園は融資を打ち切られ、話を聞いた知人の貴族達もこぞって寄付を取りやめたことで経営が成り立たず一ヶ月もしないで閉鎖となった。
その後父がそれを買い取り今は恵まれない子供の為の施設となっている。
アビット侯爵家も娘の失態とシスレー公爵に喧嘩を売ったと噂になり辺境の地へと移住する事になった。
そしてシルビアと僕は…
「シルビア、今日の勉強はどこでやろうか?」
「はい、お兄様今日は天気もいいから外でやるのはどうですか?」
「いいね」
笑顔のシルビアに微笑んで頷き返した。
あれからシルビアは笑顔を取り戻し自分にも気を許すようになっていた。
声をかければ笑顔で返事が返ってくる。
シルビアの手を取り日当たりのいいテラスへと移動して椅子を引いて座らせる。
「ありがとうございます。アルバートお兄様」
「シルビア、そろそろ僕の事はアルって呼んでくれないかな」
頃合いを見てそう言ってみた。
「でも…アルは私の中では違う意味を持ってしまうので…」
シルビアが困って眉を下げた、そんな顔でさえ愛おしい。
僕は綺麗なシルビアの髪をひと房掴んで匂いを嗅いだ。
懐かしいお日様の匂いがする。
ずっとずっと守ってきた僕の妹…
「そのアルでいいんだよ〝凛〟」
「え?凛…って私の前の名前…アルバートお兄様?」
シルビアの顔が驚きに染まる。
僕は前のようにそっとシルビアに顔を近づけて白くて可愛い頬をぺろっと舐めた。
「ずっと守るって誓っただろ」
シルビアは顔を真っ赤にして舐められた頬を手で隠した。
「アル…なの?」
僕はコクっと頷きシルビアの足元にも座ってその手を掴む。
「これからもずっと一緒にいてくれますか?」
シルビアは驚きながらも目を潤ませて頷いてくれる。
その顔は美しかった…
「でもお兄様とは兄妹としてずっと一緒ですけど…」
自分が結婚したらどうしようとシルビアは顎に手を当て真剣に悩んでいた。
血の繋がりのない僕らは婚約出来ることを言うのはもう少し先にしよう。
今は久しぶりの再会に目一杯二人の時間を楽しむことにして、もう一度頬にキスをした。
[完]
そしてそのまま職員室へと向かうとそこでは先程の騒ぎにシルビアの教室の生徒達が集められて事情を聞いていた。
「アルバート様!この度は妹君の事で申し訳ありませんでした」
すると学園長がアルバートに気が付き青い顔で駆け寄って来た。
アルバートは冷やかな眼差しで学園長を見下ろす。
「謝ると言うことはシルビアが今まで受けていた仕打ちを知っていた…と言うことかな?」
「そ、それは…」
学園長が青い顔をさらに青くした。
「アルバート様!」
すると教室の生徒達がアルバートの周りに駆け寄ってくる。
「申し訳ありません!私はシルビアさんの味方をしたかったのですがセーラ様が怖くて何も言えなかったのです」
「私もです!」
「俺も!」
みんな口々にセーラが悪いと言い出した。
「あなた達…あなた達だって笑っていたでしょ!みんな同罪よ!」
「うるさい!あんたが悪いんでしょ!シルビア様に謝りなさいよ!」
セーラが他の生徒に責め立てられ、悔しそうに唇を噛んだ。
「あなた達覚えてなさいよ…」
キッ!と生徒達を睨みつけた。
「はぁ…」
アルバートはそんな醜いやり取りをする生徒達をみてため息をつく。
シルビアがこんな馬鹿共と今まで一緒にいた事が許せなかった。
「学園長」
「は、はい!」
「今日父から改めて話が行くと思うますが、私とシルビアはこの学園を退学致します。ですので寄付の話は白紙に、それと今後一切私達シスレー家はこの学園との交流を断ちます」
「そ、そんな!待ってください!この者達は全て退学されます!ですのでどうか考え直してください」
「は!?私達全員を退学ですって!そんな事出来るわけないでしょ!うちからの寄付だって無くなるのよ!」
「うるさい!元はと言えばお前がわがままでシルビア様を虐げるからだろ。お前の家程度の寄付はアルバート様から提示された寄付の足元にも及ばないんだ!」
「え?」
学園長はハッとして口を押さえるがこと既に遅し…生徒達は唖然と学園長を見つめていた。
「やはりあなたもシルビアの事を知っていながら見て見ぬふりをしていたんだな…」
アルバートは人でも殺しそうな顔で学園長を睨みつけるともう用は無いとくるっと背を向けて歩き出した。
「あ、アルバート様…」
呼び止める声を無視してアルバートはシルビアをこんな場所からすぐに連れ去りたかった。
部屋へと戻る途中にグレイがちょうど戻ってきた。
「旦那様からすぐに屋敷に戻って来るようにと言伝を預かっております」
その言葉にわかっと頷き寮を引き払う準備を始める。
荷物はグレイとミーナ、それに屋敷から応援にきた従者達に任せてアルバートはシルビアの部屋へと向かった。
トントン
部屋をノックすると返事が聞こえる。
アルバートは声をかけて部屋へと入った。
「シルビア、大丈夫かな?」
シルビアの様子が心配で様子をみながら近づく。
先程あまりにも我慢出来ずにシルビアの前で怒りを爆発させてしまった。
自分の事を怖がって無いといいが…
「アルバート様、助けて頂いてありがとうございます」
そんな不安な自分にシルビアは逆に申し訳なさそうに謝ってきた。
「なぜシルビアが謝るんだ」
「私のせいでアルバート様に不快な思いをさせてしまったと思って…私がもっと強くいられればよかったのですが」
「それは違う、悪いのはあいつらだ。シルビアは何も悪くない、しかも手まで出してきて…」
許せないと少し赤みの落ち着いた頬を撫でた。
「でも私も負けじとやり返したんですよ」
シルビアはいたずらっ子のように笑った。
「それはよくやったな」
笑顔につられて自分まで口角が緩む。
「ですからあまり怒らないでくださいね」
「それは無理だな、今までの事も聞いた。シルビアこんな学園は出よう。シルビアの学力なら屋敷で私と一緒に家庭教師に習った方がいい」
「ですが…」
「それが嫌なら私が教えよう。そうだ、それがいい」
なんでこんな素晴らしい考えを思いつかなかったのか…
「迷惑になりますから大丈夫です!」
「シルビアの事で迷惑な事なんてない、それに父も君の義母も心配している」
シルビアは悩んでいたがどうにか頷いてくれた。
「その代わりここの人達を責めるのはやめてくださいね」
「わかった、ここの奴らには何もしないよ。今後一切手は出さないと約束する」
一切ね…
アルバートはにっこりと笑った。
アルバートの言葉にようやくシルビアは安堵した。
早速シルビアを連れて屋敷に戻る。
シルビアと歩いていると遠巻きに謝ろうと様子をうかがっている者がいたので睨みつけて近寄らせないように威嚇した。
何事もなく馬車までくれるとあとはグレイ達に任せて一足早く屋敷へと戻る。
屋敷に戻ると話を聞いていた父と義母はシルビアを抱きしめて迎えた。
そして私と同じ考えだったようで目を潤ませて心配だから屋敷にいてくれと懇願されて仕方なさそうに頷いていた。
学園の事を父に話すと激昂する。
そしてアルバートが学園に入る為の寄付と今まで学園に通う学生の為と融資していたお金を止めた。
そして今後一切学園に通っていた者達とは関わらないと宣言した。
学園は融資を打ち切られ、話を聞いた知人の貴族達もこぞって寄付を取りやめたことで経営が成り立たず一ヶ月もしないで閉鎖となった。
その後父がそれを買い取り今は恵まれない子供の為の施設となっている。
アビット侯爵家も娘の失態とシスレー公爵に喧嘩を売ったと噂になり辺境の地へと移住する事になった。
そしてシルビアと僕は…
「シルビア、今日の勉強はどこでやろうか?」
「はい、お兄様今日は天気もいいから外でやるのはどうですか?」
「いいね」
笑顔のシルビアに微笑んで頷き返した。
あれからシルビアは笑顔を取り戻し自分にも気を許すようになっていた。
声をかければ笑顔で返事が返ってくる。
シルビアの手を取り日当たりのいいテラスへと移動して椅子を引いて座らせる。
「ありがとうございます。アルバートお兄様」
「シルビア、そろそろ僕の事はアルって呼んでくれないかな」
頃合いを見てそう言ってみた。
「でも…アルは私の中では違う意味を持ってしまうので…」
シルビアが困って眉を下げた、そんな顔でさえ愛おしい。
僕は綺麗なシルビアの髪をひと房掴んで匂いを嗅いだ。
懐かしいお日様の匂いがする。
ずっとずっと守ってきた僕の妹…
「そのアルでいいんだよ〝凛〟」
「え?凛…って私の前の名前…アルバートお兄様?」
シルビアの顔が驚きに染まる。
僕は前のようにそっとシルビアに顔を近づけて白くて可愛い頬をぺろっと舐めた。
「ずっと守るって誓っただろ」
シルビアは顔を真っ赤にして舐められた頬を手で隠した。
「アル…なの?」
僕はコクっと頷きシルビアの足元にも座ってその手を掴む。
「これからもずっと一緒にいてくれますか?」
シルビアは驚きながらも目を潤ませて頷いてくれる。
その顔は美しかった…
「でもお兄様とは兄妹としてずっと一緒ですけど…」
自分が結婚したらどうしようとシルビアは顎に手を当て真剣に悩んでいた。
血の繋がりのない僕らは婚約出来ることを言うのはもう少し先にしよう。
今は久しぶりの再会に目一杯二人の時間を楽しむことにして、もう一度頬にキスをした。
[完]
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