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1.突然に…
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「えっ!」
ソフィアは起きると知らないベッドの上で裸で寝ていた。
部屋を確認するが自宅で無いことは確かだった。
自分の部屋とは比べ物にならない程の高価な家具に広く色合いのとれた落ち着いた部屋。
もし自分の好きに出来るならこんな部屋に住みたかったと思う程、落ち着く部屋だった。
でも今はそれどころではない!
モゾッ…
隣りの動く気配にハッと息を止める。
見れば自分と同じように上半身裸の男性が寝ていた。
「んっ…」
寝返りをうち見えた顔に昨日の事がフラッシュバックのように思い出された。
※※※※
「はぁ…」
私は人に聞こえない様なため息をついた。
聞こえない程の音量ではないが自分の周りには誰もいない。
だからある程度大きな声を出しても問題なかった。
見れば周りは煌びやかなパーティーの最中、自分以外の令嬢は適度に男性と話をしたり女性同士談笑したりと楽しそうだった。
「なんでこんな事になったのかな…」
今は国の独身貴族のご子息と令嬢がお酒や美味しい食事をしながら相手を見つける為のパーティーだった。
なかなか相手を見つけられない今どきの若者の為にと国が設けた催しである。
私も貴族…といっても男爵家の娘、19歳を過ぎてもこれといった相手もなく、このパーティーへと招待された。
恋人に興味が無いわけじゃない私はこのパーティで伴侶をみつけようと勇んで来てみれば…この有様である。
しかもこのパーティは一週間続く。
最初の一日目はちらほらと声をかけられたりしたのにどうしたわけか二日、三日と経つ事に男性から声をかけられることが無くなっていたいった。
それを見てた他のご令嬢達も私には何かあるのかと感じ取ったのか遠巻きに見てはコソコソと話し出す始末。
「一体何なのよ!」
ふんっ!と横を向いた途端にバチャ!と何かが服にかかる感触が…
見ればあまり持ってないドレスの一張羅に真っ赤なシミが出来ていた。
「「あっ」」
自分と一緒に声を出す主を見上げると、そこにはこのパーティ会場で一、二の優良物件のアーサー様がいた。
アーサー様は伯爵家のご子息で家は長男の兄上が継ぐからと自分は国を守る騎士になるといい、自らも爵位の称号を持つ方だった。
一日目からアーサー様の周りは身分の高いご令嬢が多く、自分には関係ないと一度も声を交わした事もなかった。
「す、すみません」
私はすぐに頭を下げた。
どう考えても向こうが悪い気がするが、アーサーの方が爵位は上だし何か目をつけられてもまずい。
サッサと謝って立ち去ろうとするとパシッと腕を掴まれた。
「な、なんでしょうか…」
何かイチャモンでも付けられるのかと顔を見ると無愛想な顔で汚れた箇所を見つめられる。
「そのままではよくない」
声をかけられた!
顔も良ければ声もいい、一瞬呆気に取られていると聞いてるのかとさらに声をかけられた。
「すみません、お心遣いありがとうございます。でもこの程度大丈夫ですので…それにもう部屋に戻ろうと考えておりました」
お礼をいって立ち去ろうとしているのに腕を離してくれない。
まだ何かあるのかと見つめていると眉間に力が入って顔が怒ってくる。
何か不味かったか!
アワアワとしているとグイッと腕を引かれて部屋を出て廊下へと連れ出された。
「そのままでは私の気がすまない!」
ん?
アーサー様の言った意味を考える。
アーサー様の気がすまない…つまりそのままにしとけば令嬢を汚して何もしない男と言われてしまうから嫌でも何かさせろということか…
なるほどと納得する。
「服を贈らせてくれ」
「い、いえ!そんなことして頂かなくて大丈夫です。そこで少し汚れを落とせば大丈夫です」
近くにあった水場を指さした。
「では私の部屋に、そこで侍女にやらせよう」
有無を言わせぬ眼力に私は「はい…」と力なく答えた。
このパーティに集められた貴族達には部屋が用意される。
伴侶を探す場なので男女入り乱れた部屋割りになっていた。
しかし爵位や地位は関係あるらしくA~D棟までありA棟から地位の高い順になっていた。
私はもちろんD棟、そして今歩いているのはA棟の廊下だった。
初めて入ったA棟は廊下から違った。
廊下に敷かれた絨毯は自分の部屋のものより分厚く豪華に感じる。
そんなA棟の奥の一室に通された。
「おい、この方のドレスを汚してしまった。何か代わりのものを早く用意しろ」
部屋に入るなりアーサー様はそういうとメイドと従者がサッと現れた。
「お嬢様こちらに…」
メイドに手を取られるとグイッと何かが引っ張る。
見ればまだアーサー様が私の腕を掴んでいた。
「アーサー様、お嬢様の腕をこの様に掴むものではありません」
従者の一人がパシッとアーサー様の腕を叩くとようやく離してくれた。
「すまない」
アーサー様が私に、私なんかに謝ってきた!
「い、いえ!全然気にしてませんので大丈夫ですから!」
慌てて頭を上げさせるとほっとしたのか眉間に寄ってたシワも解けた。
あのシワは怒ってた訳じゃなくて緊張していたのかも…そう思うとなんだか可愛く見えてしまった。
「では風邪をひいてしまったら大変ですからこちらへ」
今度こそ手を引かれて浴槽へと連れていかれる。
ドレスを素早く脱がされると体を洗われそうになる。
それを丁重に断って自分で洗うということでどうにか折り合いをつけた。
高級な浴槽にいい香りの花の浮かぶ花湯。
それに浸かりながらもう二度と体験できないかもしれないとゆっくりと堪能した。
湯船から出て体を拭くと用意された肌触りのいいダウンに手を通す。
ホカホカの体であまりにもゆっくりしてしまい申し訳なくうかがうように顔を覗かせた。
「すみません、遅くなりました」
「!!」
するとアーサー様はその姿をみてまた眉間に皺を寄せてグッと睨みつけた。
え!今度こそ本当に怒った!?
せっかくのパーティーの時間を潰したのだから当然といえば当然だろう。
でもちゃんと断ったし…
出るに出れなくて様子をうかがっていると従者の方がアーサー様の頭をコツンと叩いた。
「アーサー様、顔が怖いですよ」
「あっ、すまない。あまりの姿につい…」
あまりの姿…まぁ確かに良いとはいないけどあんまりな言い方だ!
なんか恐縮してるのが馬鹿らしくズカズカとアーサー様に近づいた。
「この様な十分な対応ありがとうございます。でももう大丈夫なのでアーサー様はパーティーにお戻り下さい。服が乾きましたら着替えて帰りますので」
「あっ、いや…その…」
アーサー様は何か言おうとしどろもどろになっている。
「アーサー様、パーティーに戻りますか?」
従者が聞くとアーサー様は首を振った。
「いや、あそこにいると疲れるからな。もういい」
「え?」
アーサー様の答えに驚き思わず声を出してしまった。
すると同時にお腹が鳴ってしまう…こんな時に空気を読まない腹に心底怒りがわいてきた。
顔を真っ赤にしているとアーサー様の表情が緩んだ。
「ふふ、私もちょうど腹が減ったな。何か軽くつまむ物を作ってくれ」
従者に食事を頼んだ。
「あっ、でしたら私はこのまま…」
自分も一度部屋に戻って着替えて何か食べに行こうかと考えているとまた腕を掴まれる。
そのままグイッと引かれてアーサー様の座るソファーの横へと座らされた。
「ソフィア嬢も付き合ってくれ。一人で食べてもつまらないからな…」
ふいっと横を向きながらそんな事を言われる。
あれ?そう言えば名前言ったっけ?
そんな事を考えているとまたお腹がなってしまった。
「ほら、そのお腹は食べたいと言ってるぞ」
「でも…」
「気にせずごゆっくりと…」
従者はニコッと微笑みメイドさんと部屋に備え付けられたキッチンへと向かうと、何か飲み物を持って戻ってきた。
「喉が乾いておいででしょうからこちらでも飲みながらお待ちください」
綺麗なグラスを二つと瓶に入った高そうな飲み物を持ってきてくれた。
「果実酒です」
「お酒は…」
飲めるがアーサー様の前で飲む勇気は無かった。
「これは水みたいな物だ、もし飲んで合わなければ違うものを用意しよう」
グラスに少し注がれる。
ここまでされて口にしないのも悪いと一口飲んでみると…
「美味しい!」
スッキリと飲みやすくお酒が入ってるなど言われないと分からないほどだった。
「だろ?」
アーサー様がニコッと笑うとまた注いでくれる。
この時初めてアーサー様の笑う顔を見た気がした。
私は頬が熱くなるのをお酒のせいだともう一杯グイッと口に含んだ。
注…この世界では16歳からお酒が飲める設定です。
良い子は20歳になってから飲みましょう。
ソフィアは起きると知らないベッドの上で裸で寝ていた。
部屋を確認するが自宅で無いことは確かだった。
自分の部屋とは比べ物にならない程の高価な家具に広く色合いのとれた落ち着いた部屋。
もし自分の好きに出来るならこんな部屋に住みたかったと思う程、落ち着く部屋だった。
でも今はそれどころではない!
モゾッ…
隣りの動く気配にハッと息を止める。
見れば自分と同じように上半身裸の男性が寝ていた。
「んっ…」
寝返りをうち見えた顔に昨日の事がフラッシュバックのように思い出された。
※※※※
「はぁ…」
私は人に聞こえない様なため息をついた。
聞こえない程の音量ではないが自分の周りには誰もいない。
だからある程度大きな声を出しても問題なかった。
見れば周りは煌びやかなパーティーの最中、自分以外の令嬢は適度に男性と話をしたり女性同士談笑したりと楽しそうだった。
「なんでこんな事になったのかな…」
今は国の独身貴族のご子息と令嬢がお酒や美味しい食事をしながら相手を見つける為のパーティーだった。
なかなか相手を見つけられない今どきの若者の為にと国が設けた催しである。
私も貴族…といっても男爵家の娘、19歳を過ぎてもこれといった相手もなく、このパーティーへと招待された。
恋人に興味が無いわけじゃない私はこのパーティで伴侶をみつけようと勇んで来てみれば…この有様である。
しかもこのパーティは一週間続く。
最初の一日目はちらほらと声をかけられたりしたのにどうしたわけか二日、三日と経つ事に男性から声をかけられることが無くなっていたいった。
それを見てた他のご令嬢達も私には何かあるのかと感じ取ったのか遠巻きに見てはコソコソと話し出す始末。
「一体何なのよ!」
ふんっ!と横を向いた途端にバチャ!と何かが服にかかる感触が…
見ればあまり持ってないドレスの一張羅に真っ赤なシミが出来ていた。
「「あっ」」
自分と一緒に声を出す主を見上げると、そこにはこのパーティ会場で一、二の優良物件のアーサー様がいた。
アーサー様は伯爵家のご子息で家は長男の兄上が継ぐからと自分は国を守る騎士になるといい、自らも爵位の称号を持つ方だった。
一日目からアーサー様の周りは身分の高いご令嬢が多く、自分には関係ないと一度も声を交わした事もなかった。
「す、すみません」
私はすぐに頭を下げた。
どう考えても向こうが悪い気がするが、アーサーの方が爵位は上だし何か目をつけられてもまずい。
サッサと謝って立ち去ろうとするとパシッと腕を掴まれた。
「な、なんでしょうか…」
何かイチャモンでも付けられるのかと顔を見ると無愛想な顔で汚れた箇所を見つめられる。
「そのままではよくない」
声をかけられた!
顔も良ければ声もいい、一瞬呆気に取られていると聞いてるのかとさらに声をかけられた。
「すみません、お心遣いありがとうございます。でもこの程度大丈夫ですので…それにもう部屋に戻ろうと考えておりました」
お礼をいって立ち去ろうとしているのに腕を離してくれない。
まだ何かあるのかと見つめていると眉間に力が入って顔が怒ってくる。
何か不味かったか!
アワアワとしているとグイッと腕を引かれて部屋を出て廊下へと連れ出された。
「そのままでは私の気がすまない!」
ん?
アーサー様の言った意味を考える。
アーサー様の気がすまない…つまりそのままにしとけば令嬢を汚して何もしない男と言われてしまうから嫌でも何かさせろということか…
なるほどと納得する。
「服を贈らせてくれ」
「い、いえ!そんなことして頂かなくて大丈夫です。そこで少し汚れを落とせば大丈夫です」
近くにあった水場を指さした。
「では私の部屋に、そこで侍女にやらせよう」
有無を言わせぬ眼力に私は「はい…」と力なく答えた。
このパーティに集められた貴族達には部屋が用意される。
伴侶を探す場なので男女入り乱れた部屋割りになっていた。
しかし爵位や地位は関係あるらしくA~D棟までありA棟から地位の高い順になっていた。
私はもちろんD棟、そして今歩いているのはA棟の廊下だった。
初めて入ったA棟は廊下から違った。
廊下に敷かれた絨毯は自分の部屋のものより分厚く豪華に感じる。
そんなA棟の奥の一室に通された。
「おい、この方のドレスを汚してしまった。何か代わりのものを早く用意しろ」
部屋に入るなりアーサー様はそういうとメイドと従者がサッと現れた。
「お嬢様こちらに…」
メイドに手を取られるとグイッと何かが引っ張る。
見ればまだアーサー様が私の腕を掴んでいた。
「アーサー様、お嬢様の腕をこの様に掴むものではありません」
従者の一人がパシッとアーサー様の腕を叩くとようやく離してくれた。
「すまない」
アーサー様が私に、私なんかに謝ってきた!
「い、いえ!全然気にしてませんので大丈夫ですから!」
慌てて頭を上げさせるとほっとしたのか眉間に寄ってたシワも解けた。
あのシワは怒ってた訳じゃなくて緊張していたのかも…そう思うとなんだか可愛く見えてしまった。
「では風邪をひいてしまったら大変ですからこちらへ」
今度こそ手を引かれて浴槽へと連れていかれる。
ドレスを素早く脱がされると体を洗われそうになる。
それを丁重に断って自分で洗うということでどうにか折り合いをつけた。
高級な浴槽にいい香りの花の浮かぶ花湯。
それに浸かりながらもう二度と体験できないかもしれないとゆっくりと堪能した。
湯船から出て体を拭くと用意された肌触りのいいダウンに手を通す。
ホカホカの体であまりにもゆっくりしてしまい申し訳なくうかがうように顔を覗かせた。
「すみません、遅くなりました」
「!!」
するとアーサー様はその姿をみてまた眉間に皺を寄せてグッと睨みつけた。
え!今度こそ本当に怒った!?
せっかくのパーティーの時間を潰したのだから当然といえば当然だろう。
でもちゃんと断ったし…
出るに出れなくて様子をうかがっていると従者の方がアーサー様の頭をコツンと叩いた。
「アーサー様、顔が怖いですよ」
「あっ、すまない。あまりの姿につい…」
あまりの姿…まぁ確かに良いとはいないけどあんまりな言い方だ!
なんか恐縮してるのが馬鹿らしくズカズカとアーサー様に近づいた。
「この様な十分な対応ありがとうございます。でももう大丈夫なのでアーサー様はパーティーにお戻り下さい。服が乾きましたら着替えて帰りますので」
「あっ、いや…その…」
アーサー様は何か言おうとしどろもどろになっている。
「アーサー様、パーティーに戻りますか?」
従者が聞くとアーサー様は首を振った。
「いや、あそこにいると疲れるからな。もういい」
「え?」
アーサー様の答えに驚き思わず声を出してしまった。
すると同時にお腹が鳴ってしまう…こんな時に空気を読まない腹に心底怒りがわいてきた。
顔を真っ赤にしているとアーサー様の表情が緩んだ。
「ふふ、私もちょうど腹が減ったな。何か軽くつまむ物を作ってくれ」
従者に食事を頼んだ。
「あっ、でしたら私はこのまま…」
自分も一度部屋に戻って着替えて何か食べに行こうかと考えているとまた腕を掴まれる。
そのままグイッと引かれてアーサー様の座るソファーの横へと座らされた。
「ソフィア嬢も付き合ってくれ。一人で食べてもつまらないからな…」
ふいっと横を向きながらそんな事を言われる。
あれ?そう言えば名前言ったっけ?
そんな事を考えているとまたお腹がなってしまった。
「ほら、そのお腹は食べたいと言ってるぞ」
「でも…」
「気にせずごゆっくりと…」
従者はニコッと微笑みメイドさんと部屋に備え付けられたキッチンへと向かうと、何か飲み物を持って戻ってきた。
「喉が乾いておいででしょうからこちらでも飲みながらお待ちください」
綺麗なグラスを二つと瓶に入った高そうな飲み物を持ってきてくれた。
「果実酒です」
「お酒は…」
飲めるがアーサー様の前で飲む勇気は無かった。
「これは水みたいな物だ、もし飲んで合わなければ違うものを用意しよう」
グラスに少し注がれる。
ここまでされて口にしないのも悪いと一口飲んでみると…
「美味しい!」
スッキリと飲みやすくお酒が入ってるなど言われないと分からないほどだった。
「だろ?」
アーサー様がニコッと笑うとまた注いでくれる。
この時初めてアーサー様の笑う顔を見た気がした。
私は頬が熱くなるのをお酒のせいだともう一杯グイッと口に含んだ。
注…この世界では16歳からお酒が飲める設定です。
良い子は20歳になってから飲みましょう。
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