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友人
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※注意
子猫を譲渡するくだりの話がありますが実際の施設とは違いますのであしからず。
話なので簡潔に都合よく書かせて頂いてます。
ここから本編です。↓
藤野さんが施設の人に充の事を紹介するとようやく警戒が解けた。
「そういう事なら…」と施設の人は藤野さんをみてにっこりと笑った。
「藤野さんが猫を託せる人なら信用出来ますね。充さんって言いましたね。藤野さん同様書類書いてもらいますが大丈夫ですか?」
「もちろんです!」
充は寅吉さんに教えて貰っていた住所と電話番号を書類に書いた。
メモ帳を見ながら書いていると施設の人に覗き込まれる。
「あっ、最近引っ越したばっかりで…でもちゃんと猫の事は大家さんに伝えてあるので…」
充は慌ててメモ帳を隠した。
「別に大丈夫ですよ。ただその住所なんか見た事あるんですよね」
充の書類をみて何処だったかと考え込む。
「猫神社の近くの子なんですよ」
「あー猫神社の住所だ!」
藤野さんに言われて施設の人が頷いた。
「えっ…猫神社ってそんなに有名なんですか?」
「猫好きな人ならここら辺の人ならみんな知ってると思いますよ」
当たり前のように言われる。
「あそこは昔から猫が集まりやすいんですね~なんか近くで飼ってる人がいるみたいです。神社の神主さんが言ってたのであそこの猫は保護しないんですよ」
「へ、へー…」
充は何となく猫屋敷のみんななのでは?と思ったが何も言わなかった。
書類は問題なく藤野さんは待合室にて子猫を待つ。
施設の人が子猫に必要な書類など用意してくれていた。
すぐに引き取れるようにと藤野さんはゲージを持ってきていたのでそれを預けている。
「楽しみですね!」
俺もなんだかソワソワしてしまう。
「ええ、こんな気持ちにまたならせてくれてありがとう充くん」
藤野さんは頬を紅葉させて喜んでいた。
二人で猫談義に花を咲かせているとゲージに入った子猫が連れてこられた。
藤野さんは施設の人から説明を受けている。
充はそっとゲージを覗き込んだ。
中では子猫が落ち着きなく鳴きながらウロウロと動き回っている。
「ふふ、元気な子ね」
いつの間にか藤野さんも隣で覗いていた。
「では藤野さん行きましょうか」
施設の人がゲージを持ち上げた。
「え?何処に行くんですか?」
「これから藤野さん宅に伺って少し部屋の様子を見させていただきます。でも以前も行っているので挨拶程度に…」
施設の人が笑って教えてくれた。
施設の人の運転する車に乗せてもらい藤野さんの家へと戻ってくる。
藤野さんの自宅を軽く確認してゲージを開けた。
子猫は最初恐る恐る出ると家が気になるのか色んなところの匂いを嗅いだりして動き回る。
その間に藤野さん達はトイレや寝床を用意しながら話し合っていた。
充は子猫の様子が気になり後を付ける。
部屋の隙間に入って出られなくなったりちょっとした段差によろついたりしていた。
可愛い仕草にほっこりなりながら観察していると話が終わったようで施設の人が帰るようだ。
「では藤野さんとりあえず一週間のお試し期間のお預かりよろしくお願いします」
「一週間?」
「猫と藤野さんと家の相性など見る期間になります。それが問題なく過ぎればそのまま家族になれます」
きっと大丈夫でしょうねと子猫の好奇心旺盛な動きを見ながら施設の人は笑っていた。
何かあれば連絡して下さいと帰っていく。
「子猫と家族になるのも大変なんですね…」
「そうね、私はもう諦めていたから本当に嬉しいわ。この子の為にも元気に長生きしないと」
藤野さんが子猫を撫でる。
子猫は疲れたのか座布団の上で丸くなっていた。
気持ち藤野さんの表情も明るくなった気がする。
子猫が落ち着いたらふく達を連れてくると約束して充も帰ることにした。
充は帰り道気がつけば早足になっていた…なんだか無性にふくとまるに会いたくていつの間にか走り出していた。
子猫を譲渡するくだりの話がありますが実際の施設とは違いますのであしからず。
話なので簡潔に都合よく書かせて頂いてます。
ここから本編です。↓
藤野さんが施設の人に充の事を紹介するとようやく警戒が解けた。
「そういう事なら…」と施設の人は藤野さんをみてにっこりと笑った。
「藤野さんが猫を託せる人なら信用出来ますね。充さんって言いましたね。藤野さん同様書類書いてもらいますが大丈夫ですか?」
「もちろんです!」
充は寅吉さんに教えて貰っていた住所と電話番号を書類に書いた。
メモ帳を見ながら書いていると施設の人に覗き込まれる。
「あっ、最近引っ越したばっかりで…でもちゃんと猫の事は大家さんに伝えてあるので…」
充は慌ててメモ帳を隠した。
「別に大丈夫ですよ。ただその住所なんか見た事あるんですよね」
充の書類をみて何処だったかと考え込む。
「猫神社の近くの子なんですよ」
「あー猫神社の住所だ!」
藤野さんに言われて施設の人が頷いた。
「えっ…猫神社ってそんなに有名なんですか?」
「猫好きな人ならここら辺の人ならみんな知ってると思いますよ」
当たり前のように言われる。
「あそこは昔から猫が集まりやすいんですね~なんか近くで飼ってる人がいるみたいです。神社の神主さんが言ってたのであそこの猫は保護しないんですよ」
「へ、へー…」
充は何となく猫屋敷のみんななのでは?と思ったが何も言わなかった。
書類は問題なく藤野さんは待合室にて子猫を待つ。
施設の人が子猫に必要な書類など用意してくれていた。
すぐに引き取れるようにと藤野さんはゲージを持ってきていたのでそれを預けている。
「楽しみですね!」
俺もなんだかソワソワしてしまう。
「ええ、こんな気持ちにまたならせてくれてありがとう充くん」
藤野さんは頬を紅葉させて喜んでいた。
二人で猫談義に花を咲かせているとゲージに入った子猫が連れてこられた。
藤野さんは施設の人から説明を受けている。
充はそっとゲージを覗き込んだ。
中では子猫が落ち着きなく鳴きながらウロウロと動き回っている。
「ふふ、元気な子ね」
いつの間にか藤野さんも隣で覗いていた。
「では藤野さん行きましょうか」
施設の人がゲージを持ち上げた。
「え?何処に行くんですか?」
「これから藤野さん宅に伺って少し部屋の様子を見させていただきます。でも以前も行っているので挨拶程度に…」
施設の人が笑って教えてくれた。
施設の人の運転する車に乗せてもらい藤野さんの家へと戻ってくる。
藤野さんの自宅を軽く確認してゲージを開けた。
子猫は最初恐る恐る出ると家が気になるのか色んなところの匂いを嗅いだりして動き回る。
その間に藤野さん達はトイレや寝床を用意しながら話し合っていた。
充は子猫の様子が気になり後を付ける。
部屋の隙間に入って出られなくなったりちょっとした段差によろついたりしていた。
可愛い仕草にほっこりなりながら観察していると話が終わったようで施設の人が帰るようだ。
「では藤野さんとりあえず一週間のお試し期間のお預かりよろしくお願いします」
「一週間?」
「猫と藤野さんと家の相性など見る期間になります。それが問題なく過ぎればそのまま家族になれます」
きっと大丈夫でしょうねと子猫の好奇心旺盛な動きを見ながら施設の人は笑っていた。
何かあれば連絡して下さいと帰っていく。
「子猫と家族になるのも大変なんですね…」
「そうね、私はもう諦めていたから本当に嬉しいわ。この子の為にも元気に長生きしないと」
藤野さんが子猫を撫でる。
子猫は疲れたのか座布団の上で丸くなっていた。
気持ち藤野さんの表情も明るくなった気がする。
子猫が落ち着いたらふく達を連れてくると約束して充も帰ることにした。
充は帰り道気がつけば早足になっていた…なんだか無性にふくとまるに会いたくていつの間にか走り出していた。
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