【完結】異世界転移した独身男、蔑まれていた幼女を助けたら懐かれました。

三園 七詩

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「ケント!ケント!」

「んー」

イブの声にケントは眠いので目を瞑りながらもどうにか声を出す。

「もう少し…だけ…」

そう言うと再び寝ようとして毛布を被った。

「誰か…来た…」

イブの声にハッと飛び起きた。

「あいつらか!?」

小声で確認するとイブがこくこくと頷く。

「明かりを消せ」

イブは頷き音を立てないようにランタンの明かりを消した。

そして穴の一番奥に移動して様子をうかがう。

賢人は一人入り口の近づいて外の様子に耳をすませた。


「くそっ!ここまで血が続いていたのに…」

「あいつら何処まで逃げたんだ!」

「なんであの時誰も捕まえなかっんだよ」

「お前らだって飴とチョコに夢中になってただろうが!」

「こいつ!」

どうやら自分達を見つけられずにイライラして仲間割れをしだした。

ふん、ざまぁねえな。

賢人はにやりとほくそ笑む。

賢人がばらまいた飴は世界で一番不味い飴と書かれていたものだった。

そしてチョコは激辛チョコ!

あいつらにはそれで十分だと山ほど買ってばらまいたのだ。

金ならあいつらから腐るほど貰った。

これから何十年と暮らしていけそうなほど貯まっていたので躊躇なく買ってやった。

食べてみたらさすがに食えたもんじゃなかったようで俺たちを探しにきたが見つけられずにいるようだ。

しかしイブがここを探してくれなければ見つかっていたかも知れない。

賢人は女達の様子からここは見つけられないだろうとイブ達のいる奥へとそっと戻った。

「大丈夫だ、ここで静かにしてよう…でもしばらくは出ない方がいいかもしれない」

小声で伝えるとイブがこくこく頷く。

一番小さいランタンの明かり一つでどうにか過ごすがかなり不便だった。

しかし夜か昼かも分からないここでは何がきっかけで見つかってしまうかわからないので細心の注意を払った。

何度も何度も入り口に寄り音を確認するとようやく何も聞こえなくなる。

女達はどこかへ行ってしまったようだった。

ほっとするがまだ近くにはいるだろうとやはり明かりは一つだけにした。

「しかし明かりがないと気持ち悪いな…」

ずっとくらいと体が悲鳴をあげてくる。

賢人は何かいい物はないかとパソコンをいじった。

「これはいいかも…」

賢人はつっかえ棒と遮光カーテンを買う。

穴につっかえ棒を刺してカーテンを通して入り口から光が漏れない様にした。

隙間は他の布で塞いで反対側から確認するとほとんどの光を遮断していた。

賢人は安心してランタンの明かりを灯した。

「ケント、大丈夫?」

イブは明かりを付けることに怯えていた。

「大丈夫だ、向こうから見てみな」

イブにカーテンの反対側に行かせてみせると驚いた顔で戻ってくる。

「すごい!向こう真っ暗だった!」

「この布は光を遮断するんだよ、この女もまだ目覚めないししばらくはここでやり過ごそう。こいつが動けない事には逃げるのも危ないしな」

イブはわかったと頷く。

「さぁ、光が漏れないと分かったら美味しいもんでも食べよう。なんかほっとしてお腹が空いてきた」

ケントがそういうとイブのお腹が同意するようにくーっと鳴る。

「イブも腹減ったよな、待ってろ」

何か良いもんはないかとケントはパソコンを見つめた。
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