可愛い弟の為に私痩せます！綺麗になったからって婚約解消は無しにしたいなんて今更言われてもごめんです。

ジェノス

そのままジェノスは勇気が出ずにメリル嬢の事は初恋だったと諦めていた。

その間王子の女遊びは留まるどころか加速していく。

注意を再三しても止めない王子にジェノスは疎ましく思われたのかそばにいる事を拒まれる様になった。

たまに護衛で呼ばれる程度になってしまっていた時陛下から直々に命令が下された。

『ライアン王子がアルフォンス家に無断で向かおうとしているのを止めろ』…と。

アルフォンス家と聞いてメリル嬢の顔が浮かんできた。

「すぐに行きます！」

ジェノスは返事と同時に体が動いた。

馬を用意してアルフォンス家を目指した、その道のりは体が覚えていた。

しかしアルフォンス家に向かうともう王子は来たあとで約束も取り付けていなく怪しかったと追い返したと言う。

「ぶっ！」

それを聞いて思わず吹き出してしまった。

俺は王子が来ても扉を開けなくていいと伝えてまた王宮へと戻った。

馬をおいて王子を探していると厩舎で一人に馬を探す王子を見つけた。

「ライアン！」

声をかけるとライアン王子は興奮した様子で喋り出した。

一度追い払われたにも関わらず再びアルフォンス家に向かおうとしていた。

なので王宮に戻るように伝えると顔色が変わる。

そして馬に飛び乗って走り出した！

取り逃した！

俺は慌ててライアン王子を追いかけた…


ライアンはまっすぐにアルフォンス家を目指した。

「くそ！クソ！くそ！」

何もかも上手くいかない…

ライアンはおかしくなりそうだった…いや、もうおかしくなっていたのかもしれない。

ライアンは門を通り抜けてアルフォンス家の屋敷へとたどり着くと裏手に回った。

王子である自分がこそ泥の様に正面から入らないのは納得出来なかったが今はそれどころでは無い。

アルフォンス家に誤解を解いてもらってどうにか元通りにしようと考えていた。

「そうだ、みんな勘違いしてるんだ…私は間違ってない、なにかの間違いなんだ…」

ブツブツと文句を言いながら裏で様子を見ているとメイドが離れの小屋に何かを取りに屋敷から出てきた…ライアンはその隙に屋敷に忍びこんだ。

人に見つからないようにと警戒しているが屋敷はシーンと静まり返って薄暗く、人も少ない。

ライアンは廊下を歩いていると一つ厳重に兵士が立つ部屋を見つけた。

あれだ！

何となくそう思って近くの部屋へと忍び込む。

「こういう時は…」

部屋から窓へと向かうと外を見ると、壁伝いにどうにか隣の部屋へと移動出来そうだった。

ライアンは背に腹はかえられ無いと窓から出て壁に捕まって移動した。

トントン！

そして部屋を移動すると窓を叩いた！


「ん？」

メリルは窓からのする音に読んでいた本を置いた。

なんか音が…

メリルはカーテンを開けるとそこには男の人が必死な顔でしがみついていた！

「た、大変！」

なんでそんなところにいるのかわからないがこのままだと落ちて怪我をしてしまうかもしれないと思うとメリルは窓を開けてしまった。

「大丈夫ですか！」

メリルは男を引っ張りあげると誰かを呼ぼうと部屋の扉に走った。

すると…

「待ってくれ！」

バタン！と扉を閉められて男の人がすぐ後ろにたっている。

しまった…軽率に助けるんじゃ無かった…

メリルは腹に力を入れると思いっきり叫んだ！

「誰かー！」

するとメリルの声にすぐ外に待機していた兵士が部屋の中へと駆け込んできた。

「メリル様！」

「なんで声をあげた！」

男は慌ててメリルの腕を掴んで窓際へと移動した。

「離して下さい！助けたのにこの仕打ちは酷いわ！」

キッ！と睨むと男は怯む。

そしてその顔になんだか見覚えがあった…

「あなた…」

メリルの言葉に男はぱぁ！と顔を輝かせた！