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過去
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「おお!ジェノスいい所に、これからアルフォンス家に行くところなんだ!一緒に来てくれ」
ライアンは友人のジェノスがきて少し落ち着きを取り戻した。
「聞いてくれよ!なんか父上が急に訳分からないことを言い出して…きっと誰かに変な入れ知恵をされたに違いないんだ!だから俺はアルフォンス家の彼女を連れて行って誤解を解いてもらおうと思って…」
ライアンはジェノスに近づくとその腕を掴み、一緒に言ってもらおうと腕を引こうとすると…
バシッ!
ジェノスに手を払われた。
「ジェノス?」
ライアンは驚いてジェノスの行動の意味がわからなかった。
「え?な、なんだ?虫でもいたのか?」
それにしては険しい顔で自分の事を見ている。
いつもなら無表情なのに今日はなんだか怒っているようにまゆがつり上がっていた。
「ライアン!いいから王宮に戻れ!何故ここに居るんだ!」
ジェノスは反対に自分の腕を掴んで来た道を引き返そうと引っ張った。
「お、おい!離せ!」
ライアンはジェノスの腕を払うと距離をとる。
「一体なんなんだ…ジェノスまで?どうしてどいつもこいつも私の邪魔ばかりするんだ!」
「邪魔じゃない、陛下の命令だ!お前を連れて帰る!」
ライアンはジェノスの本気の顔に逃げなければと足が動いた。
「ライアン待て!なんでそんなにもメリル嬢に付きまとうんだ!」
「うるさい!彼女は私の運命の相手なんだよ!お前にはわかるわけない!」
ライアンは適当に馬を掴むと飛び乗った!
「ライアン待つんだ!アルフォンス家に行ったらだめだ!」
ジェノスは必死に声をあげて止めるがライアンは無視して走り出した。
「あのばか…」
ジェノスは自分の馬にまたがってライアンを追った。
ジェノスはライアンのわがままに大体は目をつぶっていたがこればかりは許せなかった……
※ジェノス視点
メリルの事はお茶会で会った時にジェノスは一目惚れをしていた…
しかし彼女はライアン…王子の婚約者だった。
その事実を知った時ジェノスは愕然とする。
ライアンは女の子が大好きで会う度に知らない子を連れていた。
王子という立場とその見目から小さい頃からもてはやされてライアンの中でそれが当たり前になってしまっていた…
それは年を重ねるほど酷くなり、そんなライアンの婚約者に選ばれたメリルが可哀想だと思っていたが王子のそばにいるだけの自分には何も出来なかった。
しかし程なくしてその話は流れたようで表沙汰にはならなかったが知ってる者は王子がお茶会でメリル嬢をみて断ったのだろうと噂が流れた。
その後しばらくメリル嬢を見かけたりしていたのにある時からパタリとその姿を見なくなってしまった。
ジェノスはあの口をふくらませて美味しそうにご飯を食べる姿を見るのが好きだった。
アルフォンス家から王子の関係者は嫌われており、ジェノスも何度がメリル嬢へ婚約の話を通してみたが門前払いで突っ返されていた。
もう自分には彼女に会う資格が無いと諦めていた時にジェノスは騎士になり弟のディーンと出会った。
彼は逞しく成長していて、たまに騎士の鍛錬場にきて体を動かしていた。その為出会うと話す程度の仲になっていた。
「ディーン、その…メリル嬢…君のお姉さんは元気かな?最近社交場に姿を見せないけど…」
ある時思い切ってディーンに聞いてみた。
「ジェノスさん、姉さんの事を知ってるの?」
それまで笑顔を見せていたディーンの顔が引き締まった。
その顔は敵を見るような冷たい瞳だった。
「あ、あの…お茶会で一度挨拶を交わして…」
「そう…その時の姉さんはどうでした?」
「えっと…楽しそうに食事をしていたと思う。あまりにも美味しそうに食べるから印象的で…」
その時の事を思い出して思わず微笑んだ。
「ふーん…」
なんかディーンの警戒が少しだけ解けた気がした。
「姉さんは元気ですよ。では!」
ディーンはそれだけ言うとサッサと帰り支度をはじめて行ってしまった。
それから何となく避けられるようになり気がつけば騎士の鍛錬場にも来ることが少なくなっていた。
ライアンは友人のジェノスがきて少し落ち着きを取り戻した。
「聞いてくれよ!なんか父上が急に訳分からないことを言い出して…きっと誰かに変な入れ知恵をされたに違いないんだ!だから俺はアルフォンス家の彼女を連れて行って誤解を解いてもらおうと思って…」
ライアンはジェノスに近づくとその腕を掴み、一緒に言ってもらおうと腕を引こうとすると…
バシッ!
ジェノスに手を払われた。
「ジェノス?」
ライアンは驚いてジェノスの行動の意味がわからなかった。
「え?な、なんだ?虫でもいたのか?」
それにしては険しい顔で自分の事を見ている。
いつもなら無表情なのに今日はなんだか怒っているようにまゆがつり上がっていた。
「ライアン!いいから王宮に戻れ!何故ここに居るんだ!」
ジェノスは反対に自分の腕を掴んで来た道を引き返そうと引っ張った。
「お、おい!離せ!」
ライアンはジェノスの腕を払うと距離をとる。
「一体なんなんだ…ジェノスまで?どうしてどいつもこいつも私の邪魔ばかりするんだ!」
「邪魔じゃない、陛下の命令だ!お前を連れて帰る!」
ライアンはジェノスの本気の顔に逃げなければと足が動いた。
「ライアン待て!なんでそんなにもメリル嬢に付きまとうんだ!」
「うるさい!彼女は私の運命の相手なんだよ!お前にはわかるわけない!」
ライアンは適当に馬を掴むと飛び乗った!
「ライアン待つんだ!アルフォンス家に行ったらだめだ!」
ジェノスは必死に声をあげて止めるがライアンは無視して走り出した。
「あのばか…」
ジェノスは自分の馬にまたがってライアンを追った。
ジェノスはライアンのわがままに大体は目をつぶっていたがこればかりは許せなかった……
※ジェノス視点
メリルの事はお茶会で会った時にジェノスは一目惚れをしていた…
しかし彼女はライアン…王子の婚約者だった。
その事実を知った時ジェノスは愕然とする。
ライアンは女の子が大好きで会う度に知らない子を連れていた。
王子という立場とその見目から小さい頃からもてはやされてライアンの中でそれが当たり前になってしまっていた…
それは年を重ねるほど酷くなり、そんなライアンの婚約者に選ばれたメリルが可哀想だと思っていたが王子のそばにいるだけの自分には何も出来なかった。
しかし程なくしてその話は流れたようで表沙汰にはならなかったが知ってる者は王子がお茶会でメリル嬢をみて断ったのだろうと噂が流れた。
その後しばらくメリル嬢を見かけたりしていたのにある時からパタリとその姿を見なくなってしまった。
ジェノスはあの口をふくらませて美味しそうにご飯を食べる姿を見るのが好きだった。
アルフォンス家から王子の関係者は嫌われており、ジェノスも何度がメリル嬢へ婚約の話を通してみたが門前払いで突っ返されていた。
もう自分には彼女に会う資格が無いと諦めていた時にジェノスは騎士になり弟のディーンと出会った。
彼は逞しく成長していて、たまに騎士の鍛錬場にきて体を動かしていた。その為出会うと話す程度の仲になっていた。
「ディーン、その…メリル嬢…君のお姉さんは元気かな?最近社交場に姿を見せないけど…」
ある時思い切ってディーンに聞いてみた。
「ジェノスさん、姉さんの事を知ってるの?」
それまで笑顔を見せていたディーンの顔が引き締まった。
その顔は敵を見るような冷たい瞳だった。
「あ、あの…お茶会で一度挨拶を交わして…」
「そう…その時の姉さんはどうでした?」
「えっと…楽しそうに食事をしていたと思う。あまりにも美味しそうに食べるから印象的で…」
その時の事を思い出して思わず微笑んだ。
「ふーん…」
なんかディーンの警戒が少しだけ解けた気がした。
「姉さんは元気ですよ。では!」
ディーンはそれだけ言うとサッサと帰り支度をはじめて行ってしまった。
それから何となく避けられるようになり気がつけば騎士の鍛錬場にも来ることが少なくなっていた。
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