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理由
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「それはね、ディーンの為なの…」
メリルの眉を下げてすまなそうにする顔にシーラは驚いて目を見開いた。
「ディーン様の…ですがディーン様は…」
メリルの事が大好きなディーンがメリルに痩せろと言うわけが無いと思っていた。
意味がわからずにシーラはこんがらがってきた。
「私は自分の事で自分が笑われるのなら我慢出来るわ、でもね自分の事で大切な弟や家族が笑われるのに耐えられなかったの」
「そんな事を言う奴がいるのですか!」
シーラはキッ!と眉を釣り上げて声を大にする。
「ち、違うのよ…直接言われたわけじゃないんだけど、前に私の事でディーンが泣いているのを見てしまったの…その瞬間このままじゃダメだと思って、でも食べる事も大好きだからちゃんと両方両立させたかったの」
上手くいってよかったとメリルはホッとしていた。
「それが今では体を動かすことが好きになっちゃって」
メリルはとぼけるように片目を閉じてウインクした。
「ふふ、今ではディーン様と剣の打ち合いまでできますからね」
「ええ、これなら十分一人で生きていけるわね」
メリルはたくましくなった二の腕を出して力こぶを作って見せた。
「私はどこまでもメリル様について行きますから、お一人と言うことは無いですね」
シーラがにっこりと笑ってそう言うと、メリルはハッとして恥ずかしそうに笑った。
「ありがとう、その時はよろしくね」
「はい」
シーラは絶対に何があってもついて行こうと心に誓った。
メリル様が読書に夢中になるとシーラは邪魔をしないようにそっと部屋を出た。
するとそれを待っていたのかディーン様が廊下の角から現れて近づいてくる。
「お姉様は?」
「今日は読書をして過ごすそうです。今は集中されているので静かにさせて差し上げようと」
「そうか、ありがとう。じゃあ今日は夜まで出てくることはないかな」
「そうですね」
ディーンはホッと胸を撫で下ろす。
そんなディーン様を見ているとメリル様の思いは本当なのかと思ってしまった。
シーラの何か言いたそうな顔にディーンは気がつくと声をかける。
「何かあったのか?もしお姉様の事なら…」
心配そうにしている。
やはり何か行き違いがあったのかもしれない…
ディーンを信じてシーラは先程の事を聞いてみることにした。
ディーンは最初は驚いたが話を聞いていて思い当たる節があった。
「もしかしたらお茶会での事を見られたのかもしれない」
「それはどういう事でしょうか?」
メリル様の事となりシーラは食い気味に聞くがハッとしてすぐに一歩下がった。
「使用人風情が申し訳ございません…メリル様の事だと思うと感情的になってしまいました」
シーラはディーン様に頭を下げた。
「いや、お姉様の一番そばにいてくれる人だ話しておこう」
ディーンはシーラにあの日の事を話し始めた。
メリルの眉を下げてすまなそうにする顔にシーラは驚いて目を見開いた。
「ディーン様の…ですがディーン様は…」
メリルの事が大好きなディーンがメリルに痩せろと言うわけが無いと思っていた。
意味がわからずにシーラはこんがらがってきた。
「私は自分の事で自分が笑われるのなら我慢出来るわ、でもね自分の事で大切な弟や家族が笑われるのに耐えられなかったの」
「そんな事を言う奴がいるのですか!」
シーラはキッ!と眉を釣り上げて声を大にする。
「ち、違うのよ…直接言われたわけじゃないんだけど、前に私の事でディーンが泣いているのを見てしまったの…その瞬間このままじゃダメだと思って、でも食べる事も大好きだからちゃんと両方両立させたかったの」
上手くいってよかったとメリルはホッとしていた。
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「ありがとう、その時はよろしくね」
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「そうですね」
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「使用人風情が申し訳ございません…メリル様の事だと思うと感情的になってしまいました」
シーラはディーン様に頭を下げた。
「いや、お姉様の一番そばにいてくれる人だ話しておこう」
ディーンはシーラにあの日の事を話し始めた。
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