可愛い弟の為に私痩せます!綺麗になったからって婚約解消は無しにしたいなんて今更言われてもごめんです。

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
17 / 28

王子

しおりを挟む
ライアンは王の間を飛び出すと厩舎に戻りすぐにまた馬を用意させる。

「早くしろ、今すぐ彼女に会いに行くんだから」

ライアンの中では彼女との出会いをどうしようかと頭がいっぱいだった。

私が迎えに行けばどんな女も顔を真っ赤にして喜んで尻尾をふる。

目を潤ませて私の顔に見とれるのだ。

きっと彼女もそうだろう、そこで俺は婚約者にならないかと提案すれば二つ返事で了承するに違いない。

ライアンはその後の事を考えるとニヤつくのを止められなかった。

「おい、まだか!?」

早く行きたくて従者を急かすが従者達は困惑顔を浮かべていた。

「陛下は駄目だと仰っていました、やはりもう一度陛下にうかがってからの方がよろしいのでは…」

「うるさい!王子の私が言うんだから大丈夫だ!さっさと用意しろ」

王子に睨まれて従者は戸惑いながら馬を用意する。

自分達も馬を用意しようとしていると…

「遅い!私は先に行く!」

ライアンはさっさと馬に跨って行ってしまった。

「ま、待ってください!」

従者達が慌てるがライアンはお構い無しだった。

ライアンは愛しのメリルに会う為に馬を走らせた。

すると少し遅れてジョルノがその場に現れる。

「ライアン王子は!」

「ジョルノ様すみません、ライアン様はアルフォンス侯爵様のお屋敷に向かわれてしまいました」

従者達は泣きそうな顔で走り去った先を指さした。

「くそ、遅かった。わかった私もすぐに向かう!お前達はこの事を陛下にご報告してくれ」

ジョルノはそう言うライアン王子の後を追いかけた。


その事アルフォンス侯爵家では…

「はぁ、はぁ!」

メリルは全速力で逃げてきてさすがに息が切れていた。屋敷に入るなり水を貰ってがぶ飲みするとソファーに座って息を整える。

するとそこにメリルの様子を聞いたディーンが慌てた様子で駆けつけた。

「お姉様大丈夫ですか!」

「ああ、ディーン大丈夫よ。少し驚いただけだから」

メリルは笑って問題無いと答えた。

まさか口いっぱいに物を頬張っていたところを人に見られたなんて言いづらい。

あの人にも悪い事をしたかもしれないがあそこはうちの屋敷の領地だから問題ないだろう。

いきなり男性に声をかけられたらそりゃ逃げるよね。

メリルは自分で無理やり納得するように言い訳をする。

「変な男がお姉様に近付いて来たんですよね?」

「違う違う、それに私に近づいてくる男性なんていないから安心して」

メリルは心配するディーンに要らぬ心配だと笑い飛ばした。

「もう、お姉様はわかってないんだから…」

ディーンはソファーでくつろぐメリルを凝視する。

その姿は痩せてさらに美しくなっていた。

もちろん前もぽっちゃりとしてそれはそれで可愛かった、今では体は引き締まり、ディーンと同じような腹筋まである。

そして顔は肉がそげ落ち大きさが一回り小さくなっていた。

そして健康的な生活を送っていたので肌艶もよく髪もサラサラでまるでお姫様のようだとディーンは思っていた。

メリルはあまり外に出たがる事をしないのでこの美貌は屋敷の中だけで留めてあったが男に見られたとなると噂が広がってしまうかもしれない。

ディーンは姉さんの無事も確認したので父にその事を報告する事にした。

しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。

当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。 しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。 最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。 それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。 婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。 だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。 これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

神様、来世では雑草に生まれたいのです

春先 あみ
恋愛
公爵令嬢クリスティーナは、婚約者のディスラン王子に婚約破棄を言い渡された。 これは愚かな王子が勝手に破滅する身勝手な物語。 ………… リハビリに書きました。一話完結です 誰も幸せにならない話なのでご注意ください。

処理中です...