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出会い(二回目)
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「おい!ここの領地は誰のものだ!」
王子はすぐに従者に調べるように命令した。
「ここは確か、アルフォンス侯爵様の領地かと…」
従者の言葉に王子は首を捻った。
「アルフォンス侯爵?あんな素敵な女性がいたなんて知らなかったぞ」
「確かアルフォンス侯爵様にはご子息とご息女がお一人ずつだったかと…」
「なんだと…あんなにも美しい娘がいるのに知らなかったなんて不覚!」
王子はあの時の出会いを思い出す。
恥ずかしそうに顔を隠して、俺の姿にきっと声も出せずに逃げ出したのだろう。
走る姿は可憐で全てが美しかった。
「すぐに帰るぞ!」
王子はどうにかアルフォンス家の娘と会おうと王宮へと戻ることにした。
「父上!」
ライアン王子は王宮に帰るなり父親の国王の元に向かった。
「はぁ…今度はなんだ」
王はいつまでもフラフラとしていると愚息を見つめてため息をついた。
「父上、俺は決めました。アルフォンス侯爵家の娘を婚約者候補にして欲しいのです!」
「アルフォンス侯爵?」
その名前を聞いてさらに顔をしかめる。
「お前は今言ってる言葉の意味がわかっているのか?」
ギロッと睨まれるが平気なものでニコニコと笑っている。
「はい、今日馬で走っていた先で見かけたのです。あれほど美しい娘は私の婚約者にふさわしい」
ライアンは自信満々に胸を叩いた。
「あそこの娘は駄目だ。それよりもお前には婚約者候補が何人もいるだろう?皆しっかりとしたいい子達だ、早くお前がしっかりとしてその中から選ぶんだ!」
「嫌です、私にあいつらはふさわしくない」
ライアンは子供の様にぷいっと横を向いた。
「いい加減にするんだ!」
バンッ!と机を叩いて立ち上がる父にライアンはビクッと肩を揺らすが引く訳には行かなかった。
「父上がなんと言おうと俺は彼女に決めました!彼女が私がいいと言えば問題無いですよね?」
ライアンはニヤリと笑う。
「駄目だお前が前に彼女に何をしたのか忘れたのか!」
王が叫ぶがライアンは話は無いとくるっと向きを変えて来た道を走り出してしまう。
「はぁ…もう無理なのか…」
王は頭を抱えて座り込む。
「陛下、今のを見て確信しました。次期後継者は第二王子のエーミール様にしましょう、ライアン様では誰もついて行きませんし、すぐに国が崩壊してしまいます」
話を聞いていた大臣達も呆れ気味に国王に提案した。
今、まさきに次の後継者は誰にするかを話し合っていた。
父としてはライアンがもう少ししっかりするまで待って欲しいと考えていたが先程の態度に考えを改めた。
「そうしよう、父としては残念だが国民の事を思えば仕方ない」
王は目の前の書状にサインをした。
「それと誰か、すぐにアルフォンス侯爵に連絡を…彼には先に説明しておかねば」
陛下は従者を呼びつけるとすぐに動き出した。
「ああ、それと…ライアンにはジェノスを向かわせろ。出来るなら今すぐに止めるんだ。全く少しは大人しくしてくれればいいものを…」
ため息の止まらない国王は一気に数年老けた気がした。
王子はすぐに従者に調べるように命令した。
「ここは確か、アルフォンス侯爵様の領地かと…」
従者の言葉に王子は首を捻った。
「アルフォンス侯爵?あんな素敵な女性がいたなんて知らなかったぞ」
「確かアルフォンス侯爵様にはご子息とご息女がお一人ずつだったかと…」
「なんだと…あんなにも美しい娘がいるのに知らなかったなんて不覚!」
王子はあの時の出会いを思い出す。
恥ずかしそうに顔を隠して、俺の姿にきっと声も出せずに逃げ出したのだろう。
走る姿は可憐で全てが美しかった。
「すぐに帰るぞ!」
王子はどうにかアルフォンス家の娘と会おうと王宮へと戻ることにした。
「父上!」
ライアン王子は王宮に帰るなり父親の国王の元に向かった。
「はぁ…今度はなんだ」
王はいつまでもフラフラとしていると愚息を見つめてため息をついた。
「父上、俺は決めました。アルフォンス侯爵家の娘を婚約者候補にして欲しいのです!」
「アルフォンス侯爵?」
その名前を聞いてさらに顔をしかめる。
「お前は今言ってる言葉の意味がわかっているのか?」
ギロッと睨まれるが平気なものでニコニコと笑っている。
「はい、今日馬で走っていた先で見かけたのです。あれほど美しい娘は私の婚約者にふさわしい」
ライアンは自信満々に胸を叩いた。
「あそこの娘は駄目だ。それよりもお前には婚約者候補が何人もいるだろう?皆しっかりとしたいい子達だ、早くお前がしっかりとしてその中から選ぶんだ!」
「嫌です、私にあいつらはふさわしくない」
ライアンは子供の様にぷいっと横を向いた。
「いい加減にするんだ!」
バンッ!と机を叩いて立ち上がる父にライアンはビクッと肩を揺らすが引く訳には行かなかった。
「父上がなんと言おうと俺は彼女に決めました!彼女が私がいいと言えば問題無いですよね?」
ライアンはニヤリと笑う。
「駄目だお前が前に彼女に何をしたのか忘れたのか!」
王が叫ぶがライアンは話は無いとくるっと向きを変えて来た道を走り出してしまう。
「はぁ…もう無理なのか…」
王は頭を抱えて座り込む。
「陛下、今のを見て確信しました。次期後継者は第二王子のエーミール様にしましょう、ライアン様では誰もついて行きませんし、すぐに国が崩壊してしまいます」
話を聞いていた大臣達も呆れ気味に国王に提案した。
今、まさきに次の後継者は誰にするかを話し合っていた。
父としてはライアンがもう少ししっかりするまで待って欲しいと考えていたが先程の態度に考えを改めた。
「そうしよう、父としては残念だが国民の事を思えば仕方ない」
王は目の前の書状にサインをした。
「それと誰か、すぐにアルフォンス侯爵に連絡を…彼には先に説明しておかねば」
陛下は従者を呼びつけるとすぐに動き出した。
「ああ、それと…ライアンにはジェノスを向かわせろ。出来るなら今すぐに止めるんだ。全く少しは大人しくしてくれればいいものを…」
ため息の止まらない国王は一気に数年老けた気がした。
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